スパニッシュ・オデッセイ

スペイン語のトリビア
コスタリカ、メキシコ、ペルーのエピソード
パプア・ニューギニア、シンガポールのエピソード等

二人のソト(Soto)選手

2018-05-14 20:30:29 | 名前
 今回は横浜DeNAベイスターズのソト選手。プエルトリコ出身である。
 
フルネームはウィキペディア「ネフタリ・ソト(野球)」によると、「ネフタリ・O・ソト」(Neftalí O. Soto)。スペイン式に「父の父姓+母の父姓」を名乗っていない。おそらく、「ソト」(Soto)は父の父姓であろう。
 個人名の「ネフタリ」(Neftalí)はあまり聞かない名前であるが、この名前は旧約聖書に出てくる。イスラエルの12支族の族長の一人で、ヤコブの12人の息子の一人である(「コトバンク イスラエルの12支族」参照)。
Neftalí という名前の意味は“Con Mis Hijos”というサイトによれば、"luchador"(戦士)ということである。プロ野球選手にふさわしい名前といえる。
 横浜DeNAベイスターズにはかつて同姓のソト投手も在籍していた。こちらは「エンジェルベルト・ソト」選手で、ベネズエラ出身。2012年には中日ドラゴンズで、2013-14年にはDeNAベイスターズでプレーした。
 
 こちらのソト選手のフルネームは「エンジェルベルト・ノリエル・ソト」(Enyelbert Noriel Soto)で、こちらの個人名も珍しい。
Enyelbert という名前はいろいろなサイトを当たってみたが、なかなか見つからない。どうも Engelbert のバリエーションのようである。エンゲルベルト(Engelbert)といえば、歌手の「エンゲルベルト・フンパーディンク」(Engelbert Humperdinck)が有名であるが、実はこれは芸名で、本名は“Arnold George Dorsey”という(ウィキペディア「エンゲルベルト・フンパーディンク」参照)。
 スペイン語話者には Engelbert は発音しにくいので、語末に o をつけて、Engelberto にする。これは“Con Mis Hijos”というサイトには載っている。
 ゲルマン起源で、punto de espada(剣先)、brillante(ブリジャンテ、英 brilliant)、famoso(英 famous)という意味だそうである。また Engelberto は Angilberto の異形ということだが、angel とは関係なさそうである。
 さて、ge はドイツ語では「ゲ」と発音されるが、スペイン語では「ヘ」で、イタリア語やフランス語では「ジェ」である。ソト選手の親が Enbelbert がたまたま「エンジェルベルト」と発音されているのを聞いて、これを子供の名前にしようとでも思ったのだろうか。これをスペイン語でつづるときに「ジェ」を ye と書いたのかもしれない。
 Noriel という名前も初耳である。Noriel という、プエルトリコ出身の歌手がいるようだが、これは芸名である。今のところ、Noriel という名前の由来は不明である。今後、より詳しく調べる予定である。
 しかし、エンジェルベルト・ソト選手。下の二人によく似ている。
  
 【ミスター・ビーンを演じるローワン・アトキンス】
 
 【日産の会長を務めたカルロス・ゴーン氏】
 

ポチッとクリック、お願いします。
↓↓↓
スペイン語 ブログランキングへ

スペイン語とともに考える英語のラテン語彙の世界 (開拓社言語・文化選書)
好評発売中!!こちらは、このブログとは別物です。もちろん、トリビア満載です。



  


ポチッとクリック、お願いします。
↓↓↓
スペイン語 ブログランキングへ

スペイン語とともに考える英語のラテン語彙の世界 (開拓社言語・文化選書)
好評発売中!!こちらは、このブログとは別物です。もちろん、トリビア満載です。


García と Garza 

2018-05-12 21:23:18 | 名前
 García 家の紋章には鳥が描かれているものが多いが、この鳥は何の鳥だろうか。
 
 実は、この鳥は「サギ」である。
 
 「サギ」はスペイン語では garza(ガルサ)というのである。この garza から García という姓ができたのかと、最初は思っていたが、garza を起源とする説は見つからなかった。しかし、発音が似ているので、「サギ」(garza)が紋章に使われるようになったということだろう。
この garza も姓として使われている。メジャーリーガーに Garza 姓の選手がいて、それで覚えた。ただし、「ガーザ」と発音されていた。Matt Garza 選手がその人だが、米国カリフォルニア州出身である。容貌はラテン的だし、姓もスペイン語そのものなので、メキシコ系と思われる。
 
 【“MLB.com”より】
 Garza 姓は“Historia Apellidos”によると、スペインでは4465位。絶対数でも人口比でもメキシコに多い。

【某 Garza 家の紋章。左側に描かれているのはサギ(garza)であろう。“Redbubble”より】
 語源的には García と Garza は関係なさそうだが、音が近いし、両者の紋章にも「サギ」(garza)が描かれているので、García さんにとって Garza さんは分家といった感じでもするのだろうか。

ポチッとクリック、お願いします。
↓↓↓
スペイン語 ブログランキングへ

スペイン語とともに考える英語のラテン語彙の世界 (開拓社言語・文化選書)
好評発売中!!こちらは、このブログとは別物です。もちろん、トリビア満載です。


García 家の紋章に書かれている言葉 "De García arriba, nadie diga"

2018-05-10 21:52:50 | 名前
 
 某 García 家の紋章には"De García arriba, nadie diga"と書かれている。難しい言葉は何もない。直訳すると「García の上とはだれも言うな」だが、どういう意味かよくわからない。
 “flickr.com”というサイトに当たってみると、次のように書かれていた。
 
 La estadítica nos permite añadir una interpretación demográfica al mote ancestral de las familias que se apellidan con este patronímico: 'nadie diga que su apellido es más frecuente que el apellido García'.

 La divisa o lema 'De García arriba, nadie diga' no significa que no haya nadie más valiente que nosotros, lo cual sería quedarse con la interpretación más común, sino que los Garcías pretendemos que no hay nadie, ni en España, ni en Francia, ni en Navarra, ni en las Indias Occidentales, que sea tan vasco como nosotros, sobre todo, en buena lógica vasca, por lo antiguos y por lo orgullosos de serlo.

 第一段落の要約は次のとおり。
 「自分の姓の方が García 姓よりも多いとはだれにも言わせない」と解釈されている。

 第二段落の要約は次のとおり。
 'De García arriba, nadie diga'は一般的に考えられているように「われわれ(García)ほど勇敢な者はいない」という意味ではなく、「スペインにもフランスにもナバラにも新大陸(las Indias Occidentales)にもわれわれ(García)ほどバスク人であることに古くから誇りを持っているものはいない、と García 一族は考えている」とのことである。

 前回、García 姓の語源説の中で、バスク語の「熊」と「若い」に由来する説を紹介したが、上の記述では García 家はバスク起源と信じられているようである。
 
それはともかく、中日ドラゴンズのガルシア選手は 'De García arriba, nadie diga' を「ガルシアより上とはだれにも言わせない」(おれよりすごい選手はいない)という意味に解して、日々精進してほしいものである。
 

ポチッとクリック、お願いします。
↓↓↓
スペイン語 ブログランキングへ

スペイン語とともに考える英語のラテン語彙の世界 (開拓社言語・文化選書)
好評発売中!!こちらは、このブログとは別物です。もちろん、トリビア満載です。




中日ドラゴンズのガルシア選手(3)父の父姓 García

2018-05-08 21:14:32 | 名前
 中日ドラゴンズのガルシア選手(Onelki García Speck)の父の父姓は García である。日本語では「ガルシア」と表記されるが、アクセントは「シ」の上にあるので、「ガルシーア」が原音に近い。
 García 姓を持つ有名人には、俳優の「アンディ・ガルシア」(本名:Andrés Arturo García y Menéndez)やスペインの詩人「ガルシア・ロルカ」(Federico del Sagrado Corazón de Jesús García Lorca)など、多数いる。
 “Historia Apellidos”によると、García はスペインでのランキング、堂々の第1位である。絶対数ではメキシコ、人口比ではスペインに多い。
 García 姓は超メジャーな姓だけあって、いろいろなサイトで取り上げられている。スペイン語版ウィキペディア“García”にも詳しく記述されている。
 2006年の時点でスペインの31の州において García が一番多い。その他の地域については下の図をご覧いただきたい。
 
 【スペイン語版ウィキペディア“García”より】
 García の意味についても諸説紹介されている。
 1.バスク語の(h)artz (西 oso 熊)に由来。
 2.gaztea(バスク語?)(西 joven 若い)に由来。
 3.ゴート語に由来し、«príncipe de la vista agraciada»(優しいまなざしの領主?)の意。
García 家にはいろいろな系統があるので、紋章の種類も多い。以下に代表的なものをあげる
 
 熊ではなく、鳥が描かれているが、他の種類のも鳥がデザインされたものが多い(詳しくは「画像 Escudo de la familia Garcia」をご覧いただきたい)。
 
 上のような、鳥ではなくライオンが描かれている紋章もあった。

よろしくね
↓↓↓
スペイン語 ブログランキングへ

スペイン語とともに考える英語のラテン語彙の世界 (開拓社言語・文化選書)
好評発売中!!こちらは、このブログとは別物です。もちろん、トリビア満載です。




 
 

中日ドラゴンズのガルシア選手(2)母の父姓 Speck

2018-05-07 17:43:54 | 名前
 中日ドラゴンズのアルシア選手(Onelki García Speck)の父の父姓の García は超メジャーな姓なので、次回に詳しく述べるとして、今回は母の父姓 Speck について調べてみる。
 
 Speck は全然スペイン語らしくない姓で、イギリス由来なのではないかと想像する。とりあえず“Historia Apellidos”を調べてみる。ヒットするかどうか、不安であったが、ヒットした。ただし、スペインでのランキングは42100位で、かなり珍しい。絶対数が多いのは米国である。人口比では Jersey に多いということだが、Jersey という国は聞いたことがない。New Jersey なら有名だが。ウィキペディア「ジャージー」によると、イギリス王室の属領ということである。場所は以下の地図を参照。
 
 【ウィキペディア「ジャージー」による】
 小学館『西和中辞典』には Jersey という固有名詞は掲載されていないが、jersey という普通名詞はあった(jersé、jerséi ともつづる)。英語からの借用語で「セーター、ジャージ、カーディガン」という意味で、発音は「ヘルセイ」である。 
 Speck 姓について調べていくうちに、。“Historic Research Center”というサイトに遭遇した。そこには Speck 姓はドイツ起源と書かれていた。
 spic という語がもとになっていて、この語はもともとは「ラード、ベーコン」という意味だった。そこから「ラード、ベーコンが好きな人」、さらには「栄養過多で、でっぷり太った」という意味になり、ニックネームとして使われているうちに姓になったようである。
確かに、現代のドイツ語には Speck(シュペック)という名詞があり、意味も「ベーコン、脂肪層」である。また、これに関連して、「(肉に)ベーコンを挟む、買収する、カンニングする」という意味の spicken(シュピッケン)という動詞もある。
「ラード」はスペイン語では manteca という。まさかこんな姓はないだろうと思っていたが、念のために“Historia Apellidos”に当たってみると、何と、あった。
 Manteca 姓のスペインでのランキングは3221位。珍名ではないにせよ、あまり多くもない。乳の父姓も母の父姓も Manteca、つまり、Manteca Manteca さんはスペインには7人いるとのこと。超肥満体形にふさわしい名前であるが、意外とやせていて、Delgado(やせ)さんに姓を変えたほうがよさそうな人もいるかもしれない。
 Manteca 姓は世界的にみると、絶対数でも人口比でもスペインに多い。脂肪たっぷりの富裕層はわざわざ海外に移民する必要がなかったのだろう。
Manteca 家には紋章もある。
 
 【“Plusesmas.com”より】
 剣がデザインされているが、脂肪を切る包丁というわけでもないだろう。
 Speck 家の紋章も探してみたが、見当たらなかった。“Speckemeier”(ドイツ)家のものならあったが。
 ところで、スペイン語には Delgado(やせ)という姓があるが、その対極にあるのが Speck というわけである。“Historia Apellidos”によると、Delgado のスペインでのランキングは34位で、42100位の Speck とは天と地ほどの違いである。
 昔の庶民は大体栄養状態が悪く、やせていた(Delgado)と思われるが、支配階級は栄養過多のでっぷり(Speck)だったことだろう。
 ところで、英語には speck という普通名詞がある。意味は「小さい点、少量」という意味で、食料が speck だと、Delgado(やせ)になってしまう。
 最近、日本語でも「スペック」(英 spec)というカタカナ語が使われるが、specification (仕様書)の省略形で、転じて「人間の能力」の意味で用いられている。
 本題のガルシア選手は肥満体形(Speck)ではないので、ひとまず安心だが、あとは野球選手としての能力(spec)を向上させて、今後の活躍につなげてもらいたいものである。

ポチッとクリック、お願いします。
↓↓↓
スペイン語 ブログランキングへ

スペイン語とともに考える英語のラテン語彙の世界 (開拓社言語・文化選書)
好評発売中!!こちらは、このブログとは別物です。もちろん、トリビア満載です。




キリシタン用語(18)天主

2018-05-06 15:58:50 | キリシタン用語
 平成30年(2018年)5月4日に、日本国政府は国連教育科学文化機関(ユネスコ)諮問機関の国際記念物遺跡会議(イコモス)が、「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」(長崎県、熊本県の12資産)を世界文化遺産に登録するよう勧告したと発表した。
 ここでは「潜伏キリシタン」という用語が使われているが、いわゆる「隠れキリシタン」のことである。
 「関連遺産」とは具体的には、「島原・天草一揆」の戦場になった「原城跡」や「大浦天主堂」などのことである。
 島原の乱の「原城跡」については「島原の乱と聖ヤコブ」でも触れているので、そちらをご覧いただきたい。
 今回のメインは「大浦天主堂」の「天主」である。実は、これは外来語である。ポルトガル語 Deus(英 God、西 Dios:ラテン語も Deus)から日本語になったキリシタン用語である。「ダイウス、デウス(泥烏須、提宇須、天有主)、天主」などと表記される(小学館『西和中辞典』)。
 「天にまします我らの父(主)」から「天主」になったのではなく、「デウス」という音が先にあり、それがこの祈りの言葉に結び付けられたものと考えるのが妥当だろう。
  さて、本来なら、キリシタン用語のトップは「天主」にすべきであったが、盲点であった。カトリックのことを「天主教」とも呼ぶが、「デウス教」がなまったものである。英語を使えば「ゴッド教」、完全に日本語にするなら、「神様教」といったところである。
 ところで、外国語の音に漢字を当てはめるのを音訳というが、代表例は「治具」(英 jig)、合羽(ポ capa:スペイン語も同形。 英 cape)である。「画廊」(gallery)、「簿記」(bookkeeping)、などもこれに当たるようなことをどこかで読んだ気がするが、出典がはっきりしない。
 どうも話があちこち飛ぶが、「天主」といえば「天守閣」を連想する。「天守(閣)」という語がもとになって「天主」という漢字が当てられたのかとも考えられる。そこで、ウィキペディア「天守」を調べてみたところ、「天守」の語源には意外にも「天主(ゼウス)を楼閣内に祀ったからというキリスト教思想に由来する説」もあるとのこと(注:「ゼウス」は「デウス」の誤り)。他にも諸説あるので、リンクを参照されたい。
 それにしても、「デウス」説はいかにも取ってつけたようで、にわかには信じがたい。

よろしくね
↓↓↓
スペイン語 ブログランキングへ

スペイン語とともに考える英語のラテン語彙の世界 (開拓社言語・文化選書)
好評発売中!!こちらは、このブログとは別物です。もちろん、トリビア満載です。



 



中日ドラゴンズのガルシア選手(1)個人名 Onelki

2018-05-05 21:31:14 | 名前
 前回、北海道日本ハムのアルシア選手の姓 Arcia(または Arcía)は García のバリエーションのひとつではないかという説を紹介したので、今回は中日ドラゴンズのガルシア選手を取り上げる。
 
 【ガルシア選手】
 ウィキペディア「オネルキ・ガルシア」によると、フルネームは「オネルキ・ガルシア・スペック」(Onelki García Speck)。キューバ出身である。
 個人名は Onelki、父の父姓が García、母の父姓が Speck である。
 まず、個人名の Onelki だが、こんな名前はこれまでに聞いたことがない。キューバ人メジャーリーガーには「ウラジミール」や「ユニエスキー」という個人名を持つ選手がいたので、ガルシア選手の個人名 Onelki もひょっとすると、ロシア語由来なのかもしれないと思ったが、現在のところ、まだ調べがついていない。ロシア人の名前に詳しい方がいらっしゃれば、ご教示願いたい。

ポチッとクリック、お願いします。
↓↓↓
スペイン語 ブログランキングへ

スペイン語とともに考える英語のラテン語彙の世界 (開拓社言語・文化選書)
好評発売中!!こちらは、このブログとは別物です。もちろん、トリビア満載です。



北海道日本ハムファイターズのアルシア選手(2)姓 Arcia

2018-05-04 20:25:25 | 名前
 
 【アルシア選手】
 北海道日本ハムファイターズのアルシア選手(ベネズエラ出身)のフルネームは Oswaldo Celestino Arcia。父の父姓が Arcia であるが、ウィキペディア「オズワルド・アルシア」によると、「アルシア」のほかに「アーシア」、「アルシーア」という表記もある。「アルシーア」が原音に近いのなら、Arcia ではなく、Arcía であろう。
 早速、“Historia Apellidos”に当たってみるが、見つからない。Arcía の前に G をつけた García ならヒットするのだが。
 “Ancestry.com”というサイトには以下のように簡単に記されていた。
  Spanish: probably variant of García (see Garcia).
 おそらく García のバリエーションの一つということだが、真偽のほどは定かではない。
My Heritage”という別のサイトには Arcia 姓の世界的な分布図が掲載されているが、やはりスペイン語圏に多い。ベネズエラが一番多く、Arcia 姓の32%を占めている。
 Arcia の意味もよくわからない。arcia (または arcía)という語も小学館『西和中辞典』には掲載されていなかった。
 というわけで、Arcia (または Arcía)はかなりマイナーな姓のようなので、当然、紋章も見つからなかった。
 今回は収穫が少なく、消化不良気味ですっきりしなかった。たまにはこういうこともある。
 
ポチッとクリック、お願いします。
↓↓↓
スペイン語 ブログランキングへ

スペイン語とともに考える英語のラテン語彙の世界 (開拓社言語・文化選書)
好評発売中!!こちらは、このブログとは別物です。もちろん、トリビア満載です。



Oswaldo, Donaldo, Ronaldo, Aldo, Arnaldo

2018-05-03 16:31:26 | 名前
 北海道日本ハムファイターズのアルシア選手の個人名の一つは Oswaldo(英 Oswald)だったが、-aldo で終わる名前には Donaldo(英 Donald), Ronaldo(英 Ronald), Aldo(英 Aldous) 等がある。
 
 【アルシア選手】
Donald はドナルド・ダックやトランプ大統領のファーストネームとしてお馴染みである。“Mi Sabueso”というサイトによると、この名前はケルト起源のようで、“valiente”(勇敢な:英 valiant)または“conductor de su pueblo”(村の指導者)という意味に解釈される。
 Ronald はレーガン大統領のファーストネームである。“Con Mis Hijos”というサイトによれば、この名前はゲルマン起源で、“gobernante glorioso”(栄光ある統治者)という意味とのこと。
 ちなみに Ronaldo はブラジルのポルトガル語では「ロナウド」と発音される。
 Aldo もゲルマン起源で“antiguo, viejo”(英 ancient, old)の意味とのこと(“El Significadode.net”このほかにも“Aquel de origen noble y poseedor de experiencia”、“Hombre noble y experimentado”(両者とも「高貴な出で、経験豊かな」の意)の意味があるらしい。
 “Con Mis Hijos”の Aldo の項には ald という語に由来し、意味は“crecido, viejo, mayor"(英 grown, old, major)ということである。
 Oswaldo はゲルマン起源の男子名で、「神聖な力によって統治する男」または「神の力によって統治する人」という意味であることは、前回述べた。
 これらの名前に共通するのは -aldo の部分である。
 ald が何語かわからないが、スコットランド語に auld という語がある。「蛍の光」の原題“Auld Lang Syne”の auld で、現代英語の old に相当する。
 英語の old に相当するスペイン語は viejo(ビエホ)だが、「老人」の意味の他に「男」(親しみや軽蔑の気持ちをこめて)という意味もある。
 ということで、Donald(o) 等に含まれる ald(o) は「男」の意味であろうと思っていた。ところが、Arnold という男子名のスペイン語形は Arnaldo である。スペイン語版ウィキペディア“Arnaldo”によると、これもゲルマン起源で、"arn"(águila, 鷲)と "wald"(fuerte、強い)からなり、「鷲のように強い」という意味になる。Arnaldo に含まれる -aldo は「男」ではなく、“strong”だった。
 ともかく、-aldo で終わる男子名はゲルマンなどの外国起源であり、個人的にもこのような名前を持つスペイン語圏の男性には知り合いはいない。
 アルシア選手の場合は、Juan, Jorge, José などの男子名はありきたりなので、ちょっと珍しい名前をつけようと親が思ったのだろう。

よろしくね
↓↓↓
スペイン語 ブログランキングへ

スペイン語とともに考える英語のラテン語彙の世界 (開拓社言語・文化選書)
好評発売中!!こちらは、このブログとは別物です。もちろん、トリビア満載です。




 
 

北海道日本ハムファイターズのアルシア選手(1)個人名 Oswaldo

2018-05-01 22:01:34 | 名前
 今回は北海道日本ハムファイターズのアルシア選手。
 
 フルネームはウィキペディア「オズワルド・アルシア」によると、「オズワルド・セレスティーノ・アルシア」(Oswaldo Celestino Arcia)。ベネズエラの出身である。
 個人名は Oswaldo Celestino で、姓は Arcia である。ラテンアメリカ出身なので、本来は「父の父姓+母の父姓」を名乗るのだが、母の父姓は省略したようである。
 2番目の個人名 Celestino については「横浜DeNAベイスターズのロペス選手」で扱っているので、そちらをご覧いただきたい。
 1番目の個人名 Oswaldo はスペイン語では「オズワルド」ではなく、「オスワルド」と発音される。Oswaldo の英語形は Oswald で、こちらは日本語では「オズワルド」と表記される。ケネディ大統領暗殺の犯人とされる「リー・ハーヴェイ・オズワルド」(Lee Harvey Oswald)の姓としてあまりにも有名である。Oswald は英語では姓としても使われているが、男子名としても使われる。ただ、ケネディ暗殺の犯人のイメージが強いので、最近は人気がないのではないかと推測する。
 Oswaldo という個人名を持つスペイン語圏の人物にはこれまでお目にかかったことがないが、ケネディ暗殺から半世紀も経っているので、ベネズエラの若い人たちの間ではもはやタブー(?)にはなっていないのだろう。
 さて、Oswaldo という名前の意味だが、“Significado de nombres”というサイトには次のように書かれている。

Oswaldo es un nombre masculino de origen germano. Es un nombre que se ha ido popularizando con el paso de los años. El significado de Oswaldo es el de ‘hombre que gobierna por el poder divino’ o ‘quien gobierna por el poder de Dios’.

 要約すると、Oswaldo はゲルマン起源の男子名で、「神聖な力によって統治する男」または「神の力によって統治する人」という意味である。
 アルシア選手もいざというときには神様が助けてくれるのだろう。

よろしくね
↓↓↓
スペイン語 ブログランキングへ

スペイン語とともに考える英語のラテン語彙の世界 (開拓社言語・文化選書)
好評発売中!!こちらは、このブログとは別物です。もちろん、トリビア満載です。