1923年9月1日関東大震災が起こった。その後の復興の過程で「この際だから」という言葉が流行ったそうだ。日本では冠婚葬祭が日常生活の中で人々に大きなウエートを占めている。儀礼付き合いを重んじる文化を持つ。そこで大震災の被害から立ち上がる際、そのような儀礼的慣習から人々を解放する合言葉が「この際だから」となってお互いに了承しあったようだ。あれから88年が過ぎた3月11日の東日本大震災以後、日本は「この際だから」の発想が人々の行動に大きな影響を与えている。歴史は繰り返されるのか。関東大震災を経験した人々は、すでに第一線から退いている。関東大震災を経験したことのない多くの人々が、「この際だから」と本能的な行動を起こし始めた。先人の体験を多いに参考にしたい。そこで私もこの際だから10の提案を試みる。
① 自主停電:東京電力が計画停電といって5グループに分けて更に各グループを5分割して停電を実施している。ところがこの計画停電は、その地区内の病院、工場の電気も止めてします。これはまずい。しかしこれしか方法がないという。ならば自主停電をしたらどうだろう。国民が率先してできるだけ自らブレイカーを落として自主停電する。東京電力はその自主停電申告書をまとめて、その申請に基づいて電力供給を管理する。
(昨日①まで書いた。今朝の新聞で天皇陛下皇后陛下がすでにこの自主停電をされていると伝えた)
② 夏時間の実施:日本の夏は朝4時といえば明るい。この夏も猛暑が予想されている。夏の間2時間時計を進める。8時半始業を6時にして終業を2時とする。最高気温を記録するのは午後2時なので何とか冷房による電気の大量消費を防げる。
③ 民放テレビ放送局を隔日当番制にする:どうせどこの局も同じタレントによる同じような番組ばかりである。
④ スパー、デパートの隔日営業:毎日停電時間を割り当てられても実行するかしないかで不安定な営業を継続するよりフルに安心して営業できる。
⑤ 学生の夏休み3ヶ月と5ヶ月にする:欧米の学校の夏休みと同じく小中高3ヶ月大学専門学校5ヶ月とする。
⑥ 食料増産:休耕田を学校農地にして学校単位で食料を備蓄する。夏休みを活用して農業実習とサバイバル術を学ぶ。
⑦ 病院船:各県に空港を建設するより各県が病院船を持つぐらいの危機管理先進国に。まず国がヘリコプター搭載型病院船を建造する。仮設住宅の代替にも使用可能だが、高齢者の避難に最適。47都道府県2000人収容で9万4千人。
⑧ 仮設住宅:カマボコ型住居の建設を普及させる。カマボコ型は、厚型鉄板や強化プラスチック成型品を接続させるだけで敷設可能。余震防災に強い。中はキャンプ用テントでプライバシーを確保する。仮設住宅を2段階方式に。まずカマボコ型に入居して、普通型仮設住宅の完成を待って入居してもらう。
⑨ 簡易ベッド:日本人のほとんどは畳の上に布団を敷いて寝る。しかし災害の避難所では固い床に寝ざるを得ない。キャンバス地の一人用組み立てベッドの備蓄は、毛布と同じく必需品とする。
⑩ 修学旅行:たとえ1週間でも10日間でも学生が、被災地へ行ってボランティア活動をする。この経験が今後の防災、危機管理に役立つ。
「被災地のことを思えば」という言葉を3月11日以来多く聞く。これも関東大震災後の「この際だから」に通ずるものがある。11日の都内から帰宅の混乱の中、黙々と列を作って待っている通勤者がいた。日本人を誇りに思った。まだまだ続く復旧への長い道のりが目の前にある。政府行政のトップは、だれでもできる日本であるけれど、日本の強みは常に先頭で踏ん張る現場に立ち向かう一般庶民である。世界が福島原発から拡散する放射能にかこつけ、日本製品の不買輸入禁止に動いている。日本の強みは、不幸な350年の鎖国と2発の原爆の経験である。日本は現場がお上を支える強い国である。