スペイン語では「神」様関連の姓をこれまで3つ紹介してきた。
Dios(神)、Cristo(キリスト)、Salvador(救世主)である(これらに対応する英語形 God, Christ、Saviour という姓は見つかっていない)。これらに加えて Señor も「神」を表すことがある。
señor を辞書(小学館『西和中辞典』)で引いてみると、まず形容詞用法から記載されている。
①領有する、支配[統治]する
②《名詞に後置して》高貴な、優雅な、上流階級の、堂々とした、威厳のある
③《名詞に前置して》とてつもなく大きい、すごい
次に名詞用法が出てくる。
①紳士、殿方、男性
②《姓・肩書き・称号などに前置して》…氏、…様、…さん、…殿
③《単独で呼びかけ・丁寧な応答に用いて》
④《手紙》(団体・会社など宛に)拝啓、各位
⑤主人、雇い主、所有者
⑥[複]夫妻
⑦領主、殿様
⑧[S-]神、イエス・キリスト
最後にやっと「神」様用法が出てくる。キリスト教の「神」は男女の性別はないと考えられるが、英語では God を代名詞にすると、He になる。同様に、カトリックでも「三位一体」(Trinidad)は「父と子と聖霊」で、神様は「父」なので、神様が Señor であっても不思議ではない。ちなみに女性形の Señora は聖母マリアを表す。ただ、この場合は、Nuestra Señora (『私たちの女主人(貴婦人)』の意)と言わなければならない。フランス語では Notre Dame(ノートルダム)という。
さて、Dios, Cristo, Salvador のいずれもが姓になっているので、ひょっとして Señor も姓になっているかもしれないと思い、“Historia Apellidos”に当たってみた。
すると、うれしいことにあるではないか。スペインでのランキングは第8645位。世界的な分布は“Forebears”で調べる。絶対数でも人口比でもスペインがトップである。トップテンは当然、スペイン語圏の国が多いが、それ以外では米国が2位、イタリアが5位、ロシア8位、フランス9位、イングランド10位と続いている。
紋章も見つかった。
【“Plusesmas.com”より】
Señor 姓があるのなら、Señora 姓があってもよさそうである。
“Historia Apellidos”ではヒットしなかったが、“Forebears”ではヒットした。絶対数でも人口比でもフィリピンが1位である。全世界に2389人いるらしい(Señor さんは1920人)。聖母子像を見ると、幼子イエスより聖母マリア(“Madre de Dios”「神の母」とも呼ばれる)の方が主役のように見えるので、Señora の方が多くて当然のような気がする。紋章は見つからなかった。
さすがに Señorita という姓は見つからなかった。
というわけで、男性の Señora さんが女性の Señor さんと結婚して子供をもうけてほしいものだ。女の子ができると、結婚するまでは Srta. (Señorita) Señora Señor ということになるが、Señora も Señor もかなり珍しい姓なので、このような名前の女性が実在する可能性は限りなく低いだろう。
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señor を辞書(小学館『西和中辞典』)で引いてみると、まず形容詞用法から記載されている。
①領有する、支配[統治]する
②《名詞に後置して》高貴な、優雅な、上流階級の、堂々とした、威厳のある
③《名詞に前置して》とてつもなく大きい、すごい
次に名詞用法が出てくる。
①紳士、殿方、男性
②《姓・肩書き・称号などに前置して》…氏、…様、…さん、…殿
③《単独で呼びかけ・丁寧な応答に用いて》
④《手紙》(団体・会社など宛に)拝啓、各位
⑤主人、雇い主、所有者
⑥[複]夫妻
⑦領主、殿様
⑧[S-]神、イエス・キリスト
最後にやっと「神」様用法が出てくる。キリスト教の「神」は男女の性別はないと考えられるが、英語では God を代名詞にすると、He になる。同様に、カトリックでも「三位一体」(Trinidad)は「父と子と聖霊」で、神様は「父」なので、神様が Señor であっても不思議ではない。ちなみに女性形の Señora は聖母マリアを表す。ただ、この場合は、Nuestra Señora (『私たちの女主人(貴婦人)』の意)と言わなければならない。フランス語では Notre Dame(ノートルダム)という。
さて、Dios, Cristo, Salvador のいずれもが姓になっているので、ひょっとして Señor も姓になっているかもしれないと思い、“Historia Apellidos”に当たってみた。
すると、うれしいことにあるではないか。スペインでのランキングは第8645位。世界的な分布は“Forebears”で調べる。絶対数でも人口比でもスペインがトップである。トップテンは当然、スペイン語圏の国が多いが、それ以外では米国が2位、イタリアが5位、ロシア8位、フランス9位、イングランド10位と続いている。
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Señor 姓があるのなら、Señora 姓があってもよさそうである。
“Historia Apellidos”ではヒットしなかったが、“Forebears”ではヒットした。絶対数でも人口比でもフィリピンが1位である。全世界に2389人いるらしい(Señor さんは1920人)。聖母子像を見ると、幼子イエスより聖母マリア(“Madre de Dios”「神の母」とも呼ばれる)の方が主役のように見えるので、Señora の方が多くて当然のような気がする。紋章は見つからなかった。
さすがに Señorita という姓は見つからなかった。
というわけで、男性の Señora さんが女性の Señor さんと結婚して子供をもうけてほしいものだ。女の子ができると、結婚するまでは Srta. (Señorita) Señora Señor ということになるが、Señora も Señor もかなり珍しい姓なので、このような名前の女性が実在する可能性は限りなく低いだろう。
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