
『LUCY ルーシー』をTOHOシネマズ渋谷で見ました。
(1)スカーレット・ヨハンソンとモーガン・フリーマンが共演するというので、映画館に行ってきました(注1)。
本作(注2)は、類人猿が水辺で水を飲んでいるシーンから始まります(注3)。
そして、10億年前に生命が誕生(注4)したとのナレーションが入ったあと、場面は現代の台北に移り、あるホテルの前でルーシー(台湾への25歳の留学生:スカーレット・ヨハンソン)と男が言い争っています。
彼は、「アタッシュケースをホテルにいるチャン氏に届けてくれれば、1000ドル手に入る」と言って、嫌がるルーシーの腕に手錠で鞄をつなげて無理やりホテルの中に送り込みます。
ホテルの中では人相の悪い男たちが現れ、鞄を持ったルーシーを強引にチャン(チェ・ミンシク)の待つ部屋に拉致します(注5)。

その鞄の中身は「CPH4」という新種の覚醒剤であり、密輸するためにチャンの一味のギャング団は、ルーシーや3人の男の腹部にその覚醒剤の袋を埋め込みます。
他方、脳科学者のノーマン博士(モーガン・フリーマン)は、パリのソルボンヌ大学で講義をしていて、「人間は、脳の機能のごく一部しか使っていない」、「ヒトよりも脳を使っている動物はイルカで(20%も機能)、そのエコーロケーションはいかなるソナーよりも優秀だ」などと話しています。

さらに、ノーマン博士は、「人間の脳の覚醒率(cerebral capacity)が20%にアクセスできたらどうなるだろう?」(注6)、「40%にアクセスできたら、他者をコントロールできるだろう」などと語り、学生から「100%に到達できたら?」と質問されると、「考えもつかない」と答えます。
さて、監禁されているルーシーは、チャンの一味のチンピラに腹部を足蹴にされますが、そのことで腹部に埋め込まれた覚醒剤の袋が裂けて、中身が体内に飛び散ってしまいます(注7)。
ルーシーは部屋中を転げまわり、気がついた時、脳が覚醒して何か特別な能力が身についていることを自覚します。何しろ、彼女を取り押さえようとしたギャング団をいとも簡単にやっつけてしまうのですから!

ルーシーは、友人の家に行ってパソコンを借りて色々調べた挙句、ノーマン博士と連絡を取ることとします。
さあ、この先、どのような展開になるのでしょうか、………?
本作は、『her 世界でひとつの彼女』では声だけの出演だったスカーレット・ヨハンソンが同じような役柄で生身の人間として画面に登場したらどうなるのかを、お馴染みの超能力者対ギャング団の争いという至極単純なストーリーの中で描き出したものながら、脳の覚醒率アップという観点を取り入れて全体をまとめていて、まずまずの仕上がりなのではと思いました。
(2)本作は、やはりヨハンソンつながりで、『her 世界でひとつの彼女』と比べてみたくなってしまいます。
まず類似していると思われるのは、どちらも取り扱われている範囲が比較的小さいように思われる点です。
一方の『her 世界でひとつの彼女』は、主人公のセオドア(ホアキン・フェニックス)とAIのサマンサ(その声がヨハンソン)との関係が中心であり、他方の本作の場合も、舞台が台北からパリへと動いたり、ギャング団が出現しパリ市内で物凄いカーチェイスなども行われたりするとはいえ、人類存亡の危機といったSF特有の大掛かりなシチュエーションにはなりません。
また、『her 世界でひとつの彼女』で大きな役割を与えられているのはサマンサというAIであり、本作の主役のルーシーも、最後はUSBメモリを残して、サマンサ同様に消滅してしまいます。
反対に両者が異なっている点もあり、特に『her 世界でひとつの彼女』が優れたラブストーリーであるのに対して、本作ではその要素は殆ど見られません(注8)。せっかく生身のヨハンソンが出演しているのに、この点は至極残念なところです。
(3)本作の問題点と思える点についてもう少し触れておきましょう。
無論、本作は娯楽SFファンタジーであり、オカシナな点はいくらでも見つかるでしょうが、細かなことを論っても仕方がないでしょう。
でも、例えば、本作ではCPH4によってルーシーの脳の機能が現状より著しくアップするところ、その外観はいかにも覚醒剤であり(注9)、そうだとすれば、もしかしたら本作は覚醒剤の肯定に寄与しかねないのではと思ってしまいます(注10)。
それに、本作は、人間の脳は現状その能力のごく一部しか機能していないということが前提になって制作されているものの、そのようなことを簡単に言えるのでしょうか(注11)?
素人目にも、人間の器官に機能していない部分がかなりあるとしたら、人類誕生以来の長い年月の間にとっくに退化してしまっているのではと思ってしまいます(注12)。
さらに、人間の脳が100%覚醒したらどのような状態になるのかが本作でははっきりしておらず(コントロール不能とされています)、現在は10%しか機能していないと言われても、なんの1割なのか明確にされていないのではないでしょうか?
あるいは、100%覚醒状態というのは「神」と同一になることなのかもしれません。でも、全能の神というものがどういうものであるのか誰もしっかりとしたことが言えないのではないでしょうか?
脳の機能のアップにより何ができるのかという点につき本作で描き出されているのは、時間をどんどん過去に遡及できるようなことです。でも、それもせいぜい宇宙の始まりの時点(それも、人間が現時点で解明しているもの)までであって、その始まりとされる前はどうなるのかということになると、もうどうしようもなくなってしまう感じです。
また、ルーシーは、最後にコンピュータに蓄積されているすべての知識をUSBメモリにしてノーマン博士に手渡します。ただ、100%覚醒状態というのは、過去の人間の知識の蓄積にすぎないのでしょうか?
(4)渡まち子氏は、「脳が100パーセント機能してしまったヒロインの戦いを描くアクション「LUCY/ルーシー」。人間離れしたス・ヨハを楽しむ映画」として50点をつけています。
青木学氏は、「荒唐無稽なのにテンポの良い展開と簡潔なストーリーで妙な説得力がある」と述べて82点をつけています(注13)。
(注1)最近では、スカーレット・ヨハンソンは『ヒッチコック』で、モーガン・フリーマンは『トランセンデンス』で、それぞれ見ました。
(注2)本作の原題も『LUCY』で、監督・脚本は、『アデル ファラオと復活の秘薬』を見たことがあるリュック・ベッソン。
ちなみに、本作は、オープニングでの米国興収(本年7月28日発表)が首位となり(この記事)、次週も2位で「グロス(最終興収)は1億2000万ドル前後になりそうだ」とされています(この記事)。 尤も、1か月後にはトップ10から脱落しました。
(注3)この類人猿は後の方でもう一度登場するところ、初期人類とされる「ルーシー」なのでしょう。
(注4)例えばこのサイトの記事によれば、「現在の学説では地球が誕生してから6億年ほど経った頃(40億年前)、海で生命が誕生したといわれてい」るとのこと。
(注5)ここでチータがガゼルを追い詰めて食らいつく画面が挿入されますが、なんだかあまりにも安易な連想ですし、さらには『悪の法則』において、マルキナ(キャメロン・ディアス)がウサギを追いかけるチータを双眼鏡で見ているシーンを思い出してしまいます。
(注6)その後本作で描かれていることからすると、20%の覚醒率では、1時間で外国語をマスターできたりするようです。そうだとすれば、『万能鑑定士Q』においてフランス語を身につけるのに一晩かかる凜田(綾瀬はるか)では、まだその域に達していないようです。
(注7)そのあとでルーシーは、病院に行って体内から覚醒剤の袋を取り除いてもらいますが、医師から、CPH4は妊婦が胎児にごく少量作り出して与えるものであり、体内に大量に入れたら長時間生きて入られないということを知らされます。
(注8)ルーシーは、フランス人のピエール・デル・リオ警部(アムール・ワケド)にキスをするものの、脳の覚醒率のアップによって人間性を失って、その事自体を忘れてしまいます。
(注9)引き出された男にチャンがCPH4を与えると、その男は覚醒剤を使ったのと同じような状態になりますし、なによりチャンの一味はCPH4の密輸によって荒稼ぎしようと企んでいるのですから、単なる薬品でないことは明らかでしょう。
(注10)例えば、外国語の短期習得のために覚醒剤を使おう、といったようなことにもなりかねないかもしれません。
(注11)劇場用パンフレットのコラム欄に、中野信子氏の「なぜ人間の脳は100%覚醒することがないのか?」という文章が掲載されていて、そのなかでは、「普段から脳を100%で機能させてしまうと、本来、力を出し切らなければならない局面で発揮できないため、制限をかけていると考えられます」と述べられています。
でも、いざという場合リミット以上の力を出せるというのであれば、それは(潜在的には)覚醒しているということになるのではないでしょうか(「機能する」とか「覚醒する」といった言葉の意味合いの違いなのかもしれませんが)?
(注12)Wikipediaの「脳」のところには、「「人間は脳の1割ほどしか有効に使っていない」という俗説があるが、これはグリア細胞の機能がよくわかっていなかった時代に、働いている細胞は神経細胞だけという思い込みから広まったものと言われる。最近では脳の大部分は有効的に活用されており、脳の一部分が破損など何らかの機能的障害となる要因が発生し た場合にあまり使われていない部分は代替的または補助的に活用されている可能性があると考えられている」と述べられています。
(注13)それにしてもこの青木氏の論評は、「~けれど、~」とか「~のだが、~」という逆接の構文が酷く目立つ文章だなと驚きました。
★★★☆☆☆
象のロケット:LUCY/ルーシー
(1)スカーレット・ヨハンソンとモーガン・フリーマンが共演するというので、映画館に行ってきました(注1)。
本作(注2)は、類人猿が水辺で水を飲んでいるシーンから始まります(注3)。
そして、10億年前に生命が誕生(注4)したとのナレーションが入ったあと、場面は現代の台北に移り、あるホテルの前でルーシー(台湾への25歳の留学生:スカーレット・ヨハンソン)と男が言い争っています。
彼は、「アタッシュケースをホテルにいるチャン氏に届けてくれれば、1000ドル手に入る」と言って、嫌がるルーシーの腕に手錠で鞄をつなげて無理やりホテルの中に送り込みます。
ホテルの中では人相の悪い男たちが現れ、鞄を持ったルーシーを強引にチャン(チェ・ミンシク)の待つ部屋に拉致します(注5)。

その鞄の中身は「CPH4」という新種の覚醒剤であり、密輸するためにチャンの一味のギャング団は、ルーシーや3人の男の腹部にその覚醒剤の袋を埋め込みます。
他方、脳科学者のノーマン博士(モーガン・フリーマン)は、パリのソルボンヌ大学で講義をしていて、「人間は、脳の機能のごく一部しか使っていない」、「ヒトよりも脳を使っている動物はイルカで(20%も機能)、そのエコーロケーションはいかなるソナーよりも優秀だ」などと話しています。

さらに、ノーマン博士は、「人間の脳の覚醒率(cerebral capacity)が20%にアクセスできたらどうなるだろう?」(注6)、「40%にアクセスできたら、他者をコントロールできるだろう」などと語り、学生から「100%に到達できたら?」と質問されると、「考えもつかない」と答えます。
さて、監禁されているルーシーは、チャンの一味のチンピラに腹部を足蹴にされますが、そのことで腹部に埋め込まれた覚醒剤の袋が裂けて、中身が体内に飛び散ってしまいます(注7)。
ルーシーは部屋中を転げまわり、気がついた時、脳が覚醒して何か特別な能力が身についていることを自覚します。何しろ、彼女を取り押さえようとしたギャング団をいとも簡単にやっつけてしまうのですから!

ルーシーは、友人の家に行ってパソコンを借りて色々調べた挙句、ノーマン博士と連絡を取ることとします。
さあ、この先、どのような展開になるのでしょうか、………?
本作は、『her 世界でひとつの彼女』では声だけの出演だったスカーレット・ヨハンソンが同じような役柄で生身の人間として画面に登場したらどうなるのかを、お馴染みの超能力者対ギャング団の争いという至極単純なストーリーの中で描き出したものながら、脳の覚醒率アップという観点を取り入れて全体をまとめていて、まずまずの仕上がりなのではと思いました。
(2)本作は、やはりヨハンソンつながりで、『her 世界でひとつの彼女』と比べてみたくなってしまいます。
まず類似していると思われるのは、どちらも取り扱われている範囲が比較的小さいように思われる点です。
一方の『her 世界でひとつの彼女』は、主人公のセオドア(ホアキン・フェニックス)とAIのサマンサ(その声がヨハンソン)との関係が中心であり、他方の本作の場合も、舞台が台北からパリへと動いたり、ギャング団が出現しパリ市内で物凄いカーチェイスなども行われたりするとはいえ、人類存亡の危機といったSF特有の大掛かりなシチュエーションにはなりません。
また、『her 世界でひとつの彼女』で大きな役割を与えられているのはサマンサというAIであり、本作の主役のルーシーも、最後はUSBメモリを残して、サマンサ同様に消滅してしまいます。
反対に両者が異なっている点もあり、特に『her 世界でひとつの彼女』が優れたラブストーリーであるのに対して、本作ではその要素は殆ど見られません(注8)。せっかく生身のヨハンソンが出演しているのに、この点は至極残念なところです。
(3)本作の問題点と思える点についてもう少し触れておきましょう。
無論、本作は娯楽SFファンタジーであり、オカシナな点はいくらでも見つかるでしょうが、細かなことを論っても仕方がないでしょう。
でも、例えば、本作ではCPH4によってルーシーの脳の機能が現状より著しくアップするところ、その外観はいかにも覚醒剤であり(注9)、そうだとすれば、もしかしたら本作は覚醒剤の肯定に寄与しかねないのではと思ってしまいます(注10)。
それに、本作は、人間の脳は現状その能力のごく一部しか機能していないということが前提になって制作されているものの、そのようなことを簡単に言えるのでしょうか(注11)?
素人目にも、人間の器官に機能していない部分がかなりあるとしたら、人類誕生以来の長い年月の間にとっくに退化してしまっているのではと思ってしまいます(注12)。
さらに、人間の脳が100%覚醒したらどのような状態になるのかが本作でははっきりしておらず(コントロール不能とされています)、現在は10%しか機能していないと言われても、なんの1割なのか明確にされていないのではないでしょうか?
あるいは、100%覚醒状態というのは「神」と同一になることなのかもしれません。でも、全能の神というものがどういうものであるのか誰もしっかりとしたことが言えないのではないでしょうか?
脳の機能のアップにより何ができるのかという点につき本作で描き出されているのは、時間をどんどん過去に遡及できるようなことです。でも、それもせいぜい宇宙の始まりの時点(それも、人間が現時点で解明しているもの)までであって、その始まりとされる前はどうなるのかということになると、もうどうしようもなくなってしまう感じです。
また、ルーシーは、最後にコンピュータに蓄積されているすべての知識をUSBメモリにしてノーマン博士に手渡します。ただ、100%覚醒状態というのは、過去の人間の知識の蓄積にすぎないのでしょうか?
(4)渡まち子氏は、「脳が100パーセント機能してしまったヒロインの戦いを描くアクション「LUCY/ルーシー」。人間離れしたス・ヨハを楽しむ映画」として50点をつけています。
青木学氏は、「荒唐無稽なのにテンポの良い展開と簡潔なストーリーで妙な説得力がある」と述べて82点をつけています(注13)。
(注1)最近では、スカーレット・ヨハンソンは『ヒッチコック』で、モーガン・フリーマンは『トランセンデンス』で、それぞれ見ました。
(注2)本作の原題も『LUCY』で、監督・脚本は、『アデル ファラオと復活の秘薬』を見たことがあるリュック・ベッソン。
ちなみに、本作は、オープニングでの米国興収(本年7月28日発表)が首位となり(この記事)、次週も2位で「グロス(最終興収)は1億2000万ドル前後になりそうだ」とされています(この記事)。 尤も、1か月後にはトップ10から脱落しました。
(注3)この類人猿は後の方でもう一度登場するところ、初期人類とされる「ルーシー」なのでしょう。
(注4)例えばこのサイトの記事によれば、「現在の学説では地球が誕生してから6億年ほど経った頃(40億年前)、海で生命が誕生したといわれてい」るとのこと。
(注5)ここでチータがガゼルを追い詰めて食らいつく画面が挿入されますが、なんだかあまりにも安易な連想ですし、さらには『悪の法則』において、マルキナ(キャメロン・ディアス)がウサギを追いかけるチータを双眼鏡で見ているシーンを思い出してしまいます。
(注6)その後本作で描かれていることからすると、20%の覚醒率では、1時間で外国語をマスターできたりするようです。そうだとすれば、『万能鑑定士Q』においてフランス語を身につけるのに一晩かかる凜田(綾瀬はるか)では、まだその域に達していないようです。
(注7)そのあとでルーシーは、病院に行って体内から覚醒剤の袋を取り除いてもらいますが、医師から、CPH4は妊婦が胎児にごく少量作り出して与えるものであり、体内に大量に入れたら長時間生きて入られないということを知らされます。
(注8)ルーシーは、フランス人のピエール・デル・リオ警部(アムール・ワケド)にキスをするものの、脳の覚醒率のアップによって人間性を失って、その事自体を忘れてしまいます。
(注9)引き出された男にチャンがCPH4を与えると、その男は覚醒剤を使ったのと同じような状態になりますし、なによりチャンの一味はCPH4の密輸によって荒稼ぎしようと企んでいるのですから、単なる薬品でないことは明らかでしょう。
(注10)例えば、外国語の短期習得のために覚醒剤を使おう、といったようなことにもなりかねないかもしれません。
(注11)劇場用パンフレットのコラム欄に、中野信子氏の「なぜ人間の脳は100%覚醒することがないのか?」という文章が掲載されていて、そのなかでは、「普段から脳を100%で機能させてしまうと、本来、力を出し切らなければならない局面で発揮できないため、制限をかけていると考えられます」と述べられています。
でも、いざという場合リミット以上の力を出せるというのであれば、それは(潜在的には)覚醒しているということになるのではないでしょうか(「機能する」とか「覚醒する」といった言葉の意味合いの違いなのかもしれませんが)?
(注12)Wikipediaの「脳」のところには、「「人間は脳の1割ほどしか有効に使っていない」という俗説があるが、これはグリア細胞の機能がよくわかっていなかった時代に、働いている細胞は神経細胞だけという思い込みから広まったものと言われる。最近では脳の大部分は有効的に活用されており、脳の一部分が破損など何らかの機能的障害となる要因が発生し た場合にあまり使われていない部分は代替的または補助的に活用されている可能性があると考えられている」と述べられています。
(注13)それにしてもこの青木氏の論評は、「~けれど、~」とか「~のだが、~」という逆接の構文が酷く目立つ文章だなと驚きました。
★★★☆☆☆
象のロケット:LUCY/ルーシー
ツッコミどころ満載でした。(^^;)
アクションに期待していたのに、途中から超能力を使いだしてまともな戦いにならず…。
ルーシーはサマンサ(『her 世界でひとつの彼女』)になったという冗談を知って、ウケました。(笑)
アクションスターとしてアンジーの後継者と目されてもいるヨハンソンが主役を演じているにしては、おっしゃるように、アクション・シーンがイマイチだったように思います。それでも、パリ市内のカーチェイスのシーンでは随分と頑張っていましたが!
この手の映画の中で先駆的な傑作は『シャブ極道』で、作品中、主人公が「シャブは身体にええんじゃ」と叫び続け、映画内でその言説を何一つ否定せずに終わる状態に唖然としました。
まあ、映画は映画、現実は現実。あれ見てどうってのはないと思います。現実の「やせ薬としての効果があるから覚せい剤に手を出す」って状態の方がずっと悪いなあ。
おっしゃるとおり「映画は映画、現実は現実」であり、映画で悪いことを描いてはいけないということはないと思います(善人ばかり登場する映画ほど始末に悪いものはありません!)。
ただ、「危険ドラッグ(←脱法ドラッグ)」関連のニュースが伝えられると、同じような事件が引き続いて何件も起こるという事態を憂える者です。
この映画を見たのは半年近く前で細部はほとんど覚えていないし評価しない作品なのでコメントするまでもないが、まあ映画同様に出来の悪い笑話としてトップ(前提)とラストだけ。
そもそも(あくまで映画の世界で)CPH4 という物質は新たに開発された驚異の新薬品だと思われるが、どこで誰が開発し、どの程度(覚醒20%?)臨床実験で効果を確認しているのか。ホテルの部屋で1人の男を実験台にしたあと殺すのは本物かどうかの確認?
何錠(?)服用で20%になるか知らないが効果が分かっていて安全なら、まず自分たちが服用して‘ずば抜けた’能力を持てば世界を支配できる。逆に買い手が20%でも能力を高めれば金で取引しなくても簡単に元締めの新痲薬も奪える。力より金のほうが好きなのかな?
画面で見たところポリエチレンか何かの袋に入っているがあの大きな袋を“体内”のどこに入れたのか。当然内臓しか考えられないが蹴られて破れるような袋なら胃液で溶けるかも知れず到着するまで無事に体内で原形を保つ保証もない。税関で何らかの疑惑を持たれX線検査でもすれば大きな異物もすぐ見つかる。
そんな心配はないなら見ず知らず(?)の素人を運び屋にしなくても部下にやらせる方が安全確実だろうに。
パリの空港で痲薬探知犬に狙われ確か超能力(眼力?)で撃退したが新たに開発された新種の物質を痲薬探知犬が発見できるはずがない(つまり被害妄想だったのね)。あるいは探知される既存痲薬を単に改良した程度だから体内に隠したのかな?探知されないなら体内に隠すなんて馬鹿なことをしなくても1人1袋ぐらい委託荷物で運べばいいし手芸用品(ビーズにしか見えない)とでもして輸出してもいい。
あのラストは何でしょう。何でもありの映画だからいいけど何ギガのUSBメモリー(現在1テラまであるらしい)か分からないが最先端の大型コンピューターの内容もメモリー1つに収まるような“全知”ってどんなものか知りたいですね。意外や解凍も解読も必要ない簡単な文章のテキストファイル(私はどこにでもいる)だったりして…
まあ面白く楽しめれば、どうでもいいが、まったく面白くなかったので…
本作は、スカーレット・ヨハンソンが出演しているからいいようなものの、ストーリー自体は、いわゆる「危険ドラッグ」のような覚醒剤を密輸するギャング団のお話を、要領の得ない脳の覚醒率のお話と絡めて描いただけのことであり、クマネズミにとっても、「面白く楽しめる」シロモノではなく、ワースト作品に挙げてもいいくらいの「評価しない作品」でした。
なお、CPH4を「“体内”のどこに入れたのか」という点ですが、クマネズミは、直接内臓に入れるのではなく、内臓と内臓との隙間に入れたのではと思っています。それにしたって、「税関で何らかの疑惑を持たれX線検査でもすれば大きな異物もすぐ見つかる」でしょうが!