団塊的“It's me”

コキロク(古稀+6歳)からコキシチ(古稀+7歳)への道草随筆 2週間ごとの月・水・金・火・木に更新。土日祭日休み

ちょっと嬉しくなった3つの光景

2019年07月12日 | Weblog

 不順な天候が続いている。梅雨になってから、なかなか散歩にでる機会がなく、ウォーキングマシンを連日使った。天気予報で夕方まで曇っているが雨は降らないと聞いたので久しぶりに散歩することにした。

①       信号を守る女子中学生:明らかに急いでいる中学生らしい女の子が信号を渡ろうとしていた。信号が赤に変わった。さっと彼女は止まり、数歩後ろに下がった。女子学生は、足踏みしながら信号を見上げながら待つ。横断歩道がある道路の幅は、4メートルくらい。でも待つ姿に迷いはない。信号が赤なら渡らないという彼女の線引きが見て取れた。コキイチの私は、最近若い人を見ると美しいと思う。若さを失って初めて若さが持つ美しさを認められるようになった。チャラチャラしていようが、ぐれていようが、若さが後光を放つ。自分もかつては若い時があった。女子学生は、信号が青に変わると頬を緩めて渡って行った。

②       前も横の乗客も本を読み誰も携帯電話を見ていない:こんなこともあるのだ。同じ車両に乗り合わせた10数人の誰もが携帯電話を見ていない。車内は空いていた。みなバラバラに座っている。向かい合うベンチシートに4人、私の側に3人。私を含めて7人全員が本を読んでいた。と言っても私の横、一人分離れてシートの一番端の女性は、本を膝の上に広げたまま居眠りをしていた。これはただの偶然の出来事であろう。携帯電話がなかった頃に戻ったようだった。携帯電話は便利なモノだ。しかし人類がまるで携帯電話に征服されてしまったかのような現状をこころよく思っていない。私は携帯電話が一つも目に入らない光景にしばし魅せられた。

③       接客マニュアルを守り、客に優しいアルバイト女性店員:成城石井で老婆が大きな声で「私は1万円札さっきあなたに渡しました。間違いありません」と騒ぎ始めた。私は昔フィリピンで同じような経験をした。フィリピンの土産物を売る露店でのことだった。うかつにも私は、品物を受け取る前に5ドル紙幣を女性店員に渡してしまった。女性店員は、代金を受け取ってないと言い張った。私は払ったと訴えた。店の奥からいかつい男が出てきた。危険を感じたので、その場から立ち去った。フィリピン人の友人に話すとよくあることだと言った。日本の成城石井で同じ事が? アルバイト店員は老婆に「私たちは5千札1万円札を受け取ると『5千円とか1万円入ります』と声を出すようになっています。もし私が受け取れば、声を出して言います。何かの間違いかもしれません。もう一度財布を調べていただけますか」 1万円を受け取ったか否かは、店にとってもアルバイト店員にとっても客にとっても重大な問題である。3列のレジの一つがこの騒動でとまった。私は他の列に並び直して、事の顛末を見守った。並んでいた8人の客もそうしていた。老婆は、財布を拡げ、中の札を数えた。動きが遅い。アルバイト店員は、優しくその動作を見ていた。老婆が「もういいわ。仕方がないからまた払う」と言って、1万円札を出した。私の後ろの二人連れの中年女性の一人が「あのおばあさん、またここでもやってるわ」と小声で言った。どうやらこの老婆、常習犯らしい。アルバイト女性がそれを知っているのかはわからない。にこやかにお釣りを老婆の手に握らせて「ありがとうございました」と頭を下げた。老婆は、レジの端に立ち続けてブツクサ言っていった。年齢のせいなのか、騙す手口なのかは知らない。普段、気になっていた「1万円入ります」「5千円入ります」が、こうした「渡した」「渡されていない」問題の解決法に効果があると知った。私もお釣りを受け取らなかったり、買った品物を受けとらないでレジを離れてしまうことがある。クワバラクワバラ。

 レジが3列、普段通りに動き出した。アルバイト女性店員の顔が、張りと艶で輝いていた。

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