酔生夢死浪人日記

 日々、思いついたさまざまなことを気ままに綴っていく

10日間の入院で終活を考えた

2021-09-05 22:11:30 | 独り言
 前稿でお知らせしたように、10日間入院した。ブログを見てメールをいただいた皆さんに感謝している。病名は脳梗塞である。先週火曜(24日)、家を出ると左右のバランスが悪く視界がぼやけている。仕事先に着くと強烈な吐き気に襲われる。同僚たちの助言で早退し、行き着けの総合病院に向かい、脳神経内科を指定する。診断は想定通り脳梗塞で、いったん帰宅して入院の運びになった。

 脳梗塞といえば長嶋茂雄、西城秀樹、辺見庸の顔が浮かぶが、桜井和寿と星野源(くも膜下出血)は30代前半で発症している。個々人によって違いはあるが、俺は減量と血圧降下を主治医に指示された。糖尿の数値も芳しくなく、消化器内科の先生にも注意されていたが聞き流していた。事ここに至り、遂に節制に取り組むことを決意する。

 来月に65歳になる俺は、人生の分岐点を迎えている。年金生活者にとって最大の問題は健康で、少しでも医療費を抑えたい。飽きるほど退屈なベッドの上で終活プランを練るだけでなく、消しゴムで消去したいような来し方の愚行の数々が甦ってくる。とっくに東京砂漠で埋もれていたはずの俺が生き長らえてきたのは、周りの皆さんの温情があったからだ。

 大部屋生活は煩わしさもあるが、慣れると悪くはない。俺が恐らく一番若く、5人の平均年齢は70歳超か。このご時世、患者同士の交流はないが、看護師との会話で人となりが滲んでくる。面会禁止ゆえ、患者たちは一様に寂しいから、看護師は体へのケアのみならず傾聴力を問われる。延々と自慢話をする患者にも相槌を打つ看護師たちに、他者に<癒やしと和み>を与えることの意味を考えさせられた。

 主治医は女性で、脳梗塞の恐ろしさを指摘された。脳梗塞は突然死するケースは希で、アルツハイマー型認知症の要因にもなる。今回は初期の段階で社会復帰出来たが、2度目を発症すれば深刻な状態に陥る可能性大で、周囲に負担を強いることになる。しっかり節制していきたい。

 視野がぼやけると、仕事のみならず読書や映画観賞も覚束なくなるが、俺は生き方を変えるつもりだ。仕事で<効率とスピード>を重視してきたことは、斎藤幸平流にいえば<「モモ」に登場する時間泥棒(資本主義)に洗脳された証し>だ。これからはスロー&ステディーで、<共生とシェアする精神>を実践していきたい。

 もっと前に紹介するはずだったが、生と死の狭間を静謐に描いた「ライオンのおやつ」(NHK・BSプレミアム/全8回)に感銘を覚えた。余命宣告を受けた海野雫(土村芳)は家族に告げず、ホスピス「ライオンの家」を終の住処に選ぶ。代表のマドンナ(鈴木京香)、入居者、島で明日葉を栽培するタヒチらと交流しながら、穏やかな時を過ごす。今回の入院はともかく、死との向き合い方を考える機会になった。
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