スパニッシュ・オデッセイ

スペイン語のトリビア
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パプア・ニューギニア、シンガポールのエピソード等

福岡ソフトバンク・ホークスのミランダ投手(4)母の父姓 Gil

2019-09-30 19:57:57 | 名前
  
 福岡ソフトバンクホークスのミランダ(Ariel Miranda Gil)投手の母の父姓が Gil である。ウィキペディア「アリエル・ミランダ」によると、カタカナ表記のフルネームは「アリエル・ミランダ・ギル」となっているが、“Gil”はスペイン語読みでは「ヒル」である。スペイン語をろくに知らないアメリカ人は“Gil”を“Gilbert”の愛称、“Gil”と思ってしまうのだろう。確かに、“Gilbert”(ギルバート)が短くなれば、“Gil”(ギル)である。ジャズが好きな人は「ギル」というと、アレンジャーとして有名な「ギル・エヴァンス」(Gil Evans)である。この「ギル」はてっきり、「ギルバート」の「ギル」だと思っていたが、「ギルモア」(Gilmore)だった。ウィキペディア“Gil (given name)”には“Gil”は“Gilbert”の愛称(diminutive)と書かれている。
 さて、“Gil”姓のスペインでのランキングは第26位(“Historia Apellidos españa”による)。かなりメジャーな姓である。世界的な分布を見ると、絶対数でも人口比でもスペインが第1位で、約14万9千人。2位はベネズエラで、約9万5千人(“Forebears”)。“Rodríguez”や“Martínez”など、超メジャーな姓を持つ人はスペインよりもラテンアメリカの方が多くなっているのに対し、“Gil”姓はスペインの方に多い。これはどう考えるべきだろうか。一つ考えられることは“Gil”家はいわば名家でラテンアメリカに移住する人はそう多くなかったのではなかろうか。
  “Mi Sabueso”によると、“Gil”姓は古くからある由緒正しい姓で、祖先は貴族に連なるらしい。
 “CANAL DE HERÁLDICA”によると、“Gil”は低ラテン語(latín bajo)“Aegidius”(“el elegido”「選ばれた」、“el defendido”「守られた」、“el que está bajo bajo de la égida”「庇護の下にある」の意)に由来する“Egidio”という個人名がもとになっているとのことである。 
 ミランダ投手は神様の庇護の下、ホークスをしっかり守ってほしいものである。
 紋章も以下のようにいろいろな種類がある。
  
  

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福岡ソフトバンク・ホークスのミランダ投手(3 )父の父姓 Miranda その2

2019-09-28 18:02:02 | 名前
 
 福岡ソフトバンク・ホークスのミランダ(Ariel Miranda Gil)投手の父の父姓が“Miranda”であるが、実は、“Miranda”は女子名にもなる。“Con mis hijos”によると、この名前はラテン語“mirandus”に由来するとのことである。意味は“asombrosa, sorprendente, prodigiosa”(驚くべき、すばらしい)である。
 ミランダ投手のフルネーム“Ariel Miranda Gil”は“Ariel Miranda”が女子名で、“Gil”が父の父姓で、母の父姓が省略されているようにも見える。実際、“Miranda”はシェークスピアの“Tempest”(あらし)に登場する女性の名前としても使われている。
 
 【ファーディナンドとミランダ(第5幕)(画)Edward Reginald Frampton】
 元ミラノ大公のプロスペロー(Prospero、西 Próspero 英 prosperous「繁栄した」の関連語)の娘の名前が“Miranda”なのである。元ミラノ大公プロスペローの手下であった妖精が“Ariel”である(詳しくはウィキペディア「テンペスト(シェークスピア)」参照)。劇では“Prospero”を通して、“Ariel”と“Miranda”がつながっているわけで、ソフトバンクホークスのミランダ投手もミドルネームに“Próspero”を入れると、シェークスピアもびっくりの名前になるわけである。嵐を呼ぶ男、“Ariel Próspero Miranda (Gil)”!!
 

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福岡ソフトバンク・ホークスのミランダ投手(2)父の父姓 Miranda 

2019-09-27 18:14:56 | 名前
 
 福岡ソフトバンク・ホークスのミランダ(Ariel Miranda Gil)投手の父の父姓が“Miranda”である。
 “Miranda”姓のスペインでのランキングは第146位(“Historia Apellidos españa”による)。“Forebears”によると、“Miranda”姓を持つ人は世界中で約166万人いる。絶対数1位はブラジルで約43万人。人口比1位はパナマである。この姓はスペインやポルトガルにある“Miranda”(“admired place”の意だとか)に由来するとのことだが、スペイン語版ウィキペディア“Miranda (apellido)”によると、スペインのアストゥリアス(Asturias)が起源と記されている。
 
 【赤く塗られたところがアストゥリアス州。ウィキペディア「アストゥリアス州」より】
 “Miranda”とは“admired place”(すばらしい場所)ということだが、英語“admire”のスペイン語形は“admirar”である。これは動詞“mirar”(見る)の派生語である。「見る」とは言っても、「注意して見る」わけで、英語の“watch”や“look”に相当する。「ぼんやり見る」、または「見える」は“ver”で、これは英語の“see”に相当する。
 スペイン語の“mirar”はラテン語“mirari”(驚嘆する)が語源である(小学館『西和中辞典』)。というわけで、“Miranda”は「驚嘆すべき場所」ということなのだろう。
 ちなみに、動詞“mirar”の現在分詞形は“mirando”である。“Miranda”は一見、“mirando”の女性形のように見えるが、現在分詞は過去分詞と違って、女性形はない。
 “Miranda”姓はブラジルに多いということだが、“Miranda”と聞くと、ブラジルの歌手で一世を風靡した“Carmen Miranda”を連想する。強烈なポルトガル語訛りの英語の歌が印象的であった。

 【Carmen Miranda】
 紋章は以下の3種が一般的なもののようである。
  
 

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福岡ソフトバンク・ホークスのミランダ投手(1)個人名 Ariel

2019-09-26 17:52:16 | 名前
 今回は福岡ソフトバンク・ホークスのミランダ投手。キューバ出身である。横浜DeNAベイスターズの中南米出身選手はベネズエラ人が多かったが、ソフトバンクはデスパイネ、グラシアル、モイネロ選手など、ほとんどキューバ出身者である。ただ一人スアレス投手がベネズエラ出身である。
 さて、ウィキペディア「アリエル・ミランダ」によると、フルネームは「アリエル・ミランダ・ギル」(Ariel Miranda Gil)とある。
 
 “Ariel”が個人名、“Miranda”が父の父姓、“Gil”が母の父姓である。
 まずは、個人名の“Ariel”から。検索サイトに「アリエル」と入力すると、まず出てくるのは「リトル・マーメイド」の人魚姫「アリエル」である。
  人魚姫「アリエル」は英語では“Ariel”である。“Ariel”というタイトルのSF小説もあるようだ。洗剤に「アリエール」というのがあるので、これも調べてみたら、これはアメリカのP&G社の製品で、“Ariel”とつづることがわかった(ウィキペディア「アリエール(洗剤)」参照」。
 「英辞郎on the WEB」には“ariel”には「アラビアガゼル」という意味もあることがわかった。
 
 【アラビアガゼル】
 “fregata ariel”は鳥の名前で「コグンカンドリ(小軍艦鳥)」と訳される。
 
 【コグンカンドリ】
 天王星の第一衛星の名前も“Ariel”である。
 イスラエルの首相も務めたシャロンの個人名も“Ariel”である。
 
 【アリエル・シャロン
 さらに調べていくと、“weblio 英和辞典”には、研究社 新英和中辞典の“Ariel”の項が紹介されていることがわかった。
 発音はカタカナ表記では「エーリエル」。《空気の精; Shakespeare の「あらし」に出てくる》とのこと。
 「あらし」と訳されているが、原題は“Tempest”である。早速、ウィキペディア「テンペスト(シェイクスピア)」を調べてみる。
 ナポリ王アロンゾー、ミラノ大公アントーニオなどのイタリア名前の登場人物が多い。エアリエルは妖精で、女性のようである。
 
 【プロスペローとエアリエル(画)ウィリアム・ハミルトン】
 天王星の第一衛星の“Ariel”はシェークスピアの「あらし」に登場する空気の精“Ariel”に由来するものではなかろうか。
 ところで、天使の名前には語尾に“-el”(「神」の意)がつくものが多い。ウィキペディア「天使の一覧」を調べてみたが、「アリエル」は見つからなかった。ありそうな気がしたのだが。「アリエル」に一番近いのは「ミカエル」、「ガブリエル」、「ラファエル」と並ぶ四大天使の一人「ウリエル」(Uriel)だった。
 “Ariel”という名前は「Reichsarchiv~世界帝王事典~」にも掲載されていない。いったいどこからミランダ投手の個人名として“Ariel”が選ばれたのであろうか。
 「リトル・マーメイド」が公開されたのは1989年11月。ミランダ投手は1989年1月生まれなので、「リトル・マーメイド」から“Ariel”の名をいただいたということはありえない。まさか、洗剤の名前から取ったとも考えにくい。
 四大天使のうちの3人、「ミカエル」、「ガブリエル」、「ラファエル」はスペイン語では“Miguel”、“Gabriel”、“Rafael”になり、一般的な男子名になっている。しかしながら、「ウリエル」(Uriel)は聞いたことがない。「Reichsarchiv~世界帝王事典~」にも掲載されていない。ひょっとして、“Ariel”は“Uriel”から作られたのだろうか。それとも、親が天使の名前をつけるつもりが、間違って覚えていたのだろうか。
 はたまた、親がインテリで、シェークスピアのファンだったのだろうか。
 アラビアガゼルはキューバ人にはあまり縁がなさそうだし、ましてやイスラエルのタカ派政治家と言われたシャロン元首相の個人名にちなむものとも考えにくい。「コグンカンドリ」がキューバ人にもなじみのあるものだったら、この線が有力かもしれない。とにかく、最近のキューバ人の個人名には新奇なものが多い。

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横浜DeNAベイスターズのエスコバー投手(3)母の父姓 Hernandez

2019-09-25 18:02:49 | 名前
 横浜DeNAベイスターズのエスコバー投手(Edwin Jose Escobar Hernandez)の母の父姓は“Hernandez”である。アクセント記号が取れてしまっているが、本来なら“Hernández”となるはずである。現に小学館『西和中辞典』にはアクセント記号つきの“Hernández”しか記載がない。
 
 まずは“Forebears”でアクセント記号なしの“Hernandez”で検索する。これは世界で54番目に多い姓で、絶対数でも人口比でもメキシコがトップである(絶対数は約487万人)。エスコバー投手の出身地ベネズエラは第4位で、53万人以上いる。
  次にアクセント記号つきの“Hernández”で検索。何と世界ランキングでは14653位に転落する。絶対数1位はメキシコで17000人強、人口比1位はプエルト・リコである。ベネズエラは第6位で、1200人弱。
 何で本来の“Hernández”より“Hernandez”の方が多いかというと、教育が十分ではない人にとってはアクセント記号はどうでもいいからだろう。役所でも訂正しないで、そのまま受け付けたのではないか。
 さて、“-ez”で終わる姓は「だれそれの息子」という意味なので、“Hernández”は“Hernán”または“Hernando”の息子ということである。今では“Hernando (Hernán)”という個人名は珍しくはないが、“Hernández”はどこにでもいる“Hernando (Hernán)”の息子ではなく、王様の“Hernando”の息子がそもそもの由来らしい(スペイン語版ウィキペディア“Hernández (apellido)”)。
 “Hernando”の名前の意味については“bold voyager”(大胆な旅人)という説がある(“Forebears”)。
紋章はいろいろあった。
  
  

 ところで、メジャーリーグ、マリナーズの“Hernández”投手は「ヘルナンデス」と表記されているが、スペイン語を知らないアメリカ人はこう読むのだろう。エスコバー投手はちゃんと「エルナンデス」となっているのだが、メジャーリーグで活躍していたら、母の父姓は「ヘルナンデス」となっていたかもしれない。“Hernando”も同様に、「ヘルナンド」ではなく、「エルナンド」が正しい。
 しかしながら、Archie Bleyer のヒット曲“Hernando's Hideway”はカタカナ表記では「ヘルナンドズ・ハイダウェイ」として定着してしまっているので、なかなかこれを覆すのは難しい。

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横浜DeNAベイスターズのエスコバー投手(2)父の父姓 Escobar

2019-09-24 16:39:37 | 名前
 横浜DeNAベイスターズのエスコバー投手(Edwin Jose Escobar Hernandez)の父の父姓が“Escobar”である。カタカナ表記では「エスコバー」となっているが、これは英語読みで、スペイン語読みは「エスコバール」である。“Escobar”は元読売ジャイアンツのサンチェ投手の父の父姓である。これについては「元読売ジャイアンツのサンチェ選手(2)父の父姓 Escobar」で紹介しているので、そちらをご覧いただきたい。
 今回は“Forebears”にも当たってみる。絶対数1位のメキシコには“Escobar”さんが約14万人いるのに対し、エスコバー投手の出身地ベネズエラは絶対数第8位の約4万1千人である。さらに、“Escobar”姓の由来についても次のように書かれていた。

 A topographic name from a collective form of escoba, meaning 'broom' (from the late Latin, scopa), or a habitational name from either of two minor places in Santander province called Escobedo.

 要約すると、「箒」説とスペイン北部のカンタブリア州の州都サンタンデール(Santander)にある“Escobedo”由来説の2つがある。
 紋章は以下のとおりだが、やはり「箒」(escoba)がデザインされていた。
 
 エスコバー投手はリリーフとして起用されているが、箒でさっさと掃除するように、任されたイニングを三者凡退等のパーフェクトリリーフで抑えてほしいものである。

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横浜DeNAベイスターズのエスコバー投手(1)個人名 José Edwin

2019-09-23 17:21:43 | 名前
 横浜DeNAベイスターズにはベネズエラ出身の選手が多い。ロペス選手、バリオス投手、そしてラミレス監督もすでに紹介している。かつて在籍していたモスコーソ投手もベネズエラ出身である。今回は日本プロ野球における左投手の球速の最速記録(160km/h)保持者であるエスコバー投手に登場願う。
 ウィキペディア「エドウィン・エスコバー」によると、フルネームは「エドウィン・ホセ・エスコバー・エルナンデス」(Edwin Jose Escobar Hernandez)。もちろん、ベネズエラ出身である。
 
 個人名は“Edwin Jose”だが、“Jose”は“José”のはずである。母の父姓の“Hernandez”もやはりアクセント記号が必要で、“Hernández”でなければならない。
 個人名の一つ“José”は英語では“Joseph”に相当する、ごく一般的な男子名であることはすでに述べているが、名前の意味については触れていなかった。スペイン語版ウィキペディア“José”によると、"Dios añadirá"「神が付け加える(増やす)であろう」という意味とのこと。これだけでは何のことかよくわからないが、“Con mis hijos”(英:with my sons)によると、「神が私に息子をもう一人くださるだろう」という意味だとのこと。
 もう一つの個人名“Edwin”はもともとは英語名である。これに対応するスペイン語形は見当たらない。そもそも、スペイン語では“w”は外来語以外には使われない。
 “Edwin”は英語起源ではあっても、結構スペイン語圏でも使われる男子名である。スペイン語版ウィキペディアにも“Edwin”という項目がある。それによると、“Edwin”という名前の意味は古英語で"bendito amigo" (祝福された友人)だそうである。
 “Edwin”をスペイン語風にすると、“Edwino(または Edvino)”になるとのことだが、筆者にはそんな名前を持つ知り合いはいない。さらに、“Edvin”、“Esvin”、“Edvins”という形もあるそうだ。女性形は“Edwina”ということになっている。
 それはともかく、ベネズエラ出身のラミレス監督の采配が光り、ロペス選手が決勝打を放ち、エスコバー投手が勝利投手になり、バリオス投手がセーブをあげるという展開になると、エスコバー投手は個人名“Edwin”のとおり、友人たちに祝福されるということになるわけだ。
 

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横浜DeNAベイスターズのバリオス投手(2)姓 Barrios Castillo

2019-09-22 17:44:24 | 名前

 横浜DeNAベイスターズのバリオス投手(Edison Ernesto Barrios Castillo)の母の父姓は“Castillo”だが、これについては「西武ライオンズのカスティーヨ選手(2)姓 Castillo」ですでに述べているので、そちらをご覧いただきたい。
 父の父姓が“Barrios”である。“Historia Apellidos españa”によると、スペインでのランキングは第320位。珍しい姓ではない。“Forebears”によると、絶対数1位はベネズエラの約97,000人で、人口比1位はグアテマラである。
 “Barrios”は普通名詞“barrio”(地域)の複数形である。この言葉はアラビア語“barri”(郊外の)が語源である。コロンビアでは「売春街」という意味にもなる(小学館『西和中辞典』より)。バリオス投手はコロンビアではなく、ベネズエラの出身なので、姓をいじられることはないだろう。
 “barrio”はアメリカ南西部の英語では「ヒスパニックの居住地」の意味で借用されているとのこと(小学館『西和中辞典』より)。
 “Barrios”はカタカナ表記では「バリオス」だが、“rr”のところは舌先を歯茎で何度も弾いて震わせる音である。あえてカタカナ表記すれば、「ルルルルル」だろうか。この音はジェイとアメリカンズのヒット曲“Come A Little Bit Closer”の1分45秒あたりで聞くことができる。他には「ライオンは寝ている」のトーケンズの何かの曲でも聞ける。
 さて、「バリオス」とカタカナ表記だと、“varios”かと思ってしまう。これを英語形にすると、“various”となる。
 バリオス投手は豪速球投手というわけではなく、むしろ技巧派と言っていい。スライダー、カーブ、チェンジアップ、フォークボール、カットボールのほかにナックルカーブなど、いろんな(varios)球種を投げる投手である(ウィキペディア「エディソン・バリオス」参照)。
 Barios 家の紋章については以下のものが一般的なようである。

  
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横浜DeNAベイスターズのバリオス投手(1)個人名 Edison Ernesto

2019-09-21 17:37:22 | 名前
  今回は横浜DeNAベイスターズのバリオス投手。ウィキペディア「エディソン・バリオス」によると、フルネームは「エディソン・エルネスト・バリオス・カスティーヨ」(Edison Ernesto Barrios Castillo)。ベネズエラ出身である。
 
 個人名は“Edison Ernesto”、父の父姓が“Barrios”で、母の父姓が“Castillo”である。
 まずは、個人名の“Edison Ernesto”から。
 “Ernesto”については、「西武ライオンズのメヒア選手(1)個人名 Ernesto」で触れているので、そちらをご覧いただきたい。
 もう一つの個人名“Edison”はかの有名な発明家「トマス・エジソン」(Thomas Edison)の姓である。エジソンのような立派な人間になってほしいという願いを込めてつけられた名前だろう。姓を個人名として使う例はスペイン語圏に限らず、英語圏にもある。たとえば、“George Washington”の姓をいただいた Irving 家の息子の名前が“Washington Irvin”である。後に作家として有名になった。この“Washington Irving”の姓“Irving”が個人名として使われているのが、“Irving Berlin”である。ジョージ・ガーシュインが「アメリカのシューベルト」と呼んだ作曲家である。
 “Edison”は「“Eddy(Edward の愛称)”の息子(son)」という意味である。“Edward”のスペイン語形は“Eduardo”で、その息子を表す“-ez”をつけると“Eduárdez”というスペイン語形ができそうなものであるが、聞いたことがない。念のために“Forebears”に当たってみたら、何とヒットした。ただし、アクセント記号なしの“Eduardez”だったが。それにしても世界に29人しかいない超レアな姓である。27人がエクアドルに、2人がスペインにいるだけであった。
  “Edison”の読み方だが、英語では「エディスン」のように発音されるが、スペイン語では「エディソン」になる。スペイン語らしく発音すると、アクセントは最後の「ソン」に来るはずであるが、バリオス投手の場合はどうだろうか。

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読売ジャイアンツのアダメス投手(2)姓 Adames

2019-09-20 18:09:22 | 名前

 読売ジャイアンツのアダメス投手(Samuel Adames)の姓「アダメス」(Adames)は最初、つい「アメダス」と読み間違えそうになったが、そんな方も多いのではなかろうか。
 それはともかく、まずは“Historia Apellidos españa”に当たってみる。スペインでのランキングは第9042位。珍名ではなくてもかなり少ない。世界的な分布では、絶対数でも人口比でもトップはドミニカ共和国である(“Forebears”)。ドミニカ共和国には19000人弱いる。ドミニカ共和国では第101位の姓である。スペインの Adames さんは487人なので、スペイン発祥の姓ではなさそうなことがわかる。 
 “INSTITUTO DOMINICANO DE GENEALOGÍA, INC.”に掲載された書名記事“APELLIDOS FRANCESES EN LA COMARCA DE SAN CRISTÓBAL”(サン・クリストバル地方におけるフランス姓)に Adames 姓が載っていることは「読売ジャイアンツのデラロサ投手(4)母の父姓 Corporan」で紹介済みである。
 “Adames”の意味だが、予想どおり、“Adam”(西 Adán)に由来している。「アダムの息子」の意味であった。Adames の関連性に Addis, Adcock, Atkins, Atkinson, Addyman, Adams などがある。
「アダメス」“Adames”のアクセントだが、このままではアクセントは「ダ」の上に来る。日本のテレビではアクセントは語頭の「ア」に置かれているようであるが、そうなると、“Ádames”とアクセント記号をつけなければならない。しかしながら、アクセントが大文字につく場合、省略されることがままあるので、正確なアクセントは本人に聞いてみるしかない。
 最後に“Adán”について述べる。
 “ir en el traje de Adán”という熟語がある。「アダムの衣装で行く」というのが直訳だが、「裸でいる」という意味になる。
“Adán”のイタリア語形は“Adamo”で(「Reichsarchiv~世界帝王事典」)、「アダモ」というと、日本では越路吹雪で有名な「サン・トワ・マミー」を連想する。この曲はアダモ(Salvatore Adamo)自身の作詞・作曲で、もちろん彼自身も歌っている。
 “Adán”はポルトガル語では“Adão”というが、これがキリシタン用語「アダン」になった(小学館『西和中辞典』)。
  スペイン語には“Adán”から“adán”という普通名詞も派生している。「無精者、(身なりの)だらしない人、怠け者」という意味であるが、英語ではどうなのだろうか。
 “Adames”投手は、写真で見る限りでは“adán”ではないようだが。
  
 【Adames 家の紋章2種】

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読売ジャイアンツのアダメス投手(1)個人名 Samuel

2019-09-19 17:18:29 | 名前
 今回は読売ジャイアンツのアダメス投手。ウィキペディア「サムエル・アダメス」によると、「サムエル・アダメス」(Samuel Adames)。ドミニカ共和国出身。名前が短すぎて、ちょっと張り合いがない。個人名が一つだけなのはいいとしても、母の父姓が省略されているはずである。
 
 まずは、個人名の Samuel から。英語では「サミュエル」と発音されるが、スペイン語では「サムエル」でよい。ただし、アクセントは「エ」の上に来る。ウィキペディア「サミュエル」によると、「ユダヤの士師サムエルに由来する西洋の男性名および姓」とのこと。
 今度はウィキペディア「サムエル」を調べる。そっくりそのまま引用する。

 旧約聖書の『サムエル記』に登場するユダヤの預言者、士師(民族指導者)。名前の語義はヘブライ語で「彼の名は神」。実在の人物である場合、紀元前11世紀の人。

 
 【ジョシュア・レイノルズ 『幼きサムエル』1776年 ファーブル美術館。全然ユダヤ人に見えない。】 

 Rafael, Gabriel, Miguel など語尾に「神」を表す“-el”がつく名前は多い。Samuel もそのうちの一つというわけである。
 ところで、ウィキペディア「サミュエル」には Samuel の女性形が紹介されていた。それは「サマンサ」(Samantha)であった。「サマンサ」といえば、「奥様は魔女」(原題“Bewitched”)である。
 
 ドラマの中では旦那のダーリン(Darling ではなく、Darrin)が奥様を愛称の「サム」(Sam)と呼ぶシーンもあった。初めは「サム」は「サミュエル」の愛称のイメージが強かったので、違和感を覚えたものである。

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読売ジャイアンツのデラロサ投手(5)母の父姓 Corporan - その2

2019-09-18 18:25:48 | 名前
 読売ジャイアンツのデラロサ投手(Rubby Carlos De La Rosa Corporan)の母の父姓は Corporan だが、そのの意味は何であろうか。
 英語“corporation”(法人、会社)に関係がありそうなつづりである。スペイン語でこれに似たつづりの言葉に“corporal”がある。「肉体の」という意味の形容詞、及び「(カトリックの)聖体布」という意味の名詞にもなる。明らかに名詞“cuerpo”(肉体)の派生語といえるだろう。Corpus Cristi も関連語である。これは、「キリストの聖体の祝日、三位一体の祝日後の最初の木曜日」とのこと(小学館『西和中辞典』による)。
 何にしても、“Corporan(Corporán)”も“De La Rosa”と同じく、宗教的な姓だと考えられるのである。
 さて、前回、ドミニカ共和国におけるフランス語起源の姓の中に“Cruz”(英 cross、仏 croix)があることを紹介した。Cruz 姓については「楽天のクルーズ選手」をご覧いただきたい。
 “De La Rosa”姓同様、“Cruz”の前に“De La”がついた“De La Cruz”という姓もある。この姓を持つ人は世界中に約81万人いる(“Forebears”)。“Cruz”姓の358万人に比べると少ないが、それでも結構いる方である。
 “De La Cruz”姓がフランス由来かどうか知らないが、このフランス語形は“De La Croix”である。これを続けてつづると“Delacroix”となり、日本でも有名な画家の姓になる。読み方は「ドラクロワ」である。
 
 【ドラクロワ 民衆を導く自由の女神】
 ただ、スペイン語形の“De La Cruz”に比べると、ずいぶん少ない(“Forebears”)
 ここで、やっと本題に入る。父の父姓が“Cruz”で、母の父姓が“De La Rosa”だと、両方あわせて“Cruz De La Rosa”となるのだが、和訳すると「バラの十字」になる。実在してもおかしくない姓である。つい、秘密結社「薔薇十字団」を連想してしまったのである(ウィキペディア「薔薇十字団」参照)。“Cruz”選手と“De La Rosa”選手が同じ時期にジャイアンツに在籍して、「薔薇十字団」を結成していれば最高だったのだが。
  
 【『薔薇十字の目に見えない学院』(The Temple of the Rose Cross),テオフィルス・シュヴァイクハルト,1628年】
 
 【The Rose and the Cross: 薔薇が象徴的に描かれた薔薇十字文書『至高善』の扉絵】

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読売ジャイアンツのデラロサ投手(4)母の父姓 Corporan 

2019-09-17 18:25:21 | 名前
 
 読売ジャイアンツのデラロサ投手(Rubby Carlos De La Rosa Corporan)の母の父姓は“Corporan”である。このままだと、アクセントは後から2番目の母音 [o] の上に来る。カタカナ表記すると、「コルポーラン」に近い。ただ、アクセントが最後の [a] に来た方がスペイン語らしい響きがある。ということで、デラロサ投手の母の父姓は“Corporán”ではないかと推測される。
 “Forebears”で調べてみると、“Corporan”も“Corporán”もあった。まず、アクセント記号なしの“Corporan”は絶対数でも人口比でも1位はドミニカ共和国で、1万人強。スペインには200人弱である。
 次に、アクセント記号つきの“Corporán”の方は、これも絶対数、人口比とも1位はドミニカ共和国だが、絶対数は154人。スペインにはわずか1人である。
 ということで、アクセント記号なしの“Corporan”が圧倒的に優勢である。
 それにしても、ドミニカ共和国に特に多いのに対して、スペインに少ないのはなぜだろうか。考えられることは、この姓はスペイン由来ではなく、他の国に由来するのではないかということである。
 調べていくうちに、“INSTITUTO DOMINICANO DE GENEALOGÍA, INC.”(「ドミニカ家系協会」とでも訳しておこう)のサイトに行き当たった。その中の“APELLIDOS FRANCESES EN LA COMARCA DE SAN CRISTÓBAL”という署名記事によると、以下の姓はフランス由来のものだそうである。

 Adames, Beltré, Benoit, Bensáns, Bernal, Burét, Cadet, Chantínt, Chevalier, Coën, Coiscoud, Corporán, Cruz, Cuascû, Diprét, Doñe, Duversié, Duval, Duvergé, Fevrier, Florentino, Galán, Labalé, Lachapelle, Lafortún, Langomuá, Larancuent, Laraperát, Montás, Mosét, Nivál, Obét, Pacheco, Pepén, Pereyra, Renville, Sanó, Tamarés, Tolentino, Yuber y Yosónt.

 Chevalier(シュヴァリエ:西 Caballero)のようなフランス語そのままの姓もあるが、Cruz(元巨人の「クルーズ」選手の姓)のようなスペイン語そのものの姓もある。Cruz(英 cross)はフランス語 croix をスペイン語に置き換えたものだろう。上のリストの中に、アクセント記号つきの“Corporán”が立派に入っている。デラロサ投手のチームメイトであるアダメス投手の姓“Adames”も入っている。これについては後日、取り上げよう。
 アクセント記号のない“Corporan”がもともとのフランスの姓で、それがドミニカ共和国に定着したものと推測する。フランス語は言ってみれば平板アクセントだが、“Corporan”をスペイン語らしく発音すると、“Corporán”になるのだろうが、正書法をちゃんと学んでいない人々にはアクセント記号の有無はどうでもよかったのではなかろうか。教養のある人たちは、ちゃんとアクセント記号をつけて“Corporán”と表記したのだろうが。
 次に、紋章を調べてみたが、スペインの由緒ある姓ではないので、紋章は見つからなかった。
 

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読売ジャイアンツのデラロサ投手(3)父の父姓 De La Rosa

2019-09-16 17:15:46 | 名前
 読売ジャイアンツのデラロサ投手(Rubby Carlos De La Rosa Corporan)の父の父姓が“De La Rosa”である。これを英語に直訳すると、“Of The Rose”になる。“Rosa” だけでも姓になるのだが、前置詞と定冠詞がくっついた形である。英語圏にはやはり“Rose”という姓がある。ウィキペディア“Rose (surname)”によると、イギリスでのランキングは第69位とのこと。
 カタカナ表記で「ローズ」とやると、“Rhodes”姓(元近鉄、巨人のタフィー・ローズ)も含まれてしまうので、要注意である。こちらは d が入っているので、「ズ」を発音するとき、舌先が歯茎につくが、Rose の方はつかない。
 さて、まず Rosa 姓について調べてみる。Rosa は英語形 Rose 同様、女子名にもなるのだが、スペインでの姓のランキングは第281位(“Historia Apellidos españa”による)。De La Rosa 姓のスペインでのランキングは第340位。どちらもありふれてはいなくても、珍しくもない。
 次に世界的な分布を調べる。まず、Rosa 姓から。“Forebears”によると、絶対数ではブラジルが1位で約19万人。人口比ではプエルト・リコが1位である。この姓についての由来も記されている。バラの花に関連があるのはもちろんだが、ナポレオンのイベリア半島侵攻によって孤児になった子どもや婚外子が Rosa という姓になったという記述もある。
 何で“Rosa”という姓が選ばれたかというと、それはバラは聖母マリアを象徴する花だからである。孤児たちの多くは教会で保護されたことだろう。それで聖母マリアの愛によって幸せになるようにとの願いから“Rosa”姓を名乗ることになったのだろう。
 カトリックには「ロザリオ」(西 Rosario、スペイン語では「ロサリオ」と発音)と呼ばれる数珠のようなものがある。「ロザリオ」は「rosa(バラ)の冠」という意味である(ウィキペディア「ロザリオ」参照)。
 それでは、“De La Rosa”姓の世界的な分布を見てみよう。絶対数1位はメキシコの約12万人で、人口比1位はドミニカである(“Forebears”)。“Rosa”姓の人が世界中に約47万人いるのに対して、“De La Rosa”姓の人は約22万人である。“Rosa”姓の世界ランキング1位のブラジルには“De La Rosa”姓の人はいない。“De La Rosa”はスペイン語形で、ポルトガル語形は“ Da Rosa”だからである。“Da Rosa”姓はブラジルに15万人近くいる。
 何はともあれ、“De La Rosa”は単なる植物姓ではなく、“Encarnación”(受肉:神が人間の肉体に宿ること)や“Cruz”(十字架)をはじめとする、宗教的な意味合いを持つ姓の一つなのではないだろうか。
  紋章は Rosa 家も De La Rosa 家も同じといっていい。
  
  
  デラロサ投手の個人名の一つ Rubby は ruby(ルビー)とも関連があるようなので、デラロサ投手の家紋のバラの色は赤がふさわしい。
 スペインの De La Rosa 家にはバラの花と関係のない家紋もあった。
 
 ところで、“Rosa Rosa De La Rosa”という名前の女性が実在すればおもしろいのだが、どうだろう。デラロサ投手が独身だったら、是非 Rosa 姓の女性と結婚して、子どもができたら、Rosa と名づけてほしいものである。そうすると、子どもの名前は“Rosa De La Rosa Rosa”となる。
 

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読売ジャイアンツのデラロサ投手(2)個人名 Carlos

2019-09-15 17:09:22 | 名前
 読売ジャイアンツのデラロサ投手(Rubby Carlos De La Rosa Corporan)の個人名の一つ“Carlos”は典型的な男子名の一つである。“Carlos”というと、「あしたのジョー」に登場する、ベネズエラ出身のボクサー、「カーロス・リベラ」をまず連想するが、スペイン語表記では“Carlos Rivera(または Ribera)”となるはずである。
 
 “Carlos”の英語形・フランス語形は“Charles”である。英語読みは「チャールス」、フランス語読みは「シャルル」である。この名前はヨーロッパ中に広まっているので、ドイツ語形、イタリア語形などは「Reichsarchiv~世界帝王事典~」を参照願いたい。
 “Carlos”という名前の意味については、ろくに考えもしなかったが、スペイン語版ウィキペディア“Carlos”によると、“hombre libre”(自由人)という意味だそうである。
 “hombre”(オンブレ)が「人」という意味だが、この言葉はマカロニ・ウェスタンでもよく使われるスペイン語である。複数形 hombres にして、メキシコ人の悪党の親分が手下どもに呼びかける言葉として使われている。この場合、翻訳は「野郎ども」がふさわしい。
 “libre”(リブレ)は英語 free に相当するが、英語 liberty, liberal の関連語である。
 “libre”には「自由な」という意味の他に「暇のある、空いている」という意味もある。タクシーの「空車」も“LIBRE”である。「(税金などを)免除された」という意味もある。「大胆な」という意味もある。「独身の」という意味にもなる。
 “hombre libre”は一応「自由人」と訳しておいたが、「独身男」かもしれないし、「大胆な男」かもしれない。
 Carlos の名を持つ歴史上の有名人といえば、「カール大帝(シャルルマーニュ)」(西 Carlomagno)だが、“hombre libre”をカール大帝に当てはめるなら、「大胆な男」がふさわしい。
 さて、Carlos はスペイン語圏では男子名なのだが、英語圏では女子名としても使われる例があるらしい(“Baby Names Pedia”)。とはいっても、珍しい例のようだ。
 Carlos の女性形には Carla, Carlota, Carol, Carola, Carolina などがある(“Carlos”)。ニール・セダカの“Oh Carol”、チャック・ベリーの“Carol”、ニール・ダイアモンドの“Sweet Caroline”などの名曲が思い浮かぶが、当時は Carol や Caroline が Carlos の女性形とは思いもしなかった。
  ところで、“Carlos”の女性形の一つ“Carola”の発音は「カローラ」である。トヨタの車の名前にも「カローラ」があるが、トヨタの方は“COROLLA”とつづるので、“Carola”さんとは関係なさそうである。ちなみに、車の「カローラ」はペルーでは「コロージャ」と発音されていた。

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