半農半X?土のある農的生活を求めて

「生きることは生活すること」をモットーに都会から田舎へ移り住み、農村の魅力を満喫しながら、日々、人生を楽しく耕しています

大塚 貢氏の講演、給食で死ぬのDVD

2013年01月28日 | 自分の時間
日曜日ですが、おかげさま農場の高柳さんから教えてもらった講演会にいってきました。

有機ネットちばが主催で、午前中は有機農業農家が集まっての種子交換会などがあったようです。

さて、この講演会は長野県の「大塚貢さん」という方が、中学校の校長の時、また教育長(教育委員会のトップ)になったときに、「学校給食」を変えることで、非行や犯罪が無くなり、スクールウォーズのように荒れていた学校が、優秀校になった「奇跡のストーリー」を大塚さんご自身からお聞きできた、素晴らしい講演会でした。


大塚さんがやってきたことのストーリーを以下、まず書きますね。

大塚さんが校長として赴任した在校生徒1100人強の中学校はとても荒れていた。
・教室にはたばこの吸殻が散乱し
・廊下をバイクが走行
・毎日といっていいほど誰かが外に引きずり出され、暴行され、かつあげされており
・万引き、暴行事件が毎日といっていいほどおきていた
・不登校は60人を超え
・先生も5人が登校拒否、その穴埋めをするために他の先生は休み無く働き疲弊しきっていた
・だから、先生達も何かあると「あの生徒だから、、あの家庭だから、、、」と言うぐらいしかなかった

そこで大塚さんは、まず全ての授業を見て周った。すると素晴らしい授業をする先生もいたが、10分も生徒が持たない酷い授業もあった。

授業がつまらなければ、生徒が集中できないのは当たり前。授業の準備をする余裕も無いのはわかっていたが、あえて先生方に授業の改善をするようにお願いした。

この改革で授業は大変良くなり、結果、生徒の行動も改善したがそれでも問題は山積みだった。

どうしたら良くなるか?考えていたある日、地域で行われる球技退会で、子供達の昼食はコンビに弁当や菓子パンだった。コンビにで張りこむと、親と一緒に車で乗りつけ弁当を買う生徒の姿があった。

「お母ちゃん、球技大会のときでさえ弁当を作ってくれないのか。かわいそうに...」

そして彼らが食べているもの、飲んでいるものを調べると、合成着色料で色をつけた果汁がほとんど無いオレンジジュースと菓子パン、あるいはカップラーメンが多く、それがほぼ毎日だということがわかった。

また朝ご飯を食べてこない子も多くいた。
夜の20時過ぎにポテトチップスを食べたとして、翌日の給食まで16時間以上何も食べていなければ、頭に必要な酸素やエネルギーがいかなくなり、イライラするのも当然。

そして夕食は焼肉、カレーライスなど肉が中心で、魚や野菜などの摂取がほとんどなかった。非行の子の家庭の多くがそういった食生活だった。

肉の脂肪は血液のヘモグロビンと結びついて、血液がドロドロになる。本来、血をきれいにして脳にきれいな酸素を送らないといけなく、そのためにはカルシウム、マグネシウム、亜鉛、鉄など野菜に含まれる微量元素が必要なのに圧倒的に不足していた。

そのため、前頭葉や側東葉に必要な酸素が送られておらず、人間として当たり前のことを判断できなくなっている、つまり、自分が悪い事をしているという自覚ができない状態になっている、と判断した。

化学調味料や強い味、肉の味に慣れてしまっていて、しかしそれは楽であるため、家庭にいくら言っても変わらなかった。

家庭が変わらないなら、肉は家庭に任せる!
給食もほぼ毎日肉が入っており、腐らない添加物だらけのおかず、スパゲッティや揚げドーナツやパンばかり。
であれば学校給食をご飯中心で野菜や魚中心に変える!ときめた。

しかし、PTAや先生方から大反対があった。経費節減で安い海外産の農薬漬けの輸入野菜や国内でも安い産地のもの、あるいは加工品をたくさんとっており、それが「嗜好」にあっておいしかったのに、魚なんてなんで取る必要あるの?魚くさい!など大反対が起きた。


実際、大塚さんが講演中に見せてくれたのが「色が変わらず腐らない4年前の生ハム」「餡子はドロドロになってしまっているが、未だに腐らず餅も柔らかいままの数年前の大福」「2年間車の中に入れっぱなしでも腐らないハンバーグ」などでした。


これだけ反対があってはだめか、、、とあきらめかけた時、素晴らしい栄養士の先生がいて、30歳で動脈硬化で亡くなられた方の心臓の標本を病院から借りてきて持ってきてくれた。

その心臓の周りは脂肪が石灰化して縦に白い筋が入っており、動脈の中も真っ白になっていた。

そして、学校の先生方にそれを見せた後

「早く死にたければ今の食事を続ければいい。自業自得だ。しかし子供の命は誰が守るんだ?親は好きなものを自分で食べ、子供にも自分の好きなものを食べさせる。責任を取らない。じゃあ誰が子供の命の責任を取るんだ?あんたがた教師は給料をもらっているんだから、給料分ぐらい責任をとれ!」

と言った。

これには先生方も心が動いたそうで、学校給食の改革が始まった。

すると最初は生臭いといっていた魚料理も次第に美味しいといいはじめ、1年経つとたばこが1本も無くなった。子供が自分たちの事を考えられるようになってきた。

2年経つと非行や犯罪がぴたりと無くなり、子供達が図書館で本を読むようになった。


5年経つと地域で非行や万引きが0になり、警察から「0だなんて異常ですよ」といわれるほどになった。

その他、東京から顔に酷いアトピーが出ている子が転入してきたら、4~5ヶ月で治ってしまった。ところが、大阪へ転勤になってそこの給食を食べていたら、またアトピーが再発した。そのため、今ではお父さんが単身赴任で残り、お母さんが子供を連れてもどってきたら、また4~5ヶ月でアトピーがきれいに治ってしまった。


それほど「食時」は子供達の脳や体に大きな影響を与えている、ということを実感し、その後教育長となった後も、様々な嫌がらせ、反対にあいながら給食の改革をした結果、学力も全国平均より高い優秀校になった。


以上が、大塚さんのやってきたことです。

ちなみに、給食から肉料理を廃し、魚料理を入れたのですが、それは基本は青魚です。
「DHA」や「EPA」など脳に良い成分が入っている青魚を選び、頭ごと食べれる甘露煮などをメニューに必ず入れています。頭にはマグネシウムや鉄分やカルシウムなどが多く含まれているということ。また咀嚼(そしゃく)力も無くなっていることもあったからだそうです。


ここまで大塚さんのストーリーをまとめましたが、とにかく大塚さんが1番訴えたいのは「食べるものは、これだけ子供達にとって大きな影響を与える」という事実、です。


実際、「一般的な家庭の普通の食卓」は、スーパーで売っている加工品、お肉、ジュースなどが当たり前。魚や野菜が中心という食卓は珍しい時代になってしまっています。

大塚さんが資料として使っていたのですが、厚生労働省の「高校生の40%以上が生活習慣病(成人病)予備軍」という事態になっています。

高校生の40%以上が高血圧、高血糖、高中性脂肪などのいずれか最低でも1つの基準値を超えていて、成人病の予備軍である、という事実。

生活習慣病といっているからわかりにくいですが、「成人病」という名であったように、「大人」がなる病気だったものが、40%以上の高校生がなりかけているのです。

大塚さんの資料で、長野県の調査では中学生の37%が成人病予備軍だったそうです。

しかし、県知事を始め、多くの方々「とんでもない状態だ!」「おかしい!」「大変だ!」と思わず、学校は「今までの給食」を続け、家庭は「今までの食卓」を続けているるのです。

今の状態に「危機感」を持たない人が多い世の中であるという現状。

昨年の新聞で厚生労働省が「ガン撲滅月間」として「日本人の3人に1人がガンになり、そのうち2人に1人がガンで死んでいる」ということを発表したそうです。

かつて長寿の県といわれてきた沖縄では、肉食文化に変わったせいで、20~50代の肥満率は今は全国№1だそうで、平均寿命は27か28番目まで落ちたそうです。

「原因」が食事にあるというのは明確であるのにも関わらず、改善しようとしない行政や家庭が多いことに、大塚さんは嘆いていました。


いずれにしろ大塚さんは
・清涼飲料水
・菓子パン
・カップラーメン、コンビに弁当
・肉
に偏った食生活を改め「ご飯」「魚」「野菜」を中心とした食を勧めています。

また、塾に行くのもピアノやそろばんなどいいが、学習塾は勧めていません。
学力は学校でつけるもの、と言います。

学習塾があるために夜に子供達が学校の復習ができない。自分たちの好きなことも出来ない、と言います。

それより、肉や添加物だらけの加工品中心の食生活を変えることで、脳へきれいな酸素がおくられ集中力や考える力が養われ、結果、学力があがることを説いています。
実際に数字でそれが出ているし、それをやってきた事実があるので、大塚さんのお話には説得力があります。


また、大塚さんの凄いところは、単に給食を変えたこと、だけではないのです。
聞いていると「あ~、この人の熱意と行動をみたら、生徒は『本気』を感じて心動かされるな。」と思えることをやってきたのです。

例えば、
・給食で使っているお米の全ての産地に出向いてお米を買ってきて、放置してコクゾウムシが出てこない米(何かしらの農薬で防除されているお米)は使用を中止し、自分で農家と提携して専用の有機栽培のお米を作ってもらったり、JAと提携して地元の食材を仕入れられるようにしたり

・毎日バイクが盗まれ、暴走族が走って眠れないという苦情に対し、夜中1時に暴走族が通る道で張りこみをして、護身用のバットを持ちながら盗まれたバイクを探したり

・花を植える活動をして、反発する生徒が踏み潰しても、夜中にそっと車のライトで照らしながら30~40の花を植え替え、、、それをずっと続けて花を咲かせたら、生徒の心が変わってきた、という活動をしたり

・不良が集まる学校を、新聞の作文コンクールや合唱コンクールで全国トップクラスの成績を出すまでにしたり

・「目的が無い全国様々な凶悪犯罪」の現地に足を運び、裁判を傍聴にいったり、刑事のような捜査をして、殺人をおかした彼らが「カップラーメンしか食べていない」「コンビにしか食べていない」など食事が偏っていたということをつきとめてきたり、その学校には花が1つも咲いておらず枯れたプランターが放置されていて命を感じられない学校であったことをつきとめてきたり

などなど、「そこまでやるのか」というほど行動しているのです。

とにかく「凄いな、、、」とただただ頭が下がりました。

そして、ほとんどの親が「この人のいる学校に子供を通わせたい」と思えるほど、子供の側に立ち、働いてきたことがわかる方でした。


最後に、最近出た共著の「給食で死ぬ」という本を買いました。
付録のDVDを見たのですが、このDVDに出てくる方のお話もとても興味深く聞けました。

長々と書きましたが、「体に悪いけど美味しいもの=嗜好品=牛乳、肉、お菓子など」から抜け出すのはそう簡単ではありません。

大塚さんも「今の家庭は肉中毒だ」と言っていました。

私も、今のような農家さんと接点を持てる生活をして、いつの間にか「肉より野菜が一番美味しい」といった生活になったので、ふと気づくと肉中毒から抜け出せているんだな~、と自覚しました。

コンビにで毎日スイーツを買っていたこともありますが、それもいつの間にか抜け出せました。

でも、そういった誘惑を断ち、中毒から抜け出すのはなかなか難しいのが今の世の中です。

もっといえば、私の世代が「食宅にジュースやお菓子」を当たり前に置いている家庭が多く、そうなったのは私達の世代の親=団塊の世代から始まったわけです。

団塊の世代がそういった「嗜好品」を食卓にならべ、私達世代がそれを引き継いだことで、今の子供達に一番の影響が出る。

経済格差問題や年金問題、原発問題などとみんな同じですね。

今の子供達にまともなものを引き継がないと、孫世代も同じようになります。

「社会意識」なのか、はたまた「病気に対する危機感」なのか、何がこの流れをストップさせるものなのかは人によって違うでしょうが、食は命につながること、今の社会問題の解決方法の1つの切り口であることは間違い無いと思います。

色々ありますが、自分の襟をただし、また将来の方向性を考えるとても刺激を受けた講演になりました。

ありがとうございました!
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安倍さんの所信表明演説

2013年01月28日 | 自分の時間
さきほど、たまたま安倍総理の所信表明演説を聞きました。

とても熱意溢れる演説で、十分想いが伝わってくるものでした。
一方で、将来の日本をどうするかというビジョンは描かれておらず、あくまで今までの時代認識の延長で日本の再生を考えていることもわかりました。

もちろん、ベターな総理だと思いますのでがんばって欲しいです。

その上で、安倍さんのバトンを受け取る総理は、是非、少子高齢化の人口減が前提でも幸福感があふれ世界からも認知される「国のあるべき姿」、それが体現されている「日本の社会像」、そしてそれを作り担っていく「子供たちへの教育」について具体的なメッセージを語れる方が現れてきてくれることを願います。

どんなに頑張っても「前提」は崩せないのですから、今までの時代認識と違った視点でないと、新しい時代は作れない、、、そう思います。

だからこそ、安倍さんの「次」の方に期待します。



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