水銀党本部執務室

冬月のブログです。水銀党本部の活動や、政治社会問題、日常の中で感じた事など様々なテーマで不定期に更新されております。

建国記念の宴

2006-02-11 22:09:15 | Weblog

水銀党本部・大ホール


建国記念日を祝う会

冬月「本日2月11日は、我が国日本の建国記念日であります。
先日の秋篠宮妃殿下のご懐妊という朗報にあたってワシントン・ポストが紹介したように、世界でも有数の古い歴史を持つ我が国の創始は、これを神話に遡ることができ・・・(中略)」

薔薇「・・・・・私、拘置所に帰りたくなってきました」

銀様「・・・まったくだわ。相変らず無意味に長いわねー、幹事長の演説・・・」

冬月「おほん!静粛に!!・・・我等は今日の繁栄に至るまで実に2666年もの時を超え、激動の時代時代でこの国を護り、次の世代へと繋げてくれた先人達の労苦を噛み締め、この厳かなる日をよき節目に、心を新たにしてこの国の、そして私達一人一人の輝かしい将来のために邁進していくべきなのでありまして・・・」

薔薇「・・・そういえば今年は皇歴だと、6が三つ並びますね」

銀様「第666プロテクト、別名ダナン防壁。以後62時間は外部からの侵攻不能・・・懐かしいわね~、劇場版・・・って、懐かしがってる場合じゃなくて」

冬月「・・・えー、特に、ローゼンメイデンは日本のアニメ文化の極みであり、こうした他国の追随を許さない素晴らしい作品をつくれる民族の精神的土壌が構築されていることは、まさに世界に誇るべきことであると・・・

銀様「おいおい・・・なんだか話がやばい方向に脱線しているようなのは、私の気のせい?」

薔薇「右翼でオタクって、本当にたちが悪いですよね・・・」

外を走る黒い街宣車『歌え、ライムの戦士~♪報われ~ぬ、血を流せ~♪♪』

薔薇「この軍歌、なんだかどこかで聞き覚えがあるような気が・・・」

銀様「おーい冬月~、外であんたのお仲間がうっさいんですけど~!(野次)」

冬月「な・・・!違います、あんなの仲間じゃありません!あんな愛国心の欠片も無いくせに愛国を口にする暴力団まがいの連中は・・・」

薔薇「・・・以上、冬月幹事長からの挨拶でした。
党歌、斉唱。一同、起立!」

冬月「お、おい、勝手にプログラムを・・・」


水銀党 党歌  『瞬』

 

夢は風
  
光導く
  
空と雲を超えてゆく
        
あなたの声 響け

幸せと
   
嫌な思い出

優しい今が遠ざかる

静かな夜 続け
    
この場所に残す
 
足跡さえ
   
消えかけて

傷跡の様

心の中
     
生まれた心
 
ガラス窓が
  
君見てる

 
瞬の内に込めて
    
すがる気持ち捨てて

全て思い繋げ

 

銀様「ああ・・・この清らかな歌を聴くと、冬月のむさくるしい演説で耳に溜まった汚いものが洗い流されていくようだわ・・・(感涙にむせびながら)」

冬月「随分酷い言い様で・・・(汗)」

銀様「・・・・・あれ、薔薇水晶は?」

冬月「あいつなら、一人抜け駆けしてトリノオリンピックの中継を見に行きましたよ」

銀様「そうそう、始まったよね~、冬のオリンピック♪私は見られなかったんだけど、開会式どんな感じだった?」

冬月「普通冬のオリンピックの開会式は地味なんですけれど、さすがはイタリアですね、夏のオリンピックに負けないぐらい華やかな開会式を見せてくれましたよ。
イタリアの魅力を全て惜しげもなく取り混ぜてね、ルネサンスの宮廷オペラを演じて見せたと思ったら、次の瞬間には真っ赤なレーシングカーが会場を走り回る。
工業都市らしく、鉄骨をあしらって五輪をつくっていました。
トリノはアルプスに近い山国の都市、統一イタリア王国最初の首都、そしてフィアットの城下町として知られる自動車産業の都市。あの都市の特色を全て投入し、情熱の国イタリアに相応しい、思い出に残る開会式をやってくれました。
何より会場が沸いたのは、スキープレーヤーが滑走する姿を描いたマスゲームです。
あんな工夫を凝らした楽しい開会式は初めてですな」

銀様「へえ・・・それは、見られてよかったわね」

冬月「たまたま祝日で、仕事が休めたのでね」

銀様「まあ昔は建国記念日って、ほら、戦前の紀元節を復活させたわけだから、自民党と社会党のイデオロギー的な対立があって揉めたけど、今じゃ普通の祝日におさまったって感じね。おかげでみんな、オリンピックの中継が見られたわけだし」

冬月「・・・ほう、銀様がそこまで歴史にお詳しいとは」

銀様「ふふふ、伊達に586920時間前から戦争やってないわよ~♪前に真紅と戦った場所、確か第二次大戦中の独ソ戦の前線だし(笑)
ところで冬月は、今日は何してたの?オリンピック見てただけ?」

冬月「いえ、今日は友人二人とクラシックコンサートに行って、それからちょっとお洒落にフランス料理を」

銀様「雅ねえ。曲は?」

冬月「シュトラウスでしたな。最後までは、素晴らしいコンサートだったのですが・・・」

銀様「あらぁ、何かあったの?」

冬月「最後にクラシックオーケストラと、和太鼓の共演なるものを聴かされましてね・・・。
いや、私は何もクラシックに他のものを取り入れるのが駄目だとか、そういう狭い了見でものを言っているわけじゃないんです。伝統や固定観念に縛られずに、良いものは何でも意欲的に取り入れるべきです、これは音楽も料理も同じですね。
例えば一見伝統偏重に思えるフランス料理、これだって、外からの文化を取り入れていなければ、今日の姿はありませんでした」

銀様「そうなの?フランス料理っていうと、いかにもお堅いイメージがあるけど?」

冬月「よろしい、ちょっと専門的な話をしましょう。
フランス料理とは人類の長い歴史の中では比較的最近まで洗練されていない一個の郷土料理であり、それを今日の国際的に華やかな姿に変えたのは、単に歴史的偶然の連続と、諸外国からの、悪い表現をすれば卑屈ともいえる料理法の模倣だったのですよ?
 フランス料理の料理法とはそもそもイタリアから輸入されたものであり、レストランでのサービスのスタイルはロシアから学んだものに由来しています。
 あの一皿一皿、一人分の料理が運ばれてくる、今では誰もが当然だと思っているフランス料理のスタイルとは、元はといえばロシアの宮廷料理が最初に行なったことでしてね。それまでのフランスでは、大テーブルの真ん中に出された大皿の料理に、めいめいが持ったナイフで自分の分を獲得するという、今日の大学生の飲み会の風景と大差ない野蛮な食卓が正式なスタイルだったのですよ。フランス料理のテーブルマナーが一皿を数人でシェアすることを「行儀が悪い」と極端に嫌うのは、かつての己自身の姿へのコンプレックスともいえます。
 そしてそれまでは白茹での牛肉に塩を振って食べていただけのフランスに、『料理』というものをもたらしたのは、イタリア・フィレンツェのメディチ家です。メディチ家が統治するトスカナ王国とはイタリア中部の山間の国家ですから、肉料理偏重の料理風俗。今でこそフィレンツェの市場で豊富に見られる魚介類も、当時は塩漬けぐらいしか手に入らない。またたった数十キロ北に行くだけで作られている生ハムも、パルマとは政治的に敵対していたこともありフィレンツェには入ってこなかったのです。このメディチ家の料理法の因子をそっくりそのまま受け継いだのが、実はフランス料理なのです。北部南部ともにあれほど魚類が豊富であり、また国民も海の幸を多分に愛しているにもかかわらず、正式な料理に魚料理が少なく、あったとしてもムニエルにさらに焦がしバターソースを使ったような、とても新鮮な食材相手に思いついたとは考えられない重厚な料理法なのもそのせい。そしてフランスに生ハムは未だにありません。今日日本のフランス料理店が前菜でメロンと共に供する生ハムはどれもイタリアかスペインのもので、そもそもフランス料理の正式な前菜に生ハムは存在しないのです。
 またハムとソーセージはドイツからの輸入文化です。1871年の普仏戦争の際、ドイツ系の文化を持つアルザス・ロレーヌ(ドイツ語発音エルザス・ロートリンゲン)の住民がパリに逃れ、それまでフランスではあまり評価されてこなかったビールが飲める店、すなわちブラッスリー(今日ビストロと並び、日本でもてはやされているフランス料理店形態の一つですね)を開いて、急速に広まった、いたって新興の文化といえます。あの有名なアルフォンス・ドーデの『月曜物語』におさめられた短編『最後の授業』で、最後の授業に臨む国語教師の思いつめた表情や、あの感動的なクライマックスを通して訴えかけるフランス語を母国語として愛してきたかの地の住民がそれを奪われたなどという話が、実際は現地の事実を一切無視した、フランス愛国心を鼓舞するための神話に過ぎないことは、アルザス人の間で流通していたのはドイツ語系の方言であるということを説明するまでもなく明らかですよね。かつてドイツハプスブルク家の都ウィーンがオスマントルコ軍の第二次包囲を受けた時、一番に救援に駆けつけたのはロートリンゲン公の軍勢だったじゃありませんか。アルザス・ロレーヌとは、食においても言語においても全くのドイツ文化なのです。
 そして、70年代に入ってポアンやその弟子ポール・ボギューズが開花させ、フランス料理の繁栄を一時現代に蘇らせたヌーベル・キュイジーヌ、すなわちカロリー過多だったそれまでの伝統的フランス料理に代わり、食材に必要最低限の火しか入れない、あっさりした味わいと軽いソースの組み合わせという現代人に相応しい、新しいシンプルなフランス料理というスタイルは、残念ながらそのはるか以前から新鮮で優れた食材を求めてきたイタリア料理の模倣に過ぎない観が否めない。昨今、日本は勿論フランス本国でさえも、フランス料理と看板を掲げる多くの店が料理にトマトを多用し、パスタを出しているのが現実です。
 極論してしまえば、フランス料理にオリジナリティは存在しないとさえ言えます。
以上、手短な説明ですが、おわかり頂けましたか銀様。・・・銀様?」

銀様「ZZZ・・・あ、ごめん。話が長すぎて途中で寝ちゃったわ」

冬月「orz」

銀様「あー、でもさ、結局どうして和太鼓が駄目だったの?今の話だと、異文化を取り入れることは悪くないような感じだったけど?」

冬月「合っていなければ意味が無いのですよ。あの共演はどうも不協和音で、そもそも演奏する側の指揮者やオーケストラが、戸惑っている感じでした。
一緒に鳴らすと互いの音がぶつかりあってしまうので、しまいには交互に演奏して、太鼓が叩かれている間オーケストラは黙っている始末。あれでは何のための共演なのかわかりません。
それはまあ、そこのコンサートに協賛してた麻生太郎とか、政治家はああいった趣向は喜ぶでしょうが、純粋に優れた音楽を楽しみたかった私としては、若干悔いが残りました。
オーケストラの人たちには、どうすればもっと良い合わせ方ができるのか、改善点を模索して欲しいと思います」

銀様「でもさ、どんなに工夫したって、合わない物はあるわよ。納豆とフォアグラのテリーヌなんて、合わないんじゃないの?」

冬月「いえ、テリーヌは冷たい料理だから合わないかもしれないが、ソテーした温かいフォアグラとなら、納豆は合うかもしれません。同じねっとり系だし、フォアグラは甘いソースを必要としています。納豆は甘いですよね?温かいフォアグラのソテーかポアレに冷たい納豆をかけて食べれば、案外美味しいかもしれない。勿論、そんな罰当りな料理法、試したことは無いですけどね(笑)
何事もチャレンジですよ!」

銀様「本当!?
じゃあ、フォアグラにヤクルトをソース代わりにかけるときっと美味しいわよ♪ヤクルトは甘くて冷たいじゃない!」

冬月「うげ・・・」

銀様「何が『うげ』よ、あんた自分で言ったんじゃない。ほら、さっさと食材買ってらっしゃい。早速作るわ。何事もチャレンジよ♪」

冬月(冬月コウゾウ、一生の不覚だ・・・・・)


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