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キリシタン用語(4)ハライソ(パライソ、パライゾ)

2017-08-22 18:29:08 | スペイン語
 前回、少し「ハライソ(パライソ、パライゾ)」について触れた。これはポルトガル語 paraiso に由来するキリシタン用語である。スペイン語では paraíso とつづられるが、発音はほぼ同じである。英語の paradise も同語源である。手元の辞書によると、これらの語は「庭」を意味するギリシャ語に由来するらしい。
 英語には Paradise の類義語に heaven がある。こちらの方は古期英語「空」に由来するとのこと。スペイン語にも英語同様、「空」を意味する、cielo という語がある(ポルトガル語では céu。フランス語では ciel)。日本では白髪染めの製品の名前としてご存知の方もいるかもしれない。ただし。アクセントがスペイン語とは違っているが。
 cielo という語も「空」の意味の他に「天国」という意味も持っている。しかしながら、手元の辞書には cielo が何らかのキリシタン用語と関連があるというような記述はない。
 さて、天国(cielo)はどこにあるかというと、天がある上の方ということになるが、楽園(paraíso)はどこにあるのだろうか。
 
 【エデンの園(ルーカス・クラナッハ画)】
創世記」2.8には「主なる神は東のかた、エデンに一つの園を設けて、その造った人をそこに置かれた」とある。旧約聖書のことだから、聖地エルサレムの東の方だろう。現在のイラク、チグリス・ユーフラテス川の河口あたりだろうというのが通説のようである。
 
 【エデンの園(エラストゥス・ソールズベリー・フィールド画)】
 そうすると、日本人キリシタンにとってはパライソは西の方にあるということになる。「キリシタン用語集」の「パライソ」の項目を調べていたら、次のような記述があった。

 英語のparadiseに相当、天国のこと。しかしカクレキリシタンの中でもそれがどこにあるのかという問いにはっきりと答えられる人は少なく、オラショや伝承の限りでは海の彼方にあるようにも取れる。このことは生月に伝わるオラショの中でローマの寺(教会)やジュルジャリン(イェルサレム)とパライゾのイメージが混同されていることからも見て取れる。

 エデンの園もエルサレム(西 Jerusalén「ヘルサレン」)も日本から見れば、西の方である。
 ところで、キリスト教が日本に伝わる前、仏教では西方浄土という名の極楽があると考えられていた。四字熟語辞典オンライン西方浄土」には次のように書かれている。

 阿弥陀仏がいるとされ、人間界から西方に十万億土離れている極楽浄土のこと。

 パライソは言ってみれば、西方浄土のキリスト教バージョンなのかもしれない。
 「パライソ」という言葉は映画『沈黙 -Silence-』にも出てきた。
 ちなみに、筆者も何度か Paraíso に行ったことがある。もちろん、一度死んでから行ったわけではない。コスタリカのカルタゴ州の州都カルタゴの近くに Paraíso という町があり、たまたま通りかかっただけのことであるが。とても「極楽」という感じはなく、何の変哲もない町だった。その昔、そのあたりに入植した人たちが、理想郷を作ろうという気持で、そんな名前をつけたのだろう。
 Paraíso という名前の町はラテンアメリカを中心として結構あるようである(ウィキペディア「パライソ」)。

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