水銀党本部執務室

冬月のブログです。水銀党本部の活動や、政治社会問題、日常の中で感じた事など様々なテーマで不定期に更新されております。

コードギアスの世界観を考察する

2006-11-29 17:04:11 | Weblog

人はぁぁ、平等ではない。
生まれつき足の速いもの、美しいもの、
親が貧しいもの、病弱な体を持つもの。
生まれも育ちも才能もぉ、人間は皆ぁ!違ってぇぇおるのだぁ。
そう!人は差別されるためにある。
だからこそ、人は争い、競い合い、そこに進歩が生まれる。
不平等は悪ではない。平等こそが悪なのだ。
権利を平等にしたEUはどうだ?人気取りの衆愚政治に堕しておる。
富を平等にした中華連邦はぁぁ、怠け者ばかり。
だがぁ!我がブリタニアはそうではない。
争い、競い、常に進化を続けておる。
ブリタニアだけが前へ、未来へと進んでいるのだ!
我が息子、クロヴィスの死も、ブリタニアが進化を、続けているという証。
戦うのだ!競い、奪い、獲得し、支配しろ。
その果てにぃ、未来がある!!
オールハイルブリタニア!!!

 

銀様「・・・・・三ヶ月ぶりに出てきたと思ったら、何カミングアウトしちゃってるのよ冬月?」

ばらスィ「・・・・・・しっ、きっと病院から抜け出してきた人ですよ。近寄らない方がいいですよ、水銀燈」

ちょ、待て待て薔薇水晶!
あんまり長い間顔出さなかったから忘れちゃったかな?私だ、冬月おじさんだよ~

ばらスィ「・・・・・・。ああ、冬月さんでしたか。久しぶりですねえ。あんまり日焼けしたので気付きませんでしたよ.。どうでしたかパナマ旅行は?」

その棒読みな言い訳はなんだ(汗。というかパナマなんて行ってないし!私のどこが日焼けしてるんだ。それ以前にお前、その『ばらスィ』ってなんだ?お前の略称は『薔薇』だろう。いつからそんな萌えキャラになった!?

ばらスィ「・・・・・・ただなんとなくです」

なんとなくだとお!?嘘をつけこの商業主義者が!可愛らしい名前に変えれば薔薇水省メンバーが増やせるとでも思ったか!?そんな暇があったらお前が身分詐称して戦わせた他のドール達に謝罪と賠償を・・・

銀様「キムチネタはいいからさ、いい加減話進めたいんだけど

そ、そうでした(汗。
では本日より私の独断と偏見で唐突に始めますマーキュリーチャンネルでお薦めアニメを紹介して行こう!のコーナー、

第一弾は今期一番人気のコードギアスを紹介します!!

銀様「・・・珍しいわね、冬月が一般受けしてるアニメを紹介するだなんて」

ええ、珍しいことに世間一般と私の評価が今回は一致しました(笑。ではまずは、本作品の簡単なプロフィールを。

 

コードギアス

21世紀、世界唯一の超大国『神聖ブリタニア帝国』は希少な天然資源『サクラダイト』の獲得のために極東の島国日本に侵攻。
最新の人型兵器『ナイトメアフレーム』を駆使した上陸作戦を展開するブリタニア帝国に日本は瞬く間に占領され敗北する。
占領された日本はその名を名乗る事を禁じられて『エリア11』と呼ばれ、日本人は『イレヴン』と呼ばれてブリタニア人に統治される。
日本人は自由ばかりか、誇りまで奪われたのだ。
トウキョウ租界のブリタニア人学校に通う主人公ルルーシュはある日、ブリタニア軍と日本人レジスタンスとの戦いに巻き込まれ、そこで世界を変える力『ギアス』を手に入れる――


銀様「・・・神聖ブリタニア帝国って(汗」

名前からわかるように元は英国王室でチューダー朝イングランド王国に起源がありるそうですが、実際の歴史と違うのは新大陸に遷都して本国をイギリスからアメリカへ移したところ。従ってアメリカ独立が無く、つまりアメリカとイギリスが合わさった架空の超大国というわけです。
ちなみに、冒頭で紹介したのはこのブリタニア帝国の皇帝の演説です。
まあユーチューブもあるし公式に配信もされてますから、一度生で聞いて下さいよ。この皇帝の声若本さんですから。
皇帝というより若本さんですね!
銀河万丈さんとはまた違った味がありますよ!何しろ若本さんそのままですからね!もうしびれてしまいました!

銀様「はいはい若本さんなのはわかったから。・・・しかし設定と皇帝の演説から想像するにその国、大英帝国の19世紀の植民地主義にアメリカの弱肉強食・競争主義を足し合わせたって感じねえ・・・・・ってそれいいところ何も無いじゃん」

ばらスィ「ガンダムSEEDの大西洋連邦と同じ版図なのは偶然ですか?後この演説、思いっきりガ○マ国葬演説なんですが

・・・いや、そこは製作がサンライズだから(笑。
作中もエリア11総督の第三皇子クロヴィスが主人公に殺されたらその後釜に冷徹な姉上(コーネリア皇女)が追討のためにやって来たり、ルルーシュと双璧を為す心優しくて人道主義なもう一人の主人公が平和を愛するお姫様と仲良くなっていくそれなんてキラとラクスって感じの展開もあったりと、初代ガンダムやSEEDからのパロディが多数あります。スタッフも楽しんで作ってる感じですね。

ばらスィ「・・・・・・SEEDとファフナーで完全にアニメ界に定着しましたよね、主人公二人方式」

なお今回監督は『無限のリヴァイアス』『プラネテス』の谷口悟郎氏。華麗な美少年美少女が勢ぞろいのキャラクターはCLAMPがデザイン。ロボットなどメカデザインはSEED、キングゲイナー、エウレカセブンなどを手がけたスタッフ達を使っています。

銀様「うわぁ、超豪華・・・(汗。そりゃ人気が出るはずだわ、CLAMPの描いた美少年がサンライズのメカで戦うんでしょ?○女子にもメカオタクにも受けて両手に花じゃない。しかもガンダムネタ使い放題。だから気に入ったの冬月?」

ははは、確かにヒットするべくしてヒット作になったものではありますがね。
でも私がこのアニメに着目したのは、そのこれまでに無かった大胆な世界設定ですよ。そしてこれまでに扱われなかったところに光をあててくれた。

薔薇「確かに・・・少しあからさま過ぎる気もしますが」

いや、よくぞやってくれた、と喝采を送りたいよ。
時代が変わったんだな、と観ながらしみじみ思いましたね。10年前ならこんなアニメ、左翼のバッシングが怖くて作れなかった。
日本ないし世界が侵略される類のアニメは山のようにあります。だがコードギアスは単純な物理的占領でなく、『精神的占領』つまり『誇りの喪失』という問題を前面に押し出した。これまで、戦後日本が扱うことをタブー視してきた、『日本人が日本人であることの誇り』の大切さ、そしてそれが奪われるということがどういうことかという問題に正面から取り組んだ。日本人のパトリオティズム(祖国愛)にスポットを当てたアニメとしては『宇宙戦艦ヤマト』以来ではないでしょうか。

第一話、日本がブリタニアに降伏した後、日の丸の旗がブリタニア帝国旗に変えられていく描写のインパクトが非常に大きかった。
そして『日本』が『エリア11』にされ、日本人は『イレヴン』という隷属民の地位に落とされて、ブリタニア人から抑圧され差別・迫害される。
何より大きいのは自由よりも『誇り』が奪われたこと。これは現実に日本が戦後東京裁判史観を押し付けられ、日本が一方的に悪かったという歴史観を持ってしまったのと同じです。
負けたものは、自由も誇りも奪われる。そのことをこのアニメはわかりやすく示しています。
「戦とはな、生命と誇りの奪い合いだ」
第七話でブリタニア側のコーネリア皇女がそう言っていましたが、実際その通りなのです。
富士山の使い方も効果的でした。
第一話でブリタニア軍の大編隊が富士山の上空を覆い尽くす光景。
そして第八話でブリタニアによるサクラダイト採掘のために醜く削られた富士山。
富士山は日本のある意味象徴ですからね。
そこから『サクラダイト』という架空の希少資源が採掘されるようになり、重要な戦略物資になって日本はブリタニアに占領されてしまったのがこのアニメ。
物が溢れ楽園のように豊かでチリ一つ無いほど美しいブリタニア人の租界と、対象的に爆撃で破壊されたまま放置されたイレヴンのゲットー。
ブリタニアに協力するイレヴンが『名誉ブリタニア人』と呼ばれる設定なども、リアリティを感じます。
反対に独立のために戦う日本人レジスタンスは『テロリスト』としてテレビで報道される。クロヴィスが会見で日本人レジスタンスとの戦いに『テロとの戦い』という言葉を使っていたのは、まあ痛烈な風刺でしたね(苦笑。

ばらスィ「イラク戦争意識してますね・・・」

銀様「SEEDもそうだったけどサンライズはアンチアメリカだからねぇ。ただ、なるほどって思うのは、今のイラクとか中東の産油国がどんな目にあってるか、その『サクラダイト』っていう架空の資源を登場させることで日本人にも味わってもらおうという趣向ね。
日本からは石油みたいな戦略物資が取れないから、それが産出されるばっかりに大国に当たり前のように侵略される中東の国の気持ちがわからない。
現にサウジアラビアに米軍が駐留していたり、クウェートや今のイラクが実質的なアメリカの保護国になってしまっている現状を、テレビでも当然のように扱ってるし私達も疑問に思わないよね」

そう、石油は世界全体にとって重要な資源だから、その安全保障のために世界の警察のアメリカが中東に介入するのは当然だと。でもそれをこのアニメのように同じ事を日本でやられたら、それがいかに異常なことか私達は初めて気付く。資源が取れる国の独立国としての主権が超大国によって平然と踏み躙られていく・・・本当に痛烈な風刺です。
何より耳に残るのは作中何度も登場する、「イレヴンじゃない、日本人だ!」というレジスタンスの悲痛な叫びです。
祖国を名乗ることが許されない悔しさ。今も世界中で自分の独立国をもてない民族がたくさんありますが、日本人はそういう悔しさを味わったことが無い。だからこの設定は非常に興味深い。

ばらスィ「・・・確かに、戦後の日本人は自分達が日本人なんだ、と誇る意識をタブー視してきましたからね」

そう、左翼アレルギーで、愛国心は軍国主義につながるからタブーだといわれてきた。今の日本人は自分が帰属する共同体として祖国を意識することを極度に避けています。メディアも教育もずっとそうでした。
家族の一員、社会の中の市民、その次は国民、日本人でなければいけないのに、それを飛び越していきなり「地球市民」とか「人類」にいってしまう。
日本、という言葉を避けているんですね。日の丸、君が代の問題も同じです。これでは今の日本は、占領されているわけでもないのに自ら誇りを放棄してしまっている状態です。
そういう人たちには日本が今こうして独立国である事がどれだけありがたいことか、そして自分が日本人でいられる事への感謝、誇りを、このアニメを見て思い出して欲しいですね。

ばらスィ「・・・・・・アニメや漫画というフィクションを通して日本が今抱える問題を風刺するのは、かわぐちかいじと非常に近い手法ですね」

銀様「つまり、このアニメは架空の世界を舞台にしたフィクションでいて、実は今の日本に訴えかけるところが大きいってことかしら」

その通りです。
異論があるかもしれないが、私はこのアニメに登場するブリタニア帝国が間違っているとは思わない。
冒頭の皇帝の演説も、戦は命と誇りの奪い合いだというコーネリアの信念も、私は一本筋が通った一つの論理だと思うのです。
少なくともブリタニアはその言葉の通り、常に競い合って進化し、全力で戦って、世界一の超大国になったわけですから。

私はむしろ、このアニメの中でのブリタニアの侵略は、日本人に大切なことを気付かせてくれたものだとさえ思っています。

銀様「生きる事は、戦う事・・・って奴かしら?(笑」

ばらスィ「そういえばどっかの赤いのが言ってましたね、そんなこと」

そう。
自由は与えられるものではない。意志のある者が掴み取るものなのです。
そういう意味では、日本人はもう一度国を占領されて、ヴェトナムのように血を流して力で独立を勝ち取った方がいいのかもしれない(苦笑。

銀様「随分と物騒な結論ねぇ・・・」

ははは・・・でも私は、心が失われている現状もまたとても恐ろしいと思いますけどね。
しかし、今国会で法律も色々改正されますし、こういうアニメもつくられて人気が出るようになって、この国も少しずつ変わっていくんじゃないでしょうか。
期待できそうです。

・・・さて、今回はこの辺で。
私が紹介したのは主にコードギアスの世界観ですが、アニメとしても十分面白い作品ですよ!思想的背景に興味がなくても十分楽しめると思います。
詳しくは公式サイトへどうぞ!

ばらスィ「・・・・・・なんだか世界観の話ばっかでコードギアスのギャグ要素がまるで紹介されないアニメ紹介でしたね」

なんだと貴様、文句でもあるのか!?

ばらスィ「例えばですね、冷徹なコーネリア殿下が実はこんなで妹のユフィを溺愛してるっていう萌え設定とか・・・・」

銀様「うわっ、これとても同一人物には見えないんですけど!?」

・・・・・なっ、なんでそれを知ってる薔薇水晶?まさか貴様、実はこのアニメ観てただろう!?

ばらスィ「観てないだなんて一言もいってないし」

なんだと~!!貴様、せっかくの格調高い私のアニメ紹介をよくも面白おかしくコケにしてくれたな!

銀様「あーあ、また始まったし。
・・・要するに、シリアス設定もあるけどギャグあり萌えありということで。面白ければいいんじゃない?」

ばらスィ「冬月さん、これ以上騒ぐとオレンジをばらしますよ

き、貴様そんなネタまで・・・!

銀様「あーもうわけわかんないし」

―おしまい―


復活宣言

2006-11-28 14:20:50 | Weblog
ソロモンよ、私は帰ってきた!!

・・・えー、大変長らくご無沙汰しておりました。
今更0083を録画してる冬月です。
改めて今の率直な心境を端的に申しますと、
「地球だ、何もかもが懐かしい・・・」
と呟く沖田艦長のような目でブログの編集画面を見つめております(←もうすぐ死ぬんかい
いえ、大丈夫です、沖田艦長も続編で生き返りましたから(笑

二ヶ月、いや三ヶ月。
こんなに長い間この場所を放ったらかしにしてしまって、本当に申し訳ありませんでした。それにサイトも。
掲示板のレスもおろそかにしていましたし、お世話になっているよそのサイトにももう長い間挨拶に行っていません。何より主産業の小説が停滞していますし。
管理人としてあまりに無責任でした。本当に申し訳ありませんでした。それと、いない間頑張ってくれたharuさん、本当にありがとう。
職務復帰宣言は先日掲示板で仙台に行く前にしましたが、やはり私にとってある意味始まりの場所でもあるこのブログに戻ってこなければ、本当の復活にはならないと、ずっと思っておりました。

あれだけ書いていたのに、ずっと書いていないとまた書き始めるのには勇気がいるものでしてね、まるで去年の12月に初めてブログを書いた時のように緊張しています(苦笑。
ですから今回はリハビリということで。あまり面白いギャグは書かないので、一見様向けではないかもしれません(ごめんなさい)。
疑問に思われてる方もいらっしゃるでしょうし、どうして私の活動が停滞していたか、手短に釈明をしておきたいと思います。本来こういう話を公の場所でするのは私の主義ではないのですが、恐らく今回が唯一の機会だと思いますので。


停滞、というとお願いティーチャーの『停滞』(※作中に登場する欝になると全細胞が仮死状態になって眠りにつく病気のこと)が有名ですが(苦笑、この際なんでもいいです。
8月から9月にかけて、プライベートな事で色々と問題がありました。
内容は知らない人には面白くない話ですしそれ自体は今回の論点ではないので具体的には語りませんが、問題自体は私の人生では良くある事なので、通常何か大変な事があってもそれによって生じる精神的ダメージをその箇所にだけ抑えて、他では平常心を装えるようになっています。大和やタイタニックを設計した人もそうだったと思うのですが、自分のダメージ・コントロールは万全だと思っていました。
まずかったのは、それが同じところで立て続けに三回起こったことで(涙。

例えるならまず地震があって、ようやく地震が収まって瓦礫を取り除いていたらそこに隣国がミサイルを撃ち込んできて、その痛手からもなんとか立ち直ろうと被災地を激励するパーティーをやったらその会場が今度は竜巻で吹き飛ばされる、といった感じでしょうか。

特に第三波が決定的でしたね。痛手から立ち直って「よし、気を取り直して頑張っていこう!」というまさにその出鼻をくじかれるわけですから。こういったショックは想定外でした。
ああ、人の心って、こんなに簡単に折れてしまうんだなあ、と。

しかし考えてみると、反復攻撃は空母機動部隊でも打撃戦法の基本でしたね(何か違う)、備えのなかった私が弱かった、認識の甘さがあったと思います。
空爆でもそうなんですが、第一波の衝撃というのは実は致命打にはならないんですね。人間は最初の衝撃に対しては相当に構えますから、火事場の馬鹿力でアドレナリンを出して生き延びようとかなり一生懸命になって、精神的には持ちこたえるんです。
効果的なのはむしろ第一波が終わって、ほっと一安心して火を消したり瓦礫を取り除いたりしようと市民が外に出て作業を始めるタイミングを見計らって行われる空爆の第二波、第三波。
既に第一波で相当疲労して弱くなってますから、いつものような冷静な対応もできず、とても簡単に精神がダウンしてしまうようですね。

私の場合これまでの人生を振り返るに、小学校六年間いじめられてクラスで孤立していましたが平気でしたし、十八年間忠誠を尽くした組織からある日突然追い出されようと三年間付き合っていた女性がある日突然いなくなろうと大学でサークルの代表になったら旅行中にそのサークルでクーデタが起きようと精神的に参ってしまうというのはなかったし、似たような経験をしている人は他にも大勢いるでしょうから別にそれが普通だと思っていました。
『欝』というのは自分とは全く無関係な、他の人の話だと考えていた。友人の中で欝状態になって苦しんでいる人が何人もいましたが、私は彼らを慰めていても本質的には彼らを理解していなかった。
自分はこれまでどんな衝撃にも耐えてきたのだから、恐らくかなり図太いのだろうという過信があったわけです。
しかしそこに見落としがありました。
衝撃が一つだけならそれがかなり大きくても対処できるという事と、波状的に連射されてくる中小規模の問題の群れに耐え続けられるというのは違う。
これは多くの事において言えるでしょう。装甲板の性質とか(笑

最初は、これは一時のダメージで少し時間が経てば気分も明るくなるだろうと思っていました。
第三波があってから一ヶ月ほど経って、いつまでたっても何も文章を書く気になれない自分に気付いた時、初めて自分が恐らく『欝』もしくは『失望』といわれる状態かそれに近い状態なのだろうということに気がつきました。
欝になった人の状態としてはいわゆる「ひきこもり」が一般的ですが、私の場合はこの「ひきこもり」が少し特殊なものになりましたね。
普通、「ひきこもり」というのはリアル、つまり現実の社会に適応できなくなった人が家に閉じ篭る、例えばネット漬けになる状態なのでしょうが、私の場合現実社会では家族とも上手くやっていますし一緒に遊べる仲の良い友人にも不自由しないし学業も仕事まであります。
そして私の問題というのは実のところインターネット上での文章のやり取りを媒介にして発生したので、結果私はネットに近づけなくなって現実社会に引きこもる、「逆ひきこもり」状態になってしまったわけで(笑。

後はどうなったか、ご存知の通りです。
それまで何万字もの文章をさっささっさと呼吸するように書けていた私が、ノートパソコンを開く事すらできない状態が続きました。
トラウマというわけでもないんでしょうが、とにかく文章が書けない。書こうとすると頭が痛くなって、簡単なメールの返事でも、書くのに一ヶ月以上かかってしまう。
文章が書けないというのは、ネット上では失語症になったのと同じです。
サイトを更新するのにも対外活動にもブログを書くのにも掲示板でお客様のお相手をするのにも、何より小説を書くのにも文章が書けなければなりませんから。
とにかくキーボードがたたけなければお話にならないのです。
何ヶ月も更新されずに放置されたサイトや、他のサイトで次第に忘れ去られて行く私の存在や、気遣ってくれる友人のメールがたまっていくのを見ながら、こんな醜態を晒し続けるならいっそサイトを閉鎖しようとさえ考えました。
でも閉鎖しようにも、閉鎖を発表する挨拶文さえ書けない有様で(笑。
ブログも、書きたいネタがたくさんあって携帯のメモ帳に書き留めるまではいいのですが、いざ肝心のブログの編集画面に行こうとすると尻込みしてしまう。
停滞していればお客さんも当然減りますからそれでさらに足が遠のく。悪循環ですね。

サイトの管理人までやってネットにどっぷり漬かっている人間がブログで言うことではないとは思うのですが、私には正直なところ、インターネットというのが安全なコミニケーションの手段だとはどうしても思えないのです。確かに便利だから使っていますが、しかしこれをメインにしたコミニケーション、あるいはそれのみに依存した親密な人間関係の長期維持は、問題があるのではないでしょうか。
相手の顔が見えない、声が聞こえない。
友人の神鏡学斗はこれを自身のコラムで、テキスト会話におけるノンバーバルコミニケーションの欠如と言って文通で喧嘩がおきやすい理由として紹介しています。
文字には温度が無いから、オフで会って言っていれば問題なくてもメールだと真に受けられる可能性が大きい。
そして最も問題なのは、テキストでのコミニケーションは一方通行で一切修正、フォローが効かないということです。
テキスト会話というが、会話とは呼べません。
しかも文字だから残る。一人歩きします。
文字というものは、なるほど人間の意志を誰にでもわかる記号に変換する便利な手段で、文明の最大の発明だと思いますが、しかし同時に誰もが使えるというその汎用性ゆえに、文字は人間の意志をあくまで記号化したものに過ぎず、意志を真似ることはできても実態としての意志そのものにはなれない。
わかりやすくいうと、実際に会って話をしたり電話で話したりすれば、こちらから相手へ伝えるメッセージの中身が相手に正しく受信されるようフォローできますよね?
ところが文字のやり取りは、いってみれば解読手段がお互いの間で統一されていない暗号文を送っているようなものです。
しかも暗号と違って下手に「読める」だけたちが悪い。
文章にこちらがどんなメッセージをこめていようと、もらった相手はその文章を自分で吸収して、自分なりのやり方でそれを受信してしまう。
これは極めて厄介な問題です。
全く同じ文章でも、もらう相手の性格、ものの考え方、あるいは状況によって全く受信のされ方が違ってしまい、ある人間は楽観的に、ある人間は悲観的に受け止める。
会話だったら、相手が誤解して喋っていたら途中で遮って訂正することもできるし、相手の声が聞こえたり顔が見えたりすれば必要以上の不信感、不安感は生まれません。
もし相手の言っていることに疑問をもったら、その場で質問して疑問を解消することもできるでしょう。
もし相手に対して何か怒っていることがあっても、会話の全体で「私は君と仲良くしていたい」という雰囲気でさえあれば問題があってもそれをお互い冷静に余裕をもって話し合えます。
でもネットでは。
私は去年の11月に人生で初めてネットで小説の公開を始めるまでは、オフ一本で生きてきた。
高校時代、私は30人以上の友人と、一度も喧嘩をしたこともなければ嫌われたり恨まれた事も無い。むしろまとめ役で、自分のコミニケーション能力には相当な自信がありました。

それがネットで活動を始めたらチェリーボーイ以下というわけです(笑。
自信を喪失して、無気力になってしまいました。
そして気がついたら夏が終わっていて、秋も終わって、年の暮れになっていた。
いつまでも夏仕様になっていたトップページの銀様の挨拶を書き直しながら、「ああ、もう夏が終わってしまったんだな」と。
自分が停滞している間に、どれだけの長い時間が経っていたか実感して愕然としました。
今12月を直前に控えて総決算をしようと思い、手始めにこのブログを書いています。
年内に発生した問題の全てを年内に解消したい、来年には持ち越したくないという意志だけで気力を出しています。
年が変わったからといって何か変わるかは怪しいものなんですが・・・まあ願望ですね。変わってほしい、変えられるはずだ、という。
別に年が変われば勝手に何かが変わってくれるわけではない。
年はただの暦です。人の意志が、全てを新たにするのだと信じます。

・・・今回は、わかり辛くてつまらない話をしてしまってすみません。
久々に冬月のブログを見て、「さあどんなネタを披露してくれるんだ?」と期待して下さった方には申し訳ないです。
いやむしろ、こんなずっと放置されていたブログを諦めずにチェックして下さっていた時点で本当にありがとうございました(涙。

私は今回皆さんに、何も教訓めいたことを言うつもりはないです。
別に危機管理の心構えについて云々する必要は無いでしょう。そういうのは人それぞれです。
ただ今回はひとつのけじめとして、私がこの沈黙の数ヶ月どういう状態にあったかを、皆さんに吐露しました。
もし皆さんの中に今停滞している人、気力をなくしかけている人がいたら、どうか見て下さい。
私はこの通り、三ヶ月かかりましたが復活しました。ネット上では消える人は多いですが戻ってくる人も多いです。永遠に暗黒時代なんてありえない。

このブログで復活すると宣言した以上、もう大丈夫です♪
今私の状態は『北斗の拳』・・・いえ、『銀色の髪のアギト』の世界並みに文明が崩壊してしまっていると思います(笑)、完全に元通りに復旧させるには、とても長い時間がかかるでしょうし、戻らないものもあるでしょう。
それでも私はこれから、瓦礫を一個一個取り除いてライフラインを作り直し、もう一度明るくて楽しかった日々を目指します。

ここも次回からは、また昔通りですからご安心下さい。
銀様と薔薇水晶が大活躍(大暴れ?)のマーキュリーチャンネル再開です(笑

本当に長らくお待たせしました。これから水銀党本部をどうかよろしくお願いします!