酔生夢死浪人日記

 日々、思いついたさまざまなことを気ままに綴っていく

スポーツと政治~NFLが突き付けるもの

2017-10-01 16:39:48 | 独り言
 〝プチ安倍〟こと小池都知事を繰り返し批判してきたが、民進党リベラル派の希望の党公認を却下した決断には感謝している。民進リベラル+共産+社民+市民連合が旗幟鮮明に団結し、タカ派の潰し合いに割って入る可能性が出てきたからだ。小池氏、その威を借る若狭勝、細野豪志両議員の傲慢な物言いは、既に有権者の反感を招いている。

 政局の動きは腐臭が漂うが、今回は政治を背景にあれこれ雑感を記したい。

 旧聞に属するが先週末、バドミントンの試合(ダイハツ・ヨネックスジャパンオープン準決勝)を初めて観戦した。招待券をゲットした知人にお供したのだが、ある光景が未消化のまま発酵している。スポーツ会場にはチャントをリードする人がいるが、東京体育館にもいた。

 韓国VSデンマークだった男子シングルスは、リーダーに主導され、応援はデンマーク選手一辺倒になる。混合ダブルスはマレーシアVS中国だったが、マレーシアに声援が偏っていた。嫌韓、嫌中感情の反映とも訝ったが、明確な答えは出ていない。スポーツは確実に政治と近接している。 

 最近、スポーツを観戦する感覚で麻雀番組を楽しんでいる。とりわけ注目しているのは「麻雀最強戦」(優勝賞金300万円)で、ネットでライブ中継された後、インタバルを経てテレ朝チャンネルで放映されている。緊迫感に満ちた一発勝負の連続で、昨年度の決勝はスポーツ名場面を凌駕するドラマチックな展開だった。

 ダークホースの近藤千雄(協会)が、〝最強最速〟多井隆晴(RMU)を南4局で逆転し、最強位を獲得した。両者は人目を憚らず涙を流し、解説陣にも波及する。素晴らしい敗者は多井だけでなく、勝又健志(連盟)、角谷ユウスケ(協会)は終局時、ともに四暗刻一向聴で、奇跡に向け牙を研いでいた。

 番組冒頭で歴代最強位が紹介される。2011年に連覇を達成した板川和俊を検索したら、多くの記事がヒットした。連盟に所属していた板川は、森山現会長の打ち筋を批判した咎で追放されたという。上記の角谷は他団体所属であるにもかかわらず、タイトル戦決勝での打ち回し(主催者、他の3人は了承済み)に森山から横やりが入り、謝罪を強要された。

 すべて信じるほど初心ではないが、〝事実〟に触れた以上、〝痩せ蛙(他団体の雀士)〟に肩入れしようと思った矢先、角谷の「MONDO杯」出場を知る。放映するMONDOTVは連盟と縁が深い。<連盟所属雀士と同卓させない>とのお達しが沙汰やみになった裏に、政治が動いたはずだ。

 全米で今、NFLが耳目を集めている。発端は昨年8月の〝たった一人の叛乱〟である。49ersのQBコリン・キャパニックは「差別がまかり通る国に敬意を払えない」と表明し、国歌斉唱時の起立を拒否した。さざ波が広がったのは今年2月。ペイトリオッツはオーナー、ヘッドコーチ、QBがトランプ大統領と親交が深いが、スーパーボウル制覇後、恒例のホワイトハウス表敬訪問を数人の選手が拒否した。

 警察による黒人への暴力、トランプの差別的な姿勢に、不起立の輪が広がっていく。保守的なダラスを本拠地にするカウボーイズの選手たちが試合前、手を取り合って跪くシーンが印象的だった。選手に侮蔑的発言を繰り返すトランプのツイッターに各チームのオーナーが反発し、グッデル・コミッショナーは「意思表示する選手たちを誇りに思う」と語った。

 FAになったキャパニックと契約するチームは現れず、不起立を支持する声は少数だが、大統領に相応しくないトランプの罵詈雑言が、世論を微妙に変えつつある。サポートするのはエディ・ヴェダーら骨のあるロッカーたちで、次々にステージで跪き、NFL選手たちへの連帯を訴えている。

 俺はNFLに〝偏見〟を抱いていた。アメフトは戦争に擬せられたゲームで、時に選手を兵士に重ねていた。だが彼らは、意志を持つ市民だった。昨今の政局で暗澹たる気分にさせられるのは、NFLの選手たちのように、孤立を恐れず矜持を守る者が永田町で見つからないからである。
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