新・眠らない医者の人生探求劇場・・・夢果たすまで

血液専門医・総合内科専門医の17年目医師が、日常生活や医療制度、趣味などに関して記載します。現在、コメント承認制です。

医師不足地域の医療:医師不足地域の定義は?

2013-05-31 22:41:48 | 医療

こんばんは

 

現在、新患さんを中心とした外来をやっていますが・・・30~40人見ていた時と何も変わらないですね。

10人くらいの大きな病気の患者さんをきちんと告知する。理解していただき、診療方針を患者さんと一緒に決定するためには1人30分以上必要です。

 

もともと、告知などを行うときは「時間が足りない」ため、別の曜日にやっていましたが…今回はなんだかんだいいながらも1日で終わらせるため、時間がかかります。

 

まぁ、今日は急患+新患が7名いて、さらに検査結果が出て告知をする人が4名いたからかもしれませんが・・・先週、先々週に引き続き水分補給以外はできませんでしたw

 

心の底から「医者は足りないよね」と思う僕です。

医師不足を感じない医者って・・・説明する時間をどう取っているのだろうと思います

今でもそういった医師たちは・・・昔と同じ説明なんですかね?

 

患者さんが理解するまで(多分、完全にはそれでも理解していない)話すためには・・・絶対的に医者が不足してるから…と思うので、この記事が気になりました。

 

 医師不足地域の医療に従事することについて、今年3月に臨床研修を修了した医師の過半数が「条件が合えば従事したい」と考えており、その条件に「一定の期間に限定されている」を挙げる人が最も多いことが、厚生労働省のアンケート調査(速報値)で分かった。

 調査は、今年3月に臨床研修を修了した7545人を対象に行われ、5619人から回答を得た。

 調査結果によると、医師不足地域での従事について、「条件が合えば従事したい」と答えたのは55.2%。このほか、「条件にかかわらず希望しない」が18.9%、「現在、医師不足地域の医療に従事している」が4.4%などだった。

 条件が合えば従事したいと答えた人にその条件を聞くと、「一定の期間に限定されている」が43.9%で最も多かった。以下は、「自分と交代できる医師がいる」(30.5%)、「診療に関して相談できる上級医や他科の医師がいる」(28.9%)などと続いた。

 「一定期間に限定」を条件に挙げた人に、どの程度の期間を希望するかを聞くと、「1年以上3年未満」が48.2%で最も多く、次いで「半年以上1年未満」(36.7%)、「1か月以上半年未満」(10.7%)などの順。希望する時期は、「卒後6-10年以内」が44.3%を占めた。医学部卒業後2年の臨床研修、その後3年ほどの専門医研修の修了後を希望する人が多いとみられる。以下は、「卒後3-5年以内」(31.9%)、「卒後11-15年以内」(9.8%)などと続いた。【高崎慎也】

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医師不足の地域…と言われて埼玉や千葉を上げる人は少ないと思いますが…このあたりは医師不足地域です。関東以北(東京を除く)は基本的に医師不足のような気がするし・・・・

 

この記事の内容はよくわかるのですが、唯一わからないところは「医師不足地域の医療」ですね。

どういった場所を想定しての質問なのか。出している側と、答えている側の想定が違っていたら笑いごとではすみませんね

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マラリアのワクチン開発成功か?:追加で薬剤耐性鳥インフル話

2013-05-29 22:27:27 | 医療

感染症関連で2つ追加します

 

 

 熱帯、亜熱帯地域で蔓延(まんえん)する熱帯熱マラリアの発症を大幅に抑えるワクチンを、大阪大微生物病研究所の堀井俊宏教授(寄生虫学)の研究グループが開発し、アフリカで行った臨床実験の成果を28日付の米科学誌「プロスワン」で発表した。年間約120万人といわれる死亡者の大幅な減少につながると期待される。

【フォト】 世界のマラリア薬、半分偽物…主要製造元は中国とインド

 熱帯熱マラリアは、数種あるマラリアの中で最も死亡率が高い悪性のマラリアで、貧血や40度近い発熱を繰り返し重症化すると死に至る。年間約120万人の死亡者のうちサハラ砂漠以南のアフリカ諸国の0~5歳児が約70万人を占めるともいわれる。

 堀井教授は、病原体のマラリア原虫が人体の赤血球内に侵入した際につくるタンパク質の遺伝子を組みかえ、「SE36」と呼ばれるタンパク質を作製。

 SE36タンパク質はマラリア原虫を攻撃する抗体をつくる働きがあり、あらかじめ体内に抗体をつくっておくことでマラリア原虫が赤血球に潜り込んで増殖するのを防ぎ、発熱などの発症を抑えることができるという。

 研究グループは、SE36タンパク質を使ったワクチンの臨床実験をアフリカ東部のウガンダ共和国で実施。6~20歳のワクチン接種者66人を1年間にわたって追跡調査した結果、発症者は7人だった。接種しなかった別のグループでは66人のうち21人が発症したといい、これまで開発されたワクチンよりも高い効果をあげた。

 また、0~5歳の乳幼児や日本など非流行地に住む渡航者は、ワクチン接種で抗体ができやすいためさらに高い効果が見込まれるという。

 ワクチンの効果はおよそ1年間。ウイルスではなくタンパク質を使用しているため副作用などはないとみられ、今後はまず日本国内でのワクチンの承認を目指す

 堀井教授は「今後、SE36がマラリアワクチンの主な成分となる。非常に貴重な発見をした」と話している。

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マラリアのワクチンって2000年より前くらいに開発が進んでいましたが、うまくいかなかったような話を聞いたことがあります。

 

現代でも多くの方が亡くなる感染症のワクチンができることは本当に素晴らしいことだと思います。

 

日本国内だけでなく、アメリカでも現在「ワクチン」がない関係上、抗マラリア薬の予防内服を感染リスクの高い国へ行くかたはするはずですが、それに置き換わるほどの効果があるとよいですね。

予防薬の副作用が多かったりするので、効果が高かったら喜ばれるかもしれませんね。

 

ただ、日本国内の承認を取り付けて、誰で効果を確かめるのだろうか?

海外派遣の自衛官か?

 

そこが良くわかりませんね。

 

さらに追加です

【AFP=時事】中国でヒトへの感染が拡大している鳥インフルエンザウイルス(H7N9型)の感染者を対象とした臨床検査で、現時点での唯一の治療法に対して耐性を示すウイルスを確認したとする中国のウイルス学者チームの報告書が、英医学専門誌「ランセット(Lancet)」で28日に発表された。臨床検査により薬剤耐性を持つH7N9型ウイルスが確認されたのは、これが初めて。

新型インフル大流行の懸念に「世界は準備不足」WHO

 報告書によると、中国・上海(Shanghai)の医療機関で経過観察を受けていた14人の患者のうち3人から、遺伝子の突然変異により薬剤耐性を持つようになったH7N9型が検出された。

 この3人の患者のうち1人は、広く用いられている抗ウイルス薬タミフル(Tamiflu)の投与後に初めて薬剤耐性を示したとされ、チームは「タミフルによる治療が原因だろう」と述べている。

 今のところH7N9型の治療に有効であることが分かっているのは、タミフルやペラミビル(peramivir)といった、抗ウイルス薬の一種であるノイラミニダーゼ阻害薬だけ。今回の発見により、今のところ唯一の有効な治療薬への耐性が、治療によって引き起こされてしまうのではという懸念が高まっている。

 同研究チームは、「A/H7N9型で、薬剤耐性が容易に発生しているようにみえることは、懸念材料である」としながらも、当面のところ、早期治療が最善の対応策であることに変わりはないと強調している。【翻訳編集】 AFPBB News

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これに関しては「ノイラミニダーゼ阻害薬」以外の薬剤の開発ができればよいとは思いますが、今すぐにはできませんし記事に記載してある通り感染した患者さんには「しっかりと効果のある投与量」で治療をし、できるだけ早期に治すほかはないと思います。

中途半端な投与は耐性ウイルス(抗菌薬なら菌)を増やすもとになりますので。

 

 

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原発への自爆テロ?:北の特殊部隊要員っていったい?

2013-05-29 22:12:21 | Weblog

こんばんは

 

昨日「筋肉痛」のことを書いておりましたが、何とか2日目がピークで…少し回復してきたようです。

梅雨になって走る機会が減るかもしれませんが、チャンスを見て体力の向上を狙いたいと思います。

 

さて、本日は最初にちょっと気になった、医学でもなんでもない記事を・・・。

 

 北朝鮮の朝鮮人民軍が対韓国開戦直前に日本全国にある原子力発電所施設に特殊工作員計約600人を送り込み、米軍施設と同時に自爆テロを起こす計画を策定していたことが28日、軍元幹部ら脱北した複数の関係者の証言で分かった。計画実施に向け工作員を日本に侵入させ、施設の情報収集を重ね、日本近海でひそかに訓練も行っていたという。北朝鮮による原発テロが現実的脅威に浮上した。

 元幹部らによると、計画は、金日成(キム・イルソン)主席の後継者だった金正日(ジョンイル)総書記が「唯一指導体系」として朝鮮労働党と軍双方の工作機関に対する指示系統を掌握した1970年代半ば以降、具体化に動き出し、90年代に入って本格化したという。

 計画には、大別して2つの特殊部隊が編成された。「対南(韓国)」と「対日」部隊で、それぞれ2個大隊約600人ずつが充てられた。1個大隊には3、4人一組の80チームが組まれ、対南侵攻直前に日本と韓国に上陸。それぞれ連携して日韓各地の米軍基地や原発のほか、東京などの重要施設を自爆テロで同時爆破する作戦が策定された

 原発は福井や新潟など日本海側に加え、太平洋側の施設も自爆テロの対象とされた。

 作戦のため、現地の協力者らが施設周辺を撮影するなどし毎年、情報を更新。特殊工作員が潜水艇で日本に上陸、施設内に忍び込んで情報収集することもあったという

 情報を基に施設を忠実に再現した模型が作られ、机上演習が重ねられた。

 脱北した別の朝鮮労働党工作機関関係者によると、特殊部隊が潜水艇で日本近海に繰り出し、実戦に向けた訓練も行われた。94年には、日本近海で行った自爆テロ訓練中の事故で死亡し、北朝鮮で最大の栄誉とされる「共和国英雄」の称号を得た工作員もいたという。

 北朝鮮による対南侵攻にとって最大の脅威は沖縄などに駐留する米軍だ。元幹部によると、日本全体を米軍を支える「補給基地」とみなし、米軍に先制するため、開戦前の対南テロに加え、対日同時テロが策定されたという。

 原発が最重要ターゲットとされたのは、爆破すれば、「甚大な損害を与えられ、核兵器を使う必要がなくなる」(元幹部)との思惑からだという。さらには、広域に放射能が拡散することで「日韓両国民の間に戦争に反対する厭戦(えんせん)ムードが広がり、日米韓の戦意をそぐ政治的効果を狙った」と元幹部は説明した。

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確かに記載されている通りで「原子力発電所」は核爆弾よりも大きな被害を出しうるものだと思います。

 

そこに攻撃を仕掛けるのはある意味当たり前。特に勢力の弱い方としては当然とる方法でしょう。

僕が逆の立場だったら、同じように狙うと思いますし・・・。実際、地震で生じた1か所だけでもこれだけの混乱を招いているのだから、複数個所同時であればどれだけ日本の国内を混乱させられるか。

 

重要地点はどこか…と言えば首都「東京」もそうですが、各原子力発電所なども重要地点ですよね。

 

ただ、つっこむとすれば「特殊部隊要員の自爆テロ」って、どれだけ特殊部隊要員の命を軽く思っているのか・・・。人の命を軽く思っているのもどうかと思いますが、わざわざトレーニングをした隊員を一回の作戦で使い切るつもりなのだろうか、この国は…(汗

 

その発想がわからない。まぁ、実際は最小限の人的損害で自爆テロを行う予定だったのかもしれませんが・・・。

 

 

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がん患者の3割以上が人生の点数が上がった:死を意識して時間を無駄にしなくなったということ?

2013-05-28 22:20:13 | 医療

こんばんは

 

どうでもいい話ですが、昨日、骨髄採取の時に

「(駅伝の)筋肉痛が翌日でているから、僕もまだ若いな(笑」

と、言ったところ、後輩が

「先生、明日がピークですよ(笑」

と言いました。

 

本当に今日がピーク(明日かもしれませんがw)だし・・・orz

 

そんな状況です。

 

さて、今日はこちらの記事を紹介します

 

 がん患者の3割超が、「以前と比べて人生の点数が上がったと思う」と考えていることが、アストラゼネカが行ったアンケート調査で分かった。「価値観、生き方が変化した」「思いやり、感謝の気持ちが増えたため」と肯定的な答えが多く、調査を監修した岡山大大学院医歯薬学総合研究科の内富庸介教授は、「患者や家族はがんになったことをプラスにとらえ、そこから何か気付いたり得たりすることもある」としている。

 調査は、がん患者を1人の生活者として扱い、「治療と生活」をつなぐ「最善の医療」を探る目的で行われた。昨年12月、がんとかかわりのある患者やその家族ら1477人がインターネット上で実施されたアンケートに答えた。

 がんと診断された時の患者の精神状態は、「自分の病気を落ち着いて受け止めている」が64%と最多。心理面では、「家族に心配をあまりかけたくない」が患者と家族はともに60%を超えた。「悩みを相談できる人がいるか」と聞いたところ、患者の81%が「いる」と回答した一方、家族で「いる」と答えたのは59%にとどまった。

 がんが身近にある現在と、それ以前の人生を点数として比較した場合、「上がったと思う」と答えた患者は34%、家族は21%だった。「あなたらしい生活とは」との設問に患者は、「自分のやりたいことをする」(37%)、「普段通りと変わらない生活を送る」(24%)、「治る希望を持ち続ける」(13%)などと答えた。内富教授は、「患者だけでなく、家族のケアも大事。患者より家族の方が、相談相手が少ないという現状がみられる」と指摘している。【新井哉】

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よくわかる話だと思いました。

人生の残り時間の思考法」という本(Amazonへのリンクです)がありますが、その本にも書かれています。僕も患者さんが治療を終えて、病気を乗り越えていかれる過程で上記のようなことが起きているのを感じます

 

もちろん、逆に「エリザベス・キュブラー・ロス博士」が書かれているように、死の受容のような形の雰囲気になられる方もいますが、僕が担当した方は「前向き」に闘病されていた方が多かったように思います。

 

ちなみに過去にも書いていますが、基本的に僕は「葉隠」「自省録」「7つの習慣」などの影響をよく受けています。

葉隠聞書第1の1:アンフェタミン訳

葉隠聞書第1の2:アンフェタミン訳

ジョブス氏死去:有名なスピーチの中に「葉隠」の思想も感じる

 

他に先ほど書いた「人生の残り時間の思考法」もそうですし、様々な本の影響を受けて育っています。

 

僕も「いつ死ぬかはわからないので、できることをできるときに行う。死んだとき、病気になったときに後悔しなくてよいように生き続ける」つもりでおります。それでも、そういう状況になればいろいろ考えることはあると思いますが、常にそういうことを考えて生きていることは「時間を無駄にしなくて済む」と思っています。

 

僕が死とよく接している医者である・・・というのは本当にそういうことにも影響を与えているのだろうと思います。

 

まぁ、僕はその時できることを精いっぱいやり、人の役に立つ。それだけです。もちろん、今では家族(妻)がいますので、そのことも考えて生きていますが。

 

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遺伝子検査は誰が受けるべき?

2013-05-27 21:45:38 | 医療

さて、追加します

 

先日、「遺伝子検査をするべきか?」という記事を書きましたが、今日の中日新聞でこのような記事がありました。

 

遺伝性乳がん 問い合わせ急増

http://iryou.chunichi.co.jp/article/detail/20130527063659633

(2013年5月27日) 【中日新聞】【朝刊】【その他】

遺伝子変異 患者全体の5% 定期検診こそ安心への一歩

 米国の人気女優アンジェリーナ・ジョリーさん(37)が乳がんの遺伝子検査を受け、未発症だが予防のために両乳房を切除したことが話題となり、医療機関には患者などから問い合わせが相次いでいる。だが、ジョリーさんのようにがんになりやすい遺伝子変異が起きて、さらに発症するのは、乳がん患者全体の5%。医療関係者は「過剰な不安を抱く必要はない。定期的な検診を受ける方が予防効果は高く、安心につながる」と呼び掛けている。(柚木まり)

 「母親が乳がん。私も心配です」。ジョリーさんの件が報道された後、名古屋市立大病院の臨床遺伝医療部には、遺伝子検査についての問い合わせが通常の約4倍に増えた。浜松市の浜松医療センターにも、乳がんの通院患者や、乳がんの家族がいる人から問い合わせが10件ほどあった。

 日本では1年間で4万人が乳がんを発症するとされ、同センター乳腺外科の徳永祐二医師は「血縁者の中に1人、乳がん患者がいても、その原因が遺伝子変異である可能性は極めて低い」と話す。

 名市大病院・臨床遺伝医療部の鈴森伸宏准教授によると、70歳までに乳がんを発症する確率は、近親者に乳がん患者がいると10~20%。遺伝子変異があると45~85%と、確かに高くなるが、それでも乳がん患者全体の5%。遺伝子検査で陽性と出るのは珍しいケースといえ、鈴森准教授は「現実には、遺伝子変異がなくても乳がんを発症する人の方が圧倒的に多い」と指摘する。

 名市大病院では専門医による遺伝カウンセリングの前に遺伝カウンセラーが家族の病歴を尋ね、陽性だった時のシミュレーションなどを行い、検査の必要性を検討する。

 医療関係者によると、カウンセリングや遺伝子検査を受けただけで、生命保険の加入や掛け金への影響が懸念されるという。認定遺伝カウンセラーの大瀬戸久美子さんは「遺伝子検査は最大の個人情報。興味本位でむやみに受けるべきではない。ベストの選択をするためにはカウンセリングが重要」と話す。

 カウンセリングで必要と判断されれば遺伝子検査をするが、名市大病院の場合、実施例は過去3年で10件以下。検査の主な目的は、他の部位への発症を警戒したり、子やきょうだいの発症率を予測することで、ジョリーさんのように予防的手術を受けることについて、鈴森准教授は「検査から、さらに段階を踏んだ先の話」と指摘している。

日本の検診受診率は3割

 乳がんなどの検診の普及に取り組む「名古屋ピンクリボンフェスタ実行委員会」の伊藤加奈子代表の話 親族の中で圧倒的に乳がんの人が多い場合など、遺伝子検査を受けて遺伝性を調べることに意味がある人もいるが、検査代はとても高い。マンモグラフィーなどの乳がん検診は、欧米では8割を超える。日本も5割以上を目指しているが、まだ3割ほど。予防の面からも費用面からも、まずは定期的な婦人科検診を受けることを勧めたい

  乳がんの遺伝子検査  血液中のがん抑制遺伝子「BRCA1」と「BRCA2」の変異を調べる。対象者は、近親者に遺伝子変異がある人がいることや、45歳以下で乳がんと診断されたり、母親や姉妹が乳がんで亡くなり遺伝性が疑われる場合など。同じ検査で卵巣がんの発症率も分かる。費用は1回20万円ほど。

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がん遺伝子は遺伝しないという記事で少し書きましたが、

第1度近親者に乳癌が2人以上おり、1人は50歳以下で診断されている

第1度~第2度の近親者に乳がん患者が3人以上いる

 などが乳癌の高リスクグループとされています。まずはこれが参考になるのではないでしょうか?

そして40~49歳まではルーチン検査ではなく個別化し、50歳以上74歳までは2年に一回のマンモグラフィーというような話が書かれている

 

この中日新聞の記事でも「マンモグラフィ」に関して書かれていますが、基本的にはそのほうが良いのではないでしょうか?

遺伝子検査などは↑に記載されている「高リスクグループ」のかたを中心に検討される方が良いような気がします

 

患者さんの遺伝子検査を専門の方にお願いしたことがありますが、その方は母親とお兄さんがある病気と診断されていました。そんな頻度で起きるか・・・(同じ血液腫瘍が母子で発生していた時は、いろいろ考えましたが・・・よくわかりませんでした)と思い、遺伝子検査をしてもらったことがあります(当然ながらある遺伝子異常がありました)。

また、たまたまITPで受診されましたが、原因不明の小球性貧血があり、親と息子も貧血があったといわれ・・・調べたらサラセミア(遺伝性の貧血)・・・という方もいました。

このように複数の親族が同じ疾患を発症するリスクというのは「有病率」のn乗になりますので、おかしいわけですが・・・一親等以内に乳癌の患者さんがいる方全員が遺伝子検査を受けるというのはナンセンスで、おそらく統計学的な話から設定された「高リスクグループの枠」の中に入らなかった場合は、あまり勧められないのではないかと思っています

 

もちろん、調べた人の中にはBRCAなどの遺伝子異常が見つかる方もいると思いますが、調べた数に比べて少ない(陽性的中率は低い)と思います。あまり心配しすぎると、日常生活に支障をきたすと思うので・・・そういうレベルになってしまうのならばいっそのこと遺伝子検査を受けて陰性・・・とはっきりさせた方が良いかもしれません。

 

逆に、その時陽性になったらどうするのか・・・。何も病気がないのに手術をするのか、それとも検診頻度を増やすのか・・・

 

難しい問題ですね

 

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久しぶりのレース(駅伝ですが)

2013-05-27 21:38:02 | Weblog

こんばんは

 

昨日は土曜日にも書きましたように、谷川真理さん主催の駅伝に参加しました。いい天気でしたが、おかげさまで真っ赤に焼けまして(真っ黒ではないです、赤くなりました)・・・。風呂に入るとヒリヒリします。

 

駅伝などレースに出るのが10年ぶりということもあり(確かに職場内の長距離走などはありましたが、一般的なものはなく)、ウォーミングアップなどは念入りにやったのですが・・・

実は最初から不安が・・・・

 

職場内の長距離走・・では、時間がない中で「インターバルトレーニング」を行うことで、心肺機能を改善させることを第一にやっていました。実は心肺機能は比較的早く改善します。

今回は週に何回か5kmほどジョギングはしていましたが、インターバルのようなことはやっておらず

「意外と心肺機能の方が駄目だったり・・・」

と思っていたら、確かに心肺機能がついていきませんでした。これは予測できたのにトレーニングをしていなかった自分の失敗です。

 

10年前なら1km4分ペースでハーフマラソンでも問題なかったのに、今回21分かかりました(汗

後輩にいろいろ言われそうですが、年末にあるハーフマラソン目指して少し練習をしていこうかと思っています。

 

正直、少し悔しい状況です。う~ん、少なくとも1km4分ペースでは走れるようにしておかないとね・・・・。

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遺伝子検査をするべきか?

2013-05-25 21:33:01 | 医療

こんばんは

 

今日は軽くトレーニングをして、本を読んで過ごしました。

実は明日、谷川真理さんが主催しているチャリティ駅伝に参加する予定です

http://www.tanimari-ekiden.com/

 

だいぶ昔にどういうわけか職場の血液関係の部署(など)で作られた駅伝チームに参加することになりました。まぁ、チャリティ駅伝ということもあり、そんなに頑張る予定ではありませんが・・・前に人が走っていたら抜きたくなる習性なので…頑張るんだろうなぁ

さて、今日は北海道新聞のこちらの記事を紹介いたします

 

 米国の人気女優アンジェリーナ・ジョリーさん(37)が、予防のため乳房の切除・再建手術を受けて話題になった遺伝性乳がんについて、札幌市の北海道がんセンターは、手術を希望する人に備えた体制づくりに着手した。道内の3大学病院も遺伝子検査実施の検討を始めた。

 乳がんと卵巣がんの5~10%は、特定の遺伝子の変異によって発症するとされる。このため、予防を目的とした乳房と卵巣・卵管の切除手術を受けるには、遺伝子検査で陽性であることが前提となる。

 ただ、誰でも検査を受けられるわけではなく、親族の中に40歳未満の乳がん発症者がいるなどの条件に合致し、さらに専門医らのカウンセリングを受けなければならない

 道内で唯一、遺伝子検査を行っている北海道がんセンターはこれまで、乳がんの未発症者が検査で陽性と判定された場合、年に1回のマンモグラフィーや磁気共鳴画像装置(MRI)検査など、早期発見に向けた検査を勧める診療方針をとってきた。発症予防にはホルモン剤を服用する方法もある。

 現在までに未発症者が遺伝子検査で陽性だったケースはないが、今後は陽性でジョリーさんのような切除希望者が出てきた場合、こまめな検診を勧めることに加え、個別に倫理委員会に諮り、切除手術の可否を判断する方針。<北海道新聞5月25日朝刊掲載>

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この「予防手術」に関して、いろいろなところで検討がされているようですが、本当に難しい話ですよね。

 

確かにBRCAなどの遺伝子異常により「DNAの修復」に異常をきたすと、乳がんの発生リスクは非常に高まります。ある意味知ってしまった以上、選択肢はたぶん

1、頻回に検診を受けて乳癌が発生したら初期に潰す

2、乳癌が発生しないように予防的に摘出する

3、なったときに考える(通常の検診;2年に一回ですませる)

 

なのだろうと思います。

 

むかし、脳ドックで「小さな動脈瘤(1mmなど)」を見つけたときにどうするか・・・というようなことを書きましたが、今回はそれよりも発生率(動脈瘤ならくも膜下出血、今回は乳癌)は高いです。

知ってしまったために「不安にさいなまれる」ようであれば、予防的な摘出になるのかもしれません

 

病気でない人にメスを振るう。そしてその結果として大きな事故が起きないわけではないので(確率は低いと思います。ただ、何事も0ではないので)、その方の健康状態などもしっかり把握しないといけませんね。

 

多分、「予防的な乳腺摘出」は普通の手術以上に気を使うことになると思います。

 

東京だけではなく、北海道までこの話が広がっていっているのでふと思ったことを書いてみました。

 

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医師の説明時間が足りない?

2013-05-24 22:53:37 | 医療

こんばんは

 

当直+外来で若干お疲れモードの状況です。

珍しく急患が来ない当直だったのですが、病棟内などで呼ばれておりました。連続で眠った時間は多分1~2時間くらいですが、急患がいなかったおかげで総合的には6時間くらい?

けど、睡眠の質が悪いのと小刻みに起されたので、疲れていますね

 

外来で新患の患者さん(新患というのも、患者さんの家族にはわからないこともあるようです)を中心に診ておりましたが、

数値の意味と、その数値がどういう意味合いを持ち、医師がどう判断しているのかを説明してくれたので、よくわかったし、何より安心した

というようなことを2人の方に言われました。

 

うれしい反面・・・それは普通ではないのか…とも思ったりしています。

 

もし、それができないのであれば、やはり日本の医療は医師数が足りないのでしょう

 

それ以外にもいろいろ驚くことがあったのですが、ともかく今日は疲れました・・・。そういえば、今日も患者さんの診察優先で、昼飯を食べていなかったような…(汗

 

まぁ、いいか。

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P.S

外来診療中に何故か札幌のどこぞの病院から、僕の携帯電話に電話がありました。

何事かと思ったら、電話番号を間違えたそうで・・・(笑

「患者さんですよね(向こうの医療従事者)」

「いえ、某大学病院で医師をしております」

「・・・」

そんなこともあるようです

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浜松医大「医療法学」必修化

2013-05-22 22:02:27 | 医療

こんばんは

 

昨日は医局の飲み会があり参加しておりました。2次会まで楽しくやっていたのですが、お酒を飲んだ翌日は疲れがとれないですよね。今日も少し教授と「飲み会の日は睡眠の質が低下する」と話をしておりました。

 

そんなお疲れ状態ですが、明日は当直なので今日はゆっくり寝て体調を整えておこうと思っております。

 

さて、今日はこんな記事があったのでご紹介します

 

 医療事故や尊厳死など、医療と法律が関わる場面が増える中、浜松医科大(浜松市東区)は昨年、法学教授に医師と弁護士の両資格を持つ大磯義一郎氏(38)を迎え、法学教育に力を入れ始めた。医師という命を扱う仕事に携わる自覚を学生に促すため、医学部(医学科、看護学科)の一般教養で「医療法学」を必修科目にして、教育体制の充実を図っている。
 大磯教授は1999年に日本医科大を卒業後、消化器内科医として5年間、医療現場に勤務した。99年は医療過誤事件が多発した年。医療バッシングが激化し、医師と患者の関係がすさんでいくのを目の当たりにして危機意識を強め、早大大学院法務研究科に入学。2009年、弁護士になった。
 医師と弁護士の両方を経験した大磯教授は「医療訴訟で適切な判決が下されるためには司法と医療の相互理解が必要」と考えた。また、医師法や医療法、厚労省の通知、通達など医療に関連する法律が未整備で使いにくいことも問題とし、「医療法学」という新たな研究分野を立ち上げ、整備を進めている。医療現場からの講演依頼が相次ぐなど、ニーズも実感している。
 浜松医科大の講義では、法律の基礎知識のほか医療現場に絡む訴訟の判例、医師に対する行政処分の事例などを取り上げている。「法律の範囲内で(医療行為を)やっているということを自覚していなければならないし、法律を知っていれば必要以上に萎縮する必要もなくなる」と大磯教授。
 法学教授の採用を担当した同大の鈴木修理事(法医学)は「意識の高い医師を育成する教育の一端を担ってほしい」と期待する。

メモ
 1999年は、血液凝固阻止剤と消毒液を取り違えて点滴した都立広尾病院事件、心臓手術と肺手術を受ける患者を取り違えた横浜市立大病院の事件、転倒して割り箸がのどに突き刺さった男児の救命の可否が問われた杏林大病院事件が発生した。この年を機に医療バッシングが巻き起こった。2006年の福島県立大野病院事件では、手術時の判断ミスを理由に、医師が業務上過失致死容疑などで逮捕される(その後、無罪が確定)事態になった。

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医療と法律、その2つをされている先生を何人か知っておりますが、両方の分野を知っている先生方だからこそできることがあると思います。

 

医療事故調の話やADRの話などがありましたが、そういった問題も含めて「医療」を改善する力になっていただきたいです。

 

ということで、疲れているので~

 

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好中球減少時の感染症予防に関して

2013-05-20 22:52:48 | 医学系

さて、少し追加します。

 

先日、ちょっと不思議:制吐剤「アロキシ」という記事のコメントで、乳癌の抗癌剤治療中の患者さんからコメントをいただきました。

この中で抗菌薬の予防投与に関しては不用ではないかと書きました。

 

抗癌剤治療を行うことで、好中球という「細菌」や「真菌(カビ)」と闘う兵隊の数が減るという事象が発生します。白血病や悪性リンパ腫などでは、特に血液に作用する抗癌剤を使用するので発症頻度が高いのですが、他のがん腫に対する治療でも当然起きうるものです。

 

その兵隊が副作用で減ったときに抗菌薬を投与することがどれだけメリットがあるのか…というようなことも検証されています。メリットは感染症による死亡の減少ですし、デメリットは恐らく耐性菌の増加の問題が中心で、他にも抗菌薬そのものによる副作用などもあると思われます。

 

ちなみに好中球数500/μl以下の患者の半数で発熱に関するエピソードがあり、その多くは感染症と言われています。また、好中球100/μl以下になった場合は、80%に発熱のエピソードがあり、その20%は敗血症と言われています。

 

昔はよい薬がなかったので死亡率が高かった「発熱性好中球減少症」も現在では5%以下になったとされています(実際は積極的な治療のできている人は少ないと思いますが、慢性的に好中球が回復しない疾患だときついことがあります)

 

まぁ、そういう実情があり「好中球が減ったら、予防投与しよう」という発想に行くわけですが、基本的に現在は全例での予防投与は推奨されていません。まず、さまざまなRCT(ランダム化比較試験)の結果の解析がありまして、抗癌剤治療による好中球減少に対して予防投与を行ってもグラム陰性桿菌による菌血症の発症頻度に有意差がでなかったり、95のRCTのメタ解析の結果では死亡率は予防投与群の方が良かったのですが、非予防投与群の感染症による死亡が10%(急性白血病の寛解導入療法や、地固め療法の大量シタラビン療法でも5%ないくらいですが・・・汗)と高いことが問題で・・そういう疾患群を対象に証明されているというのが事実です。

 

その為、2011年のIDSAガイドラインでは「好中球100/μl未満が7日以上続く患者」に限定してキノロン系抗菌薬の予防投与を推奨しており、7日未満(100/μlが)の患者に対する予防投与は推奨しない…となっています。

 

はっきり言うと急性白血病や骨髄移植時以外では基本的に予防投与は推奨されていません。あとは再生不良性貧血のATG+CyA以外では不用という意味です。

ということで、予防的抗菌薬投与に関してでした。

 

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