団塊的“It's me”

コキロク(古稀+6歳)からコキシチ(古稀+7歳)への道草随筆 2週間ごとの月・水・金・火・木に更新。土日祭日休み

我が家は要塞“上田城”!?

2016年04月12日 | Weblog

  9日の土曜日、同じ町に住む友人宅の庭を借りて、私の友人を集めてシャクナゲの花見バーベキューパーティを楽しんだ。真っ赤なシャクナゲの花は満開だった。

 夕方パーティが終わった後友人夫妻が我が家に泊まった。せっかくなので近くの日帰り温泉に行くことになった。妻は酔っていたので留守番することになった。本人はすっかり一緒に行く気になっていた。酔っている者はどんな質問にも反対の返答をする。「酔っているね?」「酔っていない」「だいぶ飲んだね?」「飲んでいない」「歩けるの?」「歩ける」「もう寝た方がいいよ」「眠くない」 そして温泉に行く私たちに「私も行く」と言い張った。私は言った。「温泉の玄関に『泥酔、入墨、オシメの方お断り』の看板があること知っているでしょう。入れてもらえないよ。それに風呂場で転んだら床は石だよ。死ぬよ」 妻はしぶしぶ同行するのを諦めた。

 温泉で友とゆっくり露天風呂に入り、話に花を咲かせた。冷たい飲み物を早く飲みたいと家に戻った。リモコンで駐車場のシャッターを開けた。車を駐車して駐車場から玄関ホールへのドアを私の腰のベルトに付けた伸び縮みするキーホルダーの鍵を使って開ける。ひと風呂浴びてさっぱりした気持ちで階段を昇り家の玄関に来た。再び鍵を使いロックを解除した。ドアを開けた。たった4,5センチしか開かない。内側の錠がそれ以上開かない。いつものことである。用心深い妻は必ず一人でいる時は、この内側の錠をかける。ドアのブザーのボタンを押す。いつもの「は~~い」も内履きのパタパタも聞こえない。時間が過ぎる。

 だんだん不安が増す。もしや賊が押し入り・・・。もしや脳か心臓の血管が・・・。もしや家出・・・。友人夫婦もいろいろ案を出してくれた。「電話してみよう」と携帯で家に置いてある私の携帯にかけた。出ない。次に固定電話。友は何度も何度もかけた。留守番電話にしてあるのですぐ切れる。

 私の頭にあることが浮かんだ。そうだ、そうに違いない。妻は酔って寝てしまっている。妻はある線を超して酔うと意識を失ったように寝てしまう。不眠症なので酒の力を得るとぐっすり朝まで寝る。考えた。でも寝ている妻を起こす方法も、玄関以外から家に入る方法も。友人夫妻にも不安の表情が浮かんでいる。後で聞いた話では、友人は彼の車で一時間半の彼の家に行こうかと思ったが、車の鍵は私の家の中だと気づいて行き詰っていた。

 私に案が浮かんだ。階段の踊り場に外に出られる空間がある。あそこから出て妻が寝ているかどうかまず確かめよう。窓ガラスを叩けば起きるかもしれない。友人夫妻に私の作戦を説明した。玄関ホールからソファーを運び上げた。ソファーを友人夫妻が押さえ私は踊り場の空間から植え込みに出た。

  先々週のNHK大河ドラマ“真田丸”は、徳川軍が上田城を攻めた第一次上田合戦の話だった。私はすっかり上田城を攻める徳川勢の一兵卒に化して本丸に向かった。居間の電燈が一つだけついていた。寝室のドアは開いている。今の灯がベッドの上の人影を浮かび上がらせていた。奥方は深い眠りについていた。ガラスを強く叩くと跳ね上がるように人影は飛び起きた。人影は一目散に玄関ドアに向かった。こうして友人夫妻と私は家に入ることができた。友人夫妻が二人とも心穏やかな優しい人で助かった。油断禁物ではあるが、私の家は上田城並の堅固な要塞だと思った。設計者に感謝。

 以前何かで「結婚する前は両目で相手を見ろ。結婚したら片目で見なさい」というようなことを聞いたことがある。私たち夫婦は典型的な“割れ鍋に綴じ蓋”カップルである。いつもお互いにドジを踏みながら23年間共に生きて来た。今回も私は両目を閉じて何もなかったことのように振る舞おう。心の中は昼間の真っ赤なシャクナゲのように燃えたぎっていたのだが。

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