昼を一緒に食べた後に、娘の旦那の車でイナリヤトのショップへ送ってもらった。
お二人の女性がシャブリ三種の試飲に来ていただいており、予定の時刻の二時から一緒に飲んでみた。
最初はサルファーフリーを目指したナチュラルワインで、日本へ持ってくるのに不安で、瓶詰めするときに少し硫黄を添加してきたとのことだが、ひじょうに微量とのこと。
ノンフィルターで濁っていて味わいは豊かで柔らかい感じがあった。
女性二人もこのワインを気に入っていた。
二つ目がヴィエーニュ・ヴィーニュで、シュル・リーでタンパク質の旨味をワインに取り込んでいて、20年近く前から僕のお気に入りのワイン、早めに開栓しておくことが味わいをフルに堪能するための秘訣だった。
11時半に娘がワインを引き取り、店で直ぐに開栓して置いたので、豊かで厚みのある味わいを楽しめた。
一級のモンマンは日当たりがいい所為なのか、果実味が強く甘みを感じ、それでいて深みもあるワインで、鉱物質の風味が感じられた。
シャブリは酸が強く繊細と思われていて、かつては多めの硫黄が添加され、それえがフリント香と解明されたが、それとは別にカルシウムなどが味わいに反映されていると思う。
オーストラリアの学者と論争をしたことがあり、彼はテロワールのくびきから逃れるために、土壌成分はワインに反映されず、水分を切ることに拠って風味が生まれると主張した。
新興産地のテロワールに対する反感や嫉妬は大きい。
この十年くらいは、ワインの最新技術から離れていたので、その後の研究成果を知らないが、土壌成分は根から吸収され、それが味わいに反映することを否定するのは無理筋で、何らかの影響があると考えるのが常識ではないか。
久し振りに旧友と会い長く話をして、彼のワインを一緒に飲んで過ごせひどく嬉しかった。
以前よりワインがピュアになったと感じたのは、瓶詰め技術やナチュラルコルクをやめてコーティンしたコルクを使い、品質向上に努めている成果だと思う。
ここ10年の読書が政治・経済・歴史に傾いて、ワインについては、もっぱら味わう立場になっていた。
最前線に立ち続け、自分のワインの品質向上を怠らない友人から、最新技術や情報に触れることも必要だなと大いに刺激を受けた。