水銀党です。
今日はオフであったことの話をいくつか。
私が普段働いている職場は、私が通っていた高校の近くにあります。
先日たまたま仕事が予定よりも早く終わって時間が空いたので、久々に懐かしい母校を訪れてみました。
私が高校生だった頃と違って最近は物騒なんですね、校門には警備員が立っていてセキリティチェックをしてましたが、私、高校時代結構有名人だったものですから(苦笑
警備員さんも私の顔を覚えていたようで、不審者扱いされることもなく入れました。
私の母校は幼稚園から高校までありまして、幼稚園から入った私にとっては15年間を過ごした思い出深い場所です。
今はもう私と時間を共有していた同級生や後輩など親しい友人は皆卒業してしまっていて、教員も私の知らない人が増えました。
私ももう、詰襟の制服姿ではありません。
でも唯一、私が昔と変わらずに過ごせる場所があります。
私、中学から高校まで6年間美術部員だったんですよ。
幼稚園の頃から建物の絵を描くのが好きで(逆に言うとそれ以外の絵、例えば神鏡やharuさんが得意な人物画とかはまるで駄目だったんですが)、油彩やエッチングで私が頭の中で想像した架空の都市の絵を描いて、文化祭の時に出展してました。
だからここだけの話、神鏡が仲良くしているセオドアさんの隠れファンだったりします(笑
勿論彼みたいな才能は全然無かったんですけどね、それでも街の絵を描くのが好きでした。
私は人間の絵が描けないですから、代わりに人の営みの集合体としての都市を描いて、後はそこに暮らしている人々のドラマを自分の頭の中で補完していたのかもしれませんね(笑
まあ絵なんて上達しようとさえしなければ一人でも描けるものでして。
美術部が好きだったのは、顧問の美術の先生と、とても仲が良かったからです。
先生と話をしているだけで楽しかったんですね。
だから卒業してからも、機会があれば6階の美術室には昔部活動をしていた時と同じように遊びに行きます。
その日は私が遅くいったせいか、部室にはもう先生しかいらっしゃらなくて、せっかくだからと二人で近くの居酒屋に飲みに行きました。
久しぶりだったので、お互いに色んな話をしましたね。先生は私が卒業した後の学校のこと、私は大学や父の会社のこと、今でも親しくしている高校時代の友達のこと。
話を聞くと、学校も、色々大変みたいで。
先生と私は、15歳差なんです。私は自分の弟と13歳離れていますから、きっと大きくなった弟から見た私というのは、私にとっての先生のように見えるんでしょうね。
さて、そんなほんわかした出来事の翌日に、私はとんでもない経験を(←強調)してしまったんです。以下はそのお話を。
私の幼稚園からの旧友で外蛯沢(仮名)という男がいるんですが、これが大の車好きでして。
まあただの車好きならまだ格好良かったんですが、彼は車好きであるのと同時に二次元オタクで、この二つが融合した結果変な方向に走り始めちゃったわけです。
突然ですが皆さん、イタ車って何だか知ってます?
私も今年に入ってから知った単語なのですが、少なくともツンデレっていう単語よりは知名度低いですよね(←何故にそれを引き合いにだす
なんだそんなの、どうせイタリア車の略だろとか思ったセレブな貴方は、甘いです。
「ヴェトコンなんかいちころだぜ!YEAH!!」って行きの輸送ヘリの中で言ってるアメリカ兵と同じです。
貴方はまだ、ジャングルに潜む敵の本当の恐ろしさを知らない(BGMはシルヴェスタ・スタローン主演の某映画のを)
いい加減前置きが長くなってきたんで(←ヴェトナムネタのせいだ)一気に説明しちゃいますと、
『イタ車』とは『痛い車』の略で、自分の車を好きなアニメやゲームなどの美少女キャラクターのシールで飾る趣味のことです。
彼は去年の暮れから、自分の愛車を彼の熱いリビドーで(←最近気に入ってる)染め上げ始めたようで、しかもこういう趣味とは一人でやってるものでなく、必ず同志がいるんですな。
どうも彼の話によると、インターネット上に同好者が集まって、自分のイタ車の写真を投稿してそのイタさを「イェッヒー!」と自慢しあうという、『螺旋回廊』のEDEN並みにやばいスレがあるらしく。
そこのメンバーが毎週金曜日の深夜、秋葉原の某所でイタ車で集まってオフ会をやっているんです。
私は去年から来てみないかと誘われていたんですが、中々行く機会が無くて。
このたびようやく暇ができたので、彼にメールで集まる時間を聞いてから、大学の友人A(モスト)と二人で秋葉原に向かいました。
渋谷から秋葉原へ向かう行きの電車は、本当に平和そのもので。
「私イタ車見るの初めてだよ~」とか、「どんな車なんだろうな、楽しみだな~」ってぬるめの会話をまったりしながら。
まさか自分達が、ヴェトナム帰還兵になるとも知らずに・・・・・!(←いい加減そのネタはやめろ
秋葉原駅についた直後から、悲劇は幕を開けました。
場所がどこかわからない。
前に彼に教わった、オフ会をやっているという山手線の沿線には、そんな車一台も停まってません。
私「・・・・・いない!?Shit!どうなってるんだ!」
モスト上等兵「Fuck!情報部め、またガセネタを・・・・・どこだ、どこに潜んでいるんだ!?」
昼間は大勢の人で賑わう秋葉原ですが、夜は電気街にもシャッターが下り、閑散としています。
そこに右往左往するルーキー(新兵)二名。
30分ほど当ても無く彷徨った後、仕方なく道行く人や警官に聞き込みを始めた、まさにその時・・・・・。
Boooooonnnnnn..........
私達の目の前数十センチぐらいのところを、一台のオープンカーが走り抜けて行きます。
運転席に座る、どこかで見たような人影。
そして車体の側面には、以前彼からもらった名刺のデザインにあったのと同じ、紛れもない青色の美少女のシルエットが!
私「あ!XXX!!!(外蛯沢の本名)」
思わず大声を上げる私。
運転席に座る人影が振り返り、視線と視線がぶつかります・・・・・
瞬間、辺りの景色が真っ白になり、回想モードへ。
別れ際に、私にトリィを手渡す外蛯沢。
物悲しく流れるテーマソングは、『あんなに一緒だったのに』
映像が再び現在に戻り、絶叫する私。
私「アスラン!どうして・・・どうしてお前が、そんなものに乗ってるんだ!!」
・・・とまあ定番のSEEDネタはさておき、実際はそんな声すらかける暇もありませんでした。
何故なら彼が、私の顔を見るや否や一気に加速して走り去って行ったからです。
加速していく背中に今は~♪・・・なんて、歌ってる場合じゃありません。
どういう事情かは知りませんが、私の幼馴染クンは、チャットに告知してメールで時間まで教えて誘った友人をシカトして逃げることにしたようです。
VIPPER風に表現するなら、ちょttttttttttまtttttttttって感じですよね。
幼馴染は幼馴染でも、雪の中を2時間遅れてやってきて缶コーヒー1本で許してもらおうと考えている幼馴染以上に悪質です(←Kanonネタやめい
モスト「どうした!?」
事情がわからないモストの声で、私は我に返りました。
ここで逃がせば、これまで探すのにかかった時間が全て水泡に帰す・・・
慌てて指揮官の顔に戻って、怒号を上げます。
私「見つけたぞ、ヤツだ!追え、追うんだ!!!」
人になついた首長竜を狙う恐竜ハンターのように、夜の街を全力疾走で後を追う私とモスト。
この瞬間、外蛯沢との幼い日々の記憶は私の頭から掻き消え、目の前を走る車は一個のターゲット(標的)と化します。
私「逃がすな、敵はたったの一台だ!!」
モスト「ククク・・・この街は俺達の庭だぜ?・・・・・・逃がすものかよ!!」
互いに励まし合いながら、走るスピードをマックスへ。
余談ですが私は高校時代、持久走でベスト5に入らないことは無かった健脚。
モストも短時間ならそれに匹敵する足を持ちます。
しかし、さすがに相手は車、こちらはどうあがいても所詮は人間なわけで・・・・・
モスト「・・・は、速いぞこいつ!!?」(←当たり前だ
見る見る距離が開いていき・・・・・
私「くそっ、これがナチュラル(人)とコーディネーター(車)の差だというのかぁ!?」
モスト「ば、化け物めー!!」
モストの断末魔も虚しく、あっという間に夜の闇の中に見失ってしまいました。
元々スポーツカーで車高が低い上に、色がダークブルーですから、夜はまるで見えません。
モスト「ターゲットをロスト!」
私「間に合わなかった・・・か・・・・・・」(←08のイーサン少将っぽく)
ここまでのハイテンション(+つっこみどころ満載の会話)が嘘だったかのような静けさ。気が付けば滝のような汗でスーツがぐっしょり。
呆然と立ち尽くす私。一陣の風が、吹き抜けます。
モスト「・・・・・ど、どうする?」
モストが動揺して怯えた声で言います。
確かに、状況は最悪です。
標的をロストし、味方の後方支援も情報も無く、暗闇の敵地にただ二人。
移動する手段は、ただ己の足のみ。
撤退を選択するのが、当然だったのかもしれません。
しかし・・・・・
私「・・・・・ここであきらめてはならない」
決然と告げる私。モストが「・・・・・え?」と顔を上げます。
私「こんなところでおめおめと引き下がれば、全世界の笑い者だぞ!?秋葉原中探しても見つけ出す!我等の意地を、外蛯沢に見せ付けてやるんだ!!」
さらに歩道橋に登り、前方に広がる夜景を指差し、
私「この街のどこかに、ヤツは潜んでいる。・・・・・狩猟解禁だ、行くぞ!!」
モスト「サー!イエッサー!!」
再び走り出す二人。
真夜中の秋葉原を舞台に、当ての無い捜索は続きます。
外蛯沢を見失った場所を起点に、想像できるあらゆる場所を捜索。
秋葉原といえばオタクの聖地、もしくは電気街として有名ですが、一歩路地裏に入ればもう神田で、昔ながらの蕎麦屋や天ぷら屋が点在している、江戸前情緒のある街なんですね。
一方で、中国人が大勢いる怪しげな裏通りや、古い水路もあったり・・・そこを疾走する二人・・・・・まるで押井守の世界です。
モスト「ぜえ・・・ぜえ・・・・・もうやだ、帰りたいよぉ・・・・こんな話聞いてねえよ~。
蛯沢なんかもう見たくないよ、家に帰りたいよお・・・・・ママァ」
持久力の無いモストが先にギブアップ。
こういうやつって必ずいるんですよね、ヴェトナム戦争映画とかで。
大抵は死にますけど(←待て
私「何を言っているんだ!お前、イタ車をこの目で一度見てみたいって言ってたじゃないか!そのために今の今まで頑張ってきたんじゃないのか!?
お前の覚悟は、所詮はその程度のものだったのか!!」
モスト「くそぉっ・・・!FUCK!!FUCK!!」
ヘルシングの傭兵さんのように号泣しながら再び立ち上がって走り出すモストを横に、私は考えます。
(もう兵も疲れている・・・・・士気を鼓舞して行軍させるのも、そろそろ限界か・・・・・)
撤退の潮時を感じた私は、モストに優しく声をかけました。
私「・・・これまでよく持ちこたえてくれた。もしもあの通りに入って外蛯沢を見つけられなかったら、その時は諦めて家に帰ろう。今夜は私の奢りで寿司を食わせてやる。だから後少しだけ頑張れ」
しかしここでモストが切れます。
「はぁ!?ふざけるなよ水銀党、俺はイタ車を見せてくれるっていうからわざわざ山手線を半周してきたんだ。こんなうだつの上がらないことをするための訓練なんて、俺は受けちゃいない!」
うだつの上がらない、ときたものです(ネタ参照http://sak2-2.tok2.com/home/korosuke/diary.swf)
窮地に立たされた私に、突然あるひらめきが。
これまで私は、『山手線の走っている列車の窓から見える場所』という説明で、開催場所を高架線の周囲だとばかり考えてきました。そして線路の周囲には、いくら探しても何もいなかった。
しかし、考えてみれば一箇所だけあるのです。
交差している大通りのためにビルに邪魔されず、列車からでも遠くまで見渡せる、開けた空間が!!
私「・・・・・そこだ!」
捜索開始から2時間、私達が目指した先、そこで我々が見たものは・・・・・
いえ、ここから後の話は、もう一人の体験者に語ってもらうことにしましょう。
・・・・・と思ってモスト君に語ってもらったのですが、放送禁止な内容だったので残念ながらボツ。仕方ない、私が話しましょう。
そこには、車がありました。
数台のスポーツカー。
光沢のある車体に施された、この街を象徴する意匠。
月明かりの中で、それは、美しい光景でした。
壮観だった、というべきかもしれない。
同時にそれはひどく馬鹿馬鹿しい光景でしたが・・・しかし私は、時間をかけて探し回った価値は、あったと思います。
ちなみに:外蛯沢や他の乗ってた人には会ったのか、ですって?
あはははは・・・・・その話は思い出すと首吊るので、墓場まで持ってかせて下さい(←何があったんだ、おい
でわでわ♪今回はこれでおしまいです♪♪