続いて目立ったのはこちらの記事。
この記事に関してはいろいろ意見が出ると思います。
考え方はいろいろあります。ただ、どの見方も正しいと思いますし、その両方の意見を尊重しつつ最良の方法をセレクトしなかったら日本の医療は駄目になるのではないかと思います
愛育病院が返上申請=総合周産期センター指定-医師不足、労基署勧告に従えず
3月26日10時36分配信 時事通信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090326-00000043-jij-soci
リスクの高い妊婦に24時間対応する「総合周産期母子医療センター」に指定されている愛育病院(東京都港区)が、東京都に指定の返上を申し出ていたことが26日、分かった。医師の勤務状況について労働基準監督署から是正勧告を受けており、勧告に沿って医師の勤務時間を減らした場合、総合センターの要件である複数当直体制を維持できないと判断した。
医師の過重労働に支えられている産科医療の実態が浮き彫りになった形。総合センターでなくなると、地域の救急患者受け入れなどに影響が出かねず、都と協議を続けている。
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<愛育病院>「総合周産期指定を返上」 東京都に申し入れ
3月26日2時31分配信 毎日新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090326-00000015-mai-soci
東京都港区の愛育病院(中林正雄院長)が、都の総合周産期母子医療センターの指定を返上すると都に申し入れたことが25日分かった。労働基準監督署が、医師らの夜間の勤務体制について是正勧告したのを受け、「改善は難しく、センター機能を継続することは困難」と判断した。危険性の高い妊産婦に対応する医師不足が背景にあり、実際に指定が返上されれば、全国初の事例となる。
愛育病院によると、三田労働基準監督署が1月、同病院の勤務実態を調査。今月17日、労働基準法に基づく是正勧告を出した。勧告は、医師が労基法上の労働時間(週最大44時間)を大幅に超えて働く実態や、夜間勤務中の睡眠時間を確保していないなど適切な勤務体制を取っていないことに改善を求めた。
同センターは、危険度の高い出産の「最後のとりで」で、未熟児や新生児、母体の救命を目的に設置された。母体・胎児集中治療管理室や新生児集中治療管理室を備え、複数の医師が24時間体制で患者を受け入れる。昨年8月現在、全国に75施設あり、愛育病院は99年に指定を受けた。
愛育病院は受け入れに対応するため、夜間は2人体制で対応してきた。労基署は「夜間も昼間同様の勤務実態がある」として、要員増の必要性を指摘。しかし愛育病院は「夜間勤務が可能な常勤医師は5人しかおらず、労基署が求める体制は難しい。現在と同水準での夜間受け入れが継続できないので、センター指定の返上を決めた」と話している。
都は「労基署は『こうしたらいい』と求めているのであって、センターの看板を下ろすほどではない。今後も協議を続けたい」と話している。愛育病院は恩賜財団母子愛育会が運営し、1938年開業。【河内敏康、江畑佳明、永山悦子】
【ことば】総合周産期母子医療センター
危険度の高い出産の「最後のとりで」として、未熟児や新生児、母体の救命を目的に設置された産科施設。母体・胎児集中治療室(MFICU)や、新生児集中治療室(NICU)を備え、複数の医師が24時間体制で患者を受け入れる。昨年8月現在、全国に75施設ある。
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愛育病院が総合周産期センター返上申し出 当直維持困難
2009年3月26日3時0分
http://www.asahi.com/health/news/TKY200903250428.html
危険の大きい出産に24時間態勢で対応する総合周産期母子医療センターに東京都から指定されている愛育病院(港区)が、都に指定の返上を申し出たことがわかった。今月中旬、三田労働基準監督署から受けた医師の勤務条件についての是正勧告に応じるためには、医師の勤務時間を減らす必要があり、総合センターに求められる態勢が確保できないと判断した。
総合センターでなくなると、救急の妊婦の受け入れが制約されたり、近隣の医療機関の負担が増したりするおそれがある。都は愛育病院に再検討を求めている。厚生労働省によると、総合センターの指定辞退を申し出るケースは初めてという。医師の過重労働で支えられている周産期医療の実情が露呈した形だ。
病院関係者によると、三田労基署から、医師の勤務実態が労働基準法違反に当たるとする是正勧告書を受け取った。勧告書は、時間外労働に関する労使協定を結ばずに医師に時間外労働をさせ、必要な休息時間や休日、割増賃金を与えていないと指摘。4月20日までに改善するよう求めている。
愛育病院は、同法などに沿って時間外勤務の上限を守るには、現在の人員では総合センターに求められる産科医2人と新生児科医1人の当直を維持できないため、指定を返上することにした。
同病院は周産期医療が中心。99年4月に総合センターに指定された。常勤の産科医は昨年10月現在で研修医も含め14人、新生児科医7人。年間千数百件の出産を扱う。「自然出産」がモットーで、皇室との関係が深く、皇族や有名人の出産も多い。
病院関係者は「勧告に沿うには医師を増やすしかないが、月末までに新たに医師を探すのは不可能。外来だけしかできなくなる恐れもある」と話す。
都は25日、「労基署の勧告について誤解があるのではないか。当直中の睡眠時間などは時間外勤務に入れる必要はないはず。勧告の解釈を再検討すれば産科当直2人は可能」と病院に再考を求めた。
東京都では昨年10月、脳出血の妊婦が8病院に受け入れを断られ、死亡した問題があった。都は「ぎりぎりの態勢で保っている周産期医療のネットワークが揺らぎかねない」と衝撃を受けている。
一方、同様に総合センターに指定されている日赤医療センター(渋谷区)も渋谷労基署の是正勧告を受け、労使協定などの準備を急いでいる。(大岩ゆり、大隈崇)
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この記事でいろいろわかっていただきたいのは「産科医療」だけでなくてほとんどの医療現場は「時間外労働」によって支えられているということ。
かく言う僕も年末年始を含めて病棟にいなかった日は12月中旬にJALSG(日本成人白血病研究グループ)の会議に参加するために上司とともに名古屋に行った一日だけで、その他は一日も休まず働いているし
http://blog.with2.net/link.php?602868
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・・昨日もそうですがほとんど睡眠時間なく(研修医はここにきて3時間睡眠になりましたと言ったが、僕はずっとそうですw もっとも、学生時代と異なりいつ呼ばれてもよいように睡眠が浅めなので疲れはとれませんが)、食事を食べる暇もなく働いています。
それが医療現場の事実であって、そういう勤務に支えられている(しかも追加での給料は当然でない。僕は月給40万ありますけど、たぶん大学病院の中ではいい方)のは正常とは言えないと思う。
この勤務時間の実態を逆手にとって、こういう手に出たことに対して医療を行う人間としては
「そんなこと言い出したらどこの病院もやっていけなくなるぞ。患者はどうするんだ?」
という意見(うちの医局では大半がこちらの意見でしたw)と
「全くその通り。今の医療現場はいずれ崩壊する。それは今までの政治家、官僚に責任があり、彼らが方針転換をする必要がある。そのいいきっかけになるかもしれない」
というような意見もあると思う。
他にもいろいろ考え方はあると思いますが、大きく分けたらこんな感じではないかと思っています。
僕は両方とも感じる方なので、その折衷案のような意見をいくつか持っていますが・・・いずれにせよ、このままいけば崩壊でしょう
しかし、この意見に対して東京都が言っているこれはいただけないです
「労基署の勧告について誤解があるのではないか。当直中の睡眠時間などは時間外勤務に入れる必要はないはず」
医師の当直中の睡眠時間がどれだけ浅くて疲れがとれないか。小刻みに呼ばれたり、呼ばれなくても
「なんか運よく呼ばれなかったけど、やっぱり呼ばれるかもと思って寝れいたりアラーム音の聞こえる部屋ではうまく寝れない」
と、僕は思うのですけど・・・・。
まったく東京都は・・・
まぁ、その後こんな記事も出ましたが・・・ 。もっと怒りを覚えますよ、現場の医師の一人としては・・・・。
愛育病院、一転して総合周産期センター継続を検討へ
2009年3月26日20時23分
http://www.asahi.com/health/news/TKY200903260318.html
リスクの高いお産を診る「総合周産期母子医療センター」の指定返上を東京都に申し出た愛育病院(港区)は26日、再考を求める都の意向を受け入れ、総合センターの継続を検討することを決めた。
同病院は、医師の勤務条件に関する労働基準監督署の是正勧告を受け、総合センターとして望ましいとされる産科医の当直2人以上の態勢を常勤医だけでは維持できないと判断し、返上を申し出た。
同病院によると、26日に病院を訪れた都の担当者から、周産期医療の提供体制を守るために必要だとして継続を要請された。都側は非常勤の医師だけの当直を認める姿勢を示したという。
一方、厚生労働省の担当者からは25日、労働基準法に関する告示で時間外勤務時間の上限と定められた年360時間について、「労使協定に特別条項を作れば、基準を超えて勤務させることができる」と説明されたという。
中林正雄院長は26日の記者会見で、「非常勤医2人の当直という日があってもいいのか。特別条項で基準を超える時間外労働をさせても法違反にならないのか。都や厚労省に文書で保証してもらいたい」と話した。
中林院長は、非常勤医だけで当直をすることの是非について、周産期医療の関係機関でつくる協議会に検討を求めたことも明らかにした。
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今度はこういう「逃げの手」(労使協定に特別条項を作れば、基準を超えて勤務させることができる)を作ればいいと思っているのか?・・・・と思う
たぶん、100人いたら90人くらいは思うのではないだろうか?
自分がやられたら嫌だから。
それにそんなことをするのであれば、「労働基準法」なんてものはないようなものだし、これからさらに「立ち去り型サボタージュ」が増えるだけだと思うが・・。
どうせなら「基準を超える労働をさせた場合、国民生活を支えるためのことであり国(東京都)としてその費用を負担する」くらいのことを言えば格好が良いものをそこまで「ない袖」はふれないですかね
後半の東京都のスタンスに関しては大反対です。
最低だと思っています。
これが通ったら、本当に医療現場から医師はいなくなるんじゃないかしら?
明日は教授の退官パーティがあります。僕も行かなくてはいけないのですが当直のほかに病棟が荒れていたら(僕も)残ることになります。
さてどうなるのでしょうね。
では、また。