スパニッシュ・オデッセイ

スペイン語のトリビア
コスタリカ、メキシコ、ペルーのエピソード
パプア・ニューギニア、シンガポールのエピソード等

プンタレーナスは2000年に消滅するはずだった!

2023-01-23 18:08:53 | コスタリカ
 コスタリカの太平洋側の港町、プンタレーナス(Puntarenas ⇐ Punta arenas「砂州」の意。チリには Punta Arenas という町がある)はプンタレーナス州の州都である。乾季(大体12月から3月まで。「夏」と呼ばれている)はからっと晴れていて、海水浴にはもってこいの季節である。日がカンカン照るので暑いが、摂氏35度以上の猛暑日になることはまずない。

 1980年頃、首都サンホセに住んでいた。コスタリカの学校は乾季になると休みになるので、筆者も勤務先の大学も休みになる。最近の日本の学校は学生・生徒が休みでも教員は学校に行かなければならないようだが、当時のコスタリカではそんなことはなかった。たぶん、今でも同様だろう。
 そういうわけで、筆者がプンタレーナスに行くのは「夏」に決まっていた。それが、2017年には雨季(4月から11月。「冬」と呼ばれる)に行く機会があったのである。「冬」とはいえ、太陽の位置が高いので、やはり暑いだろうと思っていたのだが、予想は見事に裏切られた。寒くはないが、全然暑くなかったのである。気温は摂氏25度を下回っていたかもしれない。
 さて、コスタリカ在住時には全然知らなかったのだが、このプンタレーナスにまつわる伝説があった。伝説によると、西暦2000年にプンタレーナスは消滅することになっていたのである。消滅といっても水没の意味のようだった。よくあるタイプの世紀末伝説の一つである。
 どうして水没するかというと、ペルーの首都リマの外港カリャオ(Callao)に関係しているのである。

【Callao】
 史実によると、1746年にカリャオは津波に襲われ、壊滅状態になったそうである。これがコスタリカにも伝わってきたのだが、伝説では、カリャオの町は腐敗しきっていたので、天使の軍団が滅ぼしたということになっているのである。腐敗したカリャオの町にも善良な一家がいて、彼らがプンタレーナスにやって来て、町を作ったという。
 しかしながら、神様の気まぐれでカリャオを水から引き上げると、その代償としてプンタレーナスが水没しなければならないのだとか。それが西暦2000年だという話である。
 出っ張ったところを押さえつけると、他の場所が盛り上がってくるというコントがあるが、そのような感じだろうか。実際は、カリャオは水没したわけではないが、そう信じられていたのだろう。
 雨季の寒々しい夜、漁師たちはそんな話をしていたとか。詳しいことは「コスタリカ伝説集」(国書刊行会)をご覧いただきたい。
 ところで、筆者は1989年にはリマに在住しており、仕事でカリャオにもたびたび行っていた。税関から荷物を引き取る業務だが、税関は年中ストライキをやっていたような印象であった。

 

   

スルキの伝説

2023-01-22 16:47:07 | コスタリカ
 
 ここはスルキ(Zurquí)トンネル。コスタリカの首都サンホセとカリブ海の港リモンを結ぶ幹線道路(autopista)にある唯一のトンネルである。サンホセから北に向かうと峠があるが、その峠を越えて少し行ったところにあるトンネルである。この写真の上の方にトンネルの出入り口が見えるが、トンネルを向こう側に抜けると峠があり、サンホセに至る。
 道路の左側には谷があり、川が流れている。谷の左側の山に潜んで、狙撃したのがゴルゴ13である。ゴルゴ13のことだから、不可能なことはないのだろうが、どうやって人跡未踏(たぶん)の山に入っていったのだろうか。
 それにここはよく霧が出る。狙撃の時には霧は出ていなかったようだが、ゴルゴ13には天も味方するようである。
 さて、スルキ(Zurquí)というと、筆者はまず、このトンネルを想起する。サンホセから女房殿の実家のあるグアピレス(Guápiles)に行くときに通るルートである。
 しかしながら、このトンネルから数キロ西に行ったところにスルキ山(Cerro Zurquí)という標高2259メートルの山がある。この辺りは火山も多いが、これは火山ではない。
 
 【スルキ山(Cerro Zurquí)】
 しかしながら、このトンネルから数キロ西に行ったところに、このスルキ山を舞台にした伝説が「スルキの伝説」で「コスタリカ伝説集」(国書刊行会)の冒頭の第1話に収められているのである。
 コスタリカというと、熱帯地方に位置するのであるが、標高が2000メートルを超すと、かなり涼しく、時期によっては寒いこともある。「スルキの伝説」は先住民の伝説で、スペイン人が入ってくる前からある伝説のようである。
 
 【Gold figure of Sibú with the head of an eagle. Museo del Oro Precolombino, San Jose, Costa Rica(鷲の頭をしたシブー像。コスタリカ、サンホセ、先コロンビア時代博物館蔵】
 スルキ山は最高神シブー(Sibú)の住処になっているそうである。この神様が追手から逃げるお姫様たちをチョウチョにして助けたというのが、この伝説のあらましで、この辺りにチョウチョ蝶が多いのはそういう理由だそうだが、詳しいことは「コスタリカ伝説集」をご覧いただきたい。 



ドゥエンデ(duende、小人) 

2021-08-17 13:13:20 | コスタリカ
 メキシコ時代の友人が書いた作品をご紹介します。さまざまな資料を基に再構築した武蔵です。是非ご一読ください。『巌流島の決闘』はあっと驚く結末です。
   
 コスタリカの昔話にはドゥエンデ(duende)というコビトもよく登場する。コビトといっても、『借りぐらしのアリエッティ』ほど小さくはない。アリエッティのサイズだと、英語では fairy, elf などと呼ばれるようだが、コスタリカのコビトはもっと大きい。ディズニー・アニメ『白雪姫』に出てくるコビトと同じぐらいのサイズである。これは英語では dwarf と呼ばれるようだが、スペイン語では duende となる。

 【wiktionary: duendeより】

 小学館『西和中辞典』によると、ドゥエンデは以下のように記述されている。

 1 お化け、小悪魔、(家つきの)小鬼、座敷わらし、小妖精
 2 いたずらっ子、腕白小僧
 3 魔力、デーモン、抗しがたい〔妖しい〕魅力
 
 語源は古スペイン語「家長」(duen de casa)とのこと。duen は今では dueño(主人)という形になっている。
 コスタリカの duende はだいたい、「(家つきの)小鬼」である。
 物語に登場する duende は男ばかりで、大体が中高年である。『白雪姫』に登場するコビトと全く同じである。 
 ドゥエンデについては、大阪大学の池田光穂教授による記事『いのちの民俗学(10)』に詳しいので一読をお勧めする。その中で、 duende の女性形は duenda と書かれているが、筆者はこれまで duenda という語にはお目にかかったことがない。
 記事の中で、ドゥエンダが人間の男に惚れ込んだ話が紹介されているが、池田教授は青年海外協力隊員としてホンジュラスに派遣されていたので、この話の舞台はホンジュラスだと思われる。似たような話はコスタリカにもあるだろうが、筆者の知る限りでは、人間の男に惚れ込んだのは幽霊または魔物で、ドゥエンダとは呼ばれていない。
 ところで、ドゥエンデは日本の座敷わらしのようなものらしいので、なかなか人目には触れないが、小さな子供には見えることがあるようである。
 女房殿も子供のころ、コビトが部屋の中を通り過ぎていくのを見たと言っている。そのことを母親に話すと、それはドゥエンデだろうと答えたそうである。しかし、コビトを見たのは後にも先にもそのときだけとのこと。
 また、女房殿の妹が幼いころ、ほかに誰もいないのにあたかも誰かと話していたような様子をよく覚えている。それが子供の想像によるものなのか、はたまたドゥエンデと話していたのかは、わからない。
ドゥエンデについての話は「コスタリカ伝説集」(国書刊行会)にいくつか収録されているので、そちらをご覧いただきたい。
  


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妖鳥 “La Ju Del León”(ラ・フー・デル・レオン)

2021-02-13 18:12:20 | コスタリカ
 メキシコ時代の友人が書いた作品をご紹介します。さまざまな資料を基に再構築した武蔵です。是非ご一読ください。『巌流島の決闘』はあっと驚く結末です。
   
 「コスタリカの伝説集」の中で紹介されている妖怪の一つに “La Ju Del León”(ラ・フー・デル・レオン)というのがある。
  

“La Ju De León” ともいうようである。León は「ライオン」のことで、かつてはスペインに「レオン王国」という国もあった。詳細はウィキペディア「レオン王国」を参照されたい。
 ライオンは現在はヨーロッパには生息していないが、かつてはヨーロッパにも生息していたらしい。ヘロドトスにも記されている。こちらも詳細はウィキペディア「ライオン」をご覧いただきたい。それによると、ライオンは新大陸には生息していない。当然、コスタリカにもいない。 león「ライオン」という言葉がスペイン人によってラテンアメリカにももたらされたわけだが、ライオンそのものはいない。ライオンを実際に見たことがあるスペイン人はほとんどいなかっただろう。ましてや、現地生まれのスペイン人には全くなじみのない動物だろう。
 しかし、ネコ科の猛獣はいる。ピューマやジャガーならいるのである。そこで、 león はピューマ(el puma)を指すようになった。これは小学館『西和中辞典』にも記載されている。トラ(tigre)も新大陸にはいない。似たような動物、ジャガー(jaguar、スペイン語では「ハグアル」と発音)が tigre と呼ばれるようになったわけだ。
 ちなみに、チグリス川(Tigris)の関連語に tigreが記載されている。「チグリス」は「速い川」が原義とか。
  “La Ju Del León” に戻る。Ju がわからない。辞書にも載っていない。“La Ju Del León” をネットで検索すると、画像が現れた。
 
 
 写真の方はフクロウである。そうすると、Ju は「ホーホー」という鳴き声を表しているのではないだろうか。女性単数定冠詞 la がついているのは「声」を表すスペイン語 voz(ボス)が女性名詞だからだろうか。
 “La Ju Del León” について、コスタリカの伝説集には次のように記されている。

 これは大きくて醜い悪魔のような鳥だ。意のままにピューマを操って、先住民や白人を食い殺させる。

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コスタリカの妖怪 El Viejo del Monte(山男)

2021-01-31 10:05:00 | コスタリカ
 メキシコ時代の友人が書いた作品をご紹介します。さまざまな資料を基に再構築した武蔵です。是非ご一読ください。『巌流島の決闘』はあっと驚く結末です。
   
 今回のコスタリカの妖怪は“El Viejo del Monte”(エル・ビエホ・デル・モンテ)。「山の男」という意味である。“Dueño del Monte”(ドゥエニョ・デル・モンテ)とも呼ばれている。
 スペイン語版ウィキペディア”Dueño del Monte”によると、これは中米の妖怪と書かれている。
 ヒゲもじゃで、髪はぼうぼうの大男というのが一般的な姿のようだが、生前犯した罪のために、このような姿になっているが、死後、山の生き物たちの守り神になっているとか。
 パナマとの国境近くの小さな町、Bribri(ブリブリ)の先住民の神話にも言い伝えがあるらしい。また、ニカラグアに近いグアナカステ州の町、Bagaces(バガセス)にもカウボーイの姿をした「山男」の伝説がある。
 ブリブリにはかつて一度行ったことがあるが、先住民の伝統的な住居はパプア・ニューギニアの住居とよく似ていた。ブリブリの画像はたくさんあるので、そちらをご覧いただきたい。
 バガセスは観光地ではないので、訪れたことはなかったが、2015年に女房殿の友人がいて、訪れる機会を得た。何の変哲もない田舎町だが、昔話にはよく出てくるのである。こちらも画像が多数あるので、参照願いたい。 画像を見ると、結構きれいなところがあるが、別の目的地へ行く途中だったので、筆者は女房の友人宅近辺しか見ていない。
 最後に、「山男」の画像を紹介する。いい加減な画像もあるので、まともなのをいくつか紹介する。
 
 
 

 
 
 次は牛車(車を引く牛なしで勝手に動く)に乗る妖怪ジョローナ(泣き女)とセグア(雌馬の妖怪)ともう一人の妖怪(名前は何だろう。今後の課題とする)と徒歩の魔女サラテを木陰から窺う「山男」である。
 

  
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コスタリカの妖怪四天王の一角、トゥレビエハ(Tulevieja)

2021-01-30 11:02:54 | コスタリカ
 コスタリカの妖怪御三家ともいえる三大妖怪はすでに紹介したが、これにも1つ加えて妖怪四天王にしたい。その名はトゥレビエハ(Tulevieja)である。
Tule Vieja と2語に分けて書かれることもある。
 Vieja は基本語彙 viejo(ビエホ、英 old に相当)の女性形で、名詞としては「老婆」、「成人した女」の意味になる。
Tule は英語にも入っていて、「ホタルイ;螢藺;蛍藺」というイグサの仲間のようである。
 
 【tule】
 ただし、メキシコには tule という大木があるようだが、コスタリカではイグサの方である。 
 Tulevieja はいつも tule で作った帽子をかぶっているので、そう呼ばれるわけである。
 画像にはおどろおどろしいのもあるが、以下のものが本来の Tulevieja に近いのではなかろうか。
 
 
 
 スペイン語版ウィキペディア“Tulevieja”によると、鳥の姿をしているものもあるようである。
 
 
 筆者が読んだ Tulevieja の話では、鳥ではなく、普通の老婆(?)だったが。巨乳から母乳が滴り落ちているという描写もあるので、老婆というには若すぎるが。胸がはだけた襤褸をまとっているのが一般的な姿のようである。
 Tulevieja はパナマにも伝承があるようで、Tulivieja と呼ばれているらしい。パナマとの国境に近い、コスタリカの田舎町 Bribri には先住民のもあり、彼らの言語では Wikela とよばれているそうである。
 

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武蔵誕生

巌流島の決闘

コスタリカの三大妖怪(2)カデホス

2021-01-26 17:27:19 | コスタリカ
 コスタリカの三大妖怪の1つ、ラ・セグア(馬の妖怪)は前回紹介した。残る二つのうちの一つ、ジョローナ(Llorona、泣き女)については「映画リメンバーミー考察」に詳しいので、そちらをご覧いただきたい。メキシコの民話ということだが、コスタリカにも同様の話があるので、メキシコから中米にかけての民話といえるのではないだろうか。
 残る1つは El Cadejos(エル・カデホス)である。これもどうやら中米に共通の妖怪のようである。ウィキペディアスペイン語版“Cadejo”によると、中米の他の地域では単数形の Cadejo が一般的なようで、Cadejos と一見複数形にするのはコスタリカの特徴だそうである。
 一見、恐そうだが、決して人に危害を加えることはないそうである。夜遊びの帰りによく遭遇するらしい。目が真赤に燃えるようで、昔、電気がなかったころは、さぞかし恐かっただろう。
 コスタリカのあるバージョンによると、放蕩息子が親の言うことを全然聞かないために、親の怒りに触れ、呪いの言葉をかけられ、犬の妖怪になったという。
 夜、寝られないとき、ふと外を見ると、カデホスがいることもある。追い払うことはできるが、捕まえようとすると、すっと逃げてしまうそうである。

 
 
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コスタリカの三大妖怪

2021-01-20 17:07:00 | コスタリカ
 コスタリカには妖怪や幽霊話が多数あるが、三大妖怪といってもいいのは、ジョローナ(La Llorona、泣き女)とラ・セグア(La Cegua、馬の妖怪)とカデホス(Cadejos、狼のような獣)である。
 
 この絵はコスタリカの新聞“La Nación"(英 The Nation)に掲載された小学校6年生の児童の絵である。三大妖怪が一堂に会しているが、桃太郎、金太郎、浦島太郎が一堂に会しているのと同じようなものである。ほのぼのとしたタッチの絵であるが、実際は、ほのぼのからは程遠い。
 まず、ラ・セグアから始めよう。
 Cegua とつづられるのが一般的なようだが、Segua というつづりもある(発音は同じ)。Tsegua と書かれることもあるが、これだと「ツェグア」と発音される。
 馬の妖怪だが、美女の顔が馬に変わって、男を驚かせる。
 スペイン語では馬といっても、性別や年齢のよって呼び方が違う。
 オスは caballo(カバージョ)、メスは yegua(ジェグア)、子馬は potro (ポトロ)である。
 妖怪 La Cegua は元が美女なので、牝馬(yegua)に変わるわけである。
 yegua という言葉はラテン語 equus の女性形が変化したもので、男性形は yeguo になってもよさそうなものである。
 caballo はもともとは、馬は馬でも「駄馬」の意味だったらしい。caballo に乗る人が caballero(カバジェロ)で、「騎士」という意味にもなり、現代では「紳士」という意味にもなって、日常的に使われている。本来は「駄馬乗り」だから、あまりありがたい言葉ではないはずなのだが。
 caballero の英語形は cavalier であるが、その派生語 cavalry は西部劇でお馴染みの「騎兵隊」である。caballero のフランス語形は chevalier で名優モーリス・シュバリエの姓になっている。スペイン語形 caballero も姓として用いられている。
 子馬 potro を姓の一部として使っているテニス選手もいる。フアン・マルティン・デル・ポトロ(Del Potro)選手である。
 さて、ラ・セグアは美女の姿をして夜一人で歩いている。それを見かけた男が馬に乗せてやるのだが、ふと女の顔を見ると馬の顔になっているというわけである。
   
 上の絵は物語に忠実に描かれていると言えよう。
 
 セクシーなラ・セグアの絵や写真もある。これぐらいなら、お付き合いしても構わないか。
 ラ・セグアについてはウィキペディア“Cegua”に詳しく書かれているが、コスタリカだけではなく、メキシコから中米にかけての伝説のようである。もちろん、いろんなバリエーションがある。
 You Tube ではアニメも見られるので、ご紹介しよう。スペイン語だが、ストーリーは理解できるだろう。
 “La leyenda de la Cegua (Costa Rica)
 

  
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コスタリカの魔女サラテ

2021-01-13 19:25:08 | コスタリカ
 コスタリカの魔女と言うと、「サラテ」(Zárate)が一番有名らしい。前回、紹介したが、調べてみると、画像も次々と出てくる。
 人種的には先住民説が一般的なようだ。
 
 こんな画像もあったが、これは若き日のサラテであろう。
 物語に出てくるときは老婆の姿が多いのだろう。
  
 上の写真が物語に出てくるサラテのイメージに近いと思う。右側の写真はサラテのフードを後ろから見たところである。
 筆者が読んだサラテの話では、身なりは質素ということだったが、このように質素を通り越していたかもしれない。
 白人説もある。小柄で太っていて、目つきは意地悪そうという話だった。
 
 上のイラストでは意地悪そうには見えない。太ってはいるが、太目のセクシー美人になっている。これぐらいなら筆者は誘惑されてもついていく。
 孔雀(pavo real、「王の七面鳥」が原義)は元ハンサムなスペイン人で、サラテが惚れたが、相手にされず、怒ったサラテに孔雀にされたということである。話はまだまだ続くが、詳細は機会があれば。
 さて、サラテの住居は山の大岩の隙間の洞穴である。
 
 ここからサンホセ市街地が一望できる。
 
 チャンスがあれば行って見たいものである。

 【魔女サラテが住む山の頂上】
 ちなみに、Abäk (発音は abak と同じ。ä の文字はスペイン語では使われない。a の上の点々は単なる飾りである)というグループが“La Bruja Zárate”という曲を作っている。おどろおどろしい曲である。

  
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コスタリカの魔女

2021-01-12 11:55:57 | コスタリカ
 コスタリカの昔話には魔女(bruja、ブルハ)も登場する。いろんな魔女がいるのだろうが、一番有名なのは“Ña Zárate”(ニャ・サラテ)のようである。
ña はラテンアメリカで呼びかけに使われる語で、「おかみさん、奥さん」という訳語が与えられている(小学館『西和中辞典』)。男性形は ño で、こちらには「だんな(様)」という訳語が当てられている。辞書にはこれ以上の詳しい説明はないが、ña は doña(既婚女性・未亡人の洗礼名の前につけられる敬称。男性形は don)の縮約形だと思われる。
 コスタリカの昔話には、これと関連して、ñor(ニョール)という姓の前につける男性用の敬称がでてくるが、この語は辞書には掲載されていない。文脈からすると、señor(セニョール)の縮約形としか思われない。
 ちなみに、筆者はこれらの敬称には全くなじみがない。
 さて、“Ña Zárate”(ニャ・サラテ)に戻ろう。サラテおばさんについての話しはいろんなバージョンがあるようだが、人種的には先住民としているものが大半らしい。
 住処は首都サン・ホセの郊外エスカス(Escazú)だったり、 Aserrí(アセリ)だったりするようだ。街中に住んでいるわけではなく、山中の大岩の洞穴に住んでいるようである。詳細はスペイン語版ウィキペディア“Bruja Zárate”に詳しい。La bruja Zárate, Doña Zárate, Ña Zárate, la Vieja Zárate, Mamá Zarate などと呼ばれている。
 以下に画像を一部紹介する。
    

 


 
 【住処の大岩】
 画像は多数あるので、“Bruja Zárate”の画像を参照されたい。

  
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コスタリカの昔話「チンゴ・ネグロ」(Chingo Negro)

2021-01-10 10:36:36 | コスタリカ
 松の内はとっくに過ぎたが、
¡Feliz Año Nuevo!
 今年は丑年だが、スペイン語には「牛」を表す語はいくつもある。
 雄牛 toro、雌牛 vaca は基本語彙だが、buey というのもある。これは「去勢された雄牛」で、自動車が普及する前は運搬用のモーターとして使われていた。荷車は carreta と呼ばれていて、今では大きなものから小さなものまで、きれいに彩色されてお土産として売られている。
 牛は英語では生きている間は ox, cow だが、食卓に上ると beef になる。スペイン語では、「牛肉」は carne de vaca と習った。なぜ「雌牛」の肉なのか、よくわからない。雄牛も殺されていると思うのだが。当然、carne de toro もあるはずである。しかし、コスタリカでは carne de res「四足動物の肉」と言っていた。アルゼンチンのラプラタ川流域では carne de res は「人体」の意味になるらしい(小学館「西和中辞典」より)。
 さて、コスタリカの昔話を読んでいたら、“Chingo Negro”という巨大な雄牛の化け物の話があった。
 chingo というのは「尻尾がない、短い」という意味である。これだけでは牛かどうかわからない。読み進んでいくと、雄牛だということがわかる。
 話の詳細は省くが、Chingo Negro は「悪魔の黒牛」ということである。ネットで調べていたら、画像もあったので紹介する。
 
 【“Mitos y Leyendas”より】
 
 【“The Costa Rica News”より】
    

  
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コスタリカの遊び yaces (yases)

2020-11-01 19:40:16 | コスタリカ
 コスタリカの伝説を読んでいたら、yaces(ジャセス) という語に出くわした。小学館『西和中辞典』には掲載されていない。yases ともつづるようだが、こちらも掲載されていない。
 女房殿に聞いたら、伝統的な子供の遊びで、女房殿もやっていたそうな。
 つづりは yaces の方が正しいらしい。
 1980年ごろ、コスタリカに在住していた時、下宿に近所の女の子が遊びに来て、伝統的な遊びに付き合わされたことがある。cromo という遊びだが、これは、薄っぺらな小さなカードを手のひらにくぼみを作ってひっくり返し、さらに表返せば、相手のカードを取ることができるというゲームである。日本にも同じ遊びがあるが、残念ながら、yaces をした記憶はない。
 ネットで調べてみたら、画像も紹介されていた。
 
 忍者のまきびしの形に近いだろうか。これが yaces で、1個だけではなく、たくさん使うようなので、yaces と複数形になっているのだろう。そうすると、単数形は yaz ということだろうか。
 遊び方は次のとおり。
 ゴムボールを1度弾ませている間に、yaces を取ったり、動かしたりするのである。 you tube で紹介されているので、興味のある方はご覧いただきたい。
 ところで、女房殿の知り合いのインドネシア人女性もこれで遊んだことがあるという。スペイン、ポルトガルの遊戯がラテン・アメリカやアジアに伝えられたのだろうか。それとも、インドネシアでも独自に考案されたのだろうか。
 日本ではお手玉とおはじきで同じように遊べそうだが、どうだろうか。経験がおありの方はお知らせ願いたい。

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コスタリカ 2018年(84)novena その2

2019-02-17 16:16:30 | コスタリカ
 義母は筆者から見ると、熱心なカトリックだったが、実は、novena については信じていなかったのである。義父が他界したときには novena は執り行っていなかった。ということで、義母の novena はもちろん、遺言によるものではない。子どもを9人もうけたが、だれ一人として義母の novena を執り行おうと言った者はいない。言ったのは6人の娘たちのうちの一人の婿だったのである。Ciudad Quesada 在住のその婿は今ではリゾートホテルや高級アパートを経営している金持ちだが、子どものころは貧しくて、おばに育てられてそうである。婿さんも信心深いとは思えないのだが、義母を無事にあの世へ送り届けたいとでも思ったのだろう。
 novena は一人ひとりが勝手に祈るものではない。プロの祈り屋を呼ぶのだが、大体年配の女性のようである。なので、コスタリカでは女性形の rezadora(レサドーラ)と呼ばれている。
 コスタリカのグアピレス地方では、novena が執り行われるのは午後3時ごろからである(他の国や地域の事情は知らない)。食事時ではないから、昼食の準備はしなくてもよさそうなものだが、祈り屋さんや親戚一同にコーヒーや軽食を用意しなくてはいけない。これが9日間も続くのだから、面倒な上、結構な出費にもなる。
 もし、義母が滞在中に他界していたら、筆者も novena を体験できたのだが、残念なことである(と言ってもいいのかどうかよくわからない)。
 

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コスタリカ 2018年(83)死後9日間の祈り(novena)

2019-02-16 16:26:54 | コスタリカ
(承前)
 義母の死去のあと、9日間(nueve días)の祈りが捧げられた。仏教では故人が三途の川のほとりに到着するのが死後7日目で、初七日といって、法要を執り行うが、それを連想させる。
“nueve días”で検索してみたら、“Los nueve días”(スペイン語版)に行き当たった。これはユダヤ教の行事で、エルサレム(Jerusalén「ヘルサレン」)の神殿が破壊されたあと、9日間喪に服したのが起源のようである。
 これはカトリックの死後9日間の祈りとは違うが、このユダヤ教の行事がその起源になったのだろうか。
 カトリックの死後9日間の祈りは“novena”と呼ばれている。詳細はウィキペディア「ノベナ」に譲るが、カトリックだけではなく、聖公会、東方正教会、プロテスタントのルター派教会でも行われているそうである。ノベナには4つのカテゴリがあるとのことだが、ウィキペディア「ノベナ」より引用する。

1.喪中、または葬儀の前
2.教会の祝日の前または晩の典礼の終わり(教会で行うことが必要となる場合が多い)
3.個人または集団による請願や罪の償い
4.免償 (ゆるしの秘跡を受けており、教会で行うことが必要となる場合が多い)

 いろいろ書かれているが、義母の場合は1に相当する。
 さて、祈りにもいろいろな種類があるが、ロザリオの祈りというものを唱えるのである。この祈りの中に「天にましますわれらの父よ」(西 Padre Nuestro, que estás en el cielo)で始まる有名な一節がある。これだけは信者でなくても唱えられそうである。仏教を信仰していなくても「南無阿弥陀仏」や「南無妙法蓮華経」を知っているのと同じである。 
 それはともかく、女房殿の話によると、死者が無事にあの世へと旅立てるように、9日間祈ってあげるのだとか。

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コスタリカ 2018年(82)義母他界の知らせ

2019-02-11 17:19:09 | コスタリカ
  コスタリカから帰国したのは9月7日(金)だったが、その後すぐに義母が入院したとの連絡が入った。いったん退院したものの、9月11日に他界したという続報が入った。
 8月19日に催した母の日のパーティーが最後の贈りものになったわけである(「コスタリカ 2018年(14)母の日のパーティー」参照)。
 葬儀は翌12日に行われた。死後24時間しか経っていない。女房殿に聞くと、コスタリカではこれが一般的とのこと。日本では死後、通夜・葬儀まで数日かかるのが一般的のような気がするが。
 それはともかく、コスタリカはカトリックが国教であり、国民の多くがカトリックである。最近はプロテスタントも増えてきているらしいが。ということで、葬儀は土葬が一般的である。
 義母は義父の眠るお墓に一緒に入ることになる。義父の墓はグアピレスにあり、2015年の訪問時に、墓参りに行ったことがある。このお墓については「コスタリカ再訪(206)義父の墓参り」、「コスタリカ再訪(207)義父の墓参りー2」を参照されたい。
 この定員6名のお墓に義母が独断で、親戚でもない知人を入れてやったものの、子どもたちに大反対されて、その遺体を関係者に引き取ってもらったことはすでに述べたが、どうやってその遺体を運び出したのか、その後の遺体の行き先はどうなったのか、ちょっと興味があるところである。
 義母もこのお墓に入ったので、入れるのはあと3名である。
  

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