スパニッシュ・オデッセイ

スペイン語のトリビア
コスタリカ、メキシコ、ペルーのエピソード
パプア・ニューギニア、シンガポールのエピソード等

Señor は「神様」

2018-07-30 20:32:53 | 名前
 スペイン語では「神」様関連の姓をこれまで3つ紹介してきた。
 Dios(神)、Cristo(キリスト)、Salvador(救世主)である(これらに対応する英語形 God, Christ、Saviour という姓は見つかっていない)。これらに加えて Señor も「神」を表すことがある。
 señor を辞書(小学館『西和中辞典』)で引いてみると、まず形容詞用法から記載されている。

 ①領有する、支配[統治]する
 ②《名詞に後置して》高貴な、優雅な、上流階級の、堂々とした、威厳のある
 ③《名詞に前置して》とてつもなく大きい、すごい

 次に名詞用法が出てくる。
 ①紳士、殿方、男性
 ②《姓・肩書き・称号などに前置して》…氏、…様、…さん、…殿
 ③《単独で呼びかけ・丁寧な応答に用いて》
 ④《手紙》(団体・会社など宛に)拝啓、各位
 ⑤主人、雇い主、所有者
 ⑥[複]夫妻
 ⑦領主、殿様
 ⑧[S-]神、イエス・キリスト

 最後にやっと「神」様用法が出てくる。キリスト教の「神」は男女の性別はないと考えられるが、英語では God を代名詞にすると、He になる。同様に、カトリックでも「三位一体」(Trinidad)は「父と子と聖霊」で、神様は「父」なので、神様が Señor であっても不思議ではない。ちなみに女性形の Señora は聖母マリアを表す。ただ、この場合は、Nuestra Señora (『私たちの女主人(貴婦人)』の意)と言わなければならない。フランス語では Notre Dame(ノートルダム)という。
 さて、Dios, Cristo, Salvador のいずれもが姓になっているので、ひょっとして Señor も姓になっているかもしれないと思い、“Historia Apellidos”に当たってみた。
 すると、うれしいことにあるではないか。スペインでのランキングは第8645位。世界的な分布は“Forebears”で調べる。絶対数でも人口比でもスペインがトップである。トップテンは当然、スペイン語圏の国が多いが、それ以外では米国が2位、イタリアが5位、ロシア8位、フランス9位、イングランド10位と続いている。
 紋章も見つかった。
 
 【“Plusesmas.com”より】
 Señor 姓があるのなら、Señora 姓があってもよさそうである。
 “Historia Apellidos”ではヒットしなかったが、“Forebears”ではヒットした。絶対数でも人口比でもフィリピンが1位である。全世界に2389人いるらしい(Señor さんは1920人)。聖母子像を見ると、幼子イエスより聖母マリア(“Madre de Dios”「神の母」とも呼ばれる)の方が主役のように見えるので、Señora の方が多くて当然のような気がする。紋章は見つからなかった。
 さすがに Señorita という姓は見つからなかった。
 というわけで、男性の Señora さんが女性の Señor さんと結婚して子供をもうけてほしいものだ。女の子ができると、結婚するまでは Srta. (Señorita) Señora Señor ということになるが、Señora も Señor もかなり珍しい姓なので、このような名前の女性が実在する可能性は限りなく低いだろう。 

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ラテン語形・ポルトガル語形の「神」さま、Deus 姓はあるか。

2018-07-29 10:48:08 | 名前
 “Forebears”というサイトに当たってみた結果、次のことがわかった。
①英語の God は姓になっていないこと。
②ドイツ語の Gott は姓になっているが、ドイツ語の Gott「神」に由来するものではないこと。
③スペイン語で「神」の意味の Dios がスペイン語圏を中心に姓としても使われていること。
④英語(ドイツ語、フランス語)形の Christ という姓は見つからない。
⑤スペイン語(イタリア語、ポルトガル語)形の Cristo は姓としても使われていること。
 以上の結果を元にさらに調査を続ける。
 イタリア語で「神」を表す Dio は姓として使われているのだろうか。
 “Forebears”に当たってみたが、見つからなかった。ちょっと期待していたのだが。
ところが、“Plusesmas.com”には Dio 家の紋章が掲載されているのである。参考までにその紋章を紹介する。
 
 次に、ポルトガル語 Deus はどうであろうか。Deus はラテン語形でもある。ポルトガル語 Deus がキリシタン用語「ダイウス、デウス(泥烏須、提宇須、天有主)、天主」になったことはすでに述べた(「キリシタン用語(18)天主」参照)。
 “Forebears”には Deus 姓はちゃんとあった。絶対数ではブラジル、人口比では東ティモールが一番多い。ポルトガル語圏に多いのは当然として、トップテンにタンザニア、ハイチ、フィリピンが入っている。13位にスペインが入っていて、以下スペイン語圏の国が出てくる。フランスも19位に入っている。
Deus 姓はスペインでのランキングは第6103位(“Historia Apellidos”参照。スペイン語形の Dios 姓は1613位)。
 Deus 家の紋章も見つかった。右側は Dios 家の紋章。
    
【“Plusesmas.com”より】【“Plusesmas.com”より】
 ところで、キリシタン用語「天主」さんは日本にいるのだろうか。「名字由来net」を調べてみたが、ヒットしなかった。キリシタン大名、または隠れキリシタンの子孫が名乗っていれば、NHKの番組『日本人のおなまえっ』で取り上げられていたかもしれない。

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Dios 姓

2018-07-27 20:18:42 | 名前
  前回の調査で Christ 姓は見つからなかったが、スペイン語(ポルトガル語、イタリア語)形の Cristo は姓としても用いられていることがわかった。
 それでは、「神」を表す God 姓はあるだろうか。“Forebears”で調べたが、God 姓は見つからなかった。それでは、ドイツ語形の Gott はどうだろうか。何と、あるのである。“Forebears”によると、絶対数では米国、人口比ではイングランドが一番である。ドイツは絶対数で第3位である。
 ところが、 Gott 姓はドイツ語の「神」とは関係ないらしい。イギリスのヨークシャーの地名由来で、意味は「水路」とのこと。ちょっとがっかりであるが、ドイツ語圏では「神様」扱いしてくれるだろう。
 それならば、Cristo が姓としても使われているスペイン語圏・ポルトガル語圏などでは「神」様はいるのだろうか。スペイン語で「神」を表す言葉は Dios である。まさか、Dios 様はいないだろうと思ったが、念のために調べてみる。
 “Historia Apellidos”によると、スペインでのランキングは第1613位。ちゃんと実在しているのである。父の父姓も母の父姓も Dios、つまり Dios Dios の人も62人いる。
 De Dios(英訳 Of God)という姓もあるが、こちらの方のランキングは834位である。
 Dios 姓の世界的な分布を見ると、絶対数1位はフィリピン、人口比1位はハンガリーである(“Forebears”参照)。上位にランクインしている国はスペイン語圏が多いのは当然であるが、ハンガリーの Dios さんはスペイン語とは関係ないと思う。何にしても世界中に Dios さんは18000人強、いるらしい。日本にも1人いた。
 Dios 家の紋章も見つかった。

  
 【“Plusesmas.com”より】   【“Mis Apellidos.com”より】
 ところで、右側の紋章はどこかで見たような気がする。
 
 【Cristóbal 家の紋章】
 Cristóbal 家の紋章と全く同じではないか。紋章が同じでは Dios の価値が下がったような気がするのは筆者だけだろうか。
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Cristo 姓

2018-07-26 17:12:49 | 名前
 英語 Christ はフランス語形及びドイツ語形でもあるが、スペイン語形は Cristo である。イタリア語形もポルトガル語形も同様である。果たして Cristo は姓として使われているのだろうか。
 調べてみると、ちゃんとあるのである。スペインでのランキングは第8189位。父の父姓も母の父姓も Cristo、つまり Cristo Cristo という人は8人いるらしい(“Historia Apellidos”)。畏れ多いお名前である。
 世界的な分布を調べてみると、絶対数ではブラジル、人口比ではアンゴラが一番多い。上位はスペイン語圏・ポルトガル語圏などの国が多い。イタリアは第10位に入っている。何と日本にも4人いた(“Forebears”参照)。おそらくカトリックの国の大使館員(または企業の駐在員)とその家族であろう。
 紋章もあるが、キリストとは関係なさそうなデザインである。
 
 【“Plusesmas.com”より】
 英語圏には Jesus という男子名も Christ という姓もないようだが、スペイン語圏には Jesús(ヘスス)という男子名があることは以前から知っていた。Cristo という姓も存在することが今回の調べでわかった。ということは、Jesús Cristo という男性がいてもおかしくはないのである。Jesús Cristo Salvador というお名前の方もいるかもしれない。
 ところで、あの「イエス・キリスト」様は Jesús Cristo ではなく、Jesucristo (「ヘスクリスト」。一語で書く)なので、間違われることはない。筆者も当初は間違って、あの「イエス・キリスト」様のことを Jesús Cristo と言っていたものである。
  Jesucristo が姓として使われていることはあるまいと思ったが、念のために確認してみた。案の定、“Historia Apellidos”でも“Forebears”でもヒットしなかった。
 小学館『西和中辞典』の Jesucristo の項を見ていたら、次のような記述があったので、ついでに紹介する。

 「イエス・キリスト、神の子、救い主」はギリシア語でIesous Christos Theou Hyios Soter(筆者注:母音字につけられた記号は省略)で、頭文字を組み合わせると Ichthys「魚」となり、キリストの象徴として魚が用いられた。

 なるほど。そういえば、一番弟子と言える聖ペトロ(西 San Pedro)は漁師(pescador イタリア語形は pescatore)だった。魚(pes、食卓の魚は pescado)をイエスの象徴としたのは上記の理由の他に、初代ローマ教皇、聖ペトロに対する配慮があったのかもしれない。

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Christ 姓はあるか

2018-07-25 18:09:24 | 名前
 読売ジャイアンツのメルセデス選手(Cristopher Crisóstomo Mercedes)のファーストネームの Cristopher は「キリストを運ぶ」という意味だった。Christian、Christie など、Christ に関連した姓は“Forebears”で確認できるが、さすがに Christ という姓は見つからなかった。
 そもそも、「イエス・キリスト」(Jesus Christ)の「キリスト」(Christ)は姓ではない。「キリスト」とは「膏をつけられた者」という意味の、救い主の称号である(ウィキペディア「イエス・キリスト」より)。
 もともとユダヤ人には姓はなかったのである。
 「救い主」は英語では普通名詞の場合、savior(または saviour)だが、「救世主キリスト」を表すときは the Saviour とつづる。 スペイン語では普通名詞は salvador だが、「救世主キリスト」の場合は el Salvador となる。中米の国「エル・サルバドル」そのものである。
  Salvador はスペイン語圏では男子名としても使われるが、姓にもなっている。“Historia Apellidos”によると、スペインでのランキングは第202位。世界的にみると、絶対数1位はフィリピンで、スペイン語圏及びポルトガル語圏の国がずらっと続く。人口比1位はミクロネシアである(“Forebears”参照)。
 Salvador のイタリア語形は Salvatore で、これも男子名及び姓としても使われている。「サン・トワ・マミー」、「雪が降る」等でお馴染みの歌手「サルバトーレ・アダモ」(Salvatore Adamo)が有名である。

【アダモ】
 英語形の Saviour は“Forebears”には出てこなかったので、英語圏では姓としては使われていないのだろう。。
 Salvador 家の紋章もある。

 【“Linajes”より】

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読売ジャイアンツのメルセデス選手(3)姓 Mercedes

2018-07-24 17:32:53 | 名前

  読売ジャイアンツのメルセデス選手(Cristopher Crisóstomo Mercedes)の姓(たぶん父の父姓)は Mercedes だが、ドイツの高級車「メルセデス・ベンツ」の名として超有名である。
 「メルセデス」の由来についてはウィキペディア「メルセデス・ベンツ」より引用する。

 「メルセデス」とは、1899年当時、ダイムラー車のディーラー(販売代理店)を経営していたオーストリア=ハンガリー帝国の領事でありユダヤ系ドイツ人の富豪であるエミール・イェリネックの娘の名前である。

 「メルセデス」は男子名としても使われている。元読売ジャイアンツのサンチェ選手が一例であるが、詳細は「元読売ジャイアンツのサンチェ選手」をご覧いただきたい。
 メルセデス選手の場合は姓として使われているわけで、何とも紛らわしい名前である。
 以下は Mercedes 家の紋章である。
 
 【“Heraldrys Institute of Rome”より】

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読売ジャイアンツのメルセデス選手(2)第2の個人名(?)Crisóstomo

2018-07-23 18:13:35 | 名前
 
 読売ジャイアンツのメルセデス選手(Cristopher Crisóstomo Mercedes)の2番目の名前、 Crisóstomo は2つある個人名のうちの1つと思われるが、この名前は初めて目にする。ウィキペディア「クリストファー・クリソストモ・メルセデス」には Crisostomo となっているが、スペイン語としてはアクセント記号(tilde)のついた Crisóstomo が正しい。英語形は Chrysostom だが、これも初めてお目にかかる。その他、フランス語形などはスペイン語版ウィキペディア“Crisóstomo”を参照願いたい。
 そもそも Crisóstomo の名前はギリシャ語に由来する。意味は「黄金の口」で、スペイン語に翻訳すると“boca de oro”となる。口から金が出てきそうなありがたい名前であるが、出てくるのは金ではない。
 この名前は本来はニックネームである。4世紀にギリシャに実在したキリスト教神学者イオアンという偉いお方につけられたものである。名説教で知られたことから「黄金の口」(Chrysostom)と名づけられたとのこと(詳細はウィキペディア「金口イオアン」参照)。

 
【金口イオアン。別名聖ヨハネ・クリゾストモ。ウィキペディア「金口イオアン」より】
  
 【皇后アエリア・エウドクシアと対峙する金口イオアン(1893年にジャン・ポール・ローランスによって描かれた歴史画)。ウィキペディア「金口イオアン」より】
 さて、Crisóstomo の名前は姓としても用いられている。スペインでのランキングは第7398位(“Historia Apellidos”)。世界的にみると、絶対数1位はフィリピンで約48000人。人口比ではグアムが一番である(“Forebears”)。
 Crisóstomo 家の紋章は残念ながら見当たらなかった。大きな金色の口の紋章を期待していたのだが。
 というわけで、読売ジャイアンツのメルセデス選手には「黄金の口」(Crisóstomo)の名に恥じない名スピーチをヒーローインタビューで期待したいものである。

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読売ジャイアンツのメルセデス選手(1)個人名 Cristopher

2018-07-22 11:07:36 | 名前
  読売ジャイアンツのメルセデス投手のフルネームは「クリストファー・クリソストモ・メルセデス」(Cristopher Crisóstomo Mercedes)。ドミニカ共和国出身である。

  Cristopher と Crisóstomo が個人名で、Mercedes が姓(父の父姓か)のようである。
 Cristopher は Christopher の間違いではないかと思ったが、このままでいいらしい。英語形 Christopher とスペイン語形 Cristóbal がごちゃ混ぜになったようなつづりである。
 Christopher は言わずもがなの、Christopher Columbus のファーストネームである。ただ、コロンブス自身はイタリア人なので、Cristoforo Colombo と呼びたいものである。スペインとも関係が深いので、スペイン語圏では Cristóbal Colón と呼ばれる。
 Colón はエル・サルバドルとコスタリカの通貨単位となっている。日常生活で使い慣れているので、現地通貨のコロンを使うたびにいちいちコロンブスを意識するようなことはない。
 さて、Christopher(西 Cristóbal)の意味は「キリスト(Christ)」に関係がありそうなことは容易に推測できる。事実、そのとおりである。ギリシャ語 Khristophóros に由来するのだが、「Khristós(キリスト)+ -phóros(運ぶ人)」に分解できる。この人名の祖になる聖クリストフォロスは幼いイエスを背負って川を渡ったと伝えられる(小学館『西和中辞典』Cristóbal の項)。

 
 【ヒエロニムス・ボスの描くクリストフォロス。ウィキペディア「クリストフォロス」より】
 “Tu Parada”というサイトによると、Christopher の名前は“el que lleva a Cristo consigo”という意味との説明がある。「自らとともにキリスト運ぶ」が直訳だが、「常にキリストとともにある」ということだろう。
 Cristóbal という名の父親が息子の Jesús(ヘスス:ありふれた男子洗礼名)を背負って川を渡るシーンはスペイン語圏の田舎で今でも見られるかもしれないが、それよりも、メルセデス選手が子供に Jesús と名づけ、その子を背負って川を渡ってもらいたいものである。
  ところで、Christopher も Cristóbal も本来は男子の洗礼名なのだが、両者ともスペインにおいては姓としても使われている。“Historia Apellidos”によると、Christopher のスペインでのランキングは30204位。Cristóbal は908位。当然ながら、スペイン語形の方が上である。
 紋章を探してみたが、Christopher の方は見つからなかった。ただし、Cristóbal のものならあった。
 
 【“Plusesmas.com”より】
 

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バッティング(bateo, batazo)とピッチング(lanzamiento)

2018-07-21 11:42:11 | スペイン語
 広島東洋カープのバティスタ選手(Xavier Alexander Batista)の姓 Batista は動詞 batir (打つ)とは無関係のようだったが、語源に関係なく、どんどん打ってほしいものである。
 野球で「打つ」は英語では beat ではなく、bat だが、スペイン語では batir ではなく、batear である。英語の名詞 bat はスペイン語では bate というが、これは英語から入った語である。「打者」batter はスペイン語では bateador という。「バッティング」はスペイン語では bateo になるようだが、小学館『西和中辞典』には掲載されていない。
  1980年ごろ、コスタリカでメジャーリーグの中継を見ていたとき、「ナイス・バッティング」の意味で“buen batazo”といっていたような記憶があるが、前述の辞書には batazo(または bataso)という語は出ていない。“Spanish Central”というサイトで調べてみると、batazo の英訳として hit (in baseball)と記されていた。やはり記憶は正しかったのである。
 前述の辞書には batazo はなかったが、batatazo という語ならある。ラテンアメリカで使われる言葉のようで、「(競馬で番狂わせの)勝利、大穴」という意味で、batazo の語は batatazo からの連想もあるのかもしれない。
 さて、batir と batear(英語では beat と bat)は形と意味が似ているが、関連語なのかどうかは不明である。
 スペイン語の batir は英語の battle(西 batalla)、combat(西 combate、動詞形は combatir) の関連語であると、『西和中辞典』には明記されている。
 ついでに投手関係の用語にも少々触れておく。
 「投手」はスペイン語では lanzador という。これは動詞 lanzar(投げる)に人を表す -dor がついた語である。「投球」は lanzamiento である。これらの語のおおもとになった語は lanza(槍:英 lance)である。ということで、lanzador は本来「槍投げ選手」のイメージだが、「槍」の代わりに「ボール」を投げれば、ピッチャーということになる。
 そうすると、「ナイス・ピッチング」は“buen lanzamiento”とでもいうのだろうが、1980年ごろのコスタリカでの記憶はどうだったか。“buen pichazo”といっていたような気もするが、こちらの方は定かではない。英語 pitch から来た言葉のような気がするが、『西和中辞典』には載っていない。“Spanish Central”にも載っていない。
 pichazo から語末の zo を取った言葉なら聞いたことがある。和訳するのがはばかられる語である。「♂」の部分を表す語で、「♂の部分が元気すぎる」ことを pichazo から語末の zo を取った言葉のあとに loca (クレイジーな)をつけて表現する。
 何だが、話がピッチングではなく、バッティング(?)に戻ってしまった。 
 

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Batista, Baptista, Bautista

2018-07-19 13:32:54 | 名前
 広島東洋カープのバティスタ選手(Xavier Alexander Batista)の姓の Batista は Baptista がもとになっているが、これは英語の Baptist に相当する。英語の Baptist の意味は、研究社『英和中辞典』によると、名詞「①洗礼施行者、パプテスト、浸礼教会員、②洗礼者ヨハネ」、形容詞「浸礼派の」となっている。「バプテスト」についての詳細はウィキペディア「バプテスト教会」に譲る。
 フランス語 baptiste、英語 Baptist に相当するスペイン語は baptista であるが、同義語 bautista の方が一般的ではなかろうか。「洗礼する」という動詞は bautizar で、baptizar という形は小学館『西和中辞典』には掲載されていない。
 スペイン語 baptista も姓になっている。“Historia Apellidos”によると、スペインでのランキングは第5424位。あまり多くない。Baptista 姓はポルトガル語圏に多く、絶対数ではブラジル、人口比ではアンゴラが一番多い。絶対数では1位から4位までポルトガル語圏の国で占められている。スペイン語圏では5位にベネズエラが登場する(“Forebears”参照)。
 Bautista という姓もある。有名人はメジャーリーガーの José Bautista 選手である。本来は「バウティスタ」と発音しなければならないのだが、NHKでは「ボティースタ」と発音している。ドミニカ共和国出身なので、やはりスペイン語読みの「バウティスタ」と言ってほしいものである。「バティスタ」という表記もあった。「ボティースタ」よりはましであるが、間違いには変わりない(と言えるかどうか)。

 【José Bautista 選手】
 Bautista 姓はスペインでは第210位(“Historia Apellidos”による)。世界的な分布では、絶対数第1位は何とフィリピンで、425,791人。人口比でもトップである。スペインは第5位で24,541人と大きな開きがある。当然のことながら、第10位までほとんどスペイン語圏の国が占めている(“Forebears”より)。
 ここまで、スペインでのランキングをまとめると次のようになる。
 Bautista 210位。Batista 643位。Baptista 5424位。
 Baptista と Bautista は関連があることがわかっていたが、Batista もその仲間であることがわかった。
 日本でいえば、浜崎(はまさき)、浜崎(はまざき)、濱崎(はまさき、はまざき)の違いのようなものだろうか。
 次に、Batista、Bautista、Baptista の紋章を並べてみる。まずは Batista。
  
【“Plusesmas.com”より】 【“Mis Apellidos”より】
 次は Bautista。最後に Baptista。
   
【“Blasones Hispanos”より】【“Plusesmas.com”より】
 紋章からも Batista と Bautista が親戚であることがわかる。
 
 【洗礼者ヨハネ(サンドロ・ボッティチェッリによる)。ウィキペディア「洗礼者ヨハネ」より】
 ところで、洗礼者ヨハネは英語では John the Baptist だが、スペイン語では Juan el Bautista という。定冠詞の el を取ると、Juan Bautista だが、世界中に何十万人もいそうな名前である。

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広島東洋カープのバティスタ選手(4)Batista

2018-07-17 22:16:55 | 名前
 
 広島東洋カープのバティスタ選手(Xavier Alexander Batista)の姓(たぶん父の父姓)の Batista は現代史でなじみのある名前である。カストロをリーダーとしたキューバ革命で倒されたのがバチスタ(Batista)政権である。
 
 【ウィキペディア「フルヘンシオ・バティスタ」より】
 “Historia Apellidos”によると、スペインでのランキングは第643位。珍しい姓ではない。世界的にみると、絶対数1位はブラジルで、人口比1位はパナマである。絶対数2位はバティスタ選手の出身国のドミニカ共和国、3位はキューバである(“Forebears”参照)。
 ところで、Batista の意味は何だろうか。語末の -ista は「~する人、~主義者、~家」または「~に関する、~の特性を持つ」の意の名詞、形容詞語尾である(小学館『西中中辞典』参照)。英語の -ist に相当する。
 スペイン語には普通名詞の batista という語があるが、意味は「キャンブリック、バチスト布:上質で薄手の布」となっていて、「~する人」とは関係なさそうである。てっきり、「batir (打つ)する人」の意味かと思っていたのだが。
 「バチスト布」をコトバンク「バチスト」で調べてみると、「《最初の製造者の名から》細い糸で平織りにした薄手で上等の白麻や木綿地。ハンカチ・肌着・ブラウス・ワンピースなどに使われる」と書かれていた。最初の製造者は13世紀のフランス人で、 Baptiste de Cambrai というそうである。
 スペイン語の batista はバチスト布の最初の製造者 Baptiste に由来することがわかったが、この名前は p が発音されないので、「バチスト」のように聞こえるのである。Baptiste はスペイン語では Baptista となるが、p が発音されなくなって、Batista になり、さらに普通名詞化して、batista になったのであろう。
 ところで、大修館『スタンダード佛和辭典』には Baptiste という項目があり、「①ばかの役をする役者の名、②《俗》ばか〈小文字でも用いる〉」と記されている。
 baptiste と小文字で始まる語も掲載されている。意味は「【宗史】再洗派」となっている。面白いことに、「バチスト布」(西 batista) の意味は見当たらない。
 ばかの役をする役者の Baptiste は「もともとは18世紀の縁日芝居などに登場する愚鈍な道化役の名前だった」とのこと(“ピトレスクなフランス語bot”より)。
 バチスト布の製造者の Baptiste さんは13世紀の人間なので、当時は「ばか」という意味はなかった。18世紀になって現れた道化役のおかげで、とんでもない意味を持たされたものである。
 さて、本題のバティスタ(Batista)選手が将来、カナダのトロントを本拠地とするブルージェイズでプレーして、ボーンヘッドでもやらかそうものなら、フランス語で“Baptiste”と野次られるかもしれない。
 

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広島東洋カープのバティスタ選手(3)個人名 Alexander

2018-07-16 16:52:00 | 名前
  
 広島東洋カープのバティスタ選手(Xavier Alexander Batista)の個人名は Xavier Alexander のはずである。Alexander は姓としても使われるので、はっきりしたことは言えないが、とりあえず、個人名として扱う。
 Alexander はマケドニアの「アレクサンドロス3世」にちなんだ英語名である。スペイン語では Alejandro(アレハンドロ)という形になるが、英語形やフランス語形などを使った方がおしゃれな感じがするのだろう。


 【アレキサンダー大王(アレクサンドロス3世)】
 Alexander ではちょっと長いので、Alex という愛称が作られる。メジャーリーガーの A-Rod、こと Alex Rodríguez 選手が有名である。女性形は Alexandra(スペイン語形は Alejandra)だが、愛称は後ろの部分のみにして、Sandra となる。Sandra といえば、1960年前後のアイドル、Sandra Dee が有名である。Sandra からさらに Sandy という形もできる。
 
 【サンドラ・ディー。スペイン語版ウィキペディア“Sandra Dee”より】
 Alexander という名前の意味は「民衆の保護者」ということで、アリストテレスの教えを受けたアレキサンダー大王にふさわしい名前である(“bekiapadres”参照)。 
 さて、Alexander は姓としても使われるが、スペインにもこの姓を持つ人がいる。“Historia Apellidos”によると、スペインでのランキングは第10581位。絶対数で一番多いのは米国で、人口比で一番多いのはグレナダである(“Forebears”参照)。 トップ10は大体英語圏の国で、スペイン語圏の国ではコロンビアが第11位に入っている。
 それでは、Alexander のスペイン語形の Alejandro も姓として使われているのだろうか。“Historia Apellidos”に当たってみると、ちゃんと姓になっていた。スペインでのランキングは第2537位。Alexander の 10581位よりは多い。世界的な分布を見ると、絶対数1位はメキシコで、人口比1位はプエルトリコである(“Forebears”より)。
  Alexander の愛称のはずの Alex という姓も見つかった。“Historia Apellidos”によると、スペインでのランキングは第13509位。世界的な分布は、絶対数1位はナイジェリア、人口比1位はマーシャル諸島である(“Forebears”)。
  最後に紋章を紹介する。Alexander、Alejandro、Alex の順になっている。

  
 【“ Plusesmas.com”より】【“Historia y Escudo de los apellidos de Los Santos”より】
 
 【Alex “Mis Apellidos”より】
 
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広島東洋カープのバティスタ選手(2)個人名の Xavier は姓にもなる

2018-07-15 15:37:08 | 名前

 広島東洋カープのバティスタ選手(Xavier Alexander Batista)の個人名の1つは Xavier だが、これは「フランシコ・ザビエル」(Francisco de Xavier)の例からもわかるように、姓としても使われている。“Historia Apellidos”によると、スペインでのランキングは第7432位。“Forebears”で世界的な分布を調べてみると、絶対数ではブラジルが多い。2位モザンビーク、4位アンゴラ、5位ポルトガルと、ポルトガル語圏の国が続くが、第3位はインドとなっている。インドのゴアはかつてポルトガル領だったこともあり、ポルトガル人の子孫が Xavier 姓を名乗っているのだろう。
 6位はフランス。7位にマレーシアが入っているが、ここもマラッカがポルトガルの植民地だったので、ポルトガル系住民の多くが Xavier さんたちなのだろう。
人口比ではドミニカが一番になっているが、これはドミニカ共和国ではなく、旧イギリス領のドミニカ国である。
 Xavier から変化した Javier(ハビエル)も同様に姓として使われている。“Historia Apellidos”によると、スペインでのランキングは第3378位。Xavier よりはずっと多くなるが、それでも全体としてはそう多くはない。世界的な分布を見ると、絶対数でフィリピン、人口比ではドミニカ共和国が一番である。トップ10にはスペイン語圏の国がずらっと並んでいる(ただし、5位はアメリカ。9位はサウジアラビア)。ポルトガル語圏の国は18位にブラジルが出てくる。
 ところで、Xavier とは“casa nueva”(新築の家)という意味で、Casanova もこれに関連した姓だということは前回紹介した。
 そこで、ついでに Casanova 姓についても調べてみた。“Historia Apellidos”によると、スペインでのランキングは第342位。結構いるものである。世界的な分布は“Forebears”で調べる。
 予想に反して、イタリアではなく、メキシコがトップだった。人口比ではキューバが1位である。イタリアは絶対数で13位であった。上位はスペイン語圏の国が占めていた。
 最後に Xavier、Javier 及び Casanova 家の紋章を紹介する。
 まずは Xavier。

 
 【“Mis Apellidos”より】 【“Heraldrys Institute of Rome”より】 
 次は Javier。

 
【“Archivo:Escudo de Javier.svg”より】 【“Plusesmas.com”より】
  
 【“Mis Apellidos”より。バスクのもの】
  Casanova 家のは数種ある。
  
 【“Plusesmas.com”より】 【“heraldicablog.com”より】 
  
 【“blasoneshispanos”より】 【“pinterest”より】
 
 【“Heráldica Valenciana”より】

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広島東洋カープのバティスタ選手(1)個人名 Xavier

2018-07-14 22:22:43 | 名前
 広島東洋カープのバティスタ選手。ドミニカ共和国出身である。
 
 【「なんJプロ野球」より】
 フルネームはウィキペディア「サビエル・バティスタ」によると、「サビエル・アレクサンデル・バティスタ」(Xavier Alexander Batista)。「ハビエル・バティスタ」という表記もある。
 個人名が Xavier Alexander で、父の父姓が Batista であろう。Alexander は「アレキサンダー大王」にちなむ男子名であるが、姓としても使われている。もし、姓ならこれが父の父姓で、Batista が母の父姓になる。
 まず、Xavier から片付けよう。この名前は小学館『西和中辞典』には掲載されていない。ただ、Xavier はかの「フランシスコ・ザビエル」(本名は Francisco de Xavier または Francisco de Jasso y Azpilicueta)やラテン音楽の「ザビア・クガート」(Xavier Cugat)でお馴染みの名前である。
  
 「ザビア・クガート」はスペイン人ではあるが、カタロニア(カタルーニャ)の出身である。カタロニアではスペイン語も使われるが、カタルーニャ語が本来の言語である。
 「フランシスコ・ザビエル」の出身地はスペインではあるが、バスク人である。
 Xavier という名前は“Significado de nombres”というサイトによると、バスク語の“Xabier”に由来し、意味は“casa nueva”(新築の家)とのこと。
 ちなみに nueva casa だと、「新築の家」ではなく、「新たな家(住まい)」で中古物件であってもかまわない。casa nueva のイタリア語形は casa nuova である。形容詞 nuovo は俗語や詩では novo という形を取ることもある。つまり、casa nuova は casa nova となり、これを一語にすると Casanova という姓ができあがる。かの有名な「ジャコモ・カサノヴァ」(Giacomo Casanova)さんの姓である。
 
 【ウィキペディア「ジャコモ・カサノヴァ」より】
 あの「ザビエル」が「カサノヴァ」だったとは!
 本題に戻る。
 Xavier という名前は古いスペイン語にも現れるが、時とともに Javier とつづられるようになった。ただし、カタルーニャ地方とガリシア地方では Xavier という形も使われている(“Significado de nombres”参照)。

 【左上 Galicia。右上 Cataluña】
 ひょっとすると、バティスタ選手のご先祖様はカタルーニャ地方、またはガリシア地方の出身なのかもしれない。 
 

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広島東洋カープのフランスア(Franzua)投手(2)父の父姓(?) Franzua

2018-07-13 17:41:29 | 名前
 
  広島東洋カープのフランスア投手(Gerónimo Franzua)の姓(たぶん父の父姓)の Franzua は初めて耳にする。
 “Historia Apellidos”ではヒットしなかった。それではと、最近見つけた“Forebears”というサイトで調べると、世界中に357人しかいない珍しい姓であることがわかった。スペインには1人もいない。絶対数ではメキシコがトップで183人、次がドミニカ共和国で144人である(フランスア投手の出身国)。人口比ではドミニカ共和国がトップに躍り出る。
 Fransua とつづる「フランスア」さんもいる。絶対数では何とウズベキスタンが1位である。人口比ではドミニカ共和国である。Franzua とつづろうが、Fransua とつづろうが、ラテンアメリカでは発音が同じである。日本で言えば、「はまさき」と「はまざき」の違いぐらいになるのだろうか。
 スペインには1人もいないということはスペイン語由来ではなさそうである。
 そこでつらつら考えてみたが、「フランスア」に似た名前に「フランソワ」(François)がある。フランス人男性の個人名(女性なら Françoise「フランソワーズ」)として使われるが、姓としても使われている。“Forebears”によると、絶対数1位はフランスではなく、ハイチである(人口比でも1位)。フランスは2位となっている。そして、ドミニカ共和国も絶対数で1803人で、10位につけているのである。
 ということは、フランス名前の François がスペイン風に Franzua(または Fransua)に変化していったのではないだろうか。フランス語の“ç”の文字はスペイン語にはないので、これを z(または s)に置き換えたと考えられる。
 ドミニカ共和国とハイチは同じイスパニョーラ島にあり、島の西側3分の1がハイチで、東側がドミニカ共和国である。もともと両者ともスペインの植民地だったのだが、フランスが西側を取ってしまったわけである(詳しくはウィキペディア「ハイチ」参照)。
 同じ島にある隣国どうしなので、人の移動もたやすいことだろう。ということで、ドミニカ共和国にもフランス名前の François さん(それから派生したと思われる Franzua、Fransua さん)が多いこともうなづけるのである。
 Franzua(または Fransua)家の紋章は見当たらなかったが、François のものならあった。

 
【左 フランス  右 イタリア “Heraldrys Institute of Rome”より】
 ちなみに、François は男子名でもあり、スペイン語の Francisco に相当する。これも François 同様、姓としても使われ、スペインでは690位になっている。 紋章は以下のものが代表的なもののようである。
 
 【Francisco 家の紋章。“Plusesmas.com”より】 
 ところで、Francisco Franzua さんは何人ぐらいいるだろうか。

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