スパニッシュ・オデッセイ

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エスペラント(25) 結び

2015-11-21 21:52:46 | エスペラント
  母語以外の言語(日本では「外国語」と呼ぶのが一般的だが、多言語国家の場合は、「外国語」とは呼べないことがある)を学習する場合、政治的な動機を持ったり、そのように見られたりすることもある。
 ソ連が健在のころ、ロシア語を学習するということは、社会主義者かそのシンパと見られてもおかしくはなかっただろう。もちろん、社会主義とは関係なく、ロシア文学が好きという理由もあったことだろう。
エスペラントの場合も政治的な動きに無関係ではいられなかった。
 『世界史の窓』には次のような記述がある。

 19世紀後半、経済・文化の面での世界の一体化が急速に進む中、各国・各民族が固有の言語にしばられていることを克服し、世界共通語、もしくは国際的な補助語をつくろうという機運が現れ、1867年の第1インターナショナル第2回大会でも、世界語と表音式正字法を支持する決議がなされている。エスペラント運動は一方で労働者の自由と連帯を求める国際プロレタリア運動と結びつくようになった。1921年には世界労働者エスペラント運動が団結してSATが創立されている。しかしそのような動きは、帝国主義諸国の政府にとっては警戒するところとなり、次第にエスペラントに対する弾圧が厳しきなった。その一方でファシズムが台頭すると、エスペラントは反ユダヤ主義と結びついて攻撃されはじめた。ヒトラーはすでに『わが闘争』の中で、エスペラントをユダヤ人の世界征服のための陰謀と非難していたが、ナチスドイツが政権を取ると、ドイツではエスペラントは禁止され、関連書物は発禁とされた。ザメンホフの子どもたちもエスペラント運動を推進していたが、いずれもユダヤ人であったため強制収容所に送られ、殺害されるなど過酷な弾圧を受けた。

 一方、ロシアでは、ロシア革命の時期にはエスペラントは労働者の国際連帯での共通言語として利用され、エスペランチストも増加した。レーニンの著作もエスペラントに翻訳され、その国際主義の有力な道具とされていた。ボリシェヴィキと対立し、国家や政府の存在を否定するアナーキズム運動とも密接な関係を持つようになり、アナーキストの多くはエスペラントを同志間の言語として用いるものが増えていった。しかし、1930年代後半、ソ連においてスターリンの「一国社会主義論」が勝利を占め、国際主義が退潮したことを受け、エスペラント運動も弾圧の対象となったため、衰退せざるを得なかった。


 筆者の参加した講習会においてもエスペラントで書かれた冊子等が紹介された。また、会場にパネルが掲示されていた。講習会もパネルも政治的には中立というよりも、やはり左翼的な立場に依拠するものであった。 
 

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エスペラント(24) 慣用句

2015-10-05 11:41:08 | エスペラント
  エスペラントはヨーロッパの言語に基づいて作られてはいるが、自然言語と違い、特定の文化に依拠していない。
 ということで、慣用句というものがあるのだろうかという疑問がわいてくる。
 日本語で言えば、水死体を意味する「土左衛門」(いろいろな語源説があるようだが)や無愛想で頑固な人の意味の「朴念仁」のような言葉はエスペラントにはないのではないだろうか。
 英語で言えば、John Hancock が挙げられる。アメリカの独立宣言書に最初に署名した人物ということだが、詳しくはウィキペディア「ジョン・ハンコック」をご覧いただきたい。
 独立宣言書の署名の中で一番大きなものだったので、「署名」の意味で用いられるようになった。
 “Put your John Hancock here”(ここに署名してください)はアメリカ英語ではよくある表現らしいが、外国人にはチンプンカンプンだろう。
 エスペラントが考案されたのは1887年ということなので、まだ130年程度の歴史しかない。その上、特定の文化に依拠していないので、将来においても、上述のような慣用句が生まれるかどうか、あまり期待できそうもない。
 エスペラントの考案者の「ザメンホフ」にちなんで、「考案する、創始する」等の意味の「ザメンホフる」のような動詞があると楽しいのだが。
 

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エスペラント(23) 発音(4) l と s

2015-10-04 10:44:04 | エスペラント
 エスペラントには r のほかに l もある。r の発音については前回触れたので、「エスペラント(22)」をご覧いただきたい。
 l は英語の l のように発音すればいいし、日本人にもできないわけではない。エスペラントの r と l の区別はスペイン語と同様のようなので、スペイン語の r と l の区別の項「命に係わる発音 [r] と [l]」
を参照願いたい。
 エスペラントにはスペイン語の r と l の区別が命に係わるようなケースがあるかどうかは知らないが。

 r と l の区別のほかには[s]音も気になることがある。[s]音は日本人には誰でもできるはずであるが、ラテンアメリカのスペイン語では音節末の[s]音が気音化([h]になること)したり、消失したりする地域があるのである。詳しくは「Comerse las eses (heces)」の項を参照されたい。
 これらの地域のスペイン語話者がエスペラントを学ぶと、つい音節末の[s]音を消失させてしまうのではないかと、心配してしまうのである。
 例をひとつ挙げよう。
 Mi estas Tanaka. (ミ・エスタス・タナカ:私は田中です。)
 音節末の[s]音が消失すると、「ミ・エタ・タナカ」のように発音される。このフレーズは、普通、自己紹介の場面での発言なので、理解はしてもらえるとは思うのだが。 


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エスペラント(22) 発音 子音(3) r

2015-09-29 20:32:55 | エスペラント
  エスペラントには r も l も使われる。
 lの方の発音は[l]でよい(厳密に言うと、音節の頭の l と 音節末の l とでは少々違うのだが)。英語のように舌先を上の歯茎に付ければよいので、日本人でもできる。ただし、盲点もあるが、それは後述する。
 r の方は弾き音で日本語の「ラ」行の子音でよい。発音記号は[ɾ]である。スペイン語やイタリア語でも使われていて、こちらの方は日本人には全然問題ない。
 同じ r で表記されていても、言語によって、r の発音はさまざまである。英語は巻き舌の r ということで、おなじみだが、正確には接近音と呼ばれていて、イギリス英語では[ɹ]、アメリカ英語では[ɻ]の記号で表される。 
 r の発音というと、英語式かと思いがちだが、決して、これがヨーロッパの言語の主流というわけではない。 
 ドイツ語やフランス語の r はのどひこの r と呼ばれていて、口蓋垂を震わせて発音する(ドイツ語とフランス語とでは音が違うが、詳しくは信頼性に問題があるとの定評がある、ウィキペディア「口蓋垂音」を参照されたい)。日本語の「ラ」行の子音より「ガ」行の子音に近く聞こえる。
 中国語のピンイン表記で r で表される音は「有声そり舌摩擦音」で、発音記号は[ʐ]である。日本語の「ラ」行の子音とは全く別の音で、発音記号から推測されるように、むしろ「ザ」行の子音に近く聞こえる。
 「日本」はピンイン表記では rìbĕn だが、とても「リベン」とは聞こえない。むしろ「ジベン」か「ズベン」のほうが近い。
 チェコ語には r の他に、ř という文字もある。あの音楽家、Dvořák の名前に出てくるので有名であるが、カタカナ表記ではドヴォルザークと書かれる(ドヴォジャークという表記もある)。スペイン語の語頭の r [r](歯茎震え音)と中国語のピンイン表記の r [ʐ](有声そり舌摩擦音)を同時に発音するという厄介な音である(ウィキペディア「Ř」参照)。 
 エスペラントの r は日本語同様、弾き音ということだが、英語の r で発音しても十分通じるらしい。フランス人やドイツ人も堂々とお国訛り丸出しの r の音で話しても大丈夫ということだろうか


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エスペラント(21) 発音 子音(2)

2015-09-28 11:33:05 | エスペラント
  エスペラントの発音は日本人には大体易しいものである。 
 アラビア語はのどの奥から搾り出すような子音もある。げろを吐くような感じの音で、なかなか難しい。
 一方、中国語には r, zh, ch などで表される巻き舌音があり、これまた難しい。南方系中国人にはまずできない。シンガポール在住のころは、中国系シンガポール人のの中国語を聞いたことがあるが、あまりうまく発音できていなかった印象がある。
 幸いなことにアラビア語や中国語にある、このような音はエスペラントにはない。
 
 ただ、エスペラントには [h]音のほかに[x]音(喉の奥から強く息を出す「ハ」の子音。独語 auch の ch の音:ウィキペディア「エスペラントのアルファベット」より。ĥ で表される)もある。
[h]と[x]の区別はどうしても必要なものなのだろうか。
 英語には後者はない。フランス語、イタリア語、ポルトガル語にはどちらの音もない。スペイン語には[x]の音があるが、[h]はない。ただし、筆者の知る範囲では、ラテンアメリカでは、[x]の音が[h]に変化している。
 日本人も[x]の音はできないことはない。「ワッハッハ」と笑うときの「ハ」の音だが、[h] で発音しても十分通じる。日本語では[x]の音は[h]の異音に過ぎないのである。
 というわけで、[h]と[x]の対立がある言葉があるのかどうか知らないが、[x]音は別に要らないのではないかと思う。

 ĥ については、ウィキペディア「Ĥ」に次のような記述がある。
 Ĥ はエスペラントでは使用頻度の最も低い文字で、主にギリシャ語などから借用した語に用いられる。『エスペラントの基礎』にあった ĥ を含む語の多くは、発音のより容易な k に早い時期に置き換えられた。

 ということなので、ĥ は廃止してもらいたいものである。  
 

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エスペラント(20) 発音 子音(1)

2015-09-27 10:53:46 | エスペラント
 エスペラントの子音も日本人には総じて易しい。
 日本語の子音には清音と濁音の区別があるように、エスペラントでも、無声音と有声音の対立が意味を持つ。これは英語やその他のヨーロッパ諸語とも同じで、それ以外の子音の区別など考えられないのであるが、中国語を学習してみると、無声音と有声音の区別が意味を持たないことがわかる。

 中国語では有気音と無気音の対立、つまり、息を強く出すか出さないかが重要である。これは中国語以外の言語にも見られ、決して珍しい現象ではない。詳しくは(信頼性に欠けるといわれる)ウィキペディア「有気音」を参照されたい。
 ウィキペディア「有気音」には、「英語では強勢のある音節頭位の無声破裂音(s に続く場合を除く)が、ドイツ語では無声破裂音すべてが、帯気している。しかし無気音と音韻的に異なる音素ではない。」との記述があるが、実は、pill の[p]を帯気させないで発音すると、bill と聞き取られてしまう、と英語音声学の授業で習ったことがある。

 朝鮮・韓国語(「コリア語」という言い方もある。「ハングル語」は間違い。「ハングル」とは朝鮮文字のことである。ただ、「韓国語」をハングルで書くと「ハングッゴ」に聞こえるので、「ハングル語」と聞き取ってしまう人もいるのだろう。)では、有声音と無声音では意味の対立はない。有声音もあるが、出現する場所が決まっていて、これを無声音で発音しても意味に変わりはない。 韓国語には、平音、激音、濃音という区別がある。平音が無気音、激音が有気音に相当する。濃音は日本語では小さい「ッ」に相当すると言えるだろうか。語頭にも現れるので、最初のうちは難しそうに見えるが、日本語でも「まったく」の「ま」を取って「ったく」ということがある。漫画でよく見られる表記である。

 ということで、エスペラントの子音(有声音と無声音の区別)は日本人には当たり前かもしれないが、実はとてもありがたいものなのである。


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エスペラント(19) 発音 母音

2015-09-25 10:20:16 | エスペラント
  エスペラントの発音は日本人には易しい。
 まず、母音は5つだけである。日本語の「ウ」は唇を丸めないのが普通だが、ヨーロッパ諸語では大体、丸める。日本語の「ウ」で発音しても、通じるのではないかと思う。残る4つも日本語の「ア、イ、エ、オ」で発音しても問題なさそうである。詳しくは「エスペラント/文字と発音」を参照されたい。
 英語などのあいまい母音[ə]や、ドイツ語やフランス語その他の、カタカナでは表記しづらい[æ],[œ],[ø],[ɔ]などの音はない。
 アクセントがない位置の母音でもあいまい母音にはならないが、英語話者などは、あいまい母音化するのではないかと心配になる。
 日本人やスペイン人、イタリア人などには5母音はありがたいが、5つでも多いと感じる人もいるだろう。アラビア語や琉球語は「ア、イ、ウ」の3母音だけである。アラビア語話者は[e]が[a]に、[o]が[u]になりやすいのではないだろうか。
 また、エスペラントには、フランス語やポルトガル語にある鼻母音はないが、鼻母音を使っても通じそうである。


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エスペラント(18) アクセント

2015-09-23 13:49:39 | エスペラント
 エスペラントのアクセントは強弱アクセントで、後ろから2番目の母音が強く発音される。これもスペイン語やイタリア語などの一般的な特徴である。英語でも日本人名は後ろから2番目の母音が強く発音される。たとえば、田中さんは「タナーカ」になるし、黒田は「クローダ」になる。唯一、イチローのみ「イチーロ」とならないで、最後から3番目の音節の「イ」にアクセントが置かれている。
 エスペラントは二重母音を認めていないので、「日本」の意味の Japonio は「ヤポニーオ」である。スペイン語的感覚では、 io が二重母音になるので、「ヤポーニオ」と言いたくなるのだが。
 さて、アクセントはヨーロッパの言語では強弱アクセントが一般的だが、フランス語は他のヨーロッパ諸語とはちょっと違う。手元のフランス語の辞書を見ると、アクセント記号は書かれていない。ただ、最後の音節がはっきり発音されるようである。
 一方、日本語は高低アクセントである。中国語やベトナム語などは声調言語と呼ばれ、強弱アクセントではない。
 アクセントの点でも、エスペラントはヨーロッパの言語の発想を免れていない。
 エスペラントをフランス語風、中国語風のアクセントで話して通じるかどうか、気になるところではある。
 シンガポールでは英語も話されるが、中国系のシンガポール人の英語は、どうしても中国語風になりやすい。一度、“Be careful”が強弱アクセントではなく、中国語風の声調で発音されているのを聞いたことがあるが、足元に注意を要するような場面だったので、十分通じたのであるが。


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エスペラント(17) 感嘆文と疑問詞

2015-09-19 16:50:08 | エスペラント
  エスペラントはヨーロッパの言語が元になっているので、感嘆文というものもありそうである。
 「Web版 エスペラントの鍵」によると、やっぱり、英語やスペイン語と同様、感嘆文には疑問詞が使われている。
 語順は「疑問詞+形容詞(副詞)+主語+述語!」が一般的のようだ。
 さて、疑問詞というと、英語では5W1Hを習ったが、エスペラントの疑問詞はすべて ki- ではじまる。詳しくは「ネットワーカーに贈るエスペラント語入門講座 第19課」をごらんいただきたい。
 ウィキペディア「エスペラント」によると、語彙の75%はロマンス諸語由来のものだが、疑問詞もやはりそれらがヒントになっているものと思われる。
 スペイン語とエスペラントを対比してみよう(左がスペイン語)。
 quién - kiu (だれ)
  qué - kio (何)
  cuál - kiu (どれ、どの)
 cuándo - kiam (いつ)
 cómo - kiel (どのように)
 dónde - kie  (どこ)
 スペイン語は「どこ」以外はすべて語頭に[k]音が現れている。「どこ」だけが違うが、ご先祖様のラテン語の「どこへ」は“Quo vadis”「何処へ」(現代のスペイン語に訳すと、“¿Adónde vais?”)に出てくる quo で、語頭に[k]音がある。
 ちなみに、「どこ」はイタリア語では dove、フランス語では où で、やはり語頭に[k]音は出てこない。
 何にしても、やっぱり、エスペラント習得にはロマンス諸語話者が有利ということは否めない。


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エスペラント(16) 疑問文

2015-09-18 11:15:31 | エスペラント
  エスペラントの疑問文は、普通、文の先頭に ĉu(チュ)という語をつけるが、日本語の「か」のように文末につけてもよい。
 ただ、文の先頭に置いたほうが疑問文の予告になっていいと思う。

 文の先頭で疑問の予告をするのはヨーロッパの言語によく見られる。
 たとえば、英語では、be 動詞の場合、主語と動詞が入れ替わるので、すぐに疑問文だということがわかる。一般動詞の場合は、「do (can 等の助動詞) + 主語 + 動詞」という形になるので、こちらの場合もわかりやすい。
 平叙文そのままで、語尾を上げてもよい。

 フランス語の場合は3つの言い方がある。
 一つは平叙文そのままの語順で、語尾を上昇させるやり方で、日本語でもこのやり方がある。
 二つ目は英語の be 動詞の疑問文のように主語と動詞の位置を入れ替えるやり方である。
 三つ目は文の先頭(疑問詞があるときは、疑問詞の後ろ)に“est-ce que”を入れるやり方である。
 詳細は「フランス語 疑問文の作り方」をご覧いただきたい。
 “est-ce que”をそのまま英語に逐語訳すると“is-it that”になる。“Qu'est-ce que c'est?”(これは何ですか)という文はフランス語の第1課で習うような文だが、英語の逐語訳では“What is it that it is?”という不自然極まりない文になる。しかし、フランス語としてはこれでいいのである。

 スペイン語の疑問文については、平叙文そのままで語尾を上げるやり方がある。英語やフランス語のように、主語と動詞を入れ替えるやり方もあるが、スペイン語の場合は、主語がわかりきっている場合は、省略するのが普通で、結局平叙文の語順と変わらず、語尾が上がっているだけということがよくある。
そういうわけで、スペイン語の疑問文のはじめに“¿”をつけるのだろうか。書き言葉では、“¿”の記号があったほうがわかりやすくて、よい。
 主語を言う場合は、文が短いときは、文の最後に持ってくるのが一般的なようだ。
 “¿Es estudiante usted?”(英 “Are you a student?”)の方を“¿Es usted estudiante?”よりよく耳にしたような気がする。

 中国語では疑問詞がないときは文末に「嗎」(簡体字は嫌いなので、正字を使う)を付ける。
 日本語の「か」の用法も意外と難しい。敬体では、文末に「か」をつけてもいいが、常体では「か」をつけると、きつい言い方になる。
 例:明日、行きますか。(○)
   明日、行くか。  (きつい)
   明日、行く?   (○) 

 エスペラントには中国語の「嗎」や日本語の「か」のように、用法に制限はなさそうである。


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エスペラント(15) 否定文

2015-09-17 11:32:54 | エスペラント
  今回はエスペラントの否定文について。
 エスペラントの否定文はやさしい。
 動詞の前に否定辞の ne を付けるだけでよい。この辺はスペイン語 (no) やイタリア語 (non) と同様である。フランス語は ne と pas で動詞を挟むと習ったが、pas を動詞の後ろに付けるだけでもよい。詳しくは主要言語の否定文についてはウィキペディア(信頼性に欠けるとの定評があるが)「フランス語の否定文」を参照されたい。
 文法が簡単なはずの英語の否定文がヨーロッパの主要言語の中では一番、むずかしい。
 be 動詞と一般動詞で否定形と疑問文の作り方が違うが、中学生が英語嫌いになるきっかけはここである。
 be 動詞の否定文は not を動詞の後ろに置く。ドイツ語も否定辞の nicht を後ろに置く。
 一般動詞の否定文の場合、否定辞 not は動詞の前に来るが、助動詞の do (does) をその前に付けなければならない。英語が苦手な中学生はこの辺がよくわからないようだ。
 しかしながら、一般動詞の否定文もかつては not をドイツ語のように、動詞の後ろに置くだけでよかったようだ。
 現在にもその痕跡が認められる。
 Lennon = McCartney 作詞作曲の「愛なき世界」(A World Without Love)の歌詞の中に“I know not when”というフレーズが現れる。普通は“I don't know when”だが、詩では音節数や韻の関係で古風な言い回しも使われるということだろう。
 筆者が中学3年生のときヒットした曲だが、中学の英語のテストで“I know not”などと書くと、当然、不正解である。
 中国語の否定文も動詞の前に否定辞「不」や「没」を置くだけでよいので、エスペラントの否定文の簡潔さは評価できる。 


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エスペラント(14) 対格は必要か

2015-09-16 10:13:48 | エスペラント
  エスペラントの対格についての続きである。
 対格にするには語尾に -n をつける。代名詞も同様に、主格のあとに -n をつける。たとえば、mi (私)の対格は min になる。エスペラントではすべての人称の主格の語尾に -n がつくので、格は一目瞭然である。
 一方、英語では I の目的格は me、he の目的格は him のように形が違うものもあるが、you や it のように主格と目的格の形が同じものもある。形が同じであるからといって、主格と目的格を取り違えることはまずない。語順によって、判別できるのである。ならば、目的格というものも別になくてもかまわないのではないか。
 “You love me”を“You love I”といっても通じるだろう。中国語ではヨーロッパ諸語のような格変化はなく、“I love you”は「我愛你」、“You love me”は「你愛我」で、語順を変えるだけでよい。  
 
 また、エスペラントの対格は名詞だけでなく、対格の名詞を修飾する形容詞の語尾にも -n をつけなければならない。また、名詞が複数形であれば、その名詞を修飾する形容詞も複数形にしなければならないので、煩雑ではある。
 「エスペラント」の人称代名詞の項には次のような記述もあった。

 対格にするには -n をつける。「私を」は min となる。所有格(所有形容詞、属格)にするには形容詞語尾 -a をつける。「私の」は mia となる。所有形容詞は形容詞の一種なので、普通の形容詞と同じように複数語尾や対格語尾の変化があり、miajn librojn 「私の本(複数)を」のように、名詞の数と格に一致させる必要がある。

 スペイン語には名詞の格変化はないが、所有格代名詞はエスペラントのように、複数形にしなければならない。
 上記のエスペラントに相当するスペイン語を例にとると、
 mi libro (私の本:単数)
mis libros(私の本:複数)
 となる。
 英語は my book、my books で my は後ろの名詞の単複にかかわらず、不変である。
 エスペラントは対格の煩雑さで、英語の簡素さに劣っていると言える。  


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エスペラント(13) 文法 - 対格表示

2015-09-15 09:40:51 | エスペラント
 エスペラントの文法はやはりヨーロッパ諸語に基づいているが、英語よりももっと簡素化されている。
 語順は英語のように固定されていない。 SVO でも SOV でも OSV でもよい。
 そのわけは、対格(目的格)にある。
 対格(目的格)の名詞や代名詞には語尾に n がつく。1人称単数代名詞 mi を例にとると、主格は mi、所有格は mia、対格は min で、他の人称代名詞も同様の変化をする。エスペラントの場合は、代名詞だけでなく、名詞の対格にも n を付けるわけである。名詞だけでなく、対格の名詞を修飾する形容詞にも語尾に n を付けなければならない。この点は英語の方が簡単でよい。
 スペイン語にも似たような現象はある。エスペラントのように対格の語尾に n を付けるのではなく、対格の名詞の前に a (英語の to に相当)を付けるのである。
 たとえば、“Juan ama María” とやると、どちらがどちらを愛しているのかわからない。英語なら、“John loves Mary”は 「John が Mary を愛している」ことになるのだが。
 “Juan ama a María”にして、やっと「Juan の方が María を愛している」ことがはっきりするわけである。
 “A Juan ama María”と、目的語と主語を倒置した言い方もできる。

 スペイン語も英語の SVO 構文のような語順が一般的であるが、必ずしも語順で意味が決まるわけではない。
 amar (愛する)という動詞の主語と目的語の両方が人の場合、対格表示が必要になる。解釈が1通りしかないような場合は、対格表示の a は不要である。
  語順が自由であれば、対格表示のための何かが必要だろうが、英語や中国語のように語順を固定すると、エスペラントの対格表示の n は不要になる。


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エスペラント(12) 動詞の活用形

2015-09-14 07:49:52 | エスペラント
  エスペラントの動詞の活用は簡単である。
 現在形は -as、過去形は -is、未来形は -os で終わる。不定形は -i である。ヨーロッパ諸語のように人称変化はしない。英語の3単現の s のようなものもない。
 この簡素さは評価できる。
 英語やスペイン語と同様に、現在形は現在の習慣、未来形は現在の推量にも使うのであろうか。
 仮定形というのもある。英語の仮定法に相当し、事実とは異なることを仮定するするときに用いられる。動詞の語尾は -us になる。
それにしても、仮定形は必要なものだろうか。“If I were a bird” でなくても、“If I am a bird”でも通じるであろう。日本語や中国語にはないし、なくても不便は感じない。
 命令形の語尾は -u で、仮定形の語尾 -us の s が取れた形である。命令形の用例については「エスペラント」を参照されたい。
 

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エスペラント(11) 冠詞

2015-09-12 11:46:11 | エスペラント
 エスペラントには定冠詞もある。
 それは la で、スペイン語、イタリア語、フランス語などでは、単数女性形の定冠詞である。単数男性形は、スペイン語では el、イタリア語では il、フランス語では le で、それぞれ違う。ということで、ロマンス諸語で共通する単数女性形の la が選ばれたのであろう。
 英語の the は性にも数にもかかわりなく、常に the なので、便利ではあるのだが、th の音[ð]も、曖昧母音[ə]がエスペラントにはないので、選びにくかったのかもしれない。ドイツ語の定冠詞は性数変化も格変化もあるので、大変である。
 定冠詞はヨーロッパの言語に限らず、アラビア語にも定冠詞がある。詳しくは「アラビア語の冠詞」を参照されたい。
 アラビア語の冠詞はローマ字表記では al で、これはスペイン語をはじめヨーロッパの言語にも入り込んでいる。
 英語の alcohol や algebra (代数)や alchemy(錬金術。英 chemistry の語源) が有名である。スペイン語には algodón (木綿。英 cotton)という語もある。
 ところで、ロマンス諸語のご先祖様であるラテン語には冠詞はない。定冠詞だけではなく、不定冠詞もない。もちろん、日本語や中国語にもあるわけがなく、冠詞などなくても別に不便はない。
 ということで、エスペラントでも冠詞はなくてもよかったのではないか、と思うのである。


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