明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



幕末、明治の頃の寄席を写真で再現する予定である。上野の戦争の最中も寄席はやっていた。幸いな事に伊藤晴雨のようにあらゆる風俗を描いた画家などが描き残しており、それこそ圓朝が出演中の看板なども描かれている。ほぼ線描だが、その寄席の軒先に突き出た看板は夜間には火が灯されていたにちがいない。 そういえば乱歩が団子坂で兄弟等と営んだ『三人書房』や「目羅博士」の作中の眼科の看板など板に文字を彫り、彩色して合成した。写真は無い物は撮れない。在る物を撮るのはいくらでも上手な人がいるので任せるとして、私は私の頭の中に在る物を取り出して撮ろう。何しろ眉間にレンズを向ける念写が理想である。 ただ、浮んだそのまま忠実にやってしまうので、野暮臭く、身も蓋もないところがある。何気ない物を撮影し、比喩的な、見る人に想像を促す、などというシャレた真似が私にはできない。詩を、さらにポエチックな表現を解しない、というのもその辺に理由があろう。
HP

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