水銀党本部執務室

冬月のブログです。水銀党本部の活動や、政治社会問題、日常の中で感じた事など様々なテーマで不定期に更新されております。

haruさんから、新しい水銀燈の絵を頂きました♪

2006-02-27 02:02:52 | Weblog
ご覧の通り、ブログのプロフィール画像に使わせて頂いている水銀燈の絵、何とこのたびharuさんからこのブログの完成のお祝いにわざわざ新しいものを頂きましたので、早速新しいものに換えてみました!
この感謝の気持ちをどのように表現すればいいのか、私の語彙力では思い浮かばないほどです。本当にありがとうございます!

とても穏やかで優しい感じがして、素敵な水銀燈です♪
ローゼンメイデン第三期があるとすれば、こんなお顔の水銀燈も見られるかもしれませんね。

水銀党本部執務室、本格始動・・・『異邦人達の終着駅』との接続にあたって

2006-02-26 13:14:01 | Weblog

2月26日はHP『異邦人達の終着駅』の創設二周年にあたり、これを記念したサイトの大改造が行なわれております。
本ブログ『水銀党本部執務室』は、これら一連の記念事業の一環として新たに設けられたものであり、このたび『異邦人達の終着駅』水銀党コーナーに付設されました。
今後はこのブログを『異邦人達の終着駅』における水銀党の情報発信の場として積極的に活用し、もって『異邦人達の終着駅』の繁栄と発展に貢献していきたいと考えております。
私は本日、『異邦人達の終着駅』公式掲示板で、以下のような談話を発表しました。


二月二十六日。
二年前のあの日は、今日より寒かったと記憶しております。
人は皆別々の道を歩むものですが、当時私が立ち止っていたこの日に、私と同い年の青年が、素晴らしいセンスと努力でもってこのようなサイトを創ったのかと思うと、改めて良い友人をもったことを感謝したくなります。
去年より活動に参加させて頂き、今ではすっかりこのサイトに愛着がわきました。この日を神鏡と共に迎えられた事は、私にとってこの上ない喜びです。これまでに訪れて下さった大勢の方々と、管理人の労苦が無ければ、今日を祝うことはできなかったでしょう。
『異邦人達の終着駅』創設二周年、おめでとうございます。
今日という輝かしい日を節目とし、次の二年も、そしてそれからの日々も共に歩んで行きたいと願って、管理人補佐・水銀党からの挨拶とさせて頂きます。
『異邦人達の終着駅』に、栄光あれ!
 

 

最後の「栄光あれ!」は私と容姿と境遇が酷似している某青年の受け売りなのですが(涙)
ここで述べました通り、今日という日を心より祝し、今後の活動に取り組んでいきたいと思います。
当サイトに今日私が参加しておりますことは、これまで私を支えてくれた盟友達、そして大勢の利用者の皆様のおかげでありますことは申し上げるまでも無いことですが、特にこのたびブログの新設にあたって、感動的なプロフィール画像の提供に同意して下さった、いつもお世話になっているharuさんの優しさと寛大さには、格別の感謝を申し上げたいと思います。
私の我侭を聞いて下さり、本当にありがとうございました(最敬礼)
そして、今はまだ非公開ですが、今後さらなるサプライズもあるとのこと。心より楽しみにしております♪

率直な話、去年このHPに参加してから、数々の困難にも直面しまして、そうした中で、自分はここでは通用しない人間なのかと、自信を失いかけておりました。
実際、私はまだ至らぬことばかりの人間だと思います。
しかし、捨てる神あれば拾う神ありでして、haruさんのように、こんな私を評価して下さる方もいらっしゃる。
勿体無いことです。が、とても嬉しく思います。

そうしたご期待に少しでも答えられる様、微力なりとも尽力したいと思っております。

皆様におかれましては今後とも『異邦人達の終着駅』及び水銀党コーナーを、どうかよろしくお願い申し上げます。


今年も、2月26日がやってきた。

2006-02-26 04:05:55 | Weblog

早朝、訓練だと言って突然上官に起こされ、機関銃の実弾を準備させられた。
何故訓練に実弾が必要なのかと不思議に思いながら準備を終えると、行き先も教えられずにトラックに乗せられた。
やがてトラックを降ろされると、そこはどこかの大きな邸の前だった。
上官はそこに機関銃を据え付けさせ、そして邸を撃てと命じた。
わけがわからなかったが、軍隊では直属の上官の命令は絶対なので撃った。
夜が明けて空から投降を呼びかけるビラが降ってきて、初めて自分達が反乱軍になっていたことを知った・・・・・

これは、実際に2・26事件を反乱軍兵士の一人として経験した人物が私の知人に語ったという、あの事件の知られざる真実です。
反乱の意志があったのは上層部の一部の将校達だけで、末端の兵卒達は何も知らず、反乱の意志も無しに反乱軍になってしまっていたことがわかります。
上官の命令が絶対である、軍隊という組織の怖ろしいところです。
しかもこの兵士達は事件後将校のように裁判にかけられることも無く、帰隊後憲兵隊に拷問されてそのほとんどが殺され、生き延びた兵士も後の戦争で最前線に送られて、戦後まで生き残ることができた人はごくわずか。それゆえに、教科書にも載っていない、貴重な情報となっています。
皇道派の掲げた理想には私も共感するところがありますが、何も知らずに巻き込まれた一般兵のことを思うと、その共感も薄らぎます。高潔すぎる理想に酔って、イデオロギーに突き動かされた人間の傲慢さは、フランス革命のロベスピエールや、戦後の学生運動や日本赤軍のような過激派を指導したアジテーター達にも、同じものがあるのではないでしょうか。かつて所属していた大学のサークルで、私自身も似たようなものを体験しています。



 

こんな風にたまには歴史を紐解いて色々考えさせられるのも良い事ですが、自分自身の話をしますと、私にとって今日2月26日は、2年前に、当時好きだった人を失った日として懐かしく覚えております(苦笑)
あの頃はさすがに辛かったですが、今となってはその時の心の傷も癒えて、良い思い出として受け止めておりますから、こうやってブログなどで皆さんに笑い話の種に喋れるというわけです。
まあ、あの頃の私は若かった(今でも若いですがね)、あれを良い教訓に色々な点で未熟だった部分が成長したのが、せめてもの幸いだと思っています。
もっともあれ以来ずっと独り身ですし、それを変えようとするとろくなことにならないのが身に染みたので、今後も良い人が見つかるまでしばらくはこうしているつもりですが(笑)
しかし、神鏡が今日公式掲示板での談話で、この2年を15、6年経ったように感じると言っていましたが、私も同感です。
時間が経つと、彼女と過ごした記憶がどんどん薄れていくんですな、悲しいことに。
これは私だけなのか、人間皆そうなのか知らないが、一番最初に忘れるのが、意外なことに相手の顔です。
写真でもあれば思い出せるのでしょうが、写真が入っていた古い携帯を新しいものと変えてしまったので。
逆に声、あるいはつけていた香水の香りなんかは、2年経っても鮮明に覚えている。
まあ私はワイン専門ということもあります。この前デパートの香水売り場を歩いていたら同じ匂いがしたので、彼女が何の香水を付けていたのかわかったほどです(笑)
嗅いだ香りの記憶を2年ぐらいで忘れてちゃあ、ワインテイスティングなんてやってられないですよ(←論点がなんか違う)
まあ他に2月26日で私が経験した記念すべきことっていうと、初めて自分で車を運転した日が2月26日なんですが、やっぱし失恋の記憶の方が車よりでかいですなあ(笑)
さて、JR上野駅の公園口を出て上野公園へ入ると、入って右手に『上野グリーンサロン』というカフェテリアがあります。
上野公園の中にある店ですから、ご想像の通り不味いカレーライスだのラーメンだのうどんだのを売ってるどうしようもない店でして、そこは外観だけ綺麗なのが救いなんですが、2003年の夏に彼女と国立博物館のトルコ文明展を見に行った帰りに、そこのテラス席で二人でアイスティーを飲みました(生々しい話ですみません)
いや、本当は昼にデートに相応しくちゃんとした高級フレンチを予約していたんですが、当日彼女が寝坊で3時間半遅刻しやがりまして、時間も無いし彼女も食欲が無いと言うので、偶然見かけたそこに座ってお茶を飲んだのです。それだけの、些細な話です。約束の時間の30分前に来ていた私が都合4時間待ち合わせ場所に突っ立っていた結果、『異性との約束とは必ずしも守られるものでは無い』という貴重な教訓を得、その教訓が後にKanonというゲームをプレイする際に大いに役に立ったということを除けば実に些細なことです、はい。今では私も、坂本真綾が天空のエスカフローネで歌っていた『約束はいらない』の意味がわかります(←死んでしまえ)

・・・話は現代に戻りますが、昨日、弟が小学校の校外学習で上野動物園に行くというので送り迎えをしましてね(うちの弟はVIPPERなので護衛が必要なのです←なわけねーだろ)弟が動物園に入ってから出てくるまでの二時間、どこで時間を潰そうかとぶらぶらしていたら、その店を見つけました。
何だか、妙な気分がしました。あれからもう3年経って、私はあの頃とはまるで変わってしまったのに、その店は3年前のあの遠い夏の日とまるで変わらなくて。店のメニューも貧相なまま、彼女と一緒に座ったテラス席も、昔通りでね。
たださすがに寒いのでテラス席には誰も座っていませんでした。私も寒いのは嫌だったのですが、まあたまにはきまぐれに感傷に浸るのも良いだろうと、3年前と同じ席に座りまして。
そうしたら、さすがに従業員が言いに来るんですよ。お客様、中にもお席がございますよって。それを「いや、ここでいい」と断って座り続けます。
こういうのって、なんだかドラマみたいですよね(←いい加減Kanonから離れろ)
そうやって、今は空席の、昔彼女が座っていた椅子を無為に眺めていました。
気が付けば、二時間経ったのでしょうか、動物園から出てきた弟がやって来て、「こんなところで何をしてるんだ、兄貴!?」とドズル風に聞かれました。
私は、こう答えました。

「人は思い出を忘れることで生きていける。
だが、決っして忘れてはならないこともある。
彼女はそのかけがえのないものを教えてくれた。
私はその確認をするためにここに来ている」

どこのネルフ総司令だっつーの(爆)
弟よ、エヴァに魂を売った憐れな兄を許して下さい・・・。

真面目な話、人は、過去にとらわれては生きていけませんから、忘れるということは神様がくれた大切な力だと、言う人がいます。一方で、過去を忘れてはならないと言う人もいます。
どちらも正論だと、私は思います。だから私は年に一度、今日だけ、彼女のことを思い出すようにしています。

今日は、異邦人達の終着駅の創設二周年だそうで。

私が一つの終局を迎えていたのと丁度同じ日に、友人の神鏡がこのサイトを興していたというのは、ある意味運命を感じます。始まりと終わりは、同じところにあるものです。
今年の2月26日は、神鏡と一緒にこの創設記念日を祝う日にすることができて、本当に良かった。
神鏡には感謝しなければならないと、思っております。本来なら過去を振り返り嘆息するだけだった今日という日を、明るい希望の日に変えてくれた。

おかげで今日は、笑顔で過ごせそうです。

 


オフレポ風・政界風見鶏

2006-02-21 02:25:20 | Weblog

どうも、日記の更新が滞って申し訳ありません。
いや、20日に神鏡とそのお友達の皆さんとの飲み会がありましてね、こっちは同志A(通称モスト)を連れて、前に下見した新宿の日本料理屋で飲んだんですが、いや、これが盛り上がっちゃって。
とても楽しかったですよ、ああいうオフ会なら、またやってみたいですね♪

で、それは良いんですが、その夜結局始発まで四軒も店ハシゴしちゃって~(笑)いやー、飲んだ飲んだ。おかげで翌日から二日酔い。仕事なのに(爆)
とりあえず酒臭さをごまかすために、ミントガムかみまくりながら会議出てます。
昔は夜しこたま飲んでも、翌朝はしゃっきりして働けたんですがね~


二十四時間戦えますか?とか口ずさみながら(古すぎ)

やっぱもう年なんですかね?生え際も最近ギレン総帥のように後退してきましたし(それは禁句だ)

そんなこんなで二日酔いで気分悪くてしばらく浮世からドロップアウトしていたんですが、今日久々に新聞を読んでみたら、なんとまあライブドア事件を巡る政界の動きが思わぬ展開に。
ガンダムSEEDが好きな私の友人が、ザフト(民主党)連合(自民党)に、堀江メールで追い討ちをかけようとオペレーション・スピットブレイクを仕掛けたが、堀江メールは実はサイクロップス(ガセネタ)だったと、中々洒落たたとえ話をしてくれました(笑)
きっと、彼女の頭の中では民主党議員たちの身体が膨れ上がって爆発してるんでしょう。
まあ今回の騒動が強制捜査があった最初から自民党の策略だというのはさすがに政治小説の読みすぎだと私は思いますがね。
なんでも「シナリオ通り」とか言ってる碇ゲンドウのようなカッコいい政治家は、実際の永田町にはほとんどいませんよ。あそこはみんな、風任せですな。小泉総理は言ってみれば、波に乗るのが上手いサーファーです。波そのものを作るような大胆でリスクを伴う真似はできない。
パールハーバーを仕組んだアングロサクソンは、正直凄いと思いますよ。

ただし、あのガセネタは確実に、誰かに用意されたものでしょう。それが自民党なのか、あるいは民主党を掌握したい小沢さんなのかはわかりませんが。

終わったことで憶測をするより私にとってやりがいがあるのは、小泉総理が9月に退いた後の、政界の将来を占うことですね。

安倍さんも、そう楽に総理にはなれないでしょう。永田町では、事前に「本命だ」と言われた人ほど引き摺りおろされやすいですから。それがわかっているから、安倍さん自身も、後見役の森会長も、後継者に名指しされてあまり良い顔はしなかった。
でもだからといって、ここで遠慮するべきでもないでしょう。昔小沢さんは金丸氏から次の総理にならないかと言われたときそれを断ってしまって、結局チャンスはその時一回しかまわってこなかった。総理というものはなれる時になっておかないと。

最も重大なのは、この5年間で小泉総理が、従来の自民党という政党が政権を維持するために戦後築いてきた伝統的な基盤を完全に「ぶっ壊して」しまったこと。
彼は選挙で勝つための支持基盤を、郵便局やゼネコン団体の組織動員でなく無党派層に求めました。彼はメディアを使って世論を味方につけるのが上手かった。ですがあんな芸当は、彼にしかできないことです。
彼が退いた後の自民党の総理候補に、マスメディアをコントロールできるような大物はいません。つまり今後は、政局が完全にマスメディアに左右されるようになります。
55年体制なんてのんびりしたことは言ってられない、些細なスキャンダル一つでマスコミが大騒ぎして政権がコロコロ変わる時代が到来するでしょう。
既にアメリカがウォーターゲート以降、似たような体制を経験してきていますが、この本当の意味でのメディア時代で政治を安定させるためには、二大政党が両方とも、しっかりとした政権担当能力を持つ必要がある。
アメリカでは共和党、民主党、選挙の時に掲げる公約こそ違えど、政権をとった後の政策にそれほど極端な差異は無い。民主党はどちらかといえばリベラルですが、かといって政権をとった後に金持ちに大増税をやって財産を没収するかというとそんな共産党みたいな真似はしないし、共和党は保守派ですが、政権をとった途端に福祉予算をゼロにしたりはしない。だから国民は安心して投票できます。
日本もメディア時代で国益を守った国家運営をするためには、どちらがなっても国家の舵取りがしっかりやれるから大丈夫、と、経済界と一般市民を安心させなければなりません。
その点で、民主党は責任重大です。
『烏合の衆』『寄り合い所帯』と叩かれ今回のライブドア事件でまたも大失態をしましたが、自民党に何かあった時、代わりに政権を担えるだけの能力を早く付けて欲しいものです。
国民の多くが自民党に不満を持ちつつ「仕方ないな」と自民党に投票するのは、野党が信用できないからです。
『失われた十年』をつくってしまった93年の大連立、そして阪神淡路大震災の時、党が左翼だというイデオロギーで自衛隊出動に最後まで消極的で、結果6000人もの人々を瓦礫の下で殺してしまった社会党村山政権の悪夢を、皆忘れられないでいます。つい去年まで綱領に『社会主義革命』を掲げていた日本共産党など、何をかいわんやでしょう。
メディア時代が到来する前に、常識のある野党をつくって欲しい。
これが私が今、永田町の住人に対して切に願っていることであります。

 

あとがき

どーして飲み会の話がいつの間にか政治の話になっちゃうんでしょうね(苦笑)
まあ酔っ払いの戯言と笑って見て下されば幸いです。
自分は国際政治が専門なので、フィリピンとウクライナの情勢の方が国内問題より気になるのですが、そっちの話をしだすと長くなりそうですので(←今でも十分長いって)


東京へ帰還

2006-02-19 01:39:35 | Weblog

冬月、東京駅に立つ。

ソロモンよ!私は帰ってきた!!

薔薇「相変らず騒がしいこと・・・」

銀様「ほら冬月、せっかく出迎えに来てやったのに、大声でわめかないでよ。他人のふりしなくちゃならなくなるじゃないの」

・・・いや、失礼。
ほら、お土産に広島名物のもみじまんじゅうを買ってきましたよ。

銀様「またまた、ありきたりなものを・・・しかも普通の餡子入り?せめてヤクルト入りとかにしなさいよ

薔薇「・・・そんなものは無いです」

ははは、広島の土産といえば、これしか無いですからね(←広島市民に怒られそうな発言)

薔薇「きっと原爆でもみじまんじゅう以外全部焼けてしまったんでしょう(←広島市民に殺されそうな発言)」

こらお前、冗談でも言って良いことと悪いことが・・・・・

銀様「はむはむ・・・・・美味いのう、美味いのう、ぎぎぎぎぎ・・・・

ってこら、勝手に食べない!しかもネタが古い!!

銀様「ほら冬月、ぐずぐずしてないでタクシー捕まえなさい!これからめぐの病院で、冬月が前に用意したシャンパンをヤクルト混ぜて飲むんだから」

薔薇「そういうことに関しては記憶力が良いんですね・・・でも私、そんなカクテル飲みたくないです・・・・・」

そ、そうですよ!それに私、明日神鏡たちと飲み会があるんで、あんまりお酒は・・・・・

銀様「男が弱気なこと言うんじゃない!乳酸菌足りてないんじゃないの?(冬月を引き摺りながら)」

薔薇「1998年にシャトーディスクールのセカンドラベルが、醸造過程の乳酸発酵をはしょるために牛乳成分を混ぜたのがばれて問題になりましたが、この人はそういうの喜びそうですよね・・・

ああ、薔薇水晶のウンチクがまるでレクイエムのように聞こえる・・・

 

 


広島滞在三日目『広島の地で感動的なワインと出会う』

2006-02-18 01:35:22 | Weblog
広島滞在も、最終日です。
この日は伯父が学校の同僚の先生二人を呼んで、一緒にムーラン・ルージュというイタリア料理店に行きました。一年前にも一度来た店で、この日はトリノオリンピック記念のスペシャルディナー目当てに予約で満席、中々の繁盛店です。
といってもいつも東京にいて、年に一度ぐらいしか広島に帰れない私としては正直いつでも食べられる洋食より郷土の食べ物が良かったので、まあ地元の人で集まるからしょうがないかぐらいの気持ちだったのですが、ここで私を待っていた感動的な出会いが、そんな私の倦怠感を吹き飛ばしてくれました。
この日の料理とワインは私が店のソムリエーヌと相談し、前菜の9品盛り合わせ(サヨリ、生牡蠣、牡蠣のベーコン巻き、ヒラメ、エスカルゴ、馬刺し、サーモン、地鶏の燻製、鴨のロースト)にイタリアのスプマンテ・ブリュット(辛口)と仏アルザスのリースリング、メインの子羊背肉ローストのロックフォールソースにはブルゴーニュ風の軽やかなサンジョベーゼ・トスカーナワインの段取りに。
ところがこのトスカーナワイン、香りも味もどこか貧弱で、女性陣には飲み易いと好評でしたが、渋めのフルボディが好きな私には不満なことこの上ないし、何よりロックフォールソースの濃厚さに負けている。
私がトスカーナワインを頼んだのは、昔フィレンツェに行った時レストランでトスカーナのワインを飲みたかったのに、高すぎて当時の私には飲めなかったという苦い経験があって、なんというかトスカーナへの憧れがあったからということもあるのですですが、これは失敗でした。
最後に残っていたのが、カラスミのペペロンチーニと一緒に出てくるチリワイン。
私はニューワールドのワインにはあまり詳しくないので、国家が重要な輸出産業としてワイン生産を厳格に管理しているチリ産なら間違いも少ないということもあって、最後に少し重ためのものをと頼んでいたのです。
ジンファンデルという本来はカリフォルニア産が多い葡萄を使った、ミラマンの02年。値段は店で4000円、仕入れ価格は1200円といったところでしょうか。
並んでいるボトルをセラーまで見に行った時に、光を全く通さない漆黒に近いブラックルビーが、期待をそそりました。
運ばれてきたワインが開栓された瞬間に、強烈な香りに驚かされます。
ブラックベリーやカシスの熟した香り。
期待に胸を躍らせて注がれたワインを口に運ぶと、なんという濃厚な味なのでしょうか。
例えるなら燻したオークにチョコレート、それにドライフルーツの、濃縮された味わい。
これはボルドーのサンテミリオンに匹敵する、素晴らしいフルボディだと思います。
上の写真はホテルに戻ってから馴染みのワインディーラーにメールで問い合わせたところ、提供された資料のもの。
勿論、お金さえ出せばフランス産でもっと完成された味と香りのワインは手に入ります。しかし、コストパフォーマンスを考えれば、このワインには高い評価ができる。
ニューワールドのワインを飲んでいると、たまにですがこういう出会いをすることがあります。以前、田崎信也が主催したブラインドテイスティングで、オーストラリアの無名のワインを大勢の著名な評論家が、フランスやカリフォルニアの有名ワインと間違えたことがありました。
ニューワールドの底力、これからも楽しみです。

さて、広島滞在も今日で終わり、明日は東京に戻ります。

広島滞在二日目『広島の食』

2006-02-17 00:01:21 | Weblog

三泊四日の広島滞在、一日目は久しぶりに会えた祖母が思いの他元気そうで、ほっと一安心したせいか、夜のご馳走もとても美味しく頂けました♪
広島に帰るといつもお世話になるのが、広島の音楽高校の先生をしている伯父(母の兄)です。小さい頃から私のことを可愛がってくれて、よく宮島に連れて行ってくれて、岸壁で生の牡蠣をとって食べさせてくれました。
牡蠣が嫌いな人って多いですけど、私が牡蠣が大好きなのは、そうやって伯父に新鮮な牡蠣を食べさせてもらって育ったおかげだと思います。伯父に感謝ですね♪

その夜も、伯父夫婦に連れられて、二人の行き着けだというお好み焼屋さんへ。
広島でお好み焼は定番だと思うかもしれませんが、そこはさすがは地元の名士の伯父さん、普通のお好み焼屋じゃあありません。
『八昌』という、広島で一番人気のあるお好み焼屋に連れて行ってくれました。そこの店主とは、ゴルフ仲間だそうで(笑)
このお店予約ができないので、一人で行ってもカウンターには中々座れないんですよ。お好み焼はやっぱ、目の前で焼いたのを食べないとね。

このお店は、お好み焼を焼くだけではありません。東京の鉄板焼きの店のように、お好み焼の前座に和牛や魚介類を目の前の鉄板で焼いて出してくれます。

その中で、私が特に印象に残ったものが二つ。
一つ目は、牡蠣のお好み焼です。オリーブオイルをしいた鉄板で、広島の牡蠣をニンニクと一緒に炒め、最後にお好み焼に使う小麦粉をまぶして、カキフライみたいな格好になります。これが美味い!外側のコロモに歯を立てると、中から熱い牡蠣の旨みが迸って!(←美味しんぼ風説明
新鮮な牡蠣でなければ、この味は出ないでしょう。鉄板焼きは、フランス料理のようにソースやらなんやらで時間をかけて食材をいじめない、逆に人が加える手は最低限で食材の持ち味を活かした料理です。職人に求められるのは、良い食材を見抜く目と、火を入れる時の一瞬の手際ですね。
二つ目は、焼きイカ。外がまるでお菓子のようにふっくらとしていて、中はコリコリ。イカの臭みも無くむしろ甘みすら感じる。そしてお値段はメニューの中で一番安い(びっくり!)素晴らしい焼きイカでした。焼きイカに『繊細』という言葉を使ったら笑われるかもしれないが、ここの焼きイカを食べれば、砂糖菓子のように繊細な焼きイカがあることがわかるでしょう。

ちなみに主役のお好み焼、ここはキャベツにこだわっています。自前で農場を経営して、お好み焼に最適なキャベツを栽培しているとか。驚きです。
それと店が冷酒としておいている(ワインで言うなら店のハウスワインですね)のは、『賀茂泉』という広島を代表する地酒です。ここでは大吟醸の、それも古酒をおいています。東京ではあまり飲める機会が無いので、ついつい飲みすぎてしまいました♪

しかし余談ですが、日本酒を語るときに『地酒』という言葉には注意が必要。
ワインは葡萄畑とワイナリー(醸造所)がくっついていますからその土地でつくられたワイン=原料はその土地の葡萄ですが、日本酒は醸造所がある場所の近くに、原料の米が育った田んぼがあるとは限らない。日本列島の全く違う場所で収穫された米を原料に、地酒がつくられていることだってあるんです。
ワインとのこの違いの最大の理由は、日本がフランスと違って狭いことと、何より米が葡萄と違って保存がきくため、どこの土地でとれた米でも、全国へ流通させられること。山田錦などが代表格ですね。
ですから郷土愛で自分の地元の酒を語るのは良いのですが、地酒とはあくまで醸造された場所、ということで、米も、最近では水も調合されてますから、そのあたりのことを勘違いすると危険です。
その土地の水で育った米を、同じ土地の水で合わせて酒をつくる、そしてそれをその土地の食べ物を肴に飲むという自然なやり方が一番だと、私は思うのですが・・・。

ちなみに今日紹介したこの八昌、東京の世田谷にもお弟子さんが支店を出しているとか。
お好み焼が好きな方、是非探してみてはいかが?

 

二日目の夜は、居酒屋で珍味を堪能。特に面白かったのが、

『のれそれ』という、アナゴの稚魚です。上にあるのが、その写真。これを生でポン酢につけて食べる。

全長は5センチほどで、ひもかわうどんのようにひらべったくて透明、黒い目がなければ魚だとは気付かないような食べ物です。食感は、魚の卵特有のプリプリ感ですね。するっと口に入り味はしつこくないですが、一方で海の恵みが濃縮されたかのような濃厚な潮の香りもするから不思議です。

伯父は昔高知の旅館で、これを生きた状態で踊り食いをしたことがあるとか。
この手の小魚は早朝に漁師が取ると、数時間で弱って死んでしまいますから、夜に踊り食いはできない。だから旅館では朝食に踊り食いを出すわけです。日本の伝統的な旅館に残る、贅沢な伝統ですね。私もいつか生きたやつを食べてみたいものです。

他に特筆すべきニ品は、牡蠣のマリネと『酒盗とチーズ』。
前者は和風の味付けがしてあってつきだしには最適ですね!
しかし、今日はなんだか牡蠣料理の紹介ばっかりで・・・・・神鏡が、牡蠣が苦手なんですよね、実は。いや、申し訳ない。
以前美味しい生牡蠣を食べてもらって美味しんぼ的展開を狙ったことがありますが、現実は厳しいっす(汗)

さて、後者の『酒盗とチーズ』の『酒盗』は、聞いたことのない方が多いのではないでしょうか。これは、魚の胃と腸を塩漬けにして一年以上熟成させた、いわば魚の腹の塩辛です。
少量しか取れない珍味なのですが、これがまた酒と最高に合う!塩の辛さと内臓のふくよかさが口の中で踊るような、実に理想的な酒の肴で、もし酒なしでこれだけを食べさせると確実に酒が欲しくなって酒を盗んでしまうということで、『酒盗』という名前なのだそうです(笑)

この店ではこの酒盗とクリームチーズを和えるという斬新な料理法でしたが、これが意外と合っていて勉強になりました。
酒盗は中国四国地方の珍味なので東京では手に入れるのが難しいですが、イカの塩辛なら簡単に手に入りますね。あれとクリームチーズを合えても、似た味をつくれるのではと思います。東京に戻ったら、早速実戦です♪


広島滞在一日目『少し真面目に、昔の話』

2006-02-16 16:07:29 | Weblog

外国でも日本の国内でも、私がどこかの街を訪れる時最初に必ずやる習慣があります。
タクシーの運転手さんとお喋りをして、最近の街の様子を聞く。その土地の雰囲気に自分が馴染むためにも地元の人の考え方を知るためにも役に立ちますし、何より私はお喋りが好きですから、床屋さんだと間違って耳を切り落とされたくないので滅多に喋りませんが(笑)、タクシーだと何故か平気です。

東京から広島まで、新幹線で4時間ほど。昔は特急つばめで18時間かかったものですが、今は早いこと早いこと(←その時代生まれてもいないくせに)
駅から市の中心にある祖母の入院先に行くために、早速タクシーを捕まえました。
個人タクシーで、運転手は人の良さそうなおじいさん。
個人的に、こういう人好きです♪
行き先を言った後、まずは定番の天気の話から。

私「東京からきたんですがね、今日は朝出るとき東京も曇りで、ここまで逃げてきてもまだ曇ってますなあ」

運転手「ほう、東京も曇りですか、じゃあ全国的に曇っとるんでしょうなあ。・・・ところでお客さん、東京は最近雪は降りましたか?」

私「去年の12月にちょびっと、今年に入ってから大きいのが2回ぐらい降りましたね」

運転手「そうですか・・・広島は、去年の12月にやられましてな。2回もです。それはもう、ひどいもんでした。一度降られると、道路が二日は駄目なんですわ。客足も・・・広島は昔はよう雪がふらんかったんですがねえ・・・」

まるで空襲でも受けたかのような沈痛な声で雪の話をするおじいさん。
きっと街を出歩く人の数が減って、タクシーの売り上げに相当響くんでしょうね。

運転手「この前乗ったお客さんが、サラリーマンの人なんですけど、天気予報で事前に雪が降るとわかると、仕入れを4割減らさにゃならん言うてましたよ。デパートとかスーパーに勤めてる人なんでしょうなあ」

私「ああ、それわかります。多分サービス業の関係者でしょうなあ。私も・・・」

この後しばらくサービス業全般の世間話を。それから、肝心の最近のこの街の景気を伺ってみました。

運転手「まあぼちぼちですな。最近マツダが前より経営が良くなりまして」

ちなみにその話は、去年広島に帰省した時も違う運転手さんから同じ事を聞きました
つまり、あまり変化は無いということなのでしょうか。

運転手「・・・ただ、その代わりに三菱(三菱重工)の調子が悪いですな。造船所があまり人を雇わんようになって・・・」

やはり地元の人にとって『景気が良い』とは、企業が街にどれだけお金を落としてくれるか(投資や雇用)のようです。

私「ところで話は変わりますが、船というと、今『男たちの大和』って映画が流行ってますな。さっき駅で大きなポスターを見かけましたよ」

運転手「ああ、大和は呉で造ったものですからな。今あそこに、その映画に使った実物大の大和の模型がある『大和博物館』がやってますよ」

私「実は、私も先日東京で友人と見に行ってきましてね」(『女たちのトロイメント』参照

 私がそういうと、運転手さんは何故か、ちょっと暗い顔になりました。

 運転手「そうですか・・・わしは、日本軍が負ける映画は、あまり見たくないものでして・・・」

私「・・・失礼ですが、運転手さんは戦争の時おいくつだったんですか?」

運転手「わしは、終戦の年に11歳でして・・・親をアメリカ軍の空襲で亡くして、一人で橋の下で野宿したこともあります。
その頃、神戸に住んでいたんですが、警報で山まで逃げて振り返ったら、神戸の街が遠くの方まで真っ赤に燃えてるんですよ。
・・・学校なんてほとんど行けなくて・・・空襲で小学校が燃えるので、別の学校に移るんですが、そこもまた次の空襲で燃えて。移っては燃え、移っては燃え、ですな。
あの頃の建物はみんな木造でしたから、爆弾が落ちると簡単に燃えました」

運転手さんは、そんな話をしてくれました。11歳なら、よく覚えているのでしょう。
彼の中では、まだあの戦争が確かな現実として存在しているのですね。

ちなみに入院している私の祖母は、戦時中広島の憲兵隊事務所で働いていて、原爆が落ちた日は山口に行っていて(新型爆弾が広島に落ちるということは、実は事前にアメリカから日本に警告があって、憲兵隊は知っていたのです。あまり知られていないことですが)助かったのですが、次の日に広島に戻ってしまって、残留放射能にやられて二次被爆しました。
爆弾が落ちた後も何か危険なものが残っているだなんて、当時の人にはとても想像できなかったでしょう。残留放射能の被害を受けた人は大勢います。
私の祖母は若い頃は健康だったのですが、年をとってから癌を患って、今も入院して治療を受けています。祖母にとっても、あの戦争はまだ終わっていません。

車が、広島市の中心を通る有名な100メートル道路に差し掛かります。
道の幅が100メートルあることから付けられた名前で、分離帯が公園になっている、大きな通りです。
ここは元々戦時中に、軍の迎撃機を発進させる飛行場として使えるように整備された通りだったといいます。

今では平和な広島市を象徴するこの通りを眺めながら、今日のブログは少し真面目に書いてみようかと思いました。

次回は気分を変えて、広島の食べ物の話です♪

 なお、この運転手さん、病院がわかり辛い場所にあったので地図を出して調べる時もメーターを止めてくれたり、近道をするために標識違反してくれたりと(右折しちゃいけないところ右折してくれました。東京は警察が厳しすぎですけど、地方はおおらかで良いです)、本当に良い人でした。是非またお会いしたいです♪


明日から広島に行って来ます♪

2006-02-15 22:40:59 | Weblog

どうも、水銀党こと冬月です。
ようやく仕事に休みが取れたので、生まれ故郷の広島に、明日から三泊四日で帰省してきます。
インターネットに接続できるホテルを予約してありますので、向こうに帰っている間もこちらにはちょくちょく参れるとは思いますが、念のため。

銀様「へー、冬月って広島出身だったんだ、意外ね~。だって冬月、普段広島弁とか全然喋らないじゃない」

ははは、生まれは広島でも、生まれてすぐ東京に来ましたからね。母親が、広島の出なので、その頃の慣わしで、出産の時実家に帰ったのですよ。
その後は年に一度帰っているだけです。生粋の東京人と、ほとんど変わりませんよ。唯一、瀬戸内海の海の幸をたくさん食べて育ったので、他の人より魚介類が好きですけどね(笑)

ではここからは、ちょっとした小話を。
ご存知の通り私は根っからのワイン好きですが、最近は仕事で日本酒も扱うようになりまして、ワインほど詳しくはありませんが、日本酒の味や銘柄が少しはわかるようになりました。
考えてみれば日本人なのに自分の国の地酒を知らないというのも、おかしな話です。
ワインを育む自然を大地(テロワール)とするならば、日本酒はまさに『水』の恵み、の一言に尽きます。
稲が育った水田の水、醸造で使う水・・・ヨーロッパと違って豊富な良質の水に恵まれたこの国だからこそ生まれた、美しい酒の文化といえましょう。
・・・いえ、こんな話をするのも、今日高校時代の友人達と歌舞伎町の日本料理屋に行って日本酒をしこたま飲んできたからなのですが(苦笑)
生簀で泳いでいる生きた伊勢海老やイカを生き造りで、それもこの物価高の東京にあって手頃な値段で食べさせてくれる、広島生まれの私にとっては実にありがたい店です。
その店にたまたま私の職場で扱っている酒があったので、どんなものかと飲んでみたところ、なんとも香ばしくて、きりっとした喉ごしの魚料理にはぴったりの酒でした。値段も義侠や十四代、松司ほどには高くありません。
名を『八海山』といいます。日本酒に興味がある人、是非一度お試し下さい♪
それでは、行って参ります。

銀様「お土産よろしくね~」

 薔薇「・・・・・是非、厳島神社の鳥居を持って帰って下さい」

無理だっちゅうの(汗)

薔薇「・・・・・。じゃあ、原爆ドーム

お前は東京ドームあたりで我慢してろ(←とても被爆者の孫とは思えない不謹慎な発言)


バレンタインデー、冬月の場合

2006-02-14 01:04:49 | Weblog

九段下・外売りスタンド。
バレンタイン商戦。

冬月「いらっしゃいませー!バレンタインデーに、チョコレートはいかがでしょうかー!!

ヒュウ~・・・

冬月「ううっ・・・さぶ・・」

朝からもう4時間も、こうして外に立って叫んでいる。
既に足が棒になっている。
こんな人通りの無い閑散とした街で、外で営業を続けることに、会社にとって何の戦略的効果があるのか考えていると、休憩に行かせていた女子(綾波系ではない)が戻ってきた。

「先輩~これどうぞぉ」

通りの反対側の自販機で買ってきた、缶コーヒーを差し出してくる。

冬月「おっ、ありがとう♪」

アニメのどじっ子だとここで冷たいコーヒーとかいうお約束もありだろうが、さすがにこのどんな萌えもかき消す寒さでは、そんなものを期待する気にもなれない。
差し出された缶が熱いことを確認しながら、私は礼を言った。
普段なら熱くて持てないような温度なのだが、手の指が凍えて感覚を失いかけている今は、その熱のぴりぴりとした刺激が、逆に指に心地よい。
しばらく飲まずにそうやって握り締めていると、次第に指の感覚が戻ってきた。

「これって経費で落ちますかね~」

こちらは早々とプルトップを開けて缶に口をつけながら、女子が聞いてくる。
なんだ、お前の奢りじゃないのか。
人の分まで休憩を取っておいて、けちな奴だ。

冬月「ははは、指がかじかんで動かなきゃ、外で働いてる従業員は伝票も書けないからな・・・必要経費だろう。とりあえず、私が立て替えておこう」

経費で落ちるわけが無いことを知りつつ、軽く相槌を打っておく。
暖房の効いた本社で書類の数字と睨めっこするだけが仕事の経理部の連中に、現場の状況が理解できるはずがないし、それは経理部の役目ではない。
せめて自販機でなくコンビニで買ってレシートを貰っていれば、経費で落ちるかもしれないのに。また私が払うのか。

「ですよね~♪」

にっこり笑う能天気な社員に呆れながら、缶コーヒーに口をつける。
彼女の好みなのか、糖分補給という気遣いなのか、純然たる甘口だった。
熱い液体が口から食道、胃へ流れて行くに従って、冷たかった全身が温かくなる。
そんな今の自分の姿に、昔好きだったゲームの一コマを思い出した。

冬月「・・・祐一君、私の名前覚えてる?」

「はい?」

思わず口をついて出た一言に、隣りの女子が反応する。

冬月「いやいや、独り言だよ。君は、Kanonというゲームは知っているかな?

「いいえ?」

一点の邪気も無い清純な顔で、首を振る彼女。

冬月「ははは、こんな風に寒い中缶コーヒーの差し入れが冒頭で出てくる物語でね・・・知らないなら良い」

「ふうん・・・」

そうか、彼女は何も知らない一般人なのか。ならば、その綺麗なままでいて欲しいものだ。

冬月「それにしても、今日は寒いな・・・」

さりげなく話題を、一般人向けに切り替える。
これで良い。
この会社にそもそもオタクは必要無いし、そもそも私にとっての彼女は、たまたま今日一緒に働いているだけの、ただの社員に過ぎない。
あのゲームの主人公のように、出会う全ての異性が自分と運命的な関わりを持つことなど現実ではありえないのだ。

「寒いですね~」

例えば、今隣で屈託なく笑う彼女。そう、彼女は彼氏もちだ。


今年もまた、私は独りでチョコを売る。
凍てつくように寒い、けれど幻想的な雪が降ることも無い、この灰色の街で・・・。


上空の黒い影「・・・・・」

 

数十分後、小菅・東京拘置所。

薔薇「・・・・・」

ギイ・・・カツカツカツ・・・

薔薇「・・・・・?」

看守「こちらです、先生」

??「ご苦労。・・・入るわよ」

薔薇「・・・その声は・・久しぶりですね、水銀燈」

銀様「せっかく保釈されたのにまた捕まるだなんて、本当にお馬鹿さんね・・・元気してる?」

薔薇「こんなところに、何の用です?・・・まあ、想定の範囲内ですが

銀様「・・相変らず、食えない奴ね。
報酬は、ここからの釈放で良い?」

薔薇「・・・・・ここ結構気に入ってるんですよね、私」

銀様「ちっ・・・他に何が望みなの、言ってみなさい」

薔薇「それは・・・ヒソヒソ・・・」

銀様「!?何ですって・・・」

薔薇「嫌なら、この商談はこれでお終いです」

銀様「わ、わかったわかった・・・ったく、相変らずわけわかんない趣味ね、あんたも!」

薔薇「ふふっ・・お互い様ですよ、それは。
では、まずはここを『出る』としましょうか。
良い機会です。貴女の羽と私の水晶、コンクリートの壁を破砕するにはどちらが有効か、ここで実験しません?」

銀様「あら、私そんな物騒な真似はしないわ~。もっとスマートに出るわよ」

薔薇「?」

銀様「薔薇水晶、東京地検ってのはあれでしょ、公務員離れした暴走、政治への無責任な横槍。獣のように家宅捜索して、亀井みたいな先輩議員の命令なら政府の意向さえ無視して動く。気に入らない他の庁が省に格上げされそうになると足を引っ張って、自分とこへの批判はたやすく避け、相手を逮捕し血を貪るんでしょ?じゃあ、こういうのはどうかしら・・・こう、ポチっとな

ズガガガーン!!!

ウーウーウーウー!!

銀様「BINGO!! 国民サマをなめるとこーなる」

薔薇「いつの間に、こんな仕掛けを・・・」

銀様「しかけ?連中が政敵捕まえるために毎日仕組んでる陰謀にくらべりゃ、こんなの朝飯前よ。
殺気も心も動きも無い発動装置。
そして点ではなく避けられない面攻撃。

法儀礼済み

ボールベアリングのクレイモア地雷列

60個の同時発火!!

避けられるモンなら避けてみろっつうの。
私たちゃケンカ弱いからさ、おっかないから正々堂々とケンカなんかしねえぜ
、検察さんたちよう!!」

薔薇「ヘルシングネタもここまでやれば立派なものですね・・・(苦笑)
それでは、行くとしましょうか(フワリ)

銀様「ねえ・・・前から疑問だったんだけどさ、貴女nのフィールドでも無いのに、いつもどうして飛べるの?私みたいに翼も無しで、鞄にも乗らずに」

薔薇「ふふふ・・・最新のテクノロジーを駆使して開発された我らエンジュメイデンを、骨董品のローゼンメイデンと一緒にしてもらっては困ります

銀様「開き直ってるわね・・・じゃ、騒ぎが大きくならないうちに(ばさばさ)」

 

数分後、都心の反対側にある有栖川病院

めぐ「幸せと~嫌な思い出~♪優しい今が~遠ざかる、静かな夜~続け♪
・・・はぁ・・・天使さん、今日は来るの遅いなあ・・・・・」

ばさばさ・・・

めぐ「あ、天使さんだ!お帰りなさい♪・・・あれ、天使さんの他に、もう一人・・・」

薔薇「・・・ふーん、天使さんって呼ばれてるんですか。・・・くすくす」

銀様「う、うっさいわねえ!天使じゃないっていつも言ってるのに、この子が覚えないだけよ!」

薔薇「照れちゃって」

めぐ「ねえ天使さん、その隣りの人は誰?天使さんのお友達?」

銀様「ち、違うわよめぐ、誤解しないで!こいつは友達なんかじゃ・・・」

薔薇「初めまして、柿崎めぐちゃん♪水銀燈の親友の薔薇水晶です♪いつも水銀燈がお世話になってます♪♪」

銀様「ちょ・・・何勝手なこと言ってるのよ!!」

めぐ「そうなんだ、天使さんのお友達なのね♪ありがとう、遊びに来てくれて」

薔薇「いえいえ、親友の水銀燈のミーディアムの方とお会いできて、私とっても嬉しいです♪♪」

銀様「こいつ、なんかキャラ変わってるし・・・ほら、先に手伝ってくれるっていう約束でしょう!」

薔薇「はいはい、わかってるから焦らない・・・めぐちゃん、悪いんですけど、ちょっとこの病院の看護婦さんを呼んでくれますか?ここの調理室をお借りしたいんです。水銀燈、貴女は材料を揃えてらっしゃい」

銀様「アイアイマム!!」

めぐ「??」

 

その夜、水銀党本部、幹事長執務室。

冬月「やれやれ、今日は一日働いてくたびれた・・・・・。
結局、私が手に入れたチョコは、薔薇水晶からの義理もとい収賄チョコと、おふくろからの二つだけか・・・。
結局来なかったな、銀様・・・めぐさんの看病で、忙しいんだろうな・・・。
20歳過ぎればチョコがたくさん手に入る、そう考えていた時期が、僕にもありました・・・と」

シーン・・・

冬月「あーあ、一人で愚痴ってても虚しいだけだしな・・・景気直しに神鏡でも誘って飲みに行くか・・・」

ガチャリ。

冬月「・・・?」

銀様「・・・・・ったく、黙って聞いてりゃ、いい男が何ウジウジいじけてるのよ。本当にみっともないったらありゃしないわ」

冬月「銀様!?」

銀様「あんまりみっともなくて可哀想だから、義理で一個くれてやるわよ。・・・ほら」

どさっ。

冬月「ぎ、銀様!!?これは、これはもしや、チョコ・・・?」

銀様「たく、何当たり前のこと聞いてるのよ。今日渡すものっていったら、他に無いでしょう?それとも何、あんたは小包爆弾とかの方がよかった?」

冬月「あ・・ありがとうございます!!感激です!!」

銀様「言っとくけどね、義理よ、義理!本命だとか勘違いしたら、あなたってほんとーにお馬鹿さん!

冬月「それでも嬉しいですよ!あ、開けても良いですか!?」

銀様「・・・・・勝手にすれば(ぼそ)」

冬月「・・・お!これはひょっとして、銀様の手作りでは!!?」

銀様「・・わ、悪かったわね、高級ブランドとかじゃない、私の下手くそなチョコで!」

冬月「とんでもない!とても上手です、何より手作りチョコとは、さらに感激です!!
しかし銀様って、お菓子とか作れたんですね~、初めて知りましたよ。素敵な才能じゃないですか。どうして今まで黙ってたんです?」

銀様「そ、それは・・・まあ、能ある鷹は爪を隠すって言うじゃない(汗)」

冬月「(だが、銀様の作るチョコだ・・・ヤクルト味とか、そういうオチは覚悟せんといかんな・・・まあ、せっかくの手作りだ、ありがたく食べないと・・)ぱく・・・あれ?」

銀様「どうかした?」

冬月「おかしいな・・・銀様、これって本当に銀様が作ったんですか!?」

銀様「な・・・何失礼なこと言ってるのよ!私が作ったに決まってるじゃない!」

冬月「いえ、すいません・・・あまりに普通に美味しかったもので・・・作るときに、いつものお約束でヤクルトいっぱい入れたりしなかったんですか?」

銀様「し、しないわよ!
私は入れたかったんだけど、薔薇水晶が駄目って・・・あ、いや、そうじゃなくて、ローゼンメイデンの中で一番アリスに近い完璧な私が、そんなことをするわけがないでしょう!」

冬月「ははあ・・・・・(笑)いや、本当に美味しいですよ」

銀様「ふん、当然でしょう!この私が作ったものが、不味いはずが無いわ!」


・・・そう言って鼻を鳴らす銀様の手には、あちこちに小さな傷があった。
きっと薔薇水晶から作り方を教わって、何度も失敗しながら、慣れない手で一生懸命、初めて作るチョコに挑んだのだろう。
その様子が目に浮かんで、その優しさといじらしさがたまらなく嬉しくて、愛しくて、だから私は、敢えて気付かないふりをした。

冬月「・・・ありがとう、水銀燈」

現実のこの街が、あの灰色の姿のままであることは変わらない。
しかし、それでも。
明日は、いい日になりそうだ。なんとなく、そんな気がした。

 


同時刻、有栖川病院、めぐの病室

TV『今日昼過ぎ、東京拘置所で大規模な爆発があり・・』

薔薇「はむはむ・・・物騒ですねえ、最近の日本は(そ知らぬ顔で)。リンゴ、おかわりもらえます?」

めぐ「はい、どうぞ。薔薇水晶さんはリンゴ食べれて偉いね。天使さんはね、リンゴ食べられないんだよ」

薔薇「ふふ・・・あの時は照れていただけだと思いますけどね。あら、チャンネル変えるんですか?」

めぐ「ううん。もうすぐクンクン探偵が始まるから」

薔薇「え、めぐちゃんも好きなんですか、あの番組?」

めぐ「私じゃなくて、天使さんが好きなの。そのくせいつも放送日忘れちゃうのよ。だから録画しておいてあげないと、天使さん不機嫌になるの(苦笑)」

薔薇「噂は本当だったのか・・・しかし、よくあの水銀燈のわがままに付き合えますね」

めぐ「あら、あの人はああみえてとっても可愛い人なのよ

薔薇「・・・・・。ごめんなさい、一瞬貴女がエヴァのユイさんと重なって見えてしまいました

めぐ「何、それ?」

薔薇「いえ・・・貴女の世代は、わからなくて結構。それよりめぐちゃん、そろそろお願いできます?」

めぐ「ああ、天使さんと約束したっていう話でしょ?私なんかの歌でよければ、いつでも聞かせてあげるけど・・・ちょっと恥ずかしいな」

薔薇「謙遜なさらずに・・・一度、生で聴いてみたかったんですよ♪」

めぐ「もう・・・仕方ないわね。笑わずに、聴いててね・・・」


夢は風
  
光導く
  
空と雲を超えてゆく
        
あなたの声 響け・・・


薔薇(ああ・・・夢にまでみたこの声・・至福の時だわ・・・水銀燈、貴女が羨ましい♪)

↑薔薇水晶、実はめぐLoverだったりする

薔薇(しかし冬月、命拾いしましたね・・・もしもあのまま、水銀燈が一人で作ったチョコを食べていたら・・・・・

 

同時刻、病院の調理室

偉い教授「あー、いいかね諸君、病院の中はどこも清潔でないといかん、特にこういう患者に出す食べ物を管理する場所はだ。わかっとるかね、あーん?」

看護婦一同「ははあ」

偉い教授「別に患者がどうなろうが知ったことじゃないがな、もしもここで院内感染やら食中毒でも起こされたら、次の学長選でわしが不利になるからな。そうすれば、わしの派閥の君たちも、ただじゃすまんのだぞ。わかっとるな、あーん?」

看護婦一同「勿論であります、先生」

偉い教授「うむ、よろしいよろしい。・・・おや、あれはなんだね?あの部屋の隅にある、白いかたまりは?」

看護婦「あ、教授、それは・・・!」

偉い教授「ほう、なんだこれは、チョコじゃないか。そういえば今日は、バレンタインデーじゃったな。ということは、これはわしへの諸君からのチョコか?わしなどにはとっくに縁の無いものかと思っていたが・・・ほっほっほ、感心、感心」

看護婦「ち、違います、それは・・・!!」

偉い教授「ふむふむ、なんだかヤクルトみたいな香りがするのう。最近は、こういうチョコが流行りなのかね?では味の方は・・・もぐ・・・・・・ウウッ!!?

バタリ。

一同「きょ、教授!!?

「大丈夫ですか!?しっかりして!!」

「大変だ、呼吸が止まってるぞ!!

「きっと副院長派の陰謀よ・・・!」

「いや、4年前にもみ消した教授の執刀ミスで死んだ患者の遺族が、そのことを恨んで・・・

「早く集中治療室へ運ばないと・・・」

「いや、それより先に人工呼吸を・・・」

「嫌よ、汚らしい!・・・あ、思わず本音が出ちゃった・・・」

どたばた、どたばた。


めぐ「何か下が騒がしいわね・・・?」

薔薇「ふふふ・・・気のせいですよ。それより、歌の続きを♪」


瞬の内に込めて
    
すがる気持ち捨てて

全て思い繋げ・・・

 

 

銀様「冬月ったら、美味しいのはわかるけど、そんなにがっついて食べなくても」

冬月「すみません、あまりに美味いものですから。・・・おや、銀様。今お笑いになりましたな?」

銀様「・・・・・笑っていた?私が?」

冬月「ええ。・・・とても、良いお顔で」


今日、全ての人に幸いと、そして笑顔がありますように。


『バレンタインデー、冬月の場合』・・・完。


バレンタインデー迫る

2006-02-13 21:33:00 | Weblog

冬月「・・・やれやれ、今年も売るだけで自分は貰うことの無いバレンタインか・・・」

宅急便屋「東京拘置所から、冬月さんにお届けものです~」

冬月「ん・・なに、独占禁止法違反で(笑)再逮捕された薔薇水晶から・・・チョコレートだとお!?
あ、メッセージが・・・何々、

『愛しています、だから早く私をここから出して

・・・ったくあいつ、心にも無いことを・・・」

銀様「あらぁ、良かったじゃない?女の子からもらえただけ」

冬月「・・・あ、銀様」

銀様「ふん、本当は嬉しいんでしょう?」

冬月「まさか!こんな義理通り越して政略臭の漂うチョコなんか、少しも嬉しくありませんよ!
しかし・・・バレンタイン投票、そろそろ結果発表の日が近付いて参りましたな」

銀様「またまた。冬月は知らないふりしてるけど、本当はもう知ってるんでしょう、結果?」

冬月「はて?何のことやら(笑)」

銀様「そうやって嘘ばかりついてると、今年のチョコはその薔薇水晶からの一個だけになるわよ~」

冬月「ちょ・・・ごめんなさい!お願いします、銀様のチョコ下さい!!一番欲しいです!!」

銀様「ふふふ、どうしようかしら~」

冬月「意地悪だなー、つうか貴女酔ってるでしょう!?」

銀様「あはは~、酔ってない酔ってない~あなたってほんとーにお馬鹿さん・・・ひっく」

冬月「やれやれ・・・しかし神鏡は試験中なのに、大丈夫なのだろうか。
あまり無理をせずに、のんびり描いて下さい。とりあえず14日は、結果発表だけでも良いと思うよ」

銀様「ちょっとぉ、どこ向いて喋ってるのよぉ。あなたの相手は、この水銀燈よぉ!」

冬月「はいはい・・・(銀様、今日は絡み酒だな・・・)」

銀様「で、誰が一位なわけ?ボブ?」

冬月「・・・いや、ボブはバレンタイン投票に参加してない気が・・・そもそも男だし・・・」

銀様「細かいことにこだわらないの!で、結局どうなのよ~」

冬月「へいへい・・・今風の便りで聞いた話では、絵は遅れたとしても15日には公開できるとか。杞憂でしたね。ちなみに銀様、貴女は今回はおあずけのようです。次のクリスマス投票の時にでもまた頑張って下さい。
結果は大筋で、私の期待に見合ったものでしたよ。党としては、満足できるかと。勿論、正式にはまだ何とも言えませんがね~」

銀様「またそうやって情報を小出しにするぅ!あなた、小説の黒田ニ佐とそっくりね!」

冬月「それはそうでしょうね。なんたって、あれはリアルの私がモデルですから(←結構問題発言かも)」


建国記念の宴

2006-02-11 22:09:15 | Weblog

水銀党本部・大ホール


建国記念日を祝う会

冬月「本日2月11日は、我が国日本の建国記念日であります。
先日の秋篠宮妃殿下のご懐妊という朗報にあたってワシントン・ポストが紹介したように、世界でも有数の古い歴史を持つ我が国の創始は、これを神話に遡ることができ・・・(中略)」

薔薇「・・・・・私、拘置所に帰りたくなってきました」

銀様「・・・まったくだわ。相変らず無意味に長いわねー、幹事長の演説・・・」

冬月「おほん!静粛に!!・・・我等は今日の繁栄に至るまで実に2666年もの時を超え、激動の時代時代でこの国を護り、次の世代へと繋げてくれた先人達の労苦を噛み締め、この厳かなる日をよき節目に、心を新たにしてこの国の、そして私達一人一人の輝かしい将来のために邁進していくべきなのでありまして・・・」

薔薇「・・・そういえば今年は皇歴だと、6が三つ並びますね」

銀様「第666プロテクト、別名ダナン防壁。以後62時間は外部からの侵攻不能・・・懐かしいわね~、劇場版・・・って、懐かしがってる場合じゃなくて」

冬月「・・・えー、特に、ローゼンメイデンは日本のアニメ文化の極みであり、こうした他国の追随を許さない素晴らしい作品をつくれる民族の精神的土壌が構築されていることは、まさに世界に誇るべきことであると・・・

銀様「おいおい・・・なんだか話がやばい方向に脱線しているようなのは、私の気のせい?」

薔薇「右翼でオタクって、本当にたちが悪いですよね・・・」

外を走る黒い街宣車『歌え、ライムの戦士~♪報われ~ぬ、血を流せ~♪♪』

薔薇「この軍歌、なんだかどこかで聞き覚えがあるような気が・・・」

銀様「おーい冬月~、外であんたのお仲間がうっさいんですけど~!(野次)」

冬月「な・・・!違います、あんなの仲間じゃありません!あんな愛国心の欠片も無いくせに愛国を口にする暴力団まがいの連中は・・・」

薔薇「・・・以上、冬月幹事長からの挨拶でした。
党歌、斉唱。一同、起立!」

冬月「お、おい、勝手にプログラムを・・・」


水銀党 党歌  『瞬』

 

夢は風
  
光導く
  
空と雲を超えてゆく
        
あなたの声 響け

幸せと
   
嫌な思い出

優しい今が遠ざかる

静かな夜 続け
    
この場所に残す
 
足跡さえ
   
消えかけて

傷跡の様

心の中
     
生まれた心
 
ガラス窓が
  
君見てる

 
瞬の内に込めて
    
すがる気持ち捨てて

全て思い繋げ

 

銀様「ああ・・・この清らかな歌を聴くと、冬月のむさくるしい演説で耳に溜まった汚いものが洗い流されていくようだわ・・・(感涙にむせびながら)」

冬月「随分酷い言い様で・・・(汗)」

銀様「・・・・・あれ、薔薇水晶は?」

冬月「あいつなら、一人抜け駆けしてトリノオリンピックの中継を見に行きましたよ」

銀様「そうそう、始まったよね~、冬のオリンピック♪私は見られなかったんだけど、開会式どんな感じだった?」

冬月「普通冬のオリンピックの開会式は地味なんですけれど、さすがはイタリアですね、夏のオリンピックに負けないぐらい華やかな開会式を見せてくれましたよ。
イタリアの魅力を全て惜しげもなく取り混ぜてね、ルネサンスの宮廷オペラを演じて見せたと思ったら、次の瞬間には真っ赤なレーシングカーが会場を走り回る。
工業都市らしく、鉄骨をあしらって五輪をつくっていました。
トリノはアルプスに近い山国の都市、統一イタリア王国最初の首都、そしてフィアットの城下町として知られる自動車産業の都市。あの都市の特色を全て投入し、情熱の国イタリアに相応しい、思い出に残る開会式をやってくれました。
何より会場が沸いたのは、スキープレーヤーが滑走する姿を描いたマスゲームです。
あんな工夫を凝らした楽しい開会式は初めてですな」

銀様「へえ・・・それは、見られてよかったわね」

冬月「たまたま祝日で、仕事が休めたのでね」

銀様「まあ昔は建国記念日って、ほら、戦前の紀元節を復活させたわけだから、自民党と社会党のイデオロギー的な対立があって揉めたけど、今じゃ普通の祝日におさまったって感じね。おかげでみんな、オリンピックの中継が見られたわけだし」

冬月「・・・ほう、銀様がそこまで歴史にお詳しいとは」

銀様「ふふふ、伊達に586920時間前から戦争やってないわよ~♪前に真紅と戦った場所、確か第二次大戦中の独ソ戦の前線だし(笑)
ところで冬月は、今日は何してたの?オリンピック見てただけ?」

冬月「いえ、今日は友人二人とクラシックコンサートに行って、それからちょっとお洒落にフランス料理を」

銀様「雅ねえ。曲は?」

冬月「シュトラウスでしたな。最後までは、素晴らしいコンサートだったのですが・・・」

銀様「あらぁ、何かあったの?」

冬月「最後にクラシックオーケストラと、和太鼓の共演なるものを聴かされましてね・・・。
いや、私は何もクラシックに他のものを取り入れるのが駄目だとか、そういう狭い了見でものを言っているわけじゃないんです。伝統や固定観念に縛られずに、良いものは何でも意欲的に取り入れるべきです、これは音楽も料理も同じですね。
例えば一見伝統偏重に思えるフランス料理、これだって、外からの文化を取り入れていなければ、今日の姿はありませんでした」

銀様「そうなの?フランス料理っていうと、いかにもお堅いイメージがあるけど?」

冬月「よろしい、ちょっと専門的な話をしましょう。
フランス料理とは人類の長い歴史の中では比較的最近まで洗練されていない一個の郷土料理であり、それを今日の国際的に華やかな姿に変えたのは、単に歴史的偶然の連続と、諸外国からの、悪い表現をすれば卑屈ともいえる料理法の模倣だったのですよ?
 フランス料理の料理法とはそもそもイタリアから輸入されたものであり、レストランでのサービスのスタイルはロシアから学んだものに由来しています。
 あの一皿一皿、一人分の料理が運ばれてくる、今では誰もが当然だと思っているフランス料理のスタイルとは、元はといえばロシアの宮廷料理が最初に行なったことでしてね。それまでのフランスでは、大テーブルの真ん中に出された大皿の料理に、めいめいが持ったナイフで自分の分を獲得するという、今日の大学生の飲み会の風景と大差ない野蛮な食卓が正式なスタイルだったのですよ。フランス料理のテーブルマナーが一皿を数人でシェアすることを「行儀が悪い」と極端に嫌うのは、かつての己自身の姿へのコンプレックスともいえます。
 そしてそれまでは白茹での牛肉に塩を振って食べていただけのフランスに、『料理』というものをもたらしたのは、イタリア・フィレンツェのメディチ家です。メディチ家が統治するトスカナ王国とはイタリア中部の山間の国家ですから、肉料理偏重の料理風俗。今でこそフィレンツェの市場で豊富に見られる魚介類も、当時は塩漬けぐらいしか手に入らない。またたった数十キロ北に行くだけで作られている生ハムも、パルマとは政治的に敵対していたこともありフィレンツェには入ってこなかったのです。このメディチ家の料理法の因子をそっくりそのまま受け継いだのが、実はフランス料理なのです。北部南部ともにあれほど魚類が豊富であり、また国民も海の幸を多分に愛しているにもかかわらず、正式な料理に魚料理が少なく、あったとしてもムニエルにさらに焦がしバターソースを使ったような、とても新鮮な食材相手に思いついたとは考えられない重厚な料理法なのもそのせい。そしてフランスに生ハムは未だにありません。今日日本のフランス料理店が前菜でメロンと共に供する生ハムはどれもイタリアかスペインのもので、そもそもフランス料理の正式な前菜に生ハムは存在しないのです。
 またハムとソーセージはドイツからの輸入文化です。1871年の普仏戦争の際、ドイツ系の文化を持つアルザス・ロレーヌ(ドイツ語発音エルザス・ロートリンゲン)の住民がパリに逃れ、それまでフランスではあまり評価されてこなかったビールが飲める店、すなわちブラッスリー(今日ビストロと並び、日本でもてはやされているフランス料理店形態の一つですね)を開いて、急速に広まった、いたって新興の文化といえます。あの有名なアルフォンス・ドーデの『月曜物語』におさめられた短編『最後の授業』で、最後の授業に臨む国語教師の思いつめた表情や、あの感動的なクライマックスを通して訴えかけるフランス語を母国語として愛してきたかの地の住民がそれを奪われたなどという話が、実際は現地の事実を一切無視した、フランス愛国心を鼓舞するための神話に過ぎないことは、アルザス人の間で流通していたのはドイツ語系の方言であるということを説明するまでもなく明らかですよね。かつてドイツハプスブルク家の都ウィーンがオスマントルコ軍の第二次包囲を受けた時、一番に救援に駆けつけたのはロートリンゲン公の軍勢だったじゃありませんか。アルザス・ロレーヌとは、食においても言語においても全くのドイツ文化なのです。
 そして、70年代に入ってポアンやその弟子ポール・ボギューズが開花させ、フランス料理の繁栄を一時現代に蘇らせたヌーベル・キュイジーヌ、すなわちカロリー過多だったそれまでの伝統的フランス料理に代わり、食材に必要最低限の火しか入れない、あっさりした味わいと軽いソースの組み合わせという現代人に相応しい、新しいシンプルなフランス料理というスタイルは、残念ながらそのはるか以前から新鮮で優れた食材を求めてきたイタリア料理の模倣に過ぎない観が否めない。昨今、日本は勿論フランス本国でさえも、フランス料理と看板を掲げる多くの店が料理にトマトを多用し、パスタを出しているのが現実です。
 極論してしまえば、フランス料理にオリジナリティは存在しないとさえ言えます。
以上、手短な説明ですが、おわかり頂けましたか銀様。・・・銀様?」

銀様「ZZZ・・・あ、ごめん。話が長すぎて途中で寝ちゃったわ」

冬月「orz」

銀様「あー、でもさ、結局どうして和太鼓が駄目だったの?今の話だと、異文化を取り入れることは悪くないような感じだったけど?」

冬月「合っていなければ意味が無いのですよ。あの共演はどうも不協和音で、そもそも演奏する側の指揮者やオーケストラが、戸惑っている感じでした。
一緒に鳴らすと互いの音がぶつかりあってしまうので、しまいには交互に演奏して、太鼓が叩かれている間オーケストラは黙っている始末。あれでは何のための共演なのかわかりません。
それはまあ、そこのコンサートに協賛してた麻生太郎とか、政治家はああいった趣向は喜ぶでしょうが、純粋に優れた音楽を楽しみたかった私としては、若干悔いが残りました。
オーケストラの人たちには、どうすればもっと良い合わせ方ができるのか、改善点を模索して欲しいと思います」

銀様「でもさ、どんなに工夫したって、合わない物はあるわよ。納豆とフォアグラのテリーヌなんて、合わないんじゃないの?」

冬月「いえ、テリーヌは冷たい料理だから合わないかもしれないが、ソテーした温かいフォアグラとなら、納豆は合うかもしれません。同じねっとり系だし、フォアグラは甘いソースを必要としています。納豆は甘いですよね?温かいフォアグラのソテーかポアレに冷たい納豆をかけて食べれば、案外美味しいかもしれない。勿論、そんな罰当りな料理法、試したことは無いですけどね(笑)
何事もチャレンジですよ!」

銀様「本当!?
じゃあ、フォアグラにヤクルトをソース代わりにかけるときっと美味しいわよ♪ヤクルトは甘くて冷たいじゃない!」

冬月「うげ・・・」

銀様「何が『うげ』よ、あんた自分で言ったんじゃない。ほら、さっさと食材買ってらっしゃい。早速作るわ。何事もチャレンジよ♪」

冬月(冬月コウゾウ、一生の不覚だ・・・・・)


薔薇水晶容疑者、保釈される。

2006-02-10 23:48:21 | Weblog

水銀党です。
最近友人の外蛯沢に勧められて、木曜の深夜にWOWWOWのノンスクランブル放送でやっている『半分の月がのぼる空』というアニメを見ています。
原作は電撃文庫で私も好きな橋本紡先生の書かれた小説です。全六話と短いアニメでファンには不満だそうですが、アニメとしての完成度は悪くなく、原作を無理して要約しようとする作品に特有の焦って切り詰めている感もあまり無いので、個人的には良作だと思います。先週三話をやって、残り二話しかありませんが、これからがクライマックスですので、まだご覧になっていない人は、よかったら見てみて下さいな。
主人公が軽い病気で入院した先で、重たい病気で入院している少女と出会う、ツンデレの幼馴染あり車狂のワイルドな女医さんありという、一見するといかにもギャルゲーっぽい物語ですが、そこはさすがリバーズエンドやバトルシップガールの橋本先生だけあって、奥が深い内容です。
入院しているヒロインの女の子が、外見と境遇がめぐさんと似ているんですがね(笑)、性格が全く正反対なので面白いですよ。
というわけで、今日のメインテーマに。


ジャンジャカジャ~ン♪♪

水銀党特番『ELDER SISTER主人公・藤沢詩織の素顔に迫る!』

党本部・幹事長執務室


冬月「藤沢詩織一等宙尉。任務で多忙な中、遠路はるばる大儀である」

詩織「は・・・」

低い声で、詩織は返答した(ナレーション)

冬月「(・・・なんだ、この妙にシリアスなオーラは)貴官の人気投票出馬に、総裁はことのほかお喜びだ」

詩織「・・・・・」

詩織はただ直立不動のまま、黙って次の言葉を待った(ナレーション)

冬月「(脂汗)バレンタイン投票が終了した今、君は我が水銀党唯一の公認候補となった。党内の期待も大きい。頼んだぞ、藤沢君」

詩織「・・・了解しました。微力ながら、最善を尽くします」

わずかな沈黙の後、詩織はそう答え、儀礼的に敬礼した(ナレーション)

冬月「・・しかしその白い制服、中々洗練されたデザインだね。君によく似合って・・・」

どこか気まずいその場の雰囲気を取り繕おうと、幹事長がくだけた口調で冗談を言ってみせる。だがその気遣いさえ、今の詩織には煩わしく感じられた(ナレーション)


詩織「・・・・・。閣下、ご用件は、もうお済みでしょうか」

丁寧だがどこか棘のある口調で、詩織はそう尋ねた(ナレーション)

冬月「え?・・・あ、ああいや、どうかねこの後、せっかくの機会だし、銀様と三人で食事でも・・・」

冬月幹事長の安穏な態度に、詩織は苛立つ。忙しい中呼び出され何かと思えば、人気投票などという下らない余興と、食事の誘いとは。
前線でどれだけの兵が死んでいるのか、数字でしか知らないくせに。
詩織は微かに、眉をひそめた(ナレーション)

詩織「申し訳ありませんが、任務がございますので」

冬月「・・・そ、そうか。ご苦労」

戸惑う幹事長を尻目に、詩織は踵を合わせてもう一度敬礼すると、きびすを返した。

詩織「・・・失礼します」

バタン。

カッ・・カッ・・カッ・・・・

 

冬月「ふぅ・・・緊張した。なんなんだ、あのプレッシャーは(汗)」

銀様「・・・あんた、何自分の書いたキャラクターに気圧されてるの。情けない」

冬月「あ、銀様。いたなら言って下さいよ!」

銀様「いや、途中から来てたんだけど、私も声かけ辛くってさ・・・いやー、相変らずシリアスね、あんたの小説のキャラの雰囲気は。この平和なブログに持って来ると、違和感ありまくりだわ。
特にあの皮肉っぽいナレーションがやばいわ。どこの政治小説よ?
なんかもー、サイコ漂うノンストップシリアスって感じよね!」

冬月「・・・それはソラの小説でしょうが(汗)」

銀様「あはは、好きよねあの人、『サイコ漂う』ってフレーズ」

冬月「まあそれはおいといて、良いニュースと悪いニュースがありますぞ」

銀様「へえ、悪い方から聞きましょうか?」

冬月「藤沢詩織の選挙活動が、遅々として進みません」

銀様「・・・まあ、あれじゃあブログでギャグもできそうにないしねえ・・・月末までにあんたが続き書いて、それで知名度地道に稼ぐしかないわね~」

冬月「・・了解。で、良いニュースですが、薔薇水晶の保釈が成立しました。次回はここに出てこられますよ♪」

銀様「おお♪あんな奴でもいなきゃ寂しいってことは、やっぱり私達って餓えてるのね~」

冬月「・・・ただ、別の容疑で再逮捕されれば、また拘置所に逆戻りですけど」

銀様「駄目じゃん」

冬月「最近の検察、異常に厳しいですからね・・・とりあえず今度会ったら、

よおエンジュメイデン』って声かけてやりましょうよ」

銀様「駄目よそんなの、あの子泣いちゃうよ?」

冬月「へいへい、お優しいこって・・・」


最終兵器なオーディション(謎)

2006-02-08 01:08:52 | Weblog

水銀党です。
『最終兵器彼女』実写版、ボディーガードの同志A(モスト)を引き連れて、劇場に見に行って来ました。
2時間見終わって、まあ軍事マニアとしては大陸間弾道弾にあんな追尾能力は無いとか戦車の映像が全部陸自の総合火力演習のプロモーションビデオの使いまわしだとか、思ったことは色々ありますが、とりあえず率直な感想を一言。

「ごめんねシュウちゃん、私こんな実写版になっちゃった・・・」

・・・・・いやね、もともと二次元を三次元に変換したらある程度の劣化はしょうがないのは常識ですし、あれだけ内容のある原作を2時間に圧縮するのも無理があるでしょうが・・・まあ、友人達の制止を振り切って見に行った私の自己責任ということで(←この直後武装勢力に首斬られます)

これが、私の愛して止まない、本当の最終兵器彼女です→http://www.saikano.net/
今は新しくできたOVA版を紹介しています。古いアニメサイトへのリンクは左下にありますので、まだ知らない人は、どうか是非こちらをご覧下さい!!

シュウちゃんは確かに眼鏡かけてて野暮ったいですがあそこまで酷くはないです。
あんな海原雄山を超越したような髪型じゃないです・・・(涙)

幼馴染のあけみはもっとボーイッシュなキャラです。なんなのでしょう、あの見るからに『君が望む永遠』の某裏切り者とそっくりな言動とポニーテールの、ツンデレの法則を地で行く人は?
某VIP板で流行中の替え歌のように思わず、

「これなんてエロゲー?」

と訊ねたくなりましたよ。

何よりアニメや漫画のちせは、あんなに濃い人じゃないです!あの可憐さは、どこに行ったのでしょう。

まあ、実写版に期待する方が間違ってるのさ・・・↓

http://blog.livedoor.jp/zot666/archives/50303490.html

げふげふ・・・さて、愚痴ってばかりでも始まりません。
今日は確かオーディションでしたな。

 

冬月「さあ、先月ローゼンメイデンじゃないことがばれて逮捕された薔薇水晶の代わりに新人を採用する水銀党オーディション、これよりスタートです♪
審査員は毎度おなじみ、私冬月と、党総裁の水銀燈閣下!」

銀様「・・・はーい、ぱちぱちぱち」

冬月「・・・・・なんですか、そのやる気の無さは(汗)
では、最初の方、どうぞ!」


オーディション①

ガチャッ

??「雛はぁ、もっとうにゅ~ってしたのが良いのお!」

銀様「・・・真紅連合の幼児退行キャラ、筆頭格のおでましね・・・」

冬月「うわ・・・いきなりこいつかよ」

雛苺「あ、水銀燈、こんにちはなの~。よいしょ、よいしょ・・・」

銀様「ちょ、ちょっと!?なにをするの!寄るな触るな引っ付くな!!」

雛苺「こんにちは~の~水銀燈登りなの~♪」

冬月「ははは、なつかれてますな」

銀様「くぉら、何頭の上に乗ってるのよ!下りなさい!!(ぶんぶん)」

雛苺「きゃはは~メリーゴーランドみたいなの~♪」

銀様「冬月・・・助けて・・・」

冬月「あ、あはは~、オーディションですから、抑えて抑えて。・・・こらこら、そのぐらいにしときなさい、雛ちゃん。さて、今日は我々に何を披露してくれるのかな?」

雛苺「んーと、今日はね~、雛特製の、スパゲッチィを作るの!!」

冬月「何!?ま、まさか・・・それは・・・」

銀様「スパゲッティ?あら、貴女って料理の心得があったの。上司の真紅はてんで駄目だって言うのに、感心ね。面白そうだから、やってみせて」

冬月「銀様、悪いことは言いません!こいつのスパゲッティだけは、やめといた方が・・・」

銀様「え、どうしてよ?原作では、雛苺はコリンヌ・フォッセー配下の時代にフランスで暮らした経験もあったから、料理が上手でも不思議ではないわ。ねえ、雛苺?」

雛苺「そうなの~♪雛のスパゲッチィは、とってもとっても美味しいの♪今作るから、楽しみにしててね~」

銀様「わくわく♪」

冬月(うう・・・嫌な予感が・・・)


30分後。


雛苺「いっちごあじ~いっちごあじ~♪いっちごあじ~の~スパゲッチィなの~♪

銀様「・・・何・・・!この、モザイクかけたくなるぐらい気味の悪いオーラ放ってる物体は・・・!まさかあれが、スパゲッティだと!?」

冬月「ああ・・・だからいわんこっちゃない・・・」

雛苺「苺もたっぷり入ってる~(ドグシャア!)スーパゲッチィ!!!」

冬月「あれは、生の苺だ!!・・・苺ジャムが入ってどろどろになったスパゲッティに、さらに生の苺を入れたぞ!!」(料理漫画の審査員のノリで)

銀様「私・・・大概のことは我慢できるけど・・・さすがにこれは・・・もう吐きそう・・・」

雛苺「アンマウエア~!キャハ!カハ!!」

冬月「正気の沙汰とは思えない・・・」

銀様「・・・ああ、ごめんなさい真紅、貴女達の桜田家での生活を、おままごとだなんて馬鹿にして・・・・・貴女、私の知らないところで、こんな惨劇の連続に耐えてきたのね・・・偉い・・・偉いわ真紅・・・!」

雛苺「・・・あれ?か、身体が急に・・・うごかな・・く・・なって・・(カタカタ)」

銀様「え!?な、なんか雛苺の動きが、急にぎこちなく・・・」

冬月「おいおい、まさかここでかよ!?死ぬなら頼むから他で死んでくれよ、うちらが何かしたと勘違いされると迷惑だろうが!!」

雛苺「(カタカタ、カタカタ・・・)二人とも・・・ありがとうなの・・・雛を・・・オーディ・・ションに・・・出してくれたの・・・」

銀様「救護班を!早く!!」

冬月「いや、残念ながら、もう手遅れです」

雛苺「カタ・・・(バタン)」

オペレーター「使徒、完全に沈黙(違」

銀様「なんてこと・・・!」

冬月「・・・・・。オーディション、一人目終了、ご苦労様です~♪はい、次の方どうぞ~」

銀様「・・って、事務的に片付けようとすな!!」


オーディション②

銀様「あーあ、一人目から濃すぎ・・・疲れた疲れた。頼むから、次はもう少しまともな人であって欲しいわね」

冬月「あはは・・・では気を取り直して、二人目の方、どうぞ!」

ガチャッ

???「君はアリスゲームを放棄するのか・・・!、そんなの、は・・・は許さない!!」

銀様「・・・なんなの、このどう見ても出る番組をガンダムSEEDと間違えたような感じの坊やは・・・」

冬月「で、二人目が僕キャラかよ・・・。はい、どうぞお入りください、蒼星石さん(投げやりに)」

銀様「え、去年私が倒したんじゃなかったっけ、こいつ?」

冬月「オーディションにあたりローゼン工房に発注して修理させました。さすがは一流ブランド、良い仕事をします。弟子の槐とは腕が違う」

銀様「・・・もはやこうなってくると、何でもありね(汗)」

蒼星石「・・・今日は君達に、話があって来たんだ」

銀様「カガリは僕のものだ宣言、かしら?」

冬月「いや、むしろデュランダル議長の本性を語りに来たのでは・・・?」

蒼星石「二人とも、わけのわからない話は止めてくれ!
・・・僕はアリスを目指す!君たちと戦い、ローザミスティカを集め、お父様の意思に応えるために、僕はアリスになる!!


銀様「・・・でさー、めぐったらね、この前私と『半分の月がのぼる空』のアニメ版見てたら、そこに出てくるヒロインの真似始めちゃってさ~、それが超そっくりなのよ~♪」

冬月「ああ、あれなら私、電撃文庫で読んだことありますよ!良い話ですよね~♪」


蒼星石「・・・って二人とも、僕の話を聞けーーー!!!(怒)」

銀様「なんだ、まだあんたそこにいたの?SEED板ならここじゃないわよ

冬月「なんだ君、まだ知らないのか?戦争はもう終わったんだよ」

蒼星石「え・・・!??」

銀様「あんたが死んだ後だから知らないのも無理ないけどね、あんたの前で泣いてたお父様、あれは偽者だったの。
で、最終回で本物のお父様から直々に、『今後はアリスゲームをせずにアリスを目指しなさい』っていうおふれがあってね。戦争はもう、終わったのよ。もう、同じローゼンメイデン同士で、殺し合いはしないの。わかる?」

蒼星石「そんな・・・嘘だ・・嘘だ・・・・」

冬月「・・・やれやれ、終戦を知った時の横井庄一さんみたいな顔してるよ、この人」

銀様「嘘じゃないわよ。玉音放送聞かせてあげよっか?」

蒼星石「嘘だーーーー!!!」

ザシュッ!!

冬月「うわっ!」

銀様「ちょっと、危ないじゃないの!冬月!警備員を呼んで、こいつを取り押さえなさい!!」

蒼星石「お父様ばんざーい!!!」

警備隊『撃てー!!』

ダダダダダ!!!

蒼星石「ぐ、ぐわっ!!・・・・・お、お父様・・・(ばたり)」

冬月「・・・彼女こそ、真の武人というに相応しい。・・・黙祷」

銀様「武士道とは、死ぬことと見つけたり・・・」


オーディション③

銀様「ぜえ・・・ぜえ・・・もういい加減嫌になってきたわ、私・・・」

冬月「・・・次の人、どうぞ・・・・」

???「ローゼンメイデン一の頭脳派のこの私にかかれば、オーディションなんてお茶の子さいさいなのかしら~

冬月「うう、よりによって金糸雀とは・・・頭痛が・・・」

金糸雀「さあ、何でも聞いて欲しいのかしら~

銀様(ピキッ)←こめかみに青筋が浮かぶ音。

金「・・・・え?水銀燈どうしたのかしら~」

銀様マジギレモード「・・・・・その語尾は、何?」(蒼星石の鋏を取り出しながら)

金「ひ、ひぃっ!!?」

銀様マジギレモード「・・・気に入らないのよ、ふざけた語尾に統一すればそれだけで何の努力も無しに人気が取れると思ってる、あんたみたいな商業主義むき出しの萌えキャラは!!『なの~』は幼児語だからまだいい、『~ですぅ』は文法的におかしいけど、肯定の意味は伝わるから許せる・・・でもあなたのソレは、一体何?何故肯定に疑問形を使うの?

金「た、たすけてなのかしら・・・」

銀様アンデルセンモード五月蝿い!! 言盲がしゃべるな!!
 この私の眼前で、言盲が歩き、
知恵遅れが軍団を成し戦列を組み前進する。
 唯一の理法を外れ、外道の法理をもって通過を企てるものを、
 文部科学省が、日本語教育委員会が、この私が許しておけるものか。
 貴様は震えながらではなく、藁のようにジャンクになるのよ

金「…な…… ……あ な… 何… な゛ お゛ な…ん ら な゛んら゛ぼれわ!!体が崩れ…」

銀様「げははははっ、思い知ったかバケモノめ!」

冬月「銀様やりすぎ・・・・・」


??「水銀燈!!」

銀様「え・・・その声は、真紅・・って、きゃあああ!!」

真紅(銀様の首に関節技をかけながら)見なさい!!

銀様「ちょ・・・首が絞まる・・・苦しい・・・息が・・(じたばた)」

真紅「この子達は、オーディションに出ることなんか望んじゃいなかった!それを貴女は・・・貴女がみんなを・・!!

銀様「ご・・誤解よ!こいつらが勝手に・・・うう、苦し・・・首が・・・もうギブ、ギブー!!」

冬月(転げ合う二人を傍観しながら)「あーあ、散々なオーディションだ・・・」


閉会後。

銀様「・・・・・みんなには、もう帰ってもらった・・・?」(げっそり)

冬月「・・は、丁重にお引取り願いました」

銀様「冬月・・・私は今日のオーディションで、痛いほどわかったことが、一つだけあるわ・・」

冬月「・・・・・」

銀様「私・・・今まで薔薇水晶のことを、おかしな奴だって思ってた・・・でも、それは間違いだった。ローゼンメイデンかどうかなんて関係ない。少なくとも薔薇水晶は、あいつらよりもっとまともで、話のわかる奴だったわ。
あの子がいなくなって、それに初めて気付くだなんて・・(涙)」

冬月「・・・確かに、あいつにはまだ、常識と言うものがあったような気がします(しみじみ)」

銀様「薔薇水晶・・・早く帰ってきて欲しいわね」

冬月「・・・ですね」

続く(←続くのか?)


水銀党選挙戦第二幕・オリキャラ人気投票は2月末まで!

2006-02-07 15:44:40 | Weblog

バレンタイン投票が終了して後は結果発表だけとなり、休憩ムードが漂う、水銀党選挙対策本部。

冬月「水銀党の皆さん、選挙戦お疲れ様でした!」

党員一同『お疲れ様です~』

冬月「まあ途中色々とありましたが、神鏡先生とも協調し、無事選挙を終えることができたことは、私にとっても大きな喜びでありますと共に、サイト全体にとって今回最大の収穫であります。
今はまだ結果はわかりませんが、選挙管理委員会からの非公式な情報によれば、今回水銀燈は我々の予想をはるかに上回る得票を得たということ。無論これは、問題となった規約違反の無効票を完全に除外した上での、問題の無い一般利用者の皆様の投票だけでの数字であります。
正式な結果発表の後にまた申し上げることになるでしょうが、長年このサイトで人気を博してきたオリキャラ達の中にあって、オリキャラでない水銀燈がこれだけ善戦できたのは奇跡に等しく、ひとえに皆様の温かいご理解とご支援の賜物であり、支援して下さった方にはこの場をお借りして、心より御礼申し上げます」

党員A(あ~あ、相変らず長い上にかったりいなあ、幹事長の演説・・・)

党員B「グー・・・スー・・・・・」

冬月「えー、率直に申し上げれば、私にとって今回の投票は、単にバレンタインの絵を決める投票というだけの目的に留まらず、いえ、むしろそれよりはるかに重要なものとして、11月に参加して以来3ヶ月間の、このサイトでの私の路線がサイト利用者の皆様に信任されているかどうかを占う、信任投票という政治的意味合いを持ちます。
栄光ある第一位は当然神鏡先生のキャラクターに譲るとしても、私にとって水銀燈の勝敗ラインはベスト5に入るか否か。第三位ぐらいがもっとも安定した順位で、これが確保できていれば、現行の路線への信任の意思表示と考えてほぼ間違いはないと・・・」

ガチャッ!!

銀様「ちょっと、あなたたちな~に店じまいの準備してるのかしら、勝負はこれからだっていうのに」

冬月「・・・あれ、何張り切ってるんですか、銀様?今日から通常業務に戻りますよ?」

銀様「何言ってんの!バレンタイン投票は終わったけど、キャラ投票は2月の終わりまで!さあ、もう一回選挙本部を立ち上げて、陣営を固めるわよ!」

冬月「いえ・・・陣営って言っても、我が党はバレンタイン投票にしか候補を出していないじゃないですか」

銀様「候補ならいるじゃない」

冬月「いえ、貴女はオリキャラじゃないですから、キャラ投票ではもう出馬する枠は・・・」

銀様「あなたったら、自分が書いたキャラクターのこと忘れたの?私じゃなくて、今度は党公認をオリキャラの藤沢詩織さん一本に絞って、選挙活動を展開するのよ!!」

冬月「・・・・・あぁ、そういや、そんなのもいましたっけね・・・やれやれ、自分はあんなに嫌がっていたのに、他人の選挙には熱心なんですな」

銀様「あら、なんだかあまり乗り気じゃなさそうね」

冬月「いや、貴女の応援で力を使い果たしましてね・・・オリキャラだと知名度がダンチですし、水銀燈系団体の組織票もあてにできないですしね・・・厳しいと思いますよ」

銀様「まったく・・・選挙の初心にかえりなさい。家一軒一軒をまわって、頭を下げてお願いするの!ほら、やってみる!」

冬月「『お願いします、春香さんとボブに入れて下さい。二人のカップリングが見たいっす』・・・ですか?」

銀様「ちがうっちゅうねん!自分のとこのキャラ応援しないでどうすんのよ!」

冬月「ごめんなさい、つい本音が。
やれやれ・・・投票が終わるまでに、小説続き書かないとなあ・・・やっぱそれが一番の宣伝になるでしょうね、ドブ板選挙やるよりも」

銀様「そうそう、宣伝効果のためのイベントなんだから。そうだわ、今度詩織さんをここに呼びましょう。冬月、連れて来て」

冬月「ええ!?それはさすがに・・・」

銀様「ほら、ぐずぐずしてないでさっさと2205年のタイタンまで行って来なさい!」

冬月(無茶言うよ、この人は・・・)