買い替えたテレビには最初からユーチューブが組み込まれていた。簡単な操作で私でも観ることができるようになった。多くの民放のテレビ番組にたいして、観るのは時間の無駄と感じている。NHKのニュースやドキュメンタリー番組以外、既存のテレビ局の番組を観ることはほとんどない。
ユーチューブに番組表はない。検索するしかない。検索を重ねると、ユーチューブが勝手にホームという場所に、私が関心のありそうな番組を並べてくれる。先日妻とテレビを観ようと、ネットフリックスやアマゾンプライムで観る映画を探していた。コロナの自粛で興味がある映画やドラマを多く観た。自粛はすでに1年半にもおよぶ。観る側の私たちのペースが早すぎて、制作側が間に合わない。ユーチューブのホームを調べると『「新型コロナウイルス」(61)変異ウイルスとワクチン 宮坂昌之・大阪大学名誉教授』という番組が出てきた。妻が「宮坂さんって上田高校の同窓生の人でしょ。観てみよう」
私は、数多く放送されているワイドショーと呼ばれるテレビ番組で、専門家と言われる人が語る解説や意見に失望している。台本通りに言わされるのではという疑いが常に頭から離れない。出て来る人数も多く、一人当たりの持ち時間も少ない。だからいつも消化不良となる。宮坂教授の演題が難しそうだったが、わからなかったら妻に聞けば良いと観ることにした。
時間は1時間の講義と、その後質疑応答だという。日本記者クラブでの講演なので記者を対象とする講演なのできっと理解できないだろうと思った。宮坂教授の話は、非常にわかりやすい。「頭がいい人は、難解なことでも分かりやすい言葉で説明出来る」と聞いたことがある。まさにその通り。そして彼がまとめて制作したであろう映像化した資料も素晴らしい。横にいた学会慣れしている妻も熱心に観ていた。
私は28日金曜日に1回目のワクチン接種を受ける。講義の中で宮坂教授は「昨年、ワクチンの安全性が判然としないことから、積極的に接種は受けないと公言していた。しかし、現在では、安全性も確認できたとして、意見を変えて、必ず2回打つ。みなさんも当事者意識を持って、自分の身は自分で守るために接種を」と言った。これがじきにワクチン接種を受ける私を力づけてくれた。
コロナという国難に関して、日本は決して効果的な対策を取れなかったのは、事実である。しかし無料で全国民に2回のワクチン接種をしてくれることはありがたいことだ。ワクチンを短期間で実用化してくれた研究者や製薬会社にも感謝。テレビのワイドショーに出てこないが、地道に研究を続ける宮坂昌之教授のような医学研究者も大勢いることにも感謝。
これを知りたい、観たいという時、こうしてじっくり時間をかけて観ることができる番組を提供してくれる、ユーチューブという媒体が存在する恵まれた現代である。多くの地味で優秀な研究者は、きっとコロナから人類を救い出してくれるに違いない。小市民の私だが、当事者意識を持って、まずは自分の身は自分で守るために今日、接種を受けて来る。