スパニッシュ・オデッセイ

スペイン語のトリビア
コスタリカ、メキシコ、ペルーのエピソード
パプア・ニューギニア、シンガポールのエピソード等

ネイティブ・スピーカーによるスペイン語の誤用(19)子どもはまず3人称単数の活用形を覚える

2013-07-31 10:18:21 | スペイン語
  スペイン語に限らず、英語を除く、印欧語族のヨーロッパの言語は動詞の活用を覚えるのが大変である。外国人学習者に限らず、ネイティブ・スピーカーでも子供のうちは大変のようである。
 コスタリカのスペイン語では「あなた」を表す語は、vos というのもあるにはあるが、いつでも使えるわけではない。親しい関係の tú という、スペイン本国やメキシコなどでは普通に使われる語はコスタリカでは、ふつうは使われていない。ただし、メキシコ製のドラマでよく聞かれるので、最近は使うこともあるようだが。
 そういうわけで、コスタリカで「あなた」を表す語としては、 usted だけ覚えておけばよい。この言葉は一般的には、丁寧な「あなた」を表し、動詞は3人称単数の活用形をとる。コスタリカの場合は、英語の you と同じように、だれに対しても usted を使っていればいい。目上の人でも子供に対しても同様である。
 そうなると、子供は母親から常に3人称単数の活用形で話しかけられることになる。子供は、言葉をおうむ返しにおぼえるもので、コスタリカの子供の場合、動詞の活用形はまず、3人称単数になる。
 一例をあげる。
 「お風呂に入った?」と聞かれたら、日本語では「入った」と同じ言葉で答えることができるが、スペイン語ではそうはいかない。スペイン語の「風呂に入る」は bañarse であるが、これを活用させる。
“¿Se bañó?”と聞かれたら、“Me bañé.”と答えなければならないが、最初のうちは、母親の言葉どおりに“Se bañó.”と答えるものである。はじめは、直されると、きょとんとしているが、そのうち“Me bañé.”と正しく答えられるようになる。

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ネイティブ・スピーカーによるスペイン語の誤用(18)-雨が降っている

2013-07-29 11:52:44 | スペイン語
 前回は、「雪」について述べたが、今回は「雨」にしよう。
 雨も雪同様、英語では形式主語のitが必要だが、スペイン語では、主語のない非人称構文になる。「雨が降る」は不定形はlloverだが、常に3人称単数で活用する。これは、雪同様、不規則動詞で、直説法現在の活用形はllueveとなる。「雨」はだいたいどこでも降るので、使用頻度は高い。ただし、ペルーの海岸部はまず雨が降ることはなく、リマでは傘さえ売っていなかったと思う。こうなると、規則動詞化しやすいと思うのだが、lloveという形は聞いたことがない。
 “It’s raining”と英語でもいうように、スペイン語でもよく進行形になる。“Está lloviendo”とやればいいのだが、この現在分詞の間違いもわりとあるらしい。
 morir(死ぬ)やdormir(眠る)などの現在分詞は語幹の母音の[o]が[u]に代わり、それぞれmuriendo, durmiendoとなる。
 これらの動詞も基本語彙で、使用頻度は高い。さらに悪いことに、lloverの名詞形の「雨」はlluviaで、やはり[u]音が現れる。それで、lloviendoとすべきところを、ついlluviendoとやってしまうようなのだ。
 ところで、「雪」を表すnieveの複数形のnievesは姓になることは前回述べた。英語圏でも、Snowさんはいる。有名なところでは「中国の赤い星」を書いたEdgar Snowがいる。 
 最近はSnowdenの名前も話題になっているが、こちらも「雪」に関係があるだろうか。
 日本でも、筆者の知り合いに「雪」という名字の人がいる。
 「雨」さんは英語でもスペイン語でも日本語でも今のところ、聞いたことがない。


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ネイティブ・スピーカーによるスペイン語の誤用(17)雪、白雪姫

2013-07-27 09:25:11 | スペイン語
 熱帯に位置する中米コスタリカでのこと。「日本の冬は雪が降る地域もある」というような内容の会話の文中で、教科書どおり、nevarという動詞を“nieva”と、不規則動詞の活用形を用いたのである。 
 ところが、「nevaというのだ」と訂正されたのである。「郷に入れば郷に従え」ということで、不本意ながら、コスタリカでは“neva”と言わざるを得なかった。その後、雪の話もあまりしなかったが、帰国後、越の国に居住するようになった。当然、動詞nevarの使用頻度が高くなったのだが、コスタリカ出身の女房殿は相変わらず、“neva”といって、決して、“nieva”と言おうとしないのである。スペインに行けば、誤用と言われるのだろうが。
 ちなみに、nevarの過去分詞の女性形はnevadaで、アメリカの州の名前になっている。Sierra Nevadaは「雪が積もった山脈」という意味である。
 また、「白雪姫」は英語では“Snow White”だが、スペイン語では“Blancanieves”という。nevarの名詞形はnieveで、複数形のnievesは姓にもなっている。もちろん、メジャーリーガーにも「雪」さんがいる。そういえば、Blanca(白)という女性名もあった。Blanca Nievesという、「白雪姫」のような姓名の組み合わせも十分ありうる。
 ところで、聖徳太子が飼っていた犬の名前は「白雪丸」というそうで、これも“Blancanieves”ではある(出典:『和漢三才図会12』p. 224、東洋文庫504、寺島良安、平凡社)。


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ネイティブ・スピーカーによるスペイン語の誤用(16)「雪が降る」 

2013-07-25 15:34:23 | スペイン語
 英語でもそうだが、スペイン語でも使用頻度の高い動詞ほど、変化が不規則になるようだ。ただし、環境が違えば、使用頻度にも差が出てくることがある。
 一例として、nevarをあげる。これは英語の動詞 snowに相当する。「雨や雪が降る」と言う時は、英語ではitという形式主語を取るが、スペイン語では、主語なしで、常に3人称単数で活用させる、非人称構文になる。つまり、「雪が降る」はスペイン語では“nieva”となる。辞書にはこのように記載されているし、スペイン本国では冬には雪が降る地域もあって、nevarの使用頻度は高いのだろう。しかしながら、中米コスタリカは熱帯に位置しているので、雪は日常生活とは無縁である。高い山の頂上に少々降ることがあるのみである。 こうなると、使用頻度が低くなり、規則動詞化するのだろう。


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ネイティブ・スピーカーによるスペイン語の誤用(15)hay(ある、いる) の過去形

2013-07-22 16:05:20 | スペイン語
 haber(英語のhaveに相当)の接続法現在1人称及び3人称単数の正規な活用形、haya のほかに haiga という田舎臭い形があることに触れたが、今回は存在を表す haber について述べる。「ある、いる」というときは、直説法現在の場合は常に hay という形を取る。これは、非人称構文で、直説法現在の活用形は、事実上の主語の単複にかかわらず、常に hay である。ところが、これを過去の文にすると、間違えてしまうのである。
 例を挙げて示そう。
 Hay un gato. 猫が一匹いる。
 Hay dos gatos. 猫が二匹いる。
 これを点過去形にすると、
 Hubo un gato.
Hubo dos gatos.
で、動詞は事実上の主語の単複にかかわらず、hubo が正しい。ところが、これを
Hubieron dos gatos. とやるわけである。
 線過去も同様に、
 Había dos gatos. でいいものを、Habían dos gatos.とやってしまうのである。未来形や接続法、条件法でも同じことをやるのではないかと思う。
 直説法現在の活用形が hay しかないことを思えば、他の場合でも3人称複数の活用形を取ってはいけないはずなのだが、つい、事実上の主語が複数形だと、間違ってしまうのだろう。この誤用頻度は接続法現在1人称及び3人称単数の活用形、haiga の比ではない。かなり教養のある人たちまで、つい間違えてしまうようなのである。


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ネイティブ・スピーカーによるスペイン語の誤用(14)haiga 2

2013-07-20 09:19:39 | スペイン語
 haber(英語のhaveに相当)の接続法現在1人称及び3人称単数の活用形で、スペイン本国でもラテン・アメリカでも主に田舎で用いられる、 haigaという形は古いスペイン語にあったようなのだ。それが今では正式には認められず、hayaという新しい形に取って代わられたのだろうか。それともhayaとhaigaという両方の形があって、時が経つうちにhayaの方だけが正式なものとして認められるようになったのだろうか。
 haigaという形は目にはしなくても、結構耳にすると思う。外国人学習者としてはやはり真似をしないほうが無難だろう。
 hayaとhaigaについては、以下のホームページを参照されたい。ホームページの主であるピウラ大学はペルー北部のピウラという町にある大学である。
http://castellanoactual.com/haiga-o-haya/
 ついでに言うと、haigaには「パリッとした高級車」という名詞もあり、これは辞書にも載っている。
 また、hayaのつづりだが、yをllでつづる間違いの一つとして、これをhallaと書く人もいる。ところが、hallar(見つける)という別の動詞もあるのである。この動詞の直説法現在3人称単数の活用形がhallaになり、それはそれで全然間違いではない。文脈によりhayaとつづるか、hallaとつづるか、気を付けなければならない。


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ネイティブ・スピーカーによるスペイン語の誤用(13)haiga

2013-07-18 14:58:47 | スペイン語
 haber(英語の have に相当)の接続法現在1人称及び3人称単数の活用形だが、コスタリカでも、ペルーでも、メキシコでも、haya ではなく、haiga という形を用いる人が結構いたのである。
 最初はあまり教養のない人が hacer(英語の make、do に相当)の接続法現在1人称及び3人称単数の活用形である、haga からの連想で haiga という形を作ったのかと思った。確かに不規則動詞の接続法現在1人称及び3人称現在の活用形は tenga (tener、持つ) , venga (venir、来る), salga (salir、出る)など-gaで終わるものがある。
 メキシコの中学校の教員をしているメキシコ人の友人も haigaという形を使うと言っていた。ただし、完了の助動詞の場合と、存在文の場合では使い分けがあるとも言っていた。どちらかが haya で、他方が haiga となると言っていたが、どちらがどちらかは失念した。
 とにかく、haigaという形は無教養のシンボルのような感じで、特に気にもかけていなかったが、ひょんなことから、最近、ネットで調べる機会があった。そうすると意外な記述があったのである。


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ネイティブ・スピーカーによるスペイン語の誤用(12)haberの接続法現在の活用形

2013-07-16 12:51:23 | スペイン語
  今回の誤用は haber(英語のhaveに相当)の接続法現在形である。
 haberは現在完了の助動詞にも使われるが、もう一つ特殊な用法がある。英語のthere is (there are)に相当する用法である。英語の場合は、thereは形式主語だが、実際の主語がthere is に続く。当然、主語が複数形であれば、there areになる。ただし、口語では常にthere is ということが多いようだ。
 一方、スペイン語では、単数・複数にかかわらず、直説法現在では常にhayという活用形を取る。hayのあとに実質的な主語が来るわけであるが、文法上の主語ではない。文法上の主語は出てこない。いわゆる無人称構文というやつだ。あえて主語をさがすなら、Diós(神様)というところだろうか。「神様が持つ」ということで、存在を表しているのだろうか。
 さて、このhayを接続法現在の活用形にすると、hayaが本来の形である。ところが、これがなかなかできないようなのである。



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ネイティブ・スピーカーによるスペイン語の誤用?(11)怪しげな点過去形

2013-07-14 20:26:29 | スペイン語
 前回、プエルト・リコの詩人であるJuan Antonio Corretjerの詩の一節を紹介した。

Un día yo te quisí
y siempre te estoy quisiendo
y el amor que te tuví
siempre te lo estoy tuviendo.

ここで、怪しげな現在分詞のほかに、おやっと思うのは、点過去の活用形である。
 quiseとやるべきところをquisí、tuveとすべきところをtuvíとしているではないか。直説法点過去1人称単数の活用形は-er、-irで終わる規則動詞なら語尾はíとなるが、不規則動詞の場合はeで終わる。
 そうなると、quererではなく、quiserという規則動詞が想定できる。同様に、tenerではなく、tuverという規則動詞が想定できるのである。直説法現在1人称単数形はそれぞれ、quiso、tuvoと活用させているのだろうか(もっとも、これらの形は直説法点過去3人称単数の正しい活用形であるが)。もっと調べてみよう。調べきれるかどうか心配だが、調査が完了すれば、またお知らせしよう。 


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ネイティブ・スピーカーによるスペイン語の誤用(10)怪しげな現在分詞-その2

2013-07-12 20:04:36 | スペイン語
  以下はプエルト・リコの詩人であるJuan Antonio Corretjerの詩の一節である。
 この中に先日紹介した、怪しげな現在分詞形、quisiendoとtuviendoが出てくるのである。

Un día yo te quisí
y siempre te estoy quisiendo
y el amor que te tuví
siempre te lo estoy tuviendo.

標準的なスペイン語に直せば

Un día yo te quise
Y seimpre te estoy queriendo
Y el amor que te tuve
Siempre te lo estoy teniendo

になるだろうか。大意は次のとおり。

「ある日僕は君に一目ぼれした。そして、ずっと愛し続けている。
その時君に抱いた思いは今も持ち続けている。」

 この詩人のご先祖様は、ムルシアかアラゴン地方の出身者だと推察される。ラテンアメリカのスペイン系の住民の多くはアンダルシア(Andalucía)地方の出身者らしいが、当然その他の地方の出身者もいるはずである。
 コスタリカやペルーではquisiendoという語は聞いたことがないので、ムルシアやアラゴンの出身者はほとんどいないか、いたとしても、年月が経つうちに標準的な言い方になっていったのだと思われる。

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ネイティブ・スピーカーによるスペイン語の誤用(9)現在分詞のつづりの間違い

2013-07-10 11:58:40 | スペイン語
【お知らせ】前回の記事の「怪しげな現在分詞形」に例を追加しましたので、ご覧ください。
 ここで、ついでによくあるつづりの間違いを紹介しよう。irの現在分詞はyendoだが、これをllendoとつづる間違いをよく目にする。
 本来はyは「ヤ」行の子音を表し、llは「リャ」行の子音を表すのだが、どちらも「ジャ」行で発音される地域も多い。
 yはiが半子音に変化した場合がある。yendoも本来はiendoのはずである。そう考えれば、llでつづることはありえない。
 一方、llはfl, cl, plなどが変化した場合もある。「鍵」の意味のllaveはclaveが変化した形である。ローマ法王を選出するcónclave (conclaveともつづる)は会議中部屋に「鍵をかけて(con llave)閉ざす」が語源だそうだが、これはcl → llの変化の一例である。
 それはともかく、yでつづるべきところをllで表記する間違いはよく目にするのだが、その逆はそれほどでもないような気がする。


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ネイティブ・スピーカーによるスペイン語の誤用(8)怪しげな現在分詞

2013-07-08 17:02:12 | スペイン語
 あるとき、○○県高校進学ガイドのスペイン語訳を依頼された。前年度は別の人が翻訳していて、それを参考に送ってもらった。
 そこに出てきたのが quisiendoという語だったのである。これは初めて見る語で、当然、辞書に載っているはずもない。どうも文脈から判断するに、queriendoのことではないかと思って、女房に相談するとどうもそうらしい。quisiendoなる語は女房も聞いたことがないとのこと。それではということで、早速ネットで検索してみたら、出てきました。
 標準的なスペイン語では誤用だと思われるが、スペイン本国のムルシア(Murcia)地方やアラゴン(Aragón)地方ではこのような言い方をするらしい。quisiendoのような語形は他にもあり、dijiendo, viniendo, tuviendo, fuendo/juendo (siendo)という語形もあるらしい。
【http://www.personal.psu.edu/faculty/j/m/jml34/Murcia.htmより】

 以下に本来の語形等を記す。

 不規則動詞の過去形(直説法点過去及び接続法過去)の語幹が分かれば、標準的な語形の想像はつく。


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ネイティブ・スピーカーによるスペイン語の誤用(7)過去の文に現在完了形を使う

2013-07-06 18:41:16 | スペイン語
 ペルーのスペイン語の続きである。
 スペイン語の過去形には2種類ある。一つは点過去といって、英語の過去形に相当する。もう一つは線過去という名前で、こちらは「~していた」という意味の過去で、英語の過去進行形と重なる部分もある。
 また、英語同様、スペイン語には現在完了もある。形も用法もだいたい英語と同じである。
 ところが、ペルーのスペイン語では現在完了形を点過去の代わりに使用している人もいるのである。
 たとえば、「私はきのう、肉を食べた」は英語では“I ate meat yesterday”で、決して“I have eaten meat yesterday”とは言えない。これをスペイン語に置き換えると、標準的なスペイン語では“Yo comí carne ayer”となる。これをペルーでは“Yo he comido carne ayer”とやるのである。
 スペイン語の点過去の活用形は結構難しく、筆者の場合も最初は大変であった。ネイティブ・スピーカーなら簡単に慣れてしまいそうなものなのだが。一方、現在完了形のほうが確かに活用は簡単だと思う。外国人学習者も同様だと思う。
 フランス語とイタリア語に目を向けてみると、話し言葉ではペルーのスペイン語と同じ現象が起こっている(フランス語の場合、書き言葉ではスペイン語の点過去に相当する活用形があり、単純過去という名前になっている)。現在完了形が過去の意味でつかわれているが、誤りではないのである。フランス語では複合過去という立派な名前も持っているのである。英語の現在完了形との違いは次のとおりである。
 他動詞の場合は have に相当する語に過去分詞を付け加える。
 自動詞の場合は be に相当する語に過去分詞を付け加える。
 スペイン語の現在完了は英語同様、過去分詞の前はhaveに相当する haberでよい。
 英語でも“Spring has come”と“Spring is come”のように自動詞の場合は、be動詞を完了の助動詞に使うこともあり、微妙なニュアンスの違いがあるが、それについてはここでは触れない。
 将来、フランス語やイタリア語と同じように、ペルーの現在完了の活用形が過去を表す正式な用法として認められる日が来るかもしれない。

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ネイティブ・スピーカーによるスペイン語の誤用(6)-おなかが減った

2013-07-02 13:50:06 | スペイン語
 ペルーのスペイン語は北中米のスペイン語とは語彙も用法もいくらか異なるが、理解不能ということはない。
 今回は、一応誤用ということになっている用法について述べる。
 「(私は)おなかが減った」は標準的なスペイン語では“Tengo hambre”という。英語に逐語訳すると“(I)have hunger”となる。hambreは名詞で、形容詞形は hambrientoというのがある。これを使って、“(Yo) estoy hambriento”と言えないこともないのだろうが、聞いたことはない。
  メキシコでもコスタリカでも“Tengo hambre”と言っていたが、ペルーではほかの言い方もするようである。
 あるスペイン語教室のペルー人講師は「おなかが減った」は“estar con hambre”(直訳英語は be with hunger)というのだと説明していた。このペルー人講師はスペイン語教育の専門家ではないものの、某大学の研究員をしていて、間違いなくインテリの部類に入る。
 ところが、この言い方は標準的なスペイン語としては誤用になるそうである。確かに、“(Yo) estoy con hambre”でも意味は十分通じる。
 同様に、英語で“I am with hunger”や“I have hunger”というと、通じないことはないだろうが、変な顔をされることは間違いないだろう。

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ネイティブ・スピーカーによるスペイン語の誤用(5)「今日」-きょう、こんにち

2013-07-01 15:00:58 | スペイン語
 ペルーのスペイン語はコスタリカやメキシコのスペイン語とも違いがあった。
 語彙の問題になると、誤用とは言えない場合もある。
 一例として、「今日(きょう)」をあげる。「きょう」はコスタリカでもメキシコでも hoy(オイ)であるし、辞書にもそう載っている。ところが、ペルーでは hoy día と言っていたのである。これは辞書によると、「今日(きょう)」の意味ではなく「今日(こんにち)、現今」の意味で記載されている。この意味では hoy en día という言い方もある。ペルー人は hoy だけでは何となく物足りない感じがするのだろうか。
しかつめらしい言い方として、en el día de hoy(本日)というのが辞書に載っているが、かなり堅苦しい感じで、日常会話ではメキシコでもコスタリカでも普通は hoy であった。
 ちなみに、フランス語では、「今日(きょう)」は aujourd’hui というが、これを分解すると、au jour d’hui となる。スペイン語に直訳すると、al día de hoy となる。フランス語には díaに相当するjourと、hoyに相当するhuiが入っているので、ペルーのスペイン語は、フランス語に近いと言えるかもしれない。
 それはともかく、ペルー以外の国で「きょう」の意味で、hoy díaを使うと、誤解される恐れがありそうである。文脈でだいたい意は通じるとは思うのだが。


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