新・眠らない医者の人生探求劇場・・・夢果たすまで

血液専門医・総合内科専門医の17年目医師が、日常生活や医療制度、趣味などに関して記載します。現在、コメント承認制です。

新たなウイルス出現:サウジアラビア

2012-11-26 20:10:55 | 医療

こんばんは

 

今日は主に臨床関係のData整理をしていました。いろいろ解釈が難しいのですが、統計学の勉強をもう一度しなくてはならないなぁ・・・と思っているところです。

ただ、僕が一番使っていた医療統計の教科書がどこかにいってしまい、困っています。

どこに行ったのやら・・・

 

さて、今日は土曜日の記事ですが、気になったので紹介します

新種ウイルス感染6人に WHO、サウジで2人死亡

http://www.47news.jp/CN/201211/CN2012112301001834.html

 【ジュネーブ共同】世界保健機関(WHO)は23日、新型肺炎(SARS)を引き起こすウイルスと同じ仲間であるコロナウイルスの新種の感染者が計6人になったと発表した。

 サウジアラビアで4人、カタールで2人。うち、サウジでは2人が死亡した。サウジの首都リヤドでは一つの家族のうち4人が似た症状を訴え、うち3人(1人死亡)について、コロナウイルスの新種の感染が確認された。もう1人は死亡したが、検査の結果は出ていないという。

 WHOは家族内での発症があることから、「人から人への感染の可能性について詳しい調査を進めている」としている。

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僕は以前も申し上げましたが、腫瘍というものは撲滅が可能だと思っています。しかし、感染症などは相手が変わっていくので撲滅するというのは無理ではないかとも思っています。まぁ、薬はできるのでしょうけど。

新しいウイルスが出てきて、新しい薬ができる。

 

ただ、こうやって新しい何かが出てきたときに、それに早め早めに対応して、何が起こってもよいように準備しておくことは本当に重要だと思います。

 

今回のウイルスも大きな被害が出ないことを祈っています。

いつも読んでいただいてありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします。

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病院医師数、最低は埼玉県

2012-11-20 22:50:52 | 医療

こんばんは

 

昨日、今日と実験を進め、狙ったデータが出ましたが、明日明後日でもう一回だけ検証する予定です。3回同じ結果が出ればまぁ…間違いではないでしょう。

ちなみに昨日は友人が大学に来ていたので、一緒に飲みに行きました。飲みすぎて今朝は二日酔い状態で、結構つらかったですw

 

さて、本日はこちらの記事を紹介します。

 病院の小児科と産婦人科(産科)が18年連続で減っていることが20日、厚生労働省の2011年の全国調査で分かった。同省は「医師不足や少子化の影響とみられ、産婦人科は訴訟リスクの高さや夜間集中などの厳しい勤務状況も一因」としている。
 小児科がある病院は前年から63減の2745施設、産婦人科は同37減の1395施設だった。
 東京電力福島第1原発事故で警戒区域に指定された福島県双葉町など相双地区では、病院の医師や看護師の数が一時的に半減した。
 人口10万人当たりの病院の医師数(非常勤は常勤に換算)が最も多いのは高知県(221.2人)で、最少は埼玉県(108.8人)だった。全国平均は156.1人
 高知県は10万人当たりの病院の数も最多。同省によると、共働きの家庭が多く、病院が介護の受け皿となっている可能性があるという。埼玉県は、病院が多い東京都に近いことが影響しているとみられる。

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人口当たりの病院医師数ということですが、非常勤を含めてですから…同じ人が常勤+非常勤で1~2日など実際より多く計算されているかもしれませんね。

10万人当たりの病院医師数

埼玉県に関しては病院が多い東京都に近いことが影響しているって書かれていますが、では埼玉県民は救急車で東京都に行くということでしょうか?

実際は病院は埼玉県内に行きますよね。埼玉県にしろ、千葉にしろ、神奈川にしろ・・・仕事に関しては東京かもしれませんが、あくまで住まいは各県なわけですから・・・。

 

病院が東京に多いからではなくて、埼玉県などは病院などの数、医師の数に比較して人口が多いというだけですよね。

 

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溶血性貧血の話(患者さん向け)

2012-11-18 22:24:57 | 医学系

こんばんは

昨日は雨だったので家の中で論文書いたり、嫁さんと話したりしておりました。今日は以前から気になっていた「悪の経典」の映画を見に行きました。

ネタバレはしませんが・・・僕の中では原作が面白かったので、ちょっと…と思いましたw

おおむね面白い原作の本を映画化するとうまくいきませんよね。特に長編のものは・・・。難しいですよね。

 

さて、本日は少し溶血性貧血に関して書いてみようと思います。

 

よく貧血というと「鉄欠乏性貧血」など、材料が足りないことで起こるものを思い出す方がいらっしゃると思います。鉄以外にも「ビタミンB12 」「葉酸」などが足りなくても貧血は生じます。

 

材料が足りない以外にどのような理由で貧血が生じるかというと、工場である「骨髄」に何かが起きた時です。例えば白血病などの腫瘍性病変があれば、工場の稼働率が悪くなってしまい貧血が進行します。

他にも再生不良性貧血のように「工場」が減少(造血幹細胞が減少)したり、骨髄異形成症候群のように不良品ばかりできるため出荷できないようなものもあります。

 

溶血性貧血というのは基本的には正常なものができるのに、出荷後に外で壊されてしまうから貧血が起きるものを言います。基本的にと書いたのは「先天性溶血性貧血」というものがあります。

 

先天性の場合だと大人というよりは小児の疾患で、僕はたまたま会社に入る時の健康診断で指摘されて受診されたひとを診ましたが、どちらかというと小児科で見られることが多いです。

 

 

 

あとは発作性夜間血色素尿症という造血幹細胞レベルで防御力が低下してしまい、ちょっとした変化で赤血球が壊れてしまう病気もあります(赤血球の表面にある『補体』を抑える物質をつなぎとめられなくなることで起きます)。

 

しかし、ここでは自己免疫性溶血性貧血を中心に書いていきます。

本来赤血球は120日の寿命がありますが、溶血性貧血ではそれよりも早く壊れてしまいます。そのため、工場は赤血球を大増産状態です。そして賄えなくなると貧血になっていきます。外で壊れる原因にもいろいろあり、先ほどから書いている赤血球に問題があるもの、そしてたとえば心臓の手術で人工弁が入ると、そこで機械的に赤血球が壊れて溶血します。この場合、よっぽどひどくなければ貧血にならないかもしれませんが溶血はします。

 

自己免疫性溶血性貧血というのはこの外で壊れる原因が、自分の抵抗力にあるものを言います。要は自分で自分の赤血球を壊してしまっている病気です。自己抗体という赤血球を壊してしまう物質を作ってしまいます。本当は抗体というのは体を守る物質なんですが、なんかの拍子に自分の中のものを壊すことがおきたりします。

 

赤血球が壊れると、赤血球の中にあるヘモグロビンがビリルビンという「黄疸」の原因物質になるので、黄疸が生じます。また、それらは胆石の原因になったりします。貧血が生じれば息切れなどの症状も出てきます。

 

さて、自己免疫性溶血性貧血には基本的に「温式」と「冷式」があります。温式は体の内部の温かいところ…具体的にいうと脾臓で壊されるタイプです。冷式というのは体温が低いところ、具体的にいうと指先や耳たぶなどで生じます。

 

温式と冷式にこだわる理由はいろいろあるのですが、基本的には温式抗体が原因の溶血性貧血は

1、ステロイドによる免疫抑制療法が効きやすい

2、上記が効かなくても脾臓を取れば壊される場所がなくなるので改善する

ことが多いです。

 

逆に冷式抗体だと基本的にはステロイドは効きにくいし、壊れる部分が四肢末梢なので脾摘は無効です。まぁ、体を温めておけばよいのですが、なかなか難しいですよね。手袋や耳あてをして保温に努めるのが一番です。

一応、冷式抗体の一つ寒冷凝集素症の患者さんにRituximab(リツキサン)が効くという報告もあり、2人の患者さんと相談してやったことがありますが効果はあったように思います。ただ、温式抗体のようにてきめんというわけではなく、費用対効果が厳しいと言われました。

 

温式でもステロイドを切れるかどうかはわからないです。溶血性貧血の試験の一つにクームス試験というのがありますが、これが陰性になってから僕は切ってますが、そういう患者さんは再発していません(今のところ)。けど、だいたい2.5㎎前後で溶血し始めたりするんですよね。

 

ということで、今日は溶血性貧血の話でした。

 

P.S 2017年に新しく更新した記事も参考にしてみてください

 僕の自己免疫性溶血性貧血の説明(患者さん向け)

僕の先天性溶血性貧血(遺伝性球状赤血球症)の説明

 

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iPS細胞の腫瘍化防ぐ:分化した細胞を(確実に?)識別

2012-11-16 21:27:00 | 医療

こんばんは

 

今週は実験試薬がなかなか届かず、どちらかというと臨床データをいくつか集めるような毎日でした。

いろいろ面白いデータがあり、データ集めといってもなかなか面白かったです。

 

と、いろいろやっているうちに漸く実験試薬も届き、来週から手をまた動かし始めようと思っています。

 

さて、本日はとりあえずこちらの記事を紹介します。

 

iPS細胞から効率的に心筋 腫瘍化防ぐ手法開発

http://www.47news.jp/CN/201211/CN2012111501001635.html

 さまざまな細胞に成長させられる人工多能性幹細胞(iPS細胞)から、心臓の筋肉の細胞だけを効率的に作り出す培養方法を開発したと、慶応大の福田恵一教授(循環器内科)らのチームが16日付の米科学誌セル・ステムセルに発表した。

 iPS細胞の利用では、腫瘍になるのを防ぐため、目的の細胞に成長していない未分化な細胞を除くことが大きな課題。心筋細胞の移植による心不全治療に取り組む福田教授は「再生医療を実現する上で、純粋な心筋細胞だけを取り出すという重要なステップを克服できた」としており、3~5年先の臨床応用を目指している。

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本当に医療というのは日進月歩、進んで行っていると思います。

自分の専門分野以外で、自分の専門分野であっても最先端の情報をフォローするのは大変なことです。論文を読む限りでは腫瘍化を防ぐというよりは、腫瘍になりうる細胞を除去する手段ということですが、何かの拍子に腫瘍にならないようにする因子(まぁ、本来複雑なシステムなので、一つだけでどうのこうのはないのですが)が見つかるかもしれませんね。

 

この話は確実に識別できるかどうかが重要なんでしょうけど、医療に「確実」はないと思っていますので・・・。

しかし、大きな前進だと思います

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医療再生の論文募集

2012-11-13 22:45:39 | 医療

こんばんは

 

今日はうちの大学病院のCML患者の臨床情報を集めておりました。まぁ、昨日からなんですが、いろいろ面白いことがわかりましたが…・、実臨床だと、よい薬が出すぎでどう反映させていくのかw

 

いろいろ思いながら解析しております。

 

また、先ほどまでこのタームの研修医の先生の送別会に参加しておりました。

 

教授が関わっていないと思っていたので、そろ~っとでてきたら、会場に教授がいましたw

そんなものですw

 

さて、本日はこちらの記事を紹介します

「医療再生」の論文募集

http://www.47news.jp/feature/medical/2012/11/post-777.html
 開業医や開業歯科医が加盟する神奈川県保険医協会 は、来年6月に迎える創立50周年を記念し、懸賞論文「日本医療再生の具体的提言」を全国から募集している。
 勤務医の過重労働や小児科、産婦人科の医師不足が社会問題となる中、将来の医療に希望を託せる提案を求めている。医療関係者だけでなく、一般からの応募や共同執筆も可。論文は日本語で2万~2万5千字。今年12月31日までに応募し、来年6月30日(消印有効)までに論文を提出する。
 入選1本に100万円、佳作1本に20万円の賞金が贈られる。発表は9月。問い合わせは同協会事務局、電話045(313)2111。

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いろいろ問題点のある現在の医療制度。

どう再生させるかは、実は医療だけではなく、政治や経済…いろいろなことがわかっていないといけないのだと思います。

 

医療現場の意見を聞かずに書くのは現場棚上げだし、かといって現場の意見だけではどうしても無理が出てくるのでしょう。

 

難しいですね。うまく協力して、よいものができるといいのですが

 

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看護師によって現場の状況は変わると思う

2012-11-11 21:59:43 | 医療

最後にもう一つ

 

 いま、病院は慢性的な看護師不足に悩まされている。なかには看護師不足が原因で、病棟閉鎖や病床削減に追い込まれている病院もあるほどだ。

 そんななか、優秀な看護師は「超売り手市場」となり、病院間で引き抜き合戦が起きている。実際に良い看護師がいるかどうかは、患者の寿命を伸ばしも縮めもする重要な要素なのだ。

 50代の会社員・A氏は肺がんで地元のがんセンターに入院。手術後、薬物治療を受けていたある日、突然の腹痛に襲われた。

「若い担当医師が『副作用にしてはおかしいなぁ』と首をひねっていると、横にいたベテラン看護師が私のお腹を触り、『先生、副作用ではなく何か合併症の疑いがあるのでは。腹部以外のレントゲンを撮った方がいいかもしれません』と進言。看護師のいうとおりにすぐに処置をとってくれ、なんとか事なきを得ました。あの看護師さんがいなかったら、今頃どうなっていたか」(A氏)

 現役看護師で作家の宮子あずさ氏によれば、医療現場ではこうしたケースはよくあることだという。

「専門医は専門外のことを意外に知りません。いろいろな科を渡り歩いてきたベテラン看護師の方が幅広い知識を持っていることが多いのは事実です。患者さんのちょっとした変化を見て、担当医の専門とは別の病気に気づくのも、看護師の大事な役割なんです」

 心臓外科の名医で、『ナースの常識!?医者の非常識!?』などの著書がある東京ハートセンターのセンター長・南淵明宏氏も、実際に看護師に助けられた経験を口にする。

「弁膜症の高齢の入院患者さんが突然、不整脈の発作を起こし、血圧が低下しました。私は血圧を上げるために昇圧剤を投与しようとして、間違えて降圧剤を投与してしまったんです。すぐに昇圧剤を投与して結果的には何事もなかったのですが、この時、焦っていた私と不安になっていた患者さんを救ってくれたのが担当のベテランナースでした。

 落ち着いて『いま、とっても良い薬を使いましたから、すぐ良くなりますよ』とやさしく声をかけると、患者さんは安心し、容態も安定しました。このナースはどんな言葉をかけたら患者さんに良い影響があるのかをわかっているんです」

※週刊ポスト2012年11月16日号

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専門医が専門以外のことを知らないかは医師によると言わせてもらいます(笑)が、看護師さんによってかなり現場の状況は変わると僕も思っています。

僕は看護師さんあっての医師だと思っていますし、本当に看護師さんが不足するというのは病院にとって死活問題だと思っています。

 

意外と・・・僕も若手ですが、若手医師の間で看護師さんともめている医師もいるようですので・・・。お互い役割が違うのだから、尊重し合えばいいだけなのに

 

昨日の病棟バックアップ時も看護師さんからずいぶん話を聞きました。呼ばれたときに行って診察しても、それまでがどうだったのか、他に変わったことがなかったか、いつもと何か違いはないかなどは看護師さんのほうがわかっていますので。何故コミュニケーションエラーをしているのか・・・orz

 

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延命を控える:僕の中での基準と患者さんや家族への思い

2012-11-11 21:29:53 | 医療

さて、2つ目の記事を紹介します

 

 

 【辻外記子、月舘彩子】全国の救命救急センターの6割以上が、過去1年間に高齢者に対して人工呼吸器や人工心肺などの装着を中止したり、差し控えたりした経験のあることが、朝日新聞社の調査でわかった。救命医療で「最後の砦(とりで)」とされる救命センターでも、回復が見込めない患者に対し、家族や本人の希望があれば、延命治療を控える動きが広がっていた。

 最も重症の患者を診る3次救急を担う全国254の救命救急センターに10月、高齢者への終末期医療の実態を聞いた。57%の145施設から回答があった。

 この1年に救急搬送された65歳以上の高齢者に、人工呼吸器や人工心肺、人工透析などの積極的な治療を中止したり差し控えたりした経験の有無と件数を尋ねた。この結果、63%にあたる91施設が「ある」と回答した。呼吸器の中止・差し控えは計302件あり、このうち、患者の年齢や病気名など具体的データを挙げた中止例は14件あった。人工心肺の差し控え・中止は37件あった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

僕は前も書きましたが、「原疾患(僕らの場合、白血病や悪性リンパ腫、骨髄腫などの悪性疾患)」がコントロール可能であれば、条件が多少悪くても救命できると信じて治療します。

僕の基準としては

① 原疾患が治る可能性がある

② 救命の可能性がある

だけで、挿管・人工呼吸器管理などでもやります。

 

ただ、ここに書かれているように延命のための処置をすることは、よほど家族が望まれない限りはしません挿管することでご家族と話をしたりする時間がより少なくなるからです。

 

挿管して人工呼吸器管理をするということは、もう一度管を抜いて患者さんと家族が話せなくてはいけないと思っています。それを抜く見込みが全くないのに医師が実施するのは、医師の自己満足ではないかと思っています。

 

ですからよほどの急変時でない限りは、挿管するときにはその見込みも含めて説明し、ご家族の意見を聞きます。

 

わかりにくいので例を書きます

「○○さんは白血病の治療中に輸血関連急性肺障害(TRALI)という状態になりました。この状態であれば挿管して数日間対応し、一番重篤な時期を乗り越えれば救命できる可能性があります。必ずというわけではありませんが、人工呼吸器管理をして急性期をしのげればもう一度お話しできると思います。逆に挿管しないで救命できるかは、挿管しない時よりは低くなります。」

というような形で誘導します。というよりも、この場合は時間も勝負になってくるので細かい説明はできないというべきでしょうか。準備をしている間に家族に説明し、処置が終わった後でもう一度説明するとかですね。

 

逆に原疾患がコントロールできていない状況下で人工呼吸器を使うか、使わないか…ということに関しては通常は使わないほうがよいと考えています。

「○○さん(80代の骨髄異形成症候群の患者さんということにします)は今まで~で外来治療をされてきましたが、今回肺炎で入院されました。肺炎の重症度としては重症で、~~という状況であり、通常ならば挿管・人工呼吸器管理をする状況です。しかし、この肺炎が年齢だけではなく、骨髄異形成症候群という病気で不良品の白血球しか作れず、さらに数も少なくなってしまっていることが起因しているようです。この血液の病気は以前も申し上げましたが、骨髄移植以外では治らないため、自分の抵抗力が回復するという可能性は低いかもしれません。さらに白血病細胞も増えてきており、病気も進行してきているかもしれません。

私たちのできる方法は2つあります。1つは先ほども申し上げたように人工呼吸器を使い、全力で治療をすることです。しかし、もし救命することができなかった場合は、口から管を抜くことができなくなり二度とお話をすることができなくなります。

2つ目は酸素マスクで酸素投与を続けながら治療を行い、呼吸状態の悪化に合わせてモルヒネを使用していくことです。モルヒネは呼吸緩和などでも使用されますが、苦しい感じを患者さんに与えないようにすることができます。苦しさとモルヒネの量が丁度よい量であれば、意識を失うのは本当に酸素が減ってきて脳が酸欠になってくるまで粘れます。

 

要するに、機械の力を借りてでも救命しに行くか、自分で頑張れるだけ頑張ってもらって苦しくないように対応するか・・・という2つのやり方です。治療方針はそれ以外は変わりません」

 

そのようなことをいつも説明しています。ちなみにモルヒネをうまく使用するとSpO2 50%くらいまでは複数の患者さんで普通に話していました。最も低い数値は30%台。これは僕も驚きました。

 

この記事では救急救命センターですので、僕らと異なりいきなり運び込まれた方々も多いと思いますので、こんなやり取りはできないかもしれませんが…ある意味、できることを全てするのがよいのか悪いのかは患者さんや家族にもよりますし、患者さんや家族の希望があればそれに沿うのが悪いとは思えません。

 

この記事がどういう意味合いで書かれたかはわかりませんが、ちょっと気になったので紹介しました。

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3割の病院で重大な医療事故:システム作りが大事

2012-11-11 21:09:08 | 医療

こんばんは

 

今日は朝はランニングをして、論文(日本語のほう)を書き上げて、上司にメールで送り…あとは嫁さんとのんびりしておりました。本当は「悪の経典」という映画を見に行きたかったのですが、「雨が降ってくるので今日じゃなくてもよいのではないか」という嫁さんの意見に従い、家でゴロゴロしておりました。

 

まぁ、たまにはそういう時間が必要ですw

 

さて、今日はいくつか医療系の記事は出ていました。それぞれご紹介します

 全国の病院の約3割が、患者が死亡したり、重い後遺症が残ったりする重大な医療事故を3年以内に経験したことが、厚生労働省研究班の調査で分かった。しかし、原因を究明する組織に外部の人材が参加したのは半数以下だった。研究班は「原因究明には、中立性の確保が欠かせない。調査に必要な人材を病院側に紹介する支援体制づくりが求められる」と指摘する。アンケートは昨年9月に、3890病院を対象に実施、1261病院(32.4%)から回答があった。

 3年以内に重大事故を経験した病院は32.9%。規模別にみると、300床以上で63.6%▽100~299床29.4%▽99床以下で11.9%だった。規模が大きいほど割合が高いのは、患者が多く、高度な医療を行う機会が多いためとみられる。

 ほぼすべての病院が原因究明に取り組んだが、うち、法律家など外部の専門家の支援を受けたのは47.7%だった。原因究明で困ったことでは▽院内に事故調査の専門家がいない▽当事者以外に、事故に関連した医療分野の専門家がいない▽院外の専門家の支援を得ることが困難--の順に多かった。【八田浩輔】

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原因究明はもちろん大事です。

原因(そのうちのいくつかは人手不足だと思いますが)を究明して、解決するための方策を示すこと、これはまさにシステムを作り直すことにつながります

基本的に今の医療体制でミスや事故を少なくするためには当然ながら、人の教育はもちろんのこと、必要のないことに時間を割かれないようにするためのシステム作り、ミスが誰の目にもつかないまま通り過ぎていかないようなシステムづくりが重要です。

そしておそらく今よりも人数は必要になると思います。医療従事者がやらなくてもよい仕事を他の方がやるでもよいです。

 

アメリカで「病棟」から「手術室」。「手術室」から「ICU」。「ICU」から「病棟」など移動する担当がいたり、各部署で担当がいたりと・・・あそこまでやると煩雑な気もしますが、日本の場合は少なすぎです。

 

いずれにしても安全弁を複数作る体制が必要なわけですが、それができるほどの医療従事者、病院勤務員がいないのだともいます。

 

そういうことに目を向けてほしいと心から思っています

 

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P.S

この記事を見たうちの嫁さんの第一声は「今の医師数、看護師数で事故をなくせというのが無理ではないか?」と言っていました。まぁ、それも含めてシステムづくりが必要だと思っています

 

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看護十分は1割:人手不足の病院では本当に厳しいです

2012-11-10 20:33:54 | 医療

こんばんは

 

先程久しぶりに病棟バックアップにつき、帰ってきました。基本的に病棟で働いていた時から、研修医の先生に何か聞かれたときは緊急でない限りは考えてプランを立ててから来るように言っていました。

今日もそういう方針で動いておりましたが、いろいろ予想もしないことをいわれてびっくりしましたw

 

まぁ、そういうものかもしれませんが・・・。

 

さて、今日はこちらの記事を紹介します。

 

 県内で働く看護師で「十分な看護ができている」と感じているのはわずか1割--。「医師・看護師の増員を求める県実行委員会」(加賀洋子委員長)がまとめたアンケートで、患者に対して十分な看護ができていると回答したのは13・8%だったことが明らかになった。背景には慢性的な看護師不足による過酷な勤務実態があり、実行委は県に夜勤の働き手となる20代の若い看護師の増員を要望していくという。【伊澤拓也】

 実行委は06年10月、大淀町の病院で転院搬送を断られた妊婦が死亡した問題を受けて発足。07年度から「看護職員の労働・健康実態調査」を続けている。今年度は6~8月に県内33病院から協力を得て、過去最多の2458人(回収率49・1%)から回答を得た。
 報告書によると、看護について「十分にできている」と回答したのが13・8%。「できていない」が51・2%、「わからない」が34・5%だった。理由は「人員が少ない」が47・9%で最も多く、次いで「業務が過密」が43・1%、「個々の能力や技量不足」が40・9%だった
 疲労を問う項目では、「翌日も残る」が48・6%、「いつも疲れている」が23・7%で、7割以上が「慢性疲労」の状態にあることが判明した。主な原因とみられる夜勤については「非常につらい」が20・2%、「ややつらい」が58・1%で、8割近くがつらいと感じていた。また、退職については「いつも思っている」が21・0%、「ときどき思う」が59・5%で、8割が願望を持っていた。
 県内で10万人当たりの看護師数は928・6人で、全国40位。ただ、08年度と10年度を比べると61・3人増えており、伸び率では13位と健闘している。一方で、年齢構成では20代が06年度の31・8%から10年度は26・1%に落ち込んだ。
 加賀委員長は「高齢化が進み、認知症患者らの対応で夜勤は年々過酷になっている。一方で最近では育児休暇など、若い世代にも働きやすい環境が整ってきた。20代を増やして、負担を減らせるよう訴えていきたい」としている。
11月10日朝刊

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うちの大学病院でもそうですが、人手不足の病院では本当に厳しい問題です。悪循環といいますか・・。

 

笑い話になりませんが、うちの血液内科病棟・・・。もともとの旧病棟(引っ越したのが3年前?)からいた看護師さんがついに1人になりました。のこり十数名全員退職

理由は・・・まぁ他の病棟の看護師さんに聞いても「血液病棟は終わるのが遅い。急変も多いし、大変」というような話をしていましたし、やめていった人たちもそういう話をしていました。

そこん新人さんが補充されてきても厳しいかもしれません。まぁ、新人さんでなければ体力的に厳しいかもしれませんが…経験としてはある程度のベテランさんの起用も・・・。

人手が足りていないから、勤務超過が続き、つらくなったり疲労感を感じたりしてやめていかれるのだと思います。で、またやめていったことで人手が不足したり経験のある人がいなくなったりで大変になり・・・。悪循環ですよね

 

そして医師としては看護師さんのサポートあって初めて十分な能力を発揮できます。僕なんかは今日も看護師さんにいろいろ聞きながら、何とか情報をかき集めて対応しておりましたが・・・。看護師さんが不足したり…経験値が下がってくれば医師がカバーする範囲は広がりますので、医師の疲労度も上がってしまい…医師もやめると

 

問題はまだまだいろいろありますね。

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久しぶりの病棟バックアップ

2012-11-10 07:26:31 | 医療

おはようございます

 

今日は後輩の皆さんも上級医の方々も不在ということで・・・(だれもいないw)病棟のバックアップに入ります。実験はとりあえず「もう一回同じ結果が出ればFigure1のa,bくらいはできたかな」と教授にも言っていただき、とりあえず半歩くらい前に進みました。実験は少しずつ前に…と思っていますが、試薬がなくなり購入待ちしています

その合間に何とか論文を・・・と思い、いろいろなことを時間見つけてやっています・・・。と思いだした、昨日まとめた患者さんのDataを提出しないとね・・・。

そういうことで8時には病棟に出発しようと思うので、帰ってきてからまた記事を書きます。

 

いつも読んでいただいてありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします。

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なかのひと

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それでは、また

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