水銀党本部執務室

冬月のブログです。水銀党本部の活動や、政治社会問題、日常の中で感じた事など様々なテーマで不定期に更新されております。

社会人前夜

2009-03-31 21:24:54 | Weblog
平成21年2月は、愛犬の看護とゼミの卒論に心身共に忙殺される。
犬は逝き卒論は仕上がって不健康な徹夜の続いた2月は終わり、いよいよ私の社会人になる前の最後の1ヶ月である平成21年3月が静かに訪れる。

世間では深刻な不況の嵐が吹き荒れ「自分の友人の友人」という決して遠くない距離で内定先の倒産や内定切りといった話も耳に入る中、自分自身は4月1日の入社にいささかの不安も無い安定した会社に就職できるという幸運については、私を育ててくれた両親とお世話になった人々にただただ感謝するばかりである。

3月初旬、入社前に提出が必要な書類を要求するメールが期限ぎりぎりになって送られてくる。人事部の担当者は不手際だと詫びていたが、実際に就職したらこの程度のイレギュラーは日常茶飯事だろう。むしろこれは必要な書類を迅速に用意する手腕をはかるためのテストなのではと穿った見方をし、早速用意に奔走する。

区役所の戸籍証明や国民年金を厚生年金に移行する手続きなどは近所に役所があるので容易だったが、悩んだのは身元保証書。これは、両親以外の大人、親類や恩師などで社会的にしっかりした地位があり信頼性の高い誰かに、私が入社するにあたってもし会社に何か迷惑をかけたら連帯責任を負う旨を誓約し署名捺印の上印鑑証明まで添付する文書だ。
例えば会社の金を持ち逃げしたり身分を悪用して詐欺をするような社員に備えてのものだと思うが、よくよく私の人格をわかってくれていて、かつ社会的な信頼のある人物でないといけない。同い年の友人に、というわけにはいかない。
かといってゼミの教授には在学中迷惑ばかりかけていたから、「連帯責任」などと物騒な単語が書かれた紙など持って行くのは気が進まない。
そこで、私を幼少の頃から可愛がってくれている広島の伯父にお願いする事にした。伯父は音楽高校の教諭をしているから信頼性という点でも全く申し分ない。
祖母の見舞いを兼ね、広島に帰省した。

ここで有難い出来事があった。伯父はこの文書に快く署名してくれた上、就職祝を下さった。
これによって私は社会人として必要なスーツを2着、鞄を2足も購入する事ができた。

書類の用意と並行して、自分を社会人にシフトさせるために様々な品を新たに揃える必要があった。
サラリーマンの戦闘服であるスーツの保有数は、諸説あるが5着体制が理想だとよくいわれる。
同じスーツを連続して着るとそれだけ皺が深くなり痛むのも早いが、休ませてやれば長持ちする。そもそも毎日同じ服では職場の清潔感も損なわれるし営業ならお客様の手前もある。5着あれば月曜から金曜まで一週間のローテーションが組めるわけである。
これ以外にも冠婚葬祭で使う礼服のダブルスーツ、夏の社内クールビズ運動で使うブレザーやカジュアルなジャケットなどが必要となってくる。

私の高校の友人達は、恐らく私がこの手の衣装を趣味か何かで異様に大量に持っているから就職しても新たに買う必要は無いと思っているはずだ。しかし実際のところそれらは父のお古でサイズが微妙に合っていないか貰い物の派手な色で、サイズがきちんと合っていて、かつ色やデザインが新入社員の身分相応に慎ましやかなスーツを探すとほとんど無く、伯父の援助のおかげでようやく4着体制になったという事を告白しなければならない。

靴は古い革靴の底が何故か片方だけ磨り減ってきていて歩く時びっこを引くような有様だったので、新しく購入し古い物は雨の日専用にする。

鞄は高校時代にユニクロで買った物を長らく愛用してきたが、就職してユニクロの鞄というのは許されないだろうから、これも新品を購入して交替する。
高級ブランド物の皮は満員電車で傷付くと損をした気分になって嫌だし書類やノートPCを沢山入れると崩れそうだから、実用性を重視したSamusoniteにする。なおこれは1910年創業のアメリカのブランドで、某サムスンとは関係ない。

名刺入れは、両親の知り合いの方が贈って下さった。有難い限りだ。

腕時計は新品を買わず、以前ベルトの金具が壊れていた物を修理に出す事で対応した。
シチズンの頑丈な電波時計で時刻を修正してくれるし、電池はソーラーパネルで半永久的にもつ。
海外旅行で日本を出る時に連れて行くと謎の電波を受信して狂うのが唯一の欠点だったが、就職したら当分は海外行きも無いしその心配も無いだろう。

携帯電話は去年内定をもらった段階で新型に買い替え、J-PHONE時代から5年間使っていた骨董品(メールは短文のみ、ネット接続無し、カメラ無し)にお別れをした。
ところが最近あった説明では、入社したら会社から仕事のための社用携帯が支給されるとの事。少し考えてみれば、情報保全の観点から大きな企業が個人携帯を仕事に使わせるはずが無いのである。

最も多額の投資をしたのが最新のデスクトップパソコンである。
私はこれまでノートパソコンを使ってきたが、持ち運びするノートパソコンはそれだけHDに傷がついて不具合を起こす確率が高く寿命も短い。
昨年ノートパソコンが故障して、外部に保存していなかったデータが出せなくなった教訓から、リスク低減のため今回デスクトップパソコンを購入する決意をした。
新パソコンのスペックで圧巻なのは、なんといっても500GBのHD容量と、4GBのメモリである。2つのコアを搭載し、マルチタスクを高速で処理できるから、同時に2つの窓を開いて作業をしても重たくなったりエラーが起きたりしない。
モニターも20インチで作業が快適だ。水銀党本部HPの管理も、今後このパソコンで行おうと思う。

他に買い揃えたものといえば、男性化粧品だろうか。
元々この方面にはあまり詳しくないので友人の助言を得つつ、香水、整髪用のリキッドやムース、髭剃り後のアフターシェーブローションを新たに揃え、自宅の洗面所を小さな床屋にした。

3月中旬に内定者を集めた昼食会で、会社の常務が当たり前だが心に残る事をおっしゃっていた。

学生とサラリーマンの違いは何か。
学生は、やっている間は意識しないものだが、お金を払って勉強や色々な活動をしている。お客様の側だ。
対するサラリーマンは、お金を貰う立場だ。
アルバイトもそれは同じだが、サラリーマンは法律ではるかに手厚く守られている。問題を起こさない限り定年まで保障され、ただそこにいるだけで給料を発生させている。
その分、責任は重い。仕事に付加価値をつけなければならない。


最後に、学生時代の持ち物を整理し、自室を模様替えした。
背の高いラックを複数汲み上げて本や書類、機械、衣類などを収納し、空きスペースを増やして就職後に増える持ち物や書類を置く場所を確保する。
掃除をしていたら偶然、幼児の頃に遊んでいた、木彫りの建物のおもちゃがいくつか出てきた。思えば私は、好きなゲームはシムシティで、ビルを見るのが好きな風変わりな子どもだった。

ここまで紆余曲折があり、また今後の事もはっきりとはいえないが、今ディベロッパーになる事は、1つの運命のように思える。

これを書いていて、会議を録音するレコーダーを買う事を思いついた。
目覚まし時計も故障が心配だから予備が欲しい。大学と違って1度の寝坊も許されない。

新人研修が終わって現場で働き出せば足りない物はまだまだ出てくるだろうし、そもそも真に足りないのは物ではなく私の中身だ。
失敗もあるだろう。
だが失敗で落ち込まず失敗を忘れず、元気に礼儀正しく前進すれば必ずその先に成功があるはずだ。頑張りたい。