スパニッシュ・オデッセイ

スペイン語のトリビア
コスタリカ、メキシコ、ペルーのエピソード
パプア・ニューギニア、シンガポールのエピソード等

デノミ

2014-12-27 09:40:19 | ペルー
  1989年当時のペルーはハイパーインフレで、朝と夜では値段が違うという話があった。紙幣にはゼロがいくつもついていた。こうなると、小額の硬貨はとても使えない。事実、硬貨にはお目にかかったことがない。また、紙幣もぼろぼろのものも多く、日本ではとっくに廃棄処分されていそうなものも出回っていた。
 その後、再度、ゼロを3つとって、デノミを行い、単位もまた “sol”に戻し、現在に至っているようである。
 デノミというと、日本では、1ドルが100円ぐらいだったころはゼロを2つ取って、戦前のように、1ドル=1円にしようという案があったかと思う。
 ゼロを2つ取るというのは、日本(中国と韓国も)には「万」という単位があり、算用数字で表すと、1のあとにゼロが4つである。デノミ時にゼロを3つ取るより、2つのほうが計算しやすいかと思う。
 一方、「万」がないヨーロッパ語では、ゼロが3つで、ひとまとまりになる。英語でいえば、3ケタ取るデノミを行うと、“one thousand dollars”が“one dollar”になり、“thousand”がなくなるだけである。スペイン語でも事情は同様である。
【お知らせ:年末年始休暇に入ります。では、また来年。よいお年を!】

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ペルーの通貨単位

2014-12-26 11:08:47 | ペルー
 ペルーの海岸部は、特に冬の間は太陽を拝めない。夏でもカラッとは晴れない。標高が高くなってくると、太陽もはっきり見ることができる。インカ帝国の首都、クスコは標高3000メートルで、空気が薄いので、空の青が濃い。晴れの日は太陽もありがたく拝める。
 インカ帝国では太陽崇拝がされていたことは有名である。海岸部だったら、太陽崇拝が生まれたかどうか。そのペルーの現在の通貨単位は“sol”(ソル)で「太陽」の意味である。この形容詞形が“solar”で英語にもなっている。“sol”の複数形が“soles”(ソーレス)である。「太陽1個、2個・・・」といって、買い物しているわけである。
 1989年当時の通貨単位は“sol”ではなく、“inti”だった。デノミを行って、ゼロを3つか6つ、取った。9つではないと思う。そして、単位も“inti”に変更したわけである。この“inti”というのは、ペルーの先住民の言語の一つ、「ケチュア語」で、やはり「太陽」という意味だった。
また、ハイパーインフレになると、この次は、「ケチュア語」と並んでペルーで広く使用されている「アイマラ語」で「太陽」を表す言葉が通貨単位になるかもしれない。

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日本人の名前と同じ発音のスペイン語

2014-12-25 08:02:19 | スペイン語
  スペイン語は日本語と同じ発音で、意味の違う言葉も多い。日本語の固有名詞にも例が多い。スペイン語では当たり障りのない意味の場合はいいのだが、悪い意味の場合は困る。
 リマの警備会社“SHUGO”(守護)の営業マンは日系人の馬場さんだったが、“baba”はスペイン語では「よだれ」の意味である。たぶん、学校ではからかわれたことだろう。
 以下に、思いつくままに例を書いていこう。
宇野 uno 1
戸田 toda 全部(女性形)total と同根
酢谷 suya あなたのもの(女性形)
初対面で女性の酢谷さんが“Yo soy Suya”などと言おうものなら、いきなりブチューとキスされかねない。ほほにキスするのは普通だが。
真野 mano 手
佐野 sano 健康な
阿野 ano 英語では anus
天野 a mano 手で
浅田 asada 焼かれた(肉など) carne asada(焼肉)
伴田 banda 楽団(band)
阿部 ave 鳥
坂  saca 取り出す、(写真を)撮る
坂本 saca moto バイクを出す
須田 suda (3人称単数)汗をかく
須藤 sudo (私は)汗をかく
野田 no da 与えない(やらない、くれない)
三田 mitad 半分
瀬古 seco 乾燥している
北  quita 取り除く
加賀 caga “shit”する
足利 así caga そ(こ)のように“shit”する
森  morí (私は)死んだ
三笠 mi casa(私の家)、リマには「三笠」という高級日本食レストランがあった。
栗田 curita(バンドエイド)
ミカ mica メスざる
ミコ mico オスざる
ミオ mío 私のもの(男性形)
チコ chico 小さい、男の子
チカ chica 小さい(女性形)、女の子
キミコ químico 化学者(男性形)
ミチコ mi chico 私の男の子
ミサコ mi saco  私のジャケット
カナ  cana 白髪
タカコ tacaco 野菜の一種
ミナ  mina 鉱山(mine)
ヨシトモ yo sí tomo もちろん、僕も(酒を)飲むさ
加賀真理子 caga maricón 「おかまがshitする」に聞こえる。

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ペルーの日系人、日系企業の名前

2014-12-24 10:15:03 | ペルー
  ペルーはブラジルに次いで、日系人が多い国である。ブラジルは100万人以上で、突出しているが、ペルーには約8万人(1989年当時)いると言われていた。第2次世界大戦中はアメリカの収容所に送られた人たちもいて、大分苦労したらしい。
 それはともかく、ペルーには日本企業や日本食レストランも多い。よく目にした日本企業の看板は“DATSUN”と“SANYO”である。前者は「ダツン」と、後者は「サンジョ」と発音されていた。スペイン語の“y”は「ジャ」行で発音されることが多い。「ヤ」行でもいいのだが、その中間のような発音の場合もある。
 日系人は沖縄出身の人も多く、「金城」さんが経営する会社か何かの看板は“KINJYO”となっていた。「ジョ」はヘボン式では“jo”で、訓令式では“zyo”と表される。“jyo”はこれらが混淆したもので、厳密に言うと間違いになるが、元メジャーリーガーの新庄選手も日本では背番号の上に“SHINJYO”と表記されていたように思う。また、福井県のえちぜん鉄道には「本荘」という駅があるが、ローマ字では“HONJYO”と書かれている。
 スペイン語の表記法では“j”は「ハ」行の子音を表し、“y”は「ヤ」行または「ジャ」行の子音を表す。そうすると、“KINJO”では「キンホ」と読まれてしまう。ならば、“KINYO”でいいかというと、そうはならない。日本人をはじめ、その他の外国人は「キンヨ」または、「キニョ」と読むだろう。訓令式で“KINZYO”と書くと、ペルー人には「キンスジョ」と読まれてしまうだろう。というわけで、“KINJYO”が正解ということになるのだろう。

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ペルーの 「おじさん」

2014-12-23 10:31:09 | ペルー
 呼びかけの言葉もペルーにはメキシコやコスタリカにはない用法がある。見知らぬ男性に呼びかける時は、丁寧に“Señor”といえば無難であるし、これはどこでも通じる。
 日本語には「おじさん」という呼びかけ方もあるが、これはトルコ語にもあるらしい。コスタリカでは“tío”(uncle)を見知らぬ男性に対する呼びかけには使わなかった。メキシコでも聞いたことがない。ところが、ペルーには日本語の「おじさん」のような用法があるのである。“Tío”という呼びかけは筆者も実際に耳にしたことがある。ただし、筆者はこう呼びかけられたことはない。まだ30代だったこともあるし、日本人は外国人には年よりもずっと若く見られるということもある。
 ペルーの先住民の社会では親族以外の男性にも「おじさん」と呼びかけるのは普通なのだろう。ケチュア語とかアイマラ語で普通に使われている表現をスペイン語にも持ってきたのではないだろうか。
 ところで、日本語では「おばさん」、「おにいさん」、「おねえさん」のように親族名称を見知らぬ人に対する呼びかけに用いるが、ペルーでは“tío”以外の親族名称による呼びかけは聞いたことがないが、“tía” 「おばさん」という呼びかけはありそうである。

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2人称の親称 ‐ フランス映画の一場面

2014-12-22 10:48:53 | トリビア
  スペイン語に限らず、親しくなったら、2人称は親称を使いたくなるものらしい。ところが、筆者の場合、コスタリカ仕込みなので、2人称単数は usted 一本である。ということで、親しくなっても、tú や vos に切り替えてくれない方がありがたいのである。
 昔見たフランス映画で、男女がしばらく見つめあったあとで、女が男に向かって“Toi”という場面があった。字幕は「愛してるわ」だったかと思う。
 それまでは vous で話していたのが、tu (toi は tu の強勢形)に切り替わった瞬間である。toi を「君」、「お前」、「あなた」などと直訳したのでは、日本語としては適切ではない。「愛してるわ」と意訳するのがプロの字幕翻訳家というものである。

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2人称の切り替え

2014-12-21 09:18:21 | スペイン語
  コスタリカでは2人称の代名詞は、いつでもどこでも usted を使っていれば問題ない。赴任当初、通っていたスペイン語学校の教師はusted で話していたが、親しくなってからは vos で話しかけられたこともある。活用形はわかるが、こちらは常に usted を使っているので、vos に切り替えるモードにならない。vos と usted では動詞の活用形が違うので、余分なエネルギーを必要とする。というわけで、vos で話しかけられても、usted で答えるのであった。
 ペルーでは立場上、tú で話しかけられることはなかった(たぶん)ので、2人称の代名詞で困ることはなかった。いつも usted であった。
 ところが、メキシコでは tú を使いたがるようなのである。大家さんは最初だけは usted だったような気がするが、いつの間にか tú で話されるようになった。tú に対する動詞の活用形は usted の活用形の語末に s ([s]音)を付け加えるだけでよい(ただし、直説法点過去と命令法を除く)。そう難しくないのだが、いつも usted を使っていたので、つい s をつけるのを忘れるのである。
 ただ、音節末(当然、語末も)の[s]音が気音化または消失する地域もあり、そんな地域では、[s]音 のつけ忘れが全く問題にならない。コスタリカ、メキシコ、ペルーの3国では[s]音はちゃんと発音されていたが。[s]音の気音化または消失については、別の機会に譲る。

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2人称の敬称(続)

2014-12-20 14:33:58 | トリビア
 前回紹介したヨーロッパの主な言語では、敬意を表すのに、2人称複数にするタイプと3人称単数にするタイプに分類できる。
 複数形にして相手を大きくする(見せる)ことで敬意を表す方法が一つ。もう一つは直接話しかけるのではなく、距離を置いた話し方をすることで敬意を表す方法である。ドイツ語は3人称複数で、最大限の敬意を表しているようである。
 ところで、日本語の「あなた」も本来は3人称である。「こそあど」体系を思い出すだけで十分だろう。かつては貴族が自分のことを「こなた」と呼んでいたようである(ただし、「私」の意味になることもあったようだ)。「そなた」や「そち」は時代劇でもよく耳にする。そういうわけで、「あなた」は「貴様」や「お前」と同様、本来敬語だったのだろうが、今では使い方に気を付けなければならない言葉になってしまった。かつては、妻が夫を「あなた、今晩何時におかえりになります?」と言っていたようだ(実際には一度も身近で聞いたことはない)が、今ではサザエさんのお宅ぐらいしかないのではあるまいか。 

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主なヨーロッパの言語の2人称の敬称

2014-12-19 13:45:47 | スペイン語
  主なヨーロッパの言語の2人称の敬称についてまとめてみると、次のようになる。カッコ内は文法上の扱い。
 フランス語 :vous  (2人称複数) 2人称親称 tu
イタリア語 :Lei (3人称単数) 2人称親称 tu
 スペイン語 :usted (3人称単数) 2人称親称 tú
 ポルトガル語:vós (2人称複数)  2人称親称 tu、 você (3人称単数)
ポルトガル語の vós の用法はフランス語と同じである(vosと書くと、目的格になる)。ただし、ブラジルでは親称ではない、単なる2人称複数の vós の代わりに、vocês を使うのが普通とのこと(手元のポルトガル語辞典)。
 você は vossa mercê (スペイン語の vuestra merced に対応)からできた語で、語源的には usted に対応するが、現在のブラジルでは tu の代わりの親称になっていて、敬意はない。敬意を込めるには o Senhor(女性には a Senhora)‐それぞれ el Señor, la Señora に対応する‐というが、スペイン語にはこのような用法はない。    
ドイツ語  :Sie (3人称複数) 2人称親称 du
 英語    :you (2人称複数) 2人称親称 thou (現在は文語)
 英語の you は本来は複数形である。王侯貴族が自分のことを複数形の we (royal we といって、現在でも英国王が使っている。「朕」というような語感か)というのに対して、臣下がそれに呼応して複数形で答えたのが由来らしい。  
 
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usted, Vd., Ud.

2014-12-18 07:55:44 | スペイン語
 現在のスペイン語の2人称単数の敬称は usted であるが、Vd. または、Ud. と書かれることもある。動詞の活用形は3人称単数形を取る。どうして3人称の活用形を取るかというと、usted は vuestra merced (英語への逐語訳は your mercy)から変化したもので、代名詞にすると ella になる。ということで、3人称単数になるのである。そういえば、英語で「陛下」と呼びかけるとき、your majesty というが、同じようなものだろうか。
さて、usted を略して、Vd.と書くか、Ud. と書くかだが、かつてはU と V の区別はなかった。W の文字の呼び方を考えてみるといい。
 英語:ダブリュ double U
 フランス語:ドゥブルヴェ double V
スペイン語:ウベ・ドブレ V doble
V の文字は子音の位置に来たら[v]で発音され、母音の位置に来たら[u]で発音されていたのである。vuestra を意識すれば、Vd. 、発音を重視すれば、Ud. というところだろうか。

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コスタリカで vosotros に対応する動詞の活用形を使われた!

2014-12-17 12:30:14 | スペイン語
 vos と vosotros に関連した話である。筆者が下宿していた家で世話になったおばあさんからかつてこのように言われたことがある。
 ¿Qué queréis?(英語では“What do you want?”「何の用だ」といったところ。怪しげな人に対して使うのが一般的だが、この場合は、親しみを表しているものと解釈した)
普通は usted を使って“Qué quire?”か、または、vos を主語にして“Qué querés? ”というところであるが、何と vosotros の活用形を使われたのである(当時はまだ脳も耳もはっきりしていたはずである。普段の生活の何気ない一コマだったが、強烈な印象として残っている)。vosotros は使わないはずではなかったのか。vos が単数にも複数にも使われていたころの名残だったのだろうか。 

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vos に対する動詞の活用形

2014-12-16 08:18:45 | スペイン語
 今回は一般には、あまり紹介されない、vos に対応する動詞の活用形について述べる。
 vosotros の活用形と同様ではないかと類推されるが、ほとんど同様といっていい。vosotros の活用語尾から i を取るだけでいいのである。
 例:ser (英語の be に相当)
直説法現在
   vosotros sois : vos sos : tú eres
直説法点過去
   vosotros fuisteis : vos fuistes :tú fuiste
直説法線過去
   vosotros erais : vos eras : tú eras
直説法未来
   vosotros seráis : vos serás : tú serás
接続法や条件法についても同様である。
 それでは、vos の所有格はどうか。vosotros の場合は vuestro (vuestra)であるが、コスタリカでは tu (主格は tú) で代用していた。vosotros の目的格は os だったが、vos の目的格は、コスタリカではtú の目的格 te を使っていた。

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vos と vosotros

2014-12-15 11:45:04 | スペイン語
 vos は vosotros に形が似ている。それもそのはずで、実は vosotros という語は vos がもとになってできた言葉である。
 本来 vos はフランス語の vous と同様、2人称の敬称として、単数にも複数にも使われていたそうだ(手元の西和中辞典による)。そうすると、単数か、複数かちょっと紛らわしい。
 そこで、複数を表すために vos のあとに otros (「他の人たち」、英語の others、フランス語の autres に相当)をつけて、vosotros という言葉ができたとのこと(『スペイン語史』、寺崎英樹、大学書林、2011, p. 152)。そして、vos は単数専用となった。
 コスタリカでは tú はきつく感じられるので、一般的には使われない、その代わりに vos が使われる、と以前紹介したが、vos がそもそも敬称であったことを考えると、その理由は納得できる。ただ、現在では、敬称ではなく親称になっている。日本語の「貴様」や「お前」がたどった歴史をほうふつさせる。
  tú について言えば、スペイン語の古典期までは親称と敬称の区別はなかったとのこと(手元の辞書)で、2人称単数の代名詞はもともと tú 一本だったようだ。
 ちなみに、「私たち」を表す nosotros という語も、vosotros からの影響でできたらしい。本来は単に nos と言っていたようだ(現在のスペイン語では nos は nosotros の目的格)。  

 vos が vosotros に取って代わられたのは15世紀のことだが、15世紀末にもまだ、vos, nos の形が使用されていたとのこと。
 スペインから征服者たちが新大陸に向かうのは16世紀の初めからだが、征服者たちは依然として vosotros ではなく、vos の形を使用していたのだろう。 
 こう考えると、なぜラテンアメリカで vosotros が使われないのか、また、一般にはスペインでは使われない(どこかでまだ使われているのだろうか) vos が使われているのか、説明がつく。

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ラテンアメリカのスペイン語 vos

2014-12-12 13:59:49 | スペイン語
 スペイン語の初級では親しい相手には tú で、親しくない場合や目上の人には usted を使って話す、ということになっている。
 スペインやメキシコではそのとおりだろう。ペルーでは立場上からだろうか、あまり tú で話されたことはない。
 ところが、コスタリカでは tú が使われないのである。その代わりに、vos という言葉が使われる。vos が使われる地域はコスタリカだけではない。以下に tú の代わりに vos が使われる地域を示す。 
 
【『西和中辞典』(小学館)より。チリでは vos は上・中流層以外で使われるという説明があるが、上・中流層では tú を使うということだろうか。】
 コスタリカでは tú はかなりきつく感じられるようである。vos はそうでもないらしい。ただし、女房殿が子供のころ一度父親に対して vos を使ったところ、こっぴどく叱られたそうである。やはり、目上の人間には使えないようだ。というわけで、コスタリカではいつでもどこでも usted を使っていれば安心である。家族間でも usted を使うのが普通である。
 ところで、コスタリカのテレビ番組でメキシコ製のドラマ(多くはメロドラマ)が放映されるが、当然、親しい間柄では tú である。その影響からか、最近では、コスタリカでも tú を使う若者が出てきたそうである。 

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ペルーのスペイン語(2)“vosotros”は使わないはずでは?

2014-12-11 08:02:56 | ペルー
 スペインでは普通に使われている、2人称複数代名詞“vosotros”はラテンアメリカでは使われない。スペインでは、“vosotros”は親しい間柄で使われるので、丁寧に「あなたがた」と言う時は“ustedes”(動詞の活用形は3人称複数形を取る)を用いる。ラテンアメリカでは、どんな時でも“ustedes”で“vosotros”は用いない、と教わった。実際、コスタリカではそのとおりだった。ペルーの後、メキシコへ行くのだが、やはり見たり、聞いたりした覚えはない。
 ところがである。リマに到着した時は真夜中で、街の標識はよく見えなかったので、すぐには気が付かなかったが、昼リマ郊外から、リマに戻るとき、このような標識を目にしたのである。
 “La Ciudad de Lima Os Da la Bienvenida”
(リマ市は君たちを歓迎する。英語の逐語訳は“The city of Lima gives you welcome”)
 ポイントは“os”で、これは“vosotros”の目的格である。これを見たときは、ちょっとショックだった。ラテンアメリカでは“vosotros”を使わないはずではなかったのか。ただ、“os”を見たのはこの時だけだったと思う。会話では“vosotros”も“os”も聞いたことはない。
 ペルーでは書き言葉に“vosotros”が残っているのか、それとも、あの標識だけが例外で、仰々しい印象、または古風な印象を狙ったのだろうか。はたまた、植民地時代にスペイン人の支配者が書いた(書かせた)標識の文言を代々受け継いでいるのだろうか。

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