イザベラ・バードというイギリス人女性は、明治時代に東アジアを何度も旅行し、紀行文を残している。
当時の衛生環境や農工業、文化などは現代とかなり異なっているのでとても興味深い。
むかしざっと読んだ『朝鮮紀行』を読み直そうと思い、図書館で借りてきたが、なんだか違和感があった。
妙に、〔 〕で囲んだ補足説明が多い。
しかも、よく読むと、翻訳者が朝鮮・韓国人としての立場から意見を述べている内容が目につく。。。
例えば序章の一文。
P28-29
>(略)朝鮮半島の原住民に関する伝説は、ここに記述するには余りにも神話的である。しかし、箕子(キツゼ、もしくはキザ)――彼に就いては後程言及する――が紀元前十二世紀に中国文明を朝鮮に導入した時、〔檀君朝鮮後、中国殷の箕子が朝鮮に来て王になった、という『箕子東来説』は今日否定されている。平壌に箕子陵、箕子廟があるのは高麗時代以後の事大思想の所産に過ぎない、という〕すでに居住していたのは確かな事である。当然箕子の征服とひき続く満州からの入植は、朝鮮人に若干の痕跡を残した。しかし朝鮮人は、最も近い隣国人である中国人や日本人の両者とは著しく異なっている。朝鮮人には人相学上注目すべき多様性があり、その単調な服装のために、それはいっそう目立っている。
この記述にはちょっと疑問がある。
韓国の人は、中国系の王朝である箕子朝鮮の存在は認めたくないのかもしれないけど、100%否定することは難しい。
箕子朝鮮の実在を完全否定しているのは韓国・朝鮮の学会だけ。
世界的には、箕子朝鮮よりも檀君朝鮮の方がファンタジーだと認識されている。
歴史学的には、モンゴル(元)に高麗が侵略された13世紀、民族主義の高まりの中で「檀君朝鮮」という伝説が創作された、という意見の方が支持されているのではないだろうか。
少なくとも、12~13世紀以降の歴史書しか持たない韓国の文献では、古代の朝鮮半島について研究することは困難だ。
はるか古くからの記録が残る中国の古典を読み込めば、韓国人の自負心を満足させる世界観を肯定することはむずかしい。
中国の古典に檀君の記述がどこにもないことや、倭人が朝鮮半島南部に住んでいたという記述があることは、韓国の人にとって不都合なのだろうか。
だからといって歴史を直視しないでいると、歴史学の進歩がのぞめない…
<参考>
箕子朝鮮
http://urx.mobi/FkE7
>箕子朝鮮(きしちょうせん、紀元前12世紀? - 紀元前194年)は、中国の殷に出自を持つ箕子が建国した朝鮮の古代国家。古朝鮮の一つ。首都は王険城(現在の平壌)。『三国志』「魏志」東夷伝 辰韓条、『魏略』逸文などに具体的な記述があり、考古学的発見からは、箕の姓を持つ人々が商朝から周朝にかけて中国北部に住んでおり、商朝から周朝への時代変化とともに満州、朝鮮へと移住した可能性が指摘されている。
この本(平凡社版、朴尚徳訳)の翻訳のレベルの低さについては、多くの人が指摘しているようだ。
「韓国研究」ブログに具体的な間違いが詳しい。
平凡社は、回収・絶版を検討しているだろうか。クレームが頻繁に来ていてもおかしくない。
http://qcastle.blog74.fc2.com/blog-entry-1023.html
■「韓国研究」朝鮮紀行-別記 #6:『朝鮮奥地紀行』(朴尚得訳)は読まない方が良い
次のようなことを書いている人もいる。ただ、表現が攻撃的。もっと穏やかに事実だけ指摘してもいい。
http://www.tamanegiya.com/blog/2016/02/26/tyousenjinusotuki/
■朝鮮人は息をするようにウソを言う 高秉雲と朴尚徳
Amazonのトップカスタマーレビューも「出版社は廃刊せよ -誤訳・誤注まみれのボッタクリ本」と辛らつだ。
http://urx.mobi/FkBi
■朝鮮奥地紀行〈1〉 (東洋文庫) 単行本 – 1993/12/1
イサベラ・L. バード (著), 朴 尚得 (原著, 翻訳), Isabella L. Bird (原著)
翻訳者の朴尚得(パク・サンドゥク、Park Sang-Duk?)さんは1927年朝鮮半島生まれ。1935年の初めに父を追って母と来日。東京大学文学部心理学科卒業とのこと。何を仕事にされていたのだろうか。
それに比べて、時岡敬子さんの翻訳は安心して読むことができる。訳者の見解を盛り込んだ注釈があまりないので読みやすい。
自宅の部屋のどこかに埋もれている『朝鮮紀行』はこの本だと思う。
http://urx.mobi/FkBa
■朝鮮紀行〜英国婦人の見た李朝末期 (講談社学術文庫) 文庫 – 1998/8/10
イザベラ・バード (著), 時岡 敬子 (翻訳)
とりあえず、翻訳や注釈の正確性に問題のある平凡社版はおすすめできない。
ただ、韓国の人の歴史観を知るための資料としては、訳者の翻訳や注釈は役立つかもしれない。
どの国の人のことも生理的に嫌うべきではないけど、その人たちの世界観に合わせる必要はない。
韓国の人にも特別な感情を持つことなく自然に付き合いながら、彼らに都合よくアレンジされた歴史観・世界観に流されなければいい。
客観的な視野を持つためにも、彼らの世界観を知っておくことはわるくないと思う。
当時の衛生環境や農工業、文化などは現代とかなり異なっているのでとても興味深い。
むかしざっと読んだ『朝鮮紀行』を読み直そうと思い、図書館で借りてきたが、なんだか違和感があった。
妙に、〔 〕で囲んだ補足説明が多い。
しかも、よく読むと、翻訳者が朝鮮・韓国人としての立場から意見を述べている内容が目につく。。。
例えば序章の一文。
P28-29
>(略)朝鮮半島の原住民に関する伝説は、ここに記述するには余りにも神話的である。しかし、箕子(キツゼ、もしくはキザ)――彼に就いては後程言及する――が紀元前十二世紀に中国文明を朝鮮に導入した時、〔檀君朝鮮後、中国殷の箕子が朝鮮に来て王になった、という『箕子東来説』は今日否定されている。平壌に箕子陵、箕子廟があるのは高麗時代以後の事大思想の所産に過ぎない、という〕すでに居住していたのは確かな事である。当然箕子の征服とひき続く満州からの入植は、朝鮮人に若干の痕跡を残した。しかし朝鮮人は、最も近い隣国人である中国人や日本人の両者とは著しく異なっている。朝鮮人には人相学上注目すべき多様性があり、その単調な服装のために、それはいっそう目立っている。
この記述にはちょっと疑問がある。
韓国の人は、中国系の王朝である箕子朝鮮の存在は認めたくないのかもしれないけど、100%否定することは難しい。
箕子朝鮮の実在を完全否定しているのは韓国・朝鮮の学会だけ。
世界的には、箕子朝鮮よりも檀君朝鮮の方がファンタジーだと認識されている。
歴史学的には、モンゴル(元)に高麗が侵略された13世紀、民族主義の高まりの中で「檀君朝鮮」という伝説が創作された、という意見の方が支持されているのではないだろうか。
少なくとも、12~13世紀以降の歴史書しか持たない韓国の文献では、古代の朝鮮半島について研究することは困難だ。
はるか古くからの記録が残る中国の古典を読み込めば、韓国人の自負心を満足させる世界観を肯定することはむずかしい。
中国の古典に檀君の記述がどこにもないことや、倭人が朝鮮半島南部に住んでいたという記述があることは、韓国の人にとって不都合なのだろうか。
だからといって歴史を直視しないでいると、歴史学の進歩がのぞめない…
<参考>
箕子朝鮮
http://urx.mobi/FkE7
>箕子朝鮮(きしちょうせん、紀元前12世紀? - 紀元前194年)は、中国の殷に出自を持つ箕子が建国した朝鮮の古代国家。古朝鮮の一つ。首都は王険城(現在の平壌)。『三国志』「魏志」東夷伝 辰韓条、『魏略』逸文などに具体的な記述があり、考古学的発見からは、箕の姓を持つ人々が商朝から周朝にかけて中国北部に住んでおり、商朝から周朝への時代変化とともに満州、朝鮮へと移住した可能性が指摘されている。
この本(平凡社版、朴尚徳訳)の翻訳のレベルの低さについては、多くの人が指摘しているようだ。
「韓国研究」ブログに具体的な間違いが詳しい。
平凡社は、回収・絶版を検討しているだろうか。クレームが頻繁に来ていてもおかしくない。
http://qcastle.blog74.fc2.com/blog-entry-1023.html
■「韓国研究」朝鮮紀行-別記 #6:『朝鮮奥地紀行』(朴尚得訳)は読まない方が良い
次のようなことを書いている人もいる。ただ、表現が攻撃的。もっと穏やかに事実だけ指摘してもいい。
http://www.tamanegiya.com/blog/2016/02/26/tyousenjinusotuki/
■朝鮮人は息をするようにウソを言う 高秉雲と朴尚徳
Amazonのトップカスタマーレビューも「出版社は廃刊せよ -誤訳・誤注まみれのボッタクリ本」と辛らつだ。
http://urx.mobi/FkBi
■朝鮮奥地紀行〈1〉 (東洋文庫) 単行本 – 1993/12/1
イサベラ・L. バード (著), 朴 尚得 (原著, 翻訳), Isabella L. Bird (原著)
翻訳者の朴尚得(パク・サンドゥク、Park Sang-Duk?)さんは1927年朝鮮半島生まれ。1935年の初めに父を追って母と来日。東京大学文学部心理学科卒業とのこと。何を仕事にされていたのだろうか。
それに比べて、時岡敬子さんの翻訳は安心して読むことができる。訳者の見解を盛り込んだ注釈があまりないので読みやすい。
自宅の部屋のどこかに埋もれている『朝鮮紀行』はこの本だと思う。
http://urx.mobi/FkBa
■朝鮮紀行〜英国婦人の見た李朝末期 (講談社学術文庫) 文庫 – 1998/8/10
イザベラ・バード (著), 時岡 敬子 (翻訳)
とりあえず、翻訳や注釈の正確性に問題のある平凡社版はおすすめできない。
ただ、韓国の人の歴史観を知るための資料としては、訳者の翻訳や注釈は役立つかもしれない。
どの国の人のことも生理的に嫌うべきではないけど、その人たちの世界観に合わせる必要はない。
韓国の人にも特別な感情を持つことなく自然に付き合いながら、彼らに都合よくアレンジされた歴史観・世界観に流されなければいい。
客観的な視野を持つためにも、彼らの世界観を知っておくことはわるくないと思う。