星稜が0―8のビハインドから9回裏、9点を奪って甲子園出場を決めた。Youtubeで映像を見たが、小松大谷は小さな揺れが増幅し、エアポケットに降下したとしか言いようがない。
野球で奇跡が起きたのだから、政治でもと期待してしまう。読売(日テレ)、産経(フジ)、日経、NHK、文春、新潮ら御用達メディアに支えられている安倍首相だが、地方紙の論調は大きく異なる。9割は集団的自衛権に「NO」を突き付けるなど、政権に批判的なのだ。地方からの叛乱が数年後、地殻変動を起こすかもしれない。
一昨日(26日)、4年ぶりにフジロックに参戦した。未明まで仕事をし、たっぷり眠って午後1時すぎの新幹線に乗り、帰りはツアーバスで朝4時半に新宿着という、ゆったりした旅程である。日帰りに限定すれば、サマソニより楽というのが俺の感想だ。
雨に備えて折り畳み傘とレインコート、Tシャツ3枚にタオル2枚、暇つぶしの文庫本、シリアル2種、膝痛が悪化した時の消炎剤を詰めて準備万端のはずが、会場入りして愕然とする。携帯用の椅子を忘れていたのだ。
グリーンステージに着くと同時に、トラヴィスが現れた。2nd「ザ・マン・フー」(99年)、3rd「インヴィジヴ・バンド」(01年)は愛聴盤で、キャッチーで泣きの入ったヒットチューンが、和気藹々と演奏されていく。実年齢(41歳)よりかなり老けて見えるフロントマン(フラン・ヒーリー)に親近感を覚えた。
湿った風が心に吹くまま、ホワイトステージに足を運ぶ。ザ・ケミスツが超弩級のビードを刻んでいたが、「こりゃ、ついていけん」と独りごち、フィールド・オブ・ヘヴンに向かう。その途中、森の中のステージ(木道亭)から女性の澄んだ声が聴こえ、しばし足を止める。児玉奈央という知らない歌手だった。思いがけない出合いもフジロックの魅力である。
ヘヴンでサンハウスを見た4年前、軒を連ねる雑貨店でサパティスタのTシャツを購入した。映画「アモーレス・ペロス」に描かれた反グローバリズムのラディカルな団体である。今回は少し様子が違い、グレートフル・デッド、フィッシュといったヒッピー、ボヘミアンの薫りがする品々が展示されていた。俺はネイティヴアメリカンへのオマ-ジュが窺えるTシャツを購入する。イートだけでなくショッピングも満喫出来るのがフジロックで、反原発や環境保護を訴えるNGOもブースを出していた。
ヘヴンから流れてきたのはルミナーズだった。フォーク、ブルース、カントリーといったルーツミュージックを取り入れ、掛け声や手拍子を交えて楽しそうに演奏している。俺には縁のない音だが、暮れなずむ光景にぴったりハマって、立ち食いしながら聴いていた。レッドマーキーで〝時代の先端〟セイント・ヴィンセントを見るつもりだったが、遠いこともあり、その気はすっかり失せていた。
今回のテーマはノスタルジーと侠気(おとこぎ)になり、最後までルミナーズを聴いてホワイトに向かう。マン・ウィズ・ア・ミッションで聴衆は異様なほど盛り上がっていたが、彼らが袖に下がると聴衆は潮が引くように消えて去っていく。
続くビッフィ・クライロは、閑古鳥が鳴く中で演奏することになるかもしれない……。悪い予感が脳裏をよぎったが、何とか格好がつく入りで、ビッフィがステージに登場する。グラストンベリー'13のピラミッドステージでヘッドライナーを務めたビッフィだが、彼我の人気の差は大きい。男臭いバンドに湿った情感を揺さぶられ、ロックと出合った頃の衝動が甦った。
別稿に記した通り、グリーンのアーケイド・ファイアで締めくくり、同時間帯(ホワイト)のマニック・ストリート・プリーチャーズを諦めるというのが、当初の予定だった。CDの売れ行き、メディアの評価、フェスでの位置付けと、アーケイドが現在、〝世界最高のバンド〟であることは疑うべくもない。
<ロックの境界を広げる雑食性のバンド>は苗場でも、開放的で祝祭的なステージで聴衆を魅了するだろう。俺はコーチェラに加えグラストンベリーのパフォーマンスを繰り返し見てたっぷり予習したが、それが逆効果になる。すっかりアーケイドを〝消化〟した気分になったのだ。「ロッキンオン」のHPでは数人がアーケイドを絶賛していたが、すべて想定内の言葉で綴られていた。
ホワイトに居残り、マニックスを見ることにした。そもそも俺は、マニックス一家に草鞋を脱いでいる。義理を欠いては、この世は生きていけない。「ロッキンオン」は無視していたが、研ぎ澄まされたマニックスに心が熱くなる。向かって左は失踪したリッチーのために空けてあったが、今回はサポートメンバー2人が立ち、音に厚みを加えていた。
3・11直後は「輝ける世代のために」、翌年の妹の死に際して「エヴリシング・マスト・ゴー」が脳裏に鳴り響いていた。ガザ空爆が繰り返される今、最も聴かれるべき「享楽都市の孤独」からスタートしたマニックスは、ロックを武器に世界と対峙するという高邁な志を維持している。
当日になってスケジュールを成り行きで変更したが、疲労もさほどなく、充実した一日だった。ぜひフジに呼んでほしいのはパール・ジャムである。彼らがブッキングされたら、万難を排して足を運びたい。
野球で奇跡が起きたのだから、政治でもと期待してしまう。読売(日テレ)、産経(フジ)、日経、NHK、文春、新潮ら御用達メディアに支えられている安倍首相だが、地方紙の論調は大きく異なる。9割は集団的自衛権に「NO」を突き付けるなど、政権に批判的なのだ。地方からの叛乱が数年後、地殻変動を起こすかもしれない。
一昨日(26日)、4年ぶりにフジロックに参戦した。未明まで仕事をし、たっぷり眠って午後1時すぎの新幹線に乗り、帰りはツアーバスで朝4時半に新宿着という、ゆったりした旅程である。日帰りに限定すれば、サマソニより楽というのが俺の感想だ。
雨に備えて折り畳み傘とレインコート、Tシャツ3枚にタオル2枚、暇つぶしの文庫本、シリアル2種、膝痛が悪化した時の消炎剤を詰めて準備万端のはずが、会場入りして愕然とする。携帯用の椅子を忘れていたのだ。
グリーンステージに着くと同時に、トラヴィスが現れた。2nd「ザ・マン・フー」(99年)、3rd「インヴィジヴ・バンド」(01年)は愛聴盤で、キャッチーで泣きの入ったヒットチューンが、和気藹々と演奏されていく。実年齢(41歳)よりかなり老けて見えるフロントマン(フラン・ヒーリー)に親近感を覚えた。
湿った風が心に吹くまま、ホワイトステージに足を運ぶ。ザ・ケミスツが超弩級のビードを刻んでいたが、「こりゃ、ついていけん」と独りごち、フィールド・オブ・ヘヴンに向かう。その途中、森の中のステージ(木道亭)から女性の澄んだ声が聴こえ、しばし足を止める。児玉奈央という知らない歌手だった。思いがけない出合いもフジロックの魅力である。
ヘヴンでサンハウスを見た4年前、軒を連ねる雑貨店でサパティスタのTシャツを購入した。映画「アモーレス・ペロス」に描かれた反グローバリズムのラディカルな団体である。今回は少し様子が違い、グレートフル・デッド、フィッシュといったヒッピー、ボヘミアンの薫りがする品々が展示されていた。俺はネイティヴアメリカンへのオマ-ジュが窺えるTシャツを購入する。イートだけでなくショッピングも満喫出来るのがフジロックで、反原発や環境保護を訴えるNGOもブースを出していた。
ヘヴンから流れてきたのはルミナーズだった。フォーク、ブルース、カントリーといったルーツミュージックを取り入れ、掛け声や手拍子を交えて楽しそうに演奏している。俺には縁のない音だが、暮れなずむ光景にぴったりハマって、立ち食いしながら聴いていた。レッドマーキーで〝時代の先端〟セイント・ヴィンセントを見るつもりだったが、遠いこともあり、その気はすっかり失せていた。
今回のテーマはノスタルジーと侠気(おとこぎ)になり、最後までルミナーズを聴いてホワイトに向かう。マン・ウィズ・ア・ミッションで聴衆は異様なほど盛り上がっていたが、彼らが袖に下がると聴衆は潮が引くように消えて去っていく。
続くビッフィ・クライロは、閑古鳥が鳴く中で演奏することになるかもしれない……。悪い予感が脳裏をよぎったが、何とか格好がつく入りで、ビッフィがステージに登場する。グラストンベリー'13のピラミッドステージでヘッドライナーを務めたビッフィだが、彼我の人気の差は大きい。男臭いバンドに湿った情感を揺さぶられ、ロックと出合った頃の衝動が甦った。
別稿に記した通り、グリーンのアーケイド・ファイアで締めくくり、同時間帯(ホワイト)のマニック・ストリート・プリーチャーズを諦めるというのが、当初の予定だった。CDの売れ行き、メディアの評価、フェスでの位置付けと、アーケイドが現在、〝世界最高のバンド〟であることは疑うべくもない。
<ロックの境界を広げる雑食性のバンド>は苗場でも、開放的で祝祭的なステージで聴衆を魅了するだろう。俺はコーチェラに加えグラストンベリーのパフォーマンスを繰り返し見てたっぷり予習したが、それが逆効果になる。すっかりアーケイドを〝消化〟した気分になったのだ。「ロッキンオン」のHPでは数人がアーケイドを絶賛していたが、すべて想定内の言葉で綴られていた。
ホワイトに居残り、マニックスを見ることにした。そもそも俺は、マニックス一家に草鞋を脱いでいる。義理を欠いては、この世は生きていけない。「ロッキンオン」は無視していたが、研ぎ澄まされたマニックスに心が熱くなる。向かって左は失踪したリッチーのために空けてあったが、今回はサポートメンバー2人が立ち、音に厚みを加えていた。
3・11直後は「輝ける世代のために」、翌年の妹の死に際して「エヴリシング・マスト・ゴー」が脳裏に鳴り響いていた。ガザ空爆が繰り返される今、最も聴かれるべき「享楽都市の孤独」からスタートしたマニックスは、ロックを武器に世界と対峙するという高邁な志を維持している。
当日になってスケジュールを成り行きで変更したが、疲労もさほどなく、充実した一日だった。ぜひフジに呼んでほしいのはパール・ジャムである。彼らがブッキングされたら、万難を排して足を運びたい。