新・眠らない医者の人生探求劇場・・・夢果たすまで

血液専門医・総合内科専門医の17年目医師が、日常生活や医療制度、趣味などに関して記載します。現在、コメント承認制です。

成書が読まれない時代:いや、インターネットが変えたんだよ(ハリソン内科学)

2017-04-17 05:46:45 | 医学系

おはようございます

 

今日は出張で、防疫的なことを色々見て回ったり、医学教育(健康指導、健康相談)をしてまいります。

 

ちょっと位になる記事が2つありましたのでご紹介します。

 

1つ目はこちら

 

権威ある医学書がダジャレ? 背景に「難しい本が売れない」現状

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170416-00010004-bfj-soci

BuzzFeed Japan 4/16(日) 19:00配信

 

「ハリソン内科学」は医療関係者ならほとんどの人が名前を聞いたことがある、権威ある教科書だ。その「ハリソン内科学」がダジャレを使ったPRをしたことが話題になっている。担当者への取材で、医師や医学生向けであっても「難しい本が売れない」現状が明らかになった。【朽木誠一郎 / BuzzFeed Japan】

 
突然のダジャレ広告、その真意は?

話題になったのが、14日付の朝日新聞朝刊の一面広告。“5版(ごはん)ですよ! ハリソン内科学”というキャッチコピーが、大々的に掲載されている。また、“第114回日本内科学会「書籍展示場・大しゃもじ前」”とある。

「ひょっとして、あの有名なご飯のお供とかけている?」と思っても、権威ある本だけに、誰もがその真意を測りかねていただろう。

「広告のセンスがよくわからない」「スベってる感じもある」などの意見もあったが、ネットユーザーには概ね好意的に受け止められていた。

ハリソン内科学の第5版が発売されたのは2017年3月。第4版が発売されたのが2013年なので、4年振りの改訂になる。

このタイミングで、どうしてこのようなプロモーションに踏み切ったのか。BuzzFeed Newsは先述の告知を行ったTwitterアカウント「ハリソン内科学【公式】5版ですよ」の“中の人”を取材した。

 
難しい本よりは読みやすい本を選ぶ現状

--あえてお聞きします。なぜ、「ごはん」「しゃもじ」だったのでしょうか。

「5版」と「ごはん」をかけています。

--ダジャレでしょうか。

はい、ダジャレです。「ハリソン内科学 第5版」ということで、改版のアピールと短く伝わりやすいキャッチーさを検討した結果、「5版ですよ」というコピーになりました。

ハリソン内科学は世界的に最もメジャーな教科書ですが、国内では敷居の高いイメージがあります。それゆえに「ご飯のように、日本人医師、医学生にとって当たり前の存在になってほしい」という意図をコンセプトに含めています。

その結果、サブコピーや関連書籍の販促などでも「食欲」を喚起するような言い回しを使用しています。

--これだけ権威ある本が、なぜダジャレを?

医師や医学生には意外と知られていないのですが、現在国内ではハリソンなどのいわゆる「成書」と呼ばれる教科書の需要が、とても落ち込んでいます

著名な先生方や指導医がどれだけ「読みなさい」と言っても、多くの医学生、若手医師は簡便な医学書に流れてしまう傾向にあり、弊社だけでなく教科書を出している版元にとっては大きな課題となっていました。

--医師や医学生も、難しい本よりは読みやすい本を選ぶ現状があるのですね。

はい。普通の販促で行き詰まっていたこともあり、第3版の頃から、発行元のメディカル・サイエンス・インターナショナル(MEDSi)では、医学生さんたちへの直接営業をスタートしました。

最初は純粋に営業として医学生さんたちと知り合っていったのですが、接点を増やすにつれて、彼らにとっての「ハリソン内科学」のイメージが具体的に見えてきました。

結論からいうと、ハリソンと読者との距離が遠かったんですね。それがわかってから、当時はまだ医学書業界では珍しかったTwitterを活用した販促を始めました。

--なるほど。「ハリソン内科学【公式】5版ですよ」さんは、確かにとっつきにくくないですね。

ギリギリのラインでハリソンの権威を落とさない「ユルさ」をコンセプトに運用しています。

--とはいえ、権威のある教科書です。怒られたりしませんか?

それは、もっとも気を使っている部分です。実際、そうした声もいただいておりますし、「ハリソン内科学」のアカデミック感というのは、ブランディングをする上でも重要なところですので。

一方で、ハリソンのような「成書」が使われていない現状があることも事実です。怒られる方の多くは、こうしたPRをされなくても能動的に勉強をされてきた方々なんです。

まずは「ハリソン内科学」は学生の時分から読みはじめても良い本であり、生涯手元に置いておくべき本でもある、そういう「存在」そのものに気づいていただくにはどうすればよいか、ということを考えています。
(以下略)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

まず、書かれているように「滑っている」と僕も思いましたw

 

ちらっと見て・・・思わず首をひねって「ネタかしら?」と思った次第です。

 

で、次に医大生や医師が成書から離れているというもののうち、医大生が離れているのは確かだと思います。理由は簡単で「書いている内容が国家試験に出ないところが多い」「細かい字がいっぱい書かれていて、読みにくい」から。

 

読みやすい、読みにくいもありますが・・・持ち歩きにくいですよね。あんな太い本を手元に置くには厳しいし、すぐに調べたくても調べにくい。基本的に使いにくい。時間がない人は読まないです。

 

ちなみに僕は「ハリソン内科学」「中山内科学」を端から端まで医学生時代は読んでいました(だからどこに何が書かれていたか、当時すぐ出てきましたw)。ただ、朝倉内科学までは到達しませんでした(2冊でお腹いっぱいになりましたw)

 

で、次に医師が読まないのは理由があります。まず、日本語版に翻訳する時点で数年の遅れがあります。そうすると必要な知識は大体別の場所で仕入れています。

2つ目に論文の「review」を見て勉強しています。インターネットで様々な情報が入りますし、up to dateなどでも最新の知識は入ります。論文のreviewをいくつか読めば、最新の知識は概ね入りますので、わかりにくければ日本語でそれを確認する。

そうすると日本語の「成書」がほとんど不要です。

 

僕の書いた本は「診断に必要な情報」を集中的に集め(reviewなどを読み漁り)、それらと症例経験を駆使して「指導医と研修医」の会話から診断過程を学ぶようにしました。

 

出版社さんもわかっているからだと思いますが、成書と違い「見やすさ」「読みやすさ」が追求されているので、同じ情報を得るなら簡単な本を手に取ると僕も思います。持ち歩きやすいし、どこに書かれているかすぐわかる。

血液内科ただいま診断中!
クリエーター情報なし
中外医学社

最新の知識はインターネットの論文から得て、オピニオンリーダーの講演会から得て・・・実際に現場で使う知識や国家試験で使う知識はあんちょこのような本から得る・・・。

 

そんな感じだと思います。

 

一方で、僕は嫌いなんですが・・・あの国家試験の辞書みたいな本(名前が出てこない)・・・。あれが内科専門医試験対策に・・・と書かれて置いてあったのに衝撃を受けました。僕らが学生時代って、あれは学生(各大学の国家試験対策委員)が書いたのを医師が監修した本で、結構間違いがあったのだけどな(と、成書と読み比べて、間違いをいくつか見つけて・・・当時付き合っていた彼女にあげちゃいました:欲しいと言われたからですよ)

確かに総合内科専門医試験を受験した際にみんながその本を読んでいたので、びっくりしました

 

この本は分厚い割に売れているのですよね。僕は嫌いなんですけど(笑

 

最近、どうなったか確認していないから、今度手にとってみようかしら

 

 

ということで、医学生が成書から離れた・・・という話でした。

 

いつも読んでいただいてありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします。

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2 コメント

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‥寒い~ (女王様)
2017-04-20 04:32:14
考えなきゃわからないシャレは スベリを超えてサムい。
連日の都心の夏日が ヒンヤリしちゃいます(笑)

私は本の虫でしたが 言われてみれば電車内で文庫本を読んだりする若い人って見かけなくなりましたね。
病院の待ち時間とか。
以前入院したときは、5冊くらい持参して。 重くて邪魔になり、退院のときにデイルームに置いてっちゃいましたけど。

若い世代の読書離れは、読書が嫌いで苦手なんだそうです。
中高生は 「試験に出ないから時間の無駄」と。その時間を受験勉強にしたほうがいいって言いますが、試験には読解力が必要です。
それには乱読でも たくさん読み込まないと進歩しないでしょう。

さらに 新聞も読まないので、縱に字を追うのが下手な子が多いんだそうです。
なるほど、国語以外は全て横書き。 理系は記号や英数字があるからそうなりますね。
国語の先生は 試験を作るときに横書きにしたりする配慮をしているそうで、なんだかなぁ とオバサンは溜め息が出ちゃいました。

ネットは確かに便利だけれど、ネットのニュースで新聞を読んだつもりになってしまうのはちょっと違う。
興味ないと思い込んだ見出しに 何かがあることも度々ありますよね。
超アナログ人間なので、ネットより読書・テレビよりラジオです(笑)。

時代が変わって 子供のころからタブレットだけで来た世代が大学生になり、キーボードを扱えない学生もいるそうです。
もう、ワープロが高くて手が出なかった私には 隔世の感が。
後期高齢者の診療所の医師は、当然今も手書きのカルテです。 腎内科に紹介状を書いてくれた医師ですが、来た返信がPCの画面プリントアウト1枚だけで 「今の若いドクターはこんなもんだよね」と苦笑しておりました。

ゴールデンウィーク。
久々にじっくり読書をしたくなりました。
最近買った本が肝臓病の本なんて 寂しすぎますね。 司馬遼太郎あたりをのんびり読もうかしら。
連休の谷間の平日は 火曜も土曜も予約外来です。 血液も腎臓(肝臓含む) 間を開けずに追跡していくので‥。
せっかくの連休なのに とガッカリですが、タシグナで試合再開を!

帯広は雪だったようですね。 体を壊さないように…。
勉強は受験のためではないのですが (アンフェタミン)
2017-04-20 05:35:23
>女王様さん
おはようございます。コメントありがとうございます。

僕も基本的に本が好きでした。特に小学1、2年生は病弱で、布団の中で小説などを読んでいました。ジュールベルヌとかが好きだったと思います。

試験に出ないから読書は無駄・・・というのであれば、生きていく上でほとんどの勉強は無駄ですがね(笑
勉強というのは自分の考え方を身につける場所でもありますし、応用・運用する上での最低限の知識を身につけることだと思っています。
受験勉強なんて、ひどいことを言えばコツを掴めばすぐ終わります(と言って、僕の想像よりも1年ほどオーバーして合格しましたが)。僕はむしろ「受験勉強なんて時間の無駄だ。受かるだけなら半年でいい」と言ってのけ、見事失敗しましたw 見通し甘いw

タブレットだけで育ってきた世代ですか。確かに2歳の娘がタブレットを自由に使っているのを見て、恐ろしい気がしました

紹介状の返信が「プリントアウトした画面1枚」とかだったら、僕の後輩がやったら「アホか」と言いますね。
紹介状の返信は「自分がもらって困らないようにかけ」「責任の所在がわかるようにする」ように言っていたものですが・・・。

帯広は大雪です。だいぶ積もりました。週末も雪予報でどうなることやらと思っています。

また、コメントいただければと存じます

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