新・眠らない医者の人生探求劇場・・・夢果たすまで

血液専門医・総合内科専門医の17年目医師が、日常生活や医療制度、趣味などに関して記載します。現在、コメント承認制です。

救急搬送問題

2008-03-11 20:04:06 | 医療
こんばんは

今日もいろいろな患者さんが来ておりましたが、非常に難しいのが「慢性疲労症候群」らしい患者さん。診断基準を満たすためにはあと一項目陽性にならないといけないわけですけど・・・難しいなぁ。

一言で「うつ病」とは言いにくいし、身体所見をうつ病の随伴症状ととらえるのか、それとも慢性疲労症候群の症候の一つとしてとらえるのか・・・。

寝ても疲れが取れません(しかももうすぐ8ヶ月)。食事も取れなくて、気持ち悪くなって吐いてしまう。頭痛や不眠もあって・・・・・。」
5日間固形物食べてないって・・・あんた・・・。

悪あがきをしましたが、明日もう一度来たときに食事をまったくうけつけないのであれば・・・入院して仕事から隔離した上で、「慢性疲労症候群」の病態と考えられる「神経系・内分泌系・免疫系」の異常を何とか、調整しなおす(手持ちにあった補中益気湯とビタミンB、ビタミンC大量+ビタミンB12)のとSSRI(仕方がないんです。ただ、すでに居住地近くの病院とは話をしています)やトランキライザーとかを使いながらやっていますが・・・。

自分がずっと診れない患者に薬をあまり処方したくない・・・。むしろ完全におちている状態のほうが「自殺」とかのリスクは低いのですけど、今考えられる最善の処置だけはしておきたいと思い、やれることをやっています。

さて、今日の記事です。今日は救急の話がいろいろでてきておりました

まずは産経新聞から

救急搬送拒否 「医師不足」「病院減」背景に構造問題 連続勤務、36時間にも
3月11日16時38分配信 産経新聞


 医療機関による救急搬送受け入れ拒否問題の背景には、医師不足や救急病院の減少など医療現場が抱える構造的問題があり、政府全体の取り組みが急務になっている。

 医師不足は、平成16年度に導入された新臨床研修制度をきっかけに深刻化。新人医師が2年間、大学の医局を離れて研修に専念できる仕組みになったが、その裏で、医局が地方に派遣した医師を呼び戻すようになり、自治体病院を中心に医師が足りなくなってきた。このため、地域によっては勤務医の連続勤務時間が、当直を含めると36時間を超えるケースも珍しくない。

 これに追い打ちをかけているのが救急病院の減少だ。厚生労働省によると、入院可能な2次救急病院は19年3月末現在、全国で3153施設で、15年より118施設減。医師不足が病院を救急業務からの撤退に追い込む例も見られる。

 自治体病院の経営に詳しい伊関友伸・城西大准教授は「救急の現場は患者を受け入れたくてもできないのが実態。医師が怠けているわけではない」と強調する。

 政府はようやく重い腰を上げ、20年度から10年間は大学医学部の定員を増やすことを決めたが、地方のある病院長は「暫定措置にすぎない。医療費を抑制する国の基本的な考え方を変えなければ、医師不足は解消しない」と訴えている。

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医師不足や救急病院の減少と書かれていますが、そのとおりだと思います。もっとも、医師不足のために救急病院が減少しているのであって(あと収入の問題)、救急病院の減少が他の原因に起因しているとは思いませんが・・・。

伊関先生の

救急の現場は患者を受け入れたくてもできないのが実態。医師が怠けているわけではない

というコメントありがたいですね。

さて、同系の記事ですがCBからです

救命センターへの受入照会、最大63回

 2007年に救命救急センターに搬送された約13万人のうち、救急隊が受け入れ先のセンターを探す際に最も多いケースで63回の問い合わせをしていたことが、消防庁が3月11日に発表した調査で分かった。11回以上の照会が802件、6~10回が2,108件に加え、救急隊の現場滞在時間が150分を超えたケースも31件あるなど、3次救急レベルの受け入れ先を探すのに困難を極めている実態がうかがえる。

 調査は、消防庁が救急搬送時の受け入れ状況を調べるために国内807の消防本部に対し、07年中の救急搬送について▽救命救急センターへの搬送▽小児▽産科・周産期▽重症(3週間以上の入院加療が必要な傷病程度)以上―のカテゴリーに分けて調査した(転院搬送除く)。消防庁は同日、救急受け入れ困難の問題を解決するために設置している消防機関と医療機関の連携に関する作業部会に報告した。

 07年に救命救急センターや大学病院の救急部など地域で基幹となる救命センターに搬送された13万4,042人のうち、1回の照会で受け入れ先が決まっていたケースが80.1%と多数を占めたものの、4回以上かかっていたケースが5.8%(6,990件)あった。紹介件数が多かった消防本部があるのは大阪府で、最大照会件数は63回。次に東京都で47回、埼玉県で33回などがあった。
 救急隊の現場滞在時間は、「30分未満」が93.0%を占めたが、長くかかったケースでは「150分以上」31件、「120~149分」42件、「90~119分」150件があった。150分以上かかっていたのは、東京都で12件、神奈川県で7件、大阪府で4件あった。

 受け入れられなかった理由には、「(症状に対処できる設備やスタッフの不足による)処置困難」が24.7%と最も多かった。ほかには、「手術中、ほかの患者に対応中」21.2%、「ベッド満床」21.0%などがあった。

■1回の照会で8割が受け入れ先確保
 重症以上(搬送人数41万1,625人)と産科・周産期(同2万4,173人)、小児(同35万4,046人)のすべてのカテゴリーについて、「1回」の照会で80%、「2,3回」も含めると、95%が受け入れ先を確保していた。11回以上の照会があったのは、重症以上は0.3%、産科・周産期は0.2%、小児は0.1%で、最大照会回数はそれぞれ50回、43回、35回だった。
 現場滞在時間もすべてのカテゴリーで「30分未満」が約95%を占めた。

 都道府県別では、重症以上で11回以上の照会があったのは、東京が最多で614件、埼玉県129件、大阪府71件、千葉66件と続く。産科・周産期でも6回以上の照会があったのは大阪113件、東京112件、神奈川30件などが多かった。

 消防庁は「首都圏、近畿圏の大都市周辺部で照会回数が多く、選定困難事案が一定の地域に集中する傾向がある」としているが、有賀徹座長(昭和大学病院副院長)は「都市部は地方と比べて医療機関も多いため、救急隊が受け入れ先を探すために当たる医療機関も多いのは当然」と、単純に照会回数だけで比較しないで現場滞在時間や年次推移による分析も重視し、数字が独り歩きしないように注意を促した

 受け入れられなかった理由は、重症以上では、「処置困難」22.9%、「ベッド満床」22.2%、「手術中、ほかの患者に対応中」21.0%だった。産科・周産期では「処置困難」21.5%に、「手術中、ほかの患者に対応中」19.0%が続き、「専門外」が13.5%だった。小児では「専門外」が25.2%と最多で、「手術中、ほかの患者に対応中」21.8%、「処置困難」16.1%が続いた。

■産科の照会回数、年々上昇
 産科・周産期の搬送について、照会回数が4回以上だったケースの推移を見ると、04年には225件と全体の搬送件数の1.9%だったが、毎年増加している。今回は1084件と、昨年から0.7ポイント上昇して全体の4.8%を占めた。
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この記事で思ったことは、救急隊からの要請を多くの病院は受け入れているということ。当たり前ですけど。

重症度などに関係がなく・・80%は1回目で病院が選定されるし、2回目3回目でほぼ95%が処置を受けている

運が悪く、本当に対応できないところだけを断っているのに・・・揚げ足取りをしているのだろうな・・・というのが第一印象。

また、確か島根などは1回目で・・・100%(本当だろうか)救急の受け入れがなされていると昼間のニュースでやっていたが、確かに断ったら受け入れ先がなくなる地方は断れないだろうとは思う。

そして大都市圏内では無理をしないですむというのも本当だろうし、無理をして患者さんの不利益にならないようにしているともいえる。

そして向かう先が多いから照会する回数も多いというのもそのとおりだろう。

そういうことを感じた記事でした


話を変えます。

今は結婚して子供もいる友人と僕の二人で釣りに行ったときの話です。
この釣りに行くという話も「釣りに行きたい」という僕の唐突な意見で行くことになったのですが、快く友人が車を出してくれました。

高速に乗りいろいろと話をしながら海へ向かう途中で、いきなり友人がこういいました

「バナナ?」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・マリオカート?

「何が?」

突っ込みを入れようとしたとき、車がスピン。友人は車をガードレールにぶつけて止め、後続車両が止まってくれたので一大事になりませんでしたが・・・

「危うく明日の一面を飾るところだった」

というのは彼の言葉。

その後さすがに盛り上がることが出来ずに、ちょっと釣りをしてさっさと帰ってきましたが、悪運の強さはこの二人(僕と友達)は良いようです。

因みに彼は「頭の良さ」はかなりのもので、試験は計画的に落とすものと受かるものを決定し、最も燃費のよい試験の受け方をしておりました。また、試験の予想がほぼ100%当たったことがあったのですけど、予想した僕が88点なのにあっちが100点近かったという恐ろしい現象が起きました。

試験当日の朝に勉強を教えてくれといって、見事に受かっていくなど(しかも理解力が化け物並)僕の知っている人間の中ではぴか一の才能を持っている奴ですw

しかし、バナナ事件をはじめ彼とは本当に楽しく過ごしたなぁ・・・。今は元気だろうか?

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2 コメント

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emergency (エビ)
2008-03-12 09:39:09
向かう先が多いから照会する回数も増える…目からウロコが落ちまちた。
数字だけ見ても中味は解らないものね。
受け入れられない理由も現時点全てどうしようも出来ないことだし…。
伊関先生のおっしゃるとおりで、受け入れを出来なくしているのは、医療費・医師削減政策をとってきた国で、現場ではない事をたくさん報じてくれるといいな。

アンフェタミン先生の患者さん、御辛いことでもあったのかな。
エビの経験した憂鬱な感じが最後に辿った帰結は、父三回忌をニコニコつとめ日常生活の表面は元気になった頃にいつものエビでは考えられないですが…suicideへ魅かれていたのを思い出しました。
意欲の回復にはそういう意欲まで出てしまうのが怖いと思います。
好きな人が出来てパーッと晴れて今に至るので忘れてまちた。彼氏への感謝も忘れて悪い子でちたー(T.T)思い出させてくれてありがとでちゅ!
患者さんの元気の目盛りが穏やかに上がりますように。

エビは「バナナ…」と言われたら「アーン」とお口開けまちゅ(・O・)
瞬時に判断するのはお友達に負けませんがsurvive出来るかは未知数!
現場ではなく国の責任 (アンフェタミン)
2008-03-12 19:18:45
>エビさん
こんばんは、コメントありがとうございます

向かう先が多い、だから照会も増えるというのは事実だと思います。
逆にここで無理だとわかっていても、断れない状況の地域は断っていないのかもしれません。

まぁ、逆に断るほど患者が大勢でないのかもしれませんが・・・。

今の医療の問題の責任の大半は国にあると僕も思います。また、将来破綻するとすれば・・・その多くは国とそれを看過してきた国民全体の責任ということになりそうです。

まぁ、今いる政治家の大半は政治の世界からいなくなるでしょうけど。

患者さんに関しては・・・自分自身が最後まで見れないのが心残りですが、連携の取れる場所には連携とれるように準備したので・・・うまくいくと信じています。

「バナナ」事件。あれはその場にいた人間しかわからない恐怖w 大変だったんですよw

また、コメントいただければと存じます

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