波打ち際の考察

思ったこと感じたことのメモです。
コメント欄はほとんど見ていないので御用のある方はメールでご連絡を。
波屋山人

私立・短大「経営困難」98法人

2007-12-26 08:27:21 | Weblog
12/21金の日経新聞夕刊に、破綻が近い私立大学があるということが記事になっていた。

私立大学には多額の税金が注ぎ込まれている。
本来、憲法89条で「公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業への公金の支出は禁止」となっているはずだが、学校教育法に基づく私立学校は公の支配に属するという強引な解釈に基づき、私学助成を受けている。
「ウチは自由な校風で、国の干渉なんかうけたくないから助成金も受け取りません!」と宣言している大学は1つもない。
毎年、私立大学には合計3000億円以上、私立高校には1000億円以上のお金が出ている。

平成19年度の宮内庁の予算は、総額177億6630万円。
有力私立大や難関国立大に支払われる金額を見ると、宮内庁の予算なんてささやかなもの。

今後、私立大学はどんどん淘汰されていくけど、県や市といった行政のおえらいさんがからんでいる私立大学も多い。そういった大学はなかなかつぶしにくい。
まあ、これから数年の内に破綻する大学は、多くの人が名前も聞いたことがないような地方の小さな大学。
大規模校が危機感をいだいて抜本的な改革に乗り出すのはまだまだ先のことでしょう。

私立大学の倒産情報についてはこのようなサイトもあります。
・全国国公私立大学の事件情報
http://university.main.jp/blog3/archives/cat12/index.html

読売新聞の社説(8/4)では、「補助金頼みで再生努力を怠ってきた私大は、いよいよ正念場を迎える」と指摘されているようです。
http://sakamotoryu.blog34.fc2.com/blog-entry-3114.html


<参考>
日本経済新聞(夕刊)関東地区版?
2007年(平成19年)12月21日金曜日 1面
■私大・短大 「経営困難」98法人 15法人が破綻危機
 日本市立学校振興・共済事業団は、全国の大学法人64と短大法人34が早急に改善が必要な「経営困難状態」(イエローゾーン)にあり、うち15法人は「いつつぶれてもおかしくない」レベルと判定した。今後、経営実態を精査し必要に応じて支援に乗り出す。法人名は未公表だが、イエローゾーンが調査対象の約15%に当たる計98法人に上ったことで、大学・短大の淘汰時代到来が現実味を増した。(関連記事を社会面に)

事業団調査 再建支援へ

 同事業団は大学法人521と短大法人144の2006年度決算と07年度の入学者数動向などを基に、教育研究活動による現金収支(キャッシュフロー)や外部負債、運用資産に着目して7ランクに分類した。
 大学法人では、B4(いつつぶれてもおかしくない)が9、B3(現在の学生が在籍中に破綻の可能性)が11、B2(現在の蓄積資金を取り崩してなくなれば破綻)が38、B1(黒字だが借金が過多)が6法人あった。計64法人がイエローゾーンに入り、全体の12%を占めた。
 短大法人はB4が6、B3が1、B2が22、B1が5で、イエローゾーンは34法人(全体の24%)だった。
 一方、最高ランクのA1(黒字幅も運用資産も十分で設備更新能力がある)とされたのは、大学法人が159(31%)、短大法人が30(21%)にとどまった。
 同事業団は今後、各法人の経営実態調査や意向などを聴取し、必要があれば経営改善計画の作成要求や指導・助言の強化、再生人材の紹介、合併等の情報提供などの支援を進める方針。再建困難な場合には、学生募集停止の早期決断を求めることなどもしやに入れる。
 18歳人口の減少と大学の急増で大学・短大を取り巻く経営環境は急速に悪化している。同事業団の調査では今春入試では私立大学の39.5%、市立短大の61.6%が定員割れしている。

学校法人の経営状況(数字のカッコ内は%)
                  大学法人  短大法人
イエローゾーン98法人
いつつぶれてもおかしくない(B4) 9(1.7)  6(4.2)
在学中に破綻の可能性(B3)    11(2.1)  1(0.7)
蓄積資金を取り崩してなく     38(7.3)  22(15.3)
なれば破綻(B2)
黒字だが借金過多(B1)      6(1.2)  5(3.5)
正常状態
収支は赤字だがキャッシュ     98(18.8)  33(22.9)
フローは黒字(B0)
収支は黒字だが設備更新能     200(38.4)  47(32.6)
力が不十分(A2)
収支が黒字(10%以上)で設    159(30.5)  30(20.8)
備更新能力あり(A1)
合計                521      144



2007年(平成19年)12月21日金曜日 社会面
■赤字私大3割超す 経営実態の情報公開必要
 日本私立大学振興・共済財団に「経営困難状態」(イエローゾーン)と判定されたからといって、98の大学・短大法人すべてが、すぐに破綻に向かうわけではない。ただ、早急に経営改善の具体策を打ち出さないと今後、さらに厳しい状況に陥るのは必至だろう。(1面参照)
 イエローゾーンと認定されなかった学校法人でも、厳しい経営環境にさらされているのは同じだ。私学事業団がまとめた2006年度の全国私立学校の財政状況によると、大学法人の32.4%(167法人)が赤字経営で、初めて30%を突破した。
 10年前は6.1%、24法人にすぎなかったから、悪化ぶりは目を覆うばかりだ。短大法人や高校法人も50%近くが赤字だ。
 経営悪化の最大原因は18歳人口の急減。1992年度に205万人いた18歳人口が、07年度は130万人。この間は、進学率の上昇が危機を先送りしてきたが、今や、大学・短大進学率は50%を超え、今後の大幅上昇は望みにくい。しかも5年後には18歳人口は120万人を割り込む。一方で、高等教育の質の低下が深刻な問題に浮上している。
 大学・短大が供給過剰なのは明白で、もはや学校法人の自助努力だけでは事態打開は難しい。いずれ再編・淘汰は避けて通れない。
 こうした状況下での学生の大学選びは、ますます慎重さを求められる。せっかく入学した大学が経営に行き詰まったり、卒業後に消滅するリスクが常にあるからだ。
 しかし、現状はリスクを判断する材料はあまりに少ない。私立大学の4割が定員割れを起こしたといっても、どの大学・短大が定員割れなのかという情報さえ、公開されていない。
 学校経営に及ぼす影響を考えると、私学界や文部科学省、私学事業団が経営実態の情報公開に慎重なの分からぬではない。だが第一に尊重すべきは学生の立場だ。マイナス要因も含めた情報の提供を前向きに検討する時期に来ているのではないか。
(編集委員 横山晋一郎)

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする