新・眠らない医者の人生探求劇場・・・夢果たすまで

血液専門医・総合内科専門医の17年目医師が、日常生活や医療制度、趣味などに関して記載します。現在、コメント承認制です。

(医療の)需要と供給を考える

2009-05-30 23:20:37 | 医療

こんばんは。

 

当直になる前にひとつ記事を・・・・。

 

 

先程本を読みながら何故か医療の需給に関して考えていました。

 

医療の需要は当然増えるばかり、供給は急激には増やせない。当然の見解です。当たり前のこと・・・。

 

 

では需要をどうすれば抑制できるか・・・。そう考えて20分。あれこれとんでもない意見まで考えましたが・・・

 

 

とんでもない意見というのは、年齢で完全にTriageする。ある一定以上の年齢の方は大きな病気になっても積極的な加療適応なしと判断し、救急搬送も病院受診もしない・・・

 

そこまでやれば「需要」は減るでしょうね。医師として言うべきことではありませんし、やりたいとは決して思いませんが・・・。

 

 

しかし、誰にも医療が提供できなくなるというのであれば、まだその方がましか…とも考えたり。

 

他に需要を減らす方法はないか・・・と考えると、過去にも意見が出ていた「軽症」はコンビニなどで購入した薬で対応する…など、軽症患者をきちんとTriageする。

 

病院にかかる前に「Traigeセンター」のようなところでどのような処置を受けるべきか尋ねる。できるだけ基幹病院などに軽症患者がいかないようにする

 

 

結局のところ需要の制限は「Triage」をどのように実施するか…にかかってくるのだなぁとしみじみ考えていました。

 

 

一方で供給を増やす方法はないか…ということも考えました。医療の供給、つまり医療従事者や病院などのことですが、日本に関しては「社会福祉」が未発達な国のため「介護」などの対応が病院に依存していたりします

 

 

3月頃、近くの病院から意識不明の状態で運ばれてきた肺炎のおばあちゃんは、大変元気になられましたが(本も読んでるし。うらやましい)、介護の体制を整えるまでもうしばらく入院になりそうな・・・・。

 

転院先を探すよりは、介護体制を整えるほうが早そうなのでそのまま診ていようと思っていますが、介護施設なんて全く足りていませんし・・・・総合的に「医療・福祉の面でどれだけ供給不足なんだろう、この国は・・・」と思ったりしております。

 

 

供給を増やすためには当然、まずは「人的資源」になりますが、医師はすぐには増えません。6年制の医科大学を卒業し、臨床研修を経て・・・少なくとも8年は・・・今から増やそうとしても増えません。さらに、増やそうとしてもいつも書いておりますが、「教育」ができるような体制ではない

 

まぁ、体制は作り直せばどうにかなると思っていますが、今のままでは不可能でしょう(笑。・・・・・・・・・笑いごとではないのですがw

 

看護師さんも「家庭と職場の両立」(医師も同じです、男女問わず)などの問題や「勤務体制」など様々な問題で辞めていく人は多いですし、実際に看護師不足が最大の原因でうちの病院は稼働病床数を200床削減していますしね。

 

 

これをどう整えていくのか。実際に勤務している看護師さんの数はどのくらいなのか…国は様々な対応をしなくてはならないですね。

 

 

医師の代わりにベテラン看護師に一部医師の仕事を…という話もあります。例えば風邪…などに関して(最近は発熱外来などもありますけど)基本的な処方は「風邪を治す」薬がない以上、対症療法になります。

 

この症状がある人にはこの薬などとある程度は振り分けられるかもしれません。しかし、風邪の中にいつも紛れている重症患者・・・これを見逃すと痛い目に会います。

 

医師であっても見逃さないとは言えないのですけど、このような場合の「責任」をどうするのか。様々な問題はあります。ちなみにこれもTriage的な要素になります。

 

 

医師や看護師が患者さんの搬送や検査検体の運搬のメインになっている場合、これを他の方々が代わりにやったり(医療メッセンジャー)、様々な医療の供給増加の手段はあると思います。

 

 

医療は医師だけでやるわけではないのですから…と言いたいのですが、そういう体制になっていないのですよね。

 

医師と看護師の「役目」の違いはあっても、上下関係はないのですが、どういうわけか「医師主導」の体制なので困ります。 そのあたりも本当は「今の医療」の限界かもしれません。

 

供給をどう増やしていくか。医療業界だけでなく、他の分野の体制改善も必要なのだろうとも思います。

 

 

あと「医療」の考え方でしょうか。 医療を「国の礎の一つ」であると考える僕のような人間は「多くの人が安心して働ける」ように国や企業などがサポートしてもよいのではないかと思っているのですが。

 

今まで僕は「医療」が損なわれると経済にも影響しうると書いてきました。

 

「新型インフルエンザ」で「病気」というものが「経済」に与える打撃が大きくなるということを実感できたのではないかと思います。経済界が「医療」をどのように見ていくのか、それが改善される日が来るのではないか・・・そういう期待もしております。

 

 

医療現場を「今」改善させるために、もう一度需給について考えてみました。

 

需要の要は「如何にTriageするか」であり、イギリスのような家庭医制度を持って「Triage(制限、選択)」するもよし、他のシステムにするも良し。しかし、Triageなくして、現時点での改善は無理でしょう。

 

 

また、供給の要は「役割分担」であり、また役割をふやすことで医療従事者の数ももっと多くの職種、人数にするべきだろうと思います。

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そして総合的に「医療」を日本人がどう考えていくのか。 それが重要なのだろうと思います。

 

 

さて、明日はまた当直です。体調はかなり悪いのですが、仕方がないですね。代わりがいないんですもの・・・。

 

死なない程度に頑張ります(笑

 

では、また。 

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ど~でもいい話:僕と病棟編成

2009-05-30 20:15:15 | 医療

さて、もう一個続けます。

 

金曜日から看護師さんなどからも

「先生からも言ってください」

と言われている件があります。

 

 

え~と、非常にアホな話ですが、うちの病棟の全個室を含めて14床が工事のために使えなくなる…という話です。

 

因みに「教授」もそれを噂の範囲でしか聞いておらず、正式な連絡・・・はまだ来ていないのに、「来週からそうなる可能性が高い」そうです。

 

 

・・・・・・・・・・

 

 

ここの大学病院・・・アホやろ

 

 

病床減らすのは看護師数も少ない、医師の数も少ない・・・わかる。まぁ、患者数が減るわけではないから、空いている病棟に入っていくので僕らのような「変更がきかない(しかも外にない)診療科」にとっては医師が疲労していくだけなんですけどね

 

 

しかし、今回は連絡もなく、個室に入っているような患者さんを「どこに出す?」というのか。

 

アホか。 本当のアホだ。患者さんを殺す気か?

 

どうしようもない。

 

患者のためにもならない。

 

工事をするなら工事をするで、もっと早めに言えばどうにかなるかもしれないが・・・もはやどうしようもないのではないだろうか?

 

特に血液の病棟で工事をする場合、「カビさん」の感染が増えるので、非常にクリティカルなことになるのですが

 

…何も考えていないのだろうな

 

・・・・ バカな上層部のために患者さんの不利益にならないことを祈ろう。こういうのも現場を見ていないというのに入るのでしょうね・・・・。

 

 

こういうのにも頭を悩ませていると、本当に疲れてくるんですよね。最近動悸はするし、Squeezing painのような痛みもあるし、何で医療だけでも頭痛くなる状況なのに、こういった予想もしないところで人の神経すり減らしてくれるかな…毎回・毎回。

 

 

と、これは完全な愚痴です。

 

けど、本当にいきなり言われてもどうしようもないぞ…というのが本音です。

 

どうなるのか?本当に工事で病床削減+αが起こるのか?

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それとも・・・・・・?

 

 

 

 

最近、本が読めなくなりました。僕は本を読むのが好きで本を読んでいる間に精神統一もしているので、この時間がないと非常につらいです

 

ですので、今から読書をしたいと思います。

では、また。

 

 

P.S 明日の当直前にもう一個は記事を書きます

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医療機関の倒産増加を受けて・・・

2009-05-30 19:59:02 | 医療

こんばんは

 

今帰ってきました。

 

昨日から今日にかけては本当に疲労困憊状態でなかなかBlogも書けませんでした。

 

「全身倦怠感というのはこういうものを言うのか」…などと納得してみたり。

 

 

しかし、体がどれだけしんどくても「患者さん」は待ってくれませんし、人口当たり医師数最低の埼玉県で・・しかも血液内科という最も少ない診療科の一つゆえにカバーあんまりないですからね。

 

 

今も体はしんどいのですが、二日間書かないわけにはいきませんし、明日も当直なのでどうなるかはわかりませんし・・・。

 

しかし、この状況は患者さんにやはり不利益になるような気がすると改めて実感。感覚的には・・・いつもの僕の半分の速度で指示を出している気がする。

研修医が少なくなった上に、慣れていないのが二人だからしんどいというのもありますが・・・・。

 

採血とかまで自分でやりに行くことになるとは思わなかった。

 

う~ん、大丈夫かしら・・・。 さて、とりあえずこちらの記事を・・・。

CBです。

 

 

医療機関の倒産、過去最悪と同水準-帝国データ

5月29日13時24分配信 医療介護CBニュース

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090529-00000002-cbn-soci  

 

帝国データバンクの調べによると、病院や診療所、歯科医院など医療機関の昨年度の倒産は、過去最悪を記録した2007年度と同じ40件だった。医師不足に伴う病院勤務医の労働環境の悪化などがクローズアップされる中、昨年4月の診療報酬改定では本体部分の改定率が8年ぶりに引き上げられたが、医療機関を取り巻く環境が依然として厳しいことを示す結果となった。  

 

医療機関の倒産は02年度から増え始め、06年度以降は高水準で推移している。 01年度以降に発生した252件を施設別に見ると、病院60件、診療所115件、歯科医院77件。病院の倒産が06年度の12件をピークに減少に転じたのに対し、診療所では07年度から2年連続で過去最悪の20件を記録した。歯科医院も昨年度は13件と、01年度の4件から3倍以上に増えている。 

 

全国の病院数が年々減少しているのに対し、診療所と歯科医院は増えており、帝国データでは、施設増に伴う競争激化が倒産増加の要因とみている。  

また、01年度以降の倒産形態を施設別に見ると、事業を継続する「民事再生法」が病院で34件(56.7%)と過半数を占めたのに対し、診療所は20件(17.4%)、歯科医院は14件(18.2%)にとどまった。診療所の倒産は95件(82.6%)が「破産」によるもので、歯科医院でも63件(81.8%)と8割を超えた。  

帝国データでは、事業規模が小さい診療所や歯科医院では資金調達が難しいほか、事業価値を見いだすスポンサーが現れにくく、破産を選択せざるを得ないのが現状だと分析している。

 

--------------------------------

まぁ、病院の倒産は・・今の医療情勢を考えると「継続してくれ」という話になるのだというのはわかりますが、個人経営の診療所が「そこが潰れられると困る」という風にはならないのだというのが第一印象です

 

 

ただ、この話を見たときに2つ目に思ったことは・・・「医者をやりたいという人の数が減るのではないかしら?」ということです。

 

 

勤務医の実情はたぶん思っているよりも厳しいというのが実際ですし、僕みたいに「医療が楽しくて仕方がない」という変わり者ですら、最近しんどくなってきましたので。

 

 

そこに開業していく先生方が多くなっているのに、経営などが厳しくなってきているというのであれば・・・

「医師なんてやらない方が、家族のためにも自分のためにもなるし、開業していても人のためにならないのなら医師を辞めて、他の職業に就こう」

とか考えられたりして・・・・。

 

勤務医の数は結局増えずに・・・・。

そんな風に医者自体が減るのではないかという気もします。希望者も減りそうですしね

 

 

医者が減る?

 

本末転倒のような・・・。

 

 

医師という職業がわかりやすい意味で「人のためになる」という、やりがいのある職業である…という他に、魅力的な職業になるようにしなくてはならないのでしょうね。

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基本的には「人権無視」の勤務体制をどうするか…ということも含めて・・・・。

 

それでは、また。

次の記事を書きます。

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行政・政治と国民の乖離に関して:現場に即した政策を・・・

2009-05-28 23:26:39 | 医療

こんばんは

 

先程からいろいろ考えております。今日は日常生活でも書くことが特にありません。 頭が鈍っているというのもあるのでしょうけど、今日はあまり書くことがないです。

 

疲れているだけかもしれませんが・・・・。

 

 

先程のコメントに「一人で24時間介護をすること」がいかに大変であるかが書かれていました。

 

また、朝日新聞にこんな記事もありました

 

介護疲れで夫を殺害、妻に最も軽い懲役5年判決

 http://www.asahi.com/health/news/TKY200905270270.html  

介護に疲れ、夫を殺害した妻に、殺人罪の法定刑で最も軽い懲役5年(求刑懲役7年)の判決が27日、さいたま地裁で言い渡された。公判で「娘に心配や迷惑をかけたくなかった」と繰り返した被告に、伝田喜久裁判長は「迷惑をかけたくないという気持ちは責められない」としながらも、「命を奪った結果を考えれば、その思いも行き過ぎ」と述べ、周囲にもっと相談すべきだったと指摘した。  

 

殺人罪に問われたのは、埼玉県鶴ケ島市の山根レイ子被告(71)。  

 

判決などによると、山根被告は08年12月25日未明、自宅アパートで夫(当時78)を抱え、トイレに連れていった。ところが夫は途中で倒れ込み、失禁した。数時間前にも失禁して着替えさせたばかりで、「もう手に負えない」とスカーフで夫の首を絞めて殺害した。山根被告自身も包丁で手首を切るなどしたが、朝になって親族に発見された。  

 

公判で明かされた経過では、07年8月に夫が大動脈瘤(りゅう)で倒れて一時入院し、2人で経営していた焼き鳥店を閉めた。その後、夫の具合は悪化し、事件4日前ごろには、山根被告は介護のために、ほとんど眠れない状態になっていた。行政に相談しなかった理由を尋ねられた被告は「考えてもみなかった。知らなかった」と答えた。  

 

検察は「短絡的で残酷だ」としたが、弁護側は「介護疲れが原因の、とっさの犯行」として減刑を求めていた。

---------------------------

24時間介護をすることが大変であるという事実。これは介護経験はありませんが、24時間On Callで働いている僕らも大変ですので、全く一緒ではありませんが大変だろうというのはわかります。

 

また、この記事の中の「行政に相談する」ということを「全く考えもしなかった」というのは「行政」と「国民」に乖離があるということですので、非常によくないことを示していると思います

 

 

周囲に相談するのもこの核家族化でなかなかできないでしょうし、今後は本当にサポートシステムが完備されなかったら、厳しい生活になっていくのでしょうね。

 

 

これなんかは「医師」に特化していますが、行政と国民の間に空間がかなりあいているということを示しているように思います。

 

医師個人のニーズ反映を 僻地医療、政府助成は不十分

5月28日15時42分配信 産経新聞

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090528-00000165-san-soci  

厚生労働省は、僻地(へきち)医療の拠点病院への個別的な助成だけでは医師確保にも限界があるとして、平成13年度に僻地医療への包括的支援策を盛りこんだ第9次僻地保健医療計画をスタートさせているが、奈良県山添村と竹本喜典医師との成功例のように、医師個人のニーズをくんだ取り組みは見られないようだ。  

 

政府の助成は、都道府県単位で受け皿となる支援機構を設置。僻地医療を広域的に支援する支援機構の事業に対し、経費の半額を助成する内容だ。  内容は都道府県ごとにさまざまで、高知県では担当医の代診医を確保するための会議を開催する場合、その出席者の交通費などを助成。新潟県では、新潟大学医学部などと連携して医師確保の会議を開催する予算などを助成している。  

 

ほかにも、過疎地の自治体が都市部で医師を対象に医療への参加を呼びかける説明会を開催したり、魅力をPRするポスターやパンフレットなどを作製したりしている。  ただし、いずれの事業も即効性に乏しいのが実情。厚労省医政局も「事業をすること自体が目的となっている自治体も多く、実際に自治体担当者と医師の間で雇用にまでつながる“ウエット”な関係まで踏みこめていない」と指摘している。

-------------------------------‐‐‐

ウェットな関係にはならなくてもよいから、人間らしい関係・・。言葉だけでなく、実際に多くの人が困っています。それを人として考えていくにあたって、こうやったらこの人たちは助かるかもしれないと・・・・なぜ現場を見ることもなく考えるのか?

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関係者との話し合いを持って、お互いを理解しなかったら事業なんてうまくいかないだろうに。

 

基本的には「本当の厳しい現場」に関しては行政、政治家は見ていないような気がする。見ていれば「アホ」でも何をしなくてはならないかはわかると思う

 

今のままではいけないというのがわかると思うのだ。

 

言葉だけで「現場を見ていない」。もしくは「お金」などが関係するため「シビアな現場を見せないようにしている」のか・・・。

 

何でも「現場」にKeyは落ちているような気がします

 

それでは、頭の疲れたままでは良いことはないので、軽く本を読んだら寝ます。

では、また。

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久々に「Not 午前さま」

2009-05-27 22:28:47 | 医療

こんばんは

 

本日から研修医が減りまして、久々に朝から無菌室で採血などをしておりました。

 

その他も研修医の先生たちがやっていてくれた仕事もやり、シビアな話を外来でしながら・・・病棟でのちょっとした動きにそれぞれ対応してきました。

 

まぁ、対応が遅れると命にかかわる病棟なので大変ですけど。

 

 

外来で僕が「自分の外来日」以外に話をするのは「話をじっくりしなくてはならない人たち」です。

 

そうじゃないと患者さんが回っていかない。

 

例えば・・・循環器内科とともに見ている骨髄腫の患者さん。心臓に関しては心アミロイドーシスで・・・だんだん心不全兆候が強くなってきています

 

その家族が今週いらっしゃいました。

 

「心臓の先生から次来た時は入院だ、入院だと言われていて不安で・・・。また、夜中に練れていないらしく、精神的にも不安定になって・・・」

 

いろいろ話を聞きながら、どうしても心不全が悪くなって起座呼吸になっている可能性は否定できなかったのですが・・・・1時間ほど話をし、すべての不安などに関してはどうするべきか、今後の方向性をどうするか話をしてきました

 

 

また、どういうタイミングで救急車を呼ぶか・・・。その後どういうことが考えられるか。個人的には家にいられる時間を長く、自由に過ごしてもらいたいこと。苦しくてどうしようもないということであれば、麻薬などを使用していけば呼吸困難(息苦しさ)の緩和ケアなどもできることなども話をしました。

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あとは初診の患者さんたち・・・

 

一人想像が当たってしまった「骨髄癌腫症」の患者さんなど・・・。

 

他院からの紹介状には「溶血性貧血」での紹介だったのですが、血液像を見たらFragmentが出ていて、少し血小板も下がっていて、FDPなども上昇していましたので・・AIHAなどよりは悪性腫瘍関連だろうな・・・と。

その日のうちに骨髄穿刺を行い、血液細胞じゃないものを確認。

しかし、PET-CTまでとったのに原発が不明だったため、腫瘍内科にお任せしました。

 

 

僕も血液内科の外来で原発不明がんの精査や不明熱精査をする気はありませんので・・・。

 

 

そういったことをやり、患者さんたちが寝る前にもラウンドをできたらするようにしておりますが、久々に寝る前ラウンドも実施し・・・今日は帰ってきました。

 

 

昨日も2時過ぎだったので、もう疲れています。

記事をもうひとつ書いたら、寝ようかと思っています

 

 

それでは、また。

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近況報告かな?

2009-05-27 02:11:52 | 医療
こんばんは

今日も一日頑張っておりました。
何かし忘れたような気がするのですが、思い出せない・・・・。困ったものです。

明日もシビアな話をしなくてはならない人たちがいますが・・・今は体力を温存します

とりあえず、二日連続ですが近況報告程度で終わらせていただきます。

それでは、また

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疲れた~

2009-05-26 00:08:45 | 医療
こんばんは

今帰ってきました。

今日もいろいろありましたが、一日無事に終わりました。流石になんか疲れ気味なのでしょうか?ぐったりです。

今日の記事はいろいろ考えましたが、ヨーロッパの方でも「医療は金次第になりつつある」という話ですとか、様々な問題を上げてみようと思っていたのですが・・・・いったん中止です

明日、時間があれば書きます

それでは、また。

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見捨てる者の心

2009-05-25 00:02:03 | 医療

続けます。

 

僕は若輩者で、このようなことを書く資格があるのかどうかはわかりませんが、僕が思ったことを書くのが「Blog」というものの趣旨だと思いますので、ここに書かせていただきます。

 

 

先程のコメントにいただきました「見捨てる」ようなものだ…という話に関してです。

 

 

血液内科の診療は・・・たぶん、血液内科医を選択した先生方の性格からか「最後まで打てる手を打つ」というスタンスの先生が多い方だと思います。

 

 

普通の悪性腫瘍であれば抗癌剤治療は「延命治療」以外の何物でもないのかもしれませんが、血液腫瘍は「完治」の可能性がありますし、最後の最後までいろいろな手が打てますので・・・。

 

 

僕も基本的には「診断から治療まで、最後まで診れる。だからこそ血液内科が最もやりがいがある。患者さんと最後まで付き合える」と思っています。

 

しかし、現在の医療状況はそれを許してはくれません

 

 

急性白血病はあるていどの施設で、血液内科医がいないと診ていけないと思います。逆にそういう病院はかなり限られてきます。そうすると大学病院などはかなり白血病に特化してきます。

あとは自家移植とかを行う予定の悪性リンパ腫だとか。 初発の悪性リンパ腫を見ることはないでしょうね。外来化学療法かな・・・。 そうするとそういう患者さんを受け入れる余地は少しは残しておかなくてはなりません。…もっとも、うちの病棟は150%程度のベッド状況で運営されていますが。

 

 

80才だろうとすべての患者さんを受け入れるにはベッド数も医師も足りない。それが現状だと思います。

 

 

僕が外来で見ている最高齢は91歳です。91歳ですが現在はかなり元気になって、普通に杖ついて歩いて通ってきてくれていますが、この方ももはや転院させないといけないだろうな…と思っています。

 

他にもうまく治療で来ている人も含め、手がなくなっていっている人も含めて転院させなくてはならない。そう思っています。

 

今の日本、特に埼玉県なのかもしれませんが・・・治療が必要な人を治療するためには、大学病院で本当に治療しないといけない人を選ばないといけない。そうでなかったら治療が必要な人が治療が受けられずに死んでしまうかもしれない。

 

 

今回のように、血液内科にかかっていました。けど、老衰(?)で・・・意識が完全になくなりました。血液内科で診る診療じゃないかもしれないけど大学病院に運んできました。

 

そういう患者さんを診ているうちに、その前の日に来たような患者さん(10代の急性白血病)が受けられなくなります。こういう患者さんは緊急の処置が必要です。白血病は他の癌と異なり、数時間が生死を分けることもあります。

 

 

ずいぶん昔のことですが、かなり遠くからこちらに移ってくる白血病の患者さんが途中で脳出血で死亡したということがありました

 

できるだけ短期間で…と思いますが、現実的に白血病を同時に受け入れられるといっても2人位が限界でしょう。

 

受け入れられる施設も限られるため、それこそ受け入れ不能で10施設以上回されていきます。そういう患者さんをできるだけ減らすためにも、血液疾患の既往がある肺炎の患者さん…とかまで大学病院に運ばなくても…と思ったりします

 

 

自分で言うのもなんですが、患者さんと接したり話をしたり、心をくみ取ったりそういうふれあいが好きなことも含めて・・・医療という分野が娯楽のように面白いことも含めて「医師」が「天職」だと思っています。

 

僕は毎日が楽しいし、幸せに暮らしています。

 

ただ、この仕事で一番ストレスになるのは何かというと

 

「もう打つ手はありません」

 

という話です。

 

すなわち・・見捨てるような話をする時です。見捨てられた人を受け入れたり、そういう見捨て方をしない診療科はいいかもしれませんが…やはり内科系・外科系はそういう話をしないといけないこともあります。

 

今日も

「この疾患(MDS RAEB-2 IPSS High)は骨髄移植以外に治癒不能です。しかし、今の肝不全・腎不全がある状態での骨髄移植は不可能です。透析を回しながら、肝臓も悪いのに移植を施行するというのは不可能なんです。

そうするとこれから行う処置はすべてが延命治療ということになります。御本人が苦しみながら闘っているのは、治るという希望があるからです。だから本人には言いませんが、透析を含めてどこまで積極的に治療を行うか考えてみてください。

 

僕達は御家族がとことんやってほしいと言われたら、やれることを最大限やります。ただ、本人が苦しんでいる状況をただ長引かせることになるだけになるかもしれません。

 

希望だけではなくて事実を知っていただいて、どこまでやるかを決めていただきたいのです。」

という内容の話をしたりしました。

 

 

僕はがむしゃらに治療をするよりは「完治は望めないけど、どこまでやりますか?」という話をします。そうでないと患者さんが苦しみながら治療をしていくだけになってしまう。外来で内服抗癌剤で、放射線治療で引っ張り続けている人もいます。

 

腫瘍との共存を目指しましょう

そういう言い方を患者さんにはしますが、完治は望めない…というそういう状況もあります。ならば家族と一緒に過ごす時間が長いことは良いことだと思っています。

 

もしくは家族と一緒に暮らせなくても本人の苦しむ時間が短くなった方が良いのではないかと思っています。

 

僕は研修医たちに「挿管するのは挿管したら助かる可能性がある時には迷わず行うべきだ。呼吸状態が悪化したら、リザーバーマスクを使わないといけなくなった時点では最低でも挿管を考えなくてはならない。逆に助けられないのであれば、家族と会話する時間や一緒に過ごす時間を長くとるために挿管しないことを前提に家族と話し合う必要性がある」「透析導入に関しても同様。急性腎不全に対して透析をいち早く行うことで、この患者さんを救命し、かつその先にある程度の時間があるのであれば、積極的に考えてもよいと思う(当然、腎前性とかpHやKが上がっていないとかは抜いています)」

 

ただ、逆に先がないのであれば当然がむしゃらに治療をするものではない。これは医療従事者であれば患者さんのことを考えて誰しも思うことです。苦しい時間を少なくしてあげたい。ただ、苦しむ時間が長くなるのであればモルヒネなどを使って緩和ケア的に対症療法を行っていきたい。

 

そう考えるのが人として普通ではないかと思ったりしています。

 

先程の記事のコメントに少し書きました

 

「僕の意見を言いますと、最初から最後まで診療できるのがメリットである血液内科に入った以上、どんな患者さんでも最後まで診たいのが本音です。

ただ、そんなベッド数は日本にはありません

その実情を「国民」の大半が知らないだけです

 

僕らが好き好んで患者さんを見捨てるようなことをしていると思いますか? どれだけそういうことをしないといけないことを、言わなくてはいけないことにストレスを感じているかわかりますか?

 

最後まで診ることができたら「自己満足」かもしれないですけど、「見捨てるような気持ち」はしなくて済む。罪悪感を感じないですむのに、全体の利益を考えたらやらざるを得ないという今の現状を分かっていらっしゃいますか?

今の日本はそんな現状なんです」

 

見捨てられる者の心はさみしく、つらいものだと・・・。どれだけやる瀬ないか・・・・想像することはできます。体験したわけではないですが、想像することはできるのです。

 

「見捨てられるなんて・・・どれだけ辛いだろうな・・・」と思いながら、自己満足の選択肢ではなく全体の利益のために自分の心を押し殺していく・・・そんな見捨てる者の心はわからないのではないでしょうか?

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なかのひと 

先輩ドクターの中に「見捨てる」ことに耐えかねる・・・・とおっしゃっていた方がいました。自分もその気持ちは共感できます。 しかし、今の医療体制は「Triage」を行わないと必要な患者さんに必要な医療を施せない体制である以上、血を吐きながらでも苦しみながらでも、全体の利益のために、自己満足ではなく全体の利益のために「最後まで診ないで、他の人に任せる」といった選択肢を取らざるを得ないのだと思っています。

 

僕は学生時代に「このままでは医療は崩壊する」と厚労省(当時は厚生省かもしれませんが)と送ったことがあります。僕程度の人間ですらそういったことを考えていたのですから、普通はもっと多くの人が考えてもよかったのではないかと思っています。

 

そういう意味では政治の不手際、官僚の不手際も含め・・・結局、情報を知らずに今のままでいてしまった日本人全体で「今できる最善のこと」をやっていくしかないのではないかと思います

 

 

さて、明日はまず朝一番に・・・一昨日の件をしっかりとけりをつけに行きたいと思います。

7時スタートで仕事をどんどん蹴りつけていけば10分くらいは「理由」を確認する時間くらいはあるでしょうしね。

 

では、また。

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救急だけでなく、勤務医は疲労の極限に・・・

2009-05-24 22:29:00 | 医療

こんばんは

 

今帰ってきました。

 

帰り際に脳神経外科の友人が

おとといの夜中の2時に呼び出されて、昨日は当直、今から緊急オペ。SAH。昨日も小脳出血・・・。48時間働きっぱなし。さすがに疲れた

と言って、手術室の方へ向かっていました。

 

 

僕らも365日、On call状態で勤務していますが、こういう手術のようなイベントが続くのも辛いですよね。

 

では、今日の記事です

 

 

救急センター調査 救命存続へ 抜本的改善が急務

5月24日2時31分配信 毎日新聞

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090524-00000005-maip-soci  

 

毎日新聞の調査で、全国の救命救急センターの医師たちの過酷な泊まり勤務の実態が明らかになった。搬送患者が増える一方、医師不足や病院の厳しい経営実態を理由にこれまで問題は放置されてきた。現場では過労による判断ミスを懸念する声も目立つ。患者と医師双方の命を守るため、抜本的な改善が求められている。【河内敏康、永山悦子】  

 

◇搬送1年で3倍  

 

総務省消防庁によると、08年の救急搬送の総数は前年比で5%減った一方、センターへの搬送者は約54万人で、前年の3倍以上に増えた。  

日本の救急医療体制は、▽入院の必要がない患者を外来診療する1次医療機関入院が必要な患者に対応する2次医療機関交通事故や脳卒中など命にかかわる患者を治療する3次医療機関(救命救急センター)--の順で対応する仕組みになっている。  

 

救命救急センターは重篤な救急患者の搬送依頼を原則としてすべて受諾することになっている。センター以外の病院が人手不足などを理由に入院が必要な患者の受け入れを断るケースが増えているため、最終的にセンターに搬送が集中しているとみられる。その結果、今年3月には、鳥取大病院でセンターの常勤医全員が過酷な泊まり勤務を理由に辞職するなど、センター自体の存続が危ぶまれるようになっている。  

 

瀬戸際の救急体制を維持する処方せんとして、東京大病院救急部での勤務経験がある中島勧・東大政策ビジョン研究センター准教授(医療政策)は「現在、急患を積極的に受け入れている施設に、限られた人や金を集約させる施策が必要」と提案する。  

◇人材と予算手当を  

厚生労働省は02年、医療機関の夜間勤務が労働基準法に沿うよう全国の労働局に通知したが、改善は進んでいない。深刻な医師不足に加え、「診療報酬の増額などがない限り、人を増やせない」(関東の病院)と、厳しい経営状況が対策を遅らせている側面もある。  

医師の泊まり勤務を巡っては、東京都の総合周産期母子医療センターの指定を受ける愛育病院が、泊まり勤務で労基法を守るには常勤医が足りないなどとして、指定の返上を検討していることが3月下旬に発覚した。結局、外部の医師の応援を受けることで決着したが、人手をやりくりするのは容易ではない。  また、産婦人科医の勤務をめぐり、奈良地裁は4月、県立奈良病院での夜間の勤務を宿直ではなく時間外労働と認定し、割り増し賃金などの支払いを命じる判決を出した。  

 

過労死弁護団全国連絡会議の須田洋平弁護士は「医師の夜間勤務は、労基法の例外措置として、超過労働を宿直という形で許可している。だが実態はほとんど眠れず、急患に追われる。例外というより法の『逸脱』だ」と指摘する。  

 

最高裁の判例では、仮眠中も警報や電話対応が義務付けられているビルの守衛について、宿直ではなく正規の労働時間と認定されたケースがある。須田弁護士は「医療は人命にかかわり、よりストレスが大きい。医師は法律で患者を拒否できないが、医師の倫理観や職業意識だけに頼るのはおかしい。交代勤務などを実現する人材と予算が必要」と語る。  

 

医師の過酷な勤務は、治療の質にも直結する。東京大政策ビジョン研究センターの中島勧准教授は「医師は一般に、日中の通常勤務をしたうえで宿直に入るため、24時間を超える連続勤務になる。医師が人間らしい生活をすることは、患者のメリットでもあるはずだ」と指摘する。

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他にも

 

救急センター調査:実態合わぬ「宿直」 5割違法の恐れ

http://mainichi.jp/select/science/news/20090524k0000m040110000c.html?inb=yt

 

救急医の主な意見 心肺停止など命にかかわる重症患者にとって「最後のとりで」である全国の救命救急センターで、睡眠が十分取れないまま患者に対応する救急医の泊まり勤務を「宿直」として扱う施設が5割を超すことが、毎日新聞の全国調査で分かった。労働基準法が認める「宿直」は、ほとんど労働する必要のない勤務とされ、これらの施設の勤務実態は違法である可能性が高い。  

 

調査は全国の救命救急センター218施設を対象に4~5月に実施し、116施設から回答を得た(回答率53.2%)。  

 

労基法は労働時間を原則週40時間と定め、時間外労働も労使間で協定を結んだ場合、1カ月45時間まで認められる。一方、宿直については「巡回や電話番など軽度な勤務」「十分な睡眠が取れる」などを条件に労働時間とは別枠で、労働基準監督署長の許可で例外的に認められてきた。  

 

調査の結果、救急医の泊まり勤務を宿直扱いとする施設が61%あった。また、時間外労働として扱う施設は19%、残りは交代制などだった。宿直のうち9割(全体の55%)は十分な睡眠が取れていなかった。労基法では、連続して睡眠を取れる時間が確保されておらず、急患に追われる勤務が日常の場合は、宿直として認められないとしている。  

 

1カ月間の泊まりの回数は平均4.23~4.85回で、最大13回の施設があった。労基法を守るには「医師が足りない」と答えた施設は8割を超えた。  

医師の泊まり勤務を巡っては、4月に奈良地裁で県立奈良病院の宿直勤務などが時間外労働にあたるとの判決が言い渡されるなど、劣悪な労働環境の改善が求められている。  

厚生労働省労働基準局監督課は「個々のケースによって判断は異なるが、労基法の趣旨から外れる勤務実態は違法の恐れがあり、好ましくない」と話す。【永山悦子、河内敏康】

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僕もよく新教授から

食事をしろ。休め。正確な判断ができなくなるぞ

と言われたりしますが、実際休むことができないような医療体制です。

 

 

救急センター以外でも・・・俗にいう「きつい診療科」はほとんど休みはないと思います。おそらく5割では済まないのではないかと思っています。

 

労働基準法を守るのはほとんど不可能な状態です。

 

先日も9カ月ぶりに休みを取ったと書きましたが、実際そんな状況です。 患者さんの数(入院、外来合わせて)を考えると土日も使わないとすべて処理しきれません。せめて事務仕事だけでも・・・・と思う時もありますが、そういう仕事も含めれば休んでいる暇はないのです。

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なかのひと 

血液内科は患者さんに「抗癌剤」という毒を入れて、白血病や悪性リンパ腫という癌を治していきます。抗癌剤を入れることで患者さんは必ず状態が悪くなります

 

当たり前です。毒を入れて毒を制する治療をするのが抗癌剤治療ですから。

 

 

ですから万全の体制で、予測される副作用や予測しなかった副作用に対処していきます

 

その特殊さゆえに「他の診療科」では対処しきれなくて、結局「オンコール」体制になります。それは即ち休みがないということです。

 

いきなり呼ばれるよりも状況を把握していた方が対処しやすいので休みの日であろうと「必ず」病棟に患者さんを見に行きます。データだけでなく、お顔を拝見した方が状況がよりわかりますからお顔も必ず見てまわります

 

それで病状が安定していたらいったん帰りますし、病状に動きのある患者さんがいたら家族に対して説明もします。

 

そうやって毎日勤務しています

 

 

チーム医療ができるくらい医師数がいればよいのかもしれませんが、それほどの医師数はいなかったりします。

 

それが現実です

 

 

それでもできることを探して、一つ一つやっていかなくてはならないと思いますが・・・・。

 

 

それでは、また。

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災害医療と(平時の)医療

2009-05-23 23:19:48 | 医療

こんばんは。

 

先程、廊下での診療というお話をいただきました(年齢によるTriageが必要な日本社会参照)。

 

ベッド数などを問題にするときに、医療従事者以外の方々はそれを廊下で診ればいいじゃないかと思われるかもしれません。 ただ、やはり廊下での診療というのは特殊な状況と言わざるを得ないです。

 

 

例えば災害医療の時などですね。

 

 

災害医療であれば現場からある程度離れた場所に、前線の指揮所などをつくり、それこそ医療の需要と供給が乖離しているために、ベッド数などが足りなくなり廊下での診療を行うなどします。

 

 

例えば廊下に点滴台をいくつか持ってきて、それにロープ(ビニールテープだと垂れ下がります)を張って、S字フックをかけて点滴台の数を増やしたりして・・・

 

 

ただ、こういった処置は医療の供給が足りない前提での診療です。そしてそれゆえに提供する医療は限られたものになります。

 

 

災害現場で提供する医療は「生命をつなぎとめる」ものであり、最後まで行うものではありません。ある程度の処置が行われ、しばらく時間が持つのであれば後送します。

 

 

災害現場やその近場の病院などで提供するのは「次の場所に移動できる時間を稼ぐ医療」です。多くの人を助けるために「医療を限定」します。その処置の順番などを決めたりします。そういうのをTriageと言います。

 

 

Triageというのは1800年ころのフランス軍がエジプト遠征の際に「兵士を前線にうまく供給」するために、助かる人から治療をしたというところに始まります。そういう意味では今の医療でのTriageとは少し異なりますね。

 

 

いずれにせよTriageは「選別」することを示します。

 

災害の時や戦争の時など「異常時」に、人間の命を「人間」が選別する。そういう異常なことを「医療の供給」が足りないために行うというものです。

 

 

異常時に行うべきものが「平時」に行われるようになってしまっていることを「おかしな社会」と僕は言っております。

 

 

難しい話になっているかもしれませんが、平時であれば「廊下で診療しろ」などという人はいないと思います。平時ではないという認識があるから「廊下で診療すればよい」という話が出てくるのだと思います。

 

すごい理解力だと思います。

 

そういうことを言わなくてはならない異常な状況。それを誰よりも認識している人でなくては言えないコメントだと思います。

 

 

そういった話を「医療従事者」でない人が言うようになってしまったことがいいことか悪いことか、本当に難しいです。

 

 

平時の医療であれば、医療従事者もベッド数もしっかりと確保されていて・・・というのが当たり前です。重症患者、研修医軍団から「プチICU」が全患者と言われてしまう血液病棟で廊下で診療をすることはありません。

 

 

例えば・・・廊下で酸素ボンベを使用します。まかり間違って毎分10lの酸素を流したらボンベの大きさにもよりますが、普通のボンベであれば20分持ちません。

 

そういう患者さん・・・救急の3次救急レベルの患者さんも廊下でみろと言われたらそれまでです。患者さんは酸素投与がまともにできず、死んでしまうでしょう。

 

死ぬことが分かっているのであれば自分のところで診ないのが「Best」もしくは「Better」な選択肢になります。

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なかのひと 

それゆえに「たらいまわし」と言われている「受け入れ不能」状態が作られます。

 

 

埼玉県内は医療過疎ですから「受け入れ不能」になりやすいです。

 

 

そういったことを多くの方々が知ってほしいと思います。もしかすると救急隊の人ですら理解していないのかもしれませんね・・・。 困ったものです。

 

 

では、明日もありますので失礼いたします。

コメント (4)
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