新・徒然煙草の咄嗟日記

つれづれなるまゝに日くらしPCにむかひて心に移りゆくよしなし事をそこはかとなく紫煙に託せばあやしうこそものぐるほしけれ

私はアラビアのことを何も知らなかった(前編)

2018-02-25 19:10:17 | 美術館・博物館・アート

きのう、東京国立博物館(トーハク)に行ってきました。

お目当ては、咲いているであろうウメを眺めることと、特別展「仁和寺と御室派のみほとけ ― 天平と真言密教の名宝 ―」を観ることだったのですが、11時半頃トーハクに着くと、入り口前には仁和寺展は「入場待ち30分だという掲示が

あれまぁ~ これほど仁和寺展が人気を博しているとは思いもよりませんでした

しかも、ウメの方も、、、

まだ3分咲き程度で、香り弱い
それでも、2羽メジロ大好きウメの蜜の味を楽しんでおりました。

現在、トーハク表慶館では「アラビアの道-サウジアラビア王国の至宝」が開催中です(3月18日まで)
この展覧会が開催されていることは知っていましたが、勝手にサウード王家が所有するキンキラキンお宝が展示されているものと思い込み、食指が動きませんでした。

ところが、「アラビアの道」展総合文化展のチケットで鑑賞できる(トーハクのメンバーズプレミアムパスを持っている私は追加料金無し)ことを知って、観るだけ観ようか、という事にしました。現金なものです

で、表慶館の入口左にはアラブ(ベドウィン)のテントが設置されていまして、まずはこちらを拝見

映画「アラビアのロレンス」を想い出しますなぁ

このテントを拝見して驚いたのは、分厚い絨毯のようなもので作られているということ。
と昼の寒暖差極端砂漠で使うテントですから断熱性を重視した材質なんでしょうね。

表慶館に入ると、写真撮影OKとの表示がありました。もちろん三脚を使ったりフラッシュを光らせるダメですけど。
へぇ~、特別展で撮影可なんて珍しい… と思ったら、表慶館のロビーに展示されていたのは、「サウード王家のキンキラキンお宝ではなく、、

BC3500~BC2500年頃の「人形石柱(ひとがたせきちゅう)」だそうで、トーハクの平成館1階の考古展示室に常設展示されている「石人」と似た感じ。

でも、「石人」AD6世紀頃のものなのに対して、こちらはBC3500~BC2500年頃ですからとてつもなく古い

アラビアと聞くと、砂漠石油ラクダナツメヤシお金持ちの王族、、、となんとも貧弱なイメージしか持ち合わせない私なのですが、説明板を読んでえ" って感じ。

旧石器時代のアラビア半島には、現在とはまったく異なる景観が広がっていた。近年のサウジアラビアにおける古環境調査は、この200万年ほどの期間に湿潤な時期が数回あったことを明らかにしている。広い草原のいたるところに湖や河川があり、さまざまな動物が群れている-アフリカを出てアジアへの第一歩を踏み出した人類を迎えたのは、このような「緑のアラビア」であった。(中略)
農耕定住社会が成立すると、次に、その周辺を行き来して遊牧や狩猟を営む人びとが出現する。アラビア半島のステップ地帯では、新石器時代にこうした人びとが拡散していった。広大なサウジアラビアの各地で、矢尻などをともなう新石器時代の遺跡が確認されている。

BC6000年頃矢尻が展示されていまして、狩猟していたんでしょうねぇ。

「人形石板」につづいてこちらの作品もおぉ

「土偶」ならぬ砂岩でできた「石偶」でして、

女性を表している。
表面に赤色顔料が残る。

だそうで、これまた土偶に似ている。
そして、BC3500~BC2500年頃のものだそうですから、日本でいえば縄文時代晩期遮光器土偶の時代ですな。

偶ではなく偶」のトレンドはお椀の類も同様で、日本(縄文時代)なら当然のように土器のところ、

石製容器(BC2400~BC2500年頃)だそうです。
それにしてもきれいに磨いたものですなぁ。

そういえば、日本って、を細工した彫刻作品ってありませんよね。
せいぜい、石灯籠とか板碑とか五輪塔とか、彫刻作品と呼べるか怪しい石垣くらいのものです。
どうしてなんでしょ?
日本では幕末期になるまでほとんどレンガが使われなかった(こちらの記事をご参照方)理由と相通じるものがあるのかもしれませんが、真相は不明です

   

この記事の初めの方で、この展覧会が「サウード王家所蔵のキンキラキンお宝が展示されていると勘違いしたことを書きましたが、それはこの展覧会のタイトルの後半、「サウジアラビア王国の至宝」に惑わされたためです。
でも、メインタイトルは「アラビアの道」

王国の栄華、その知られざるルーツを辿る。

という惹句が掲げられたフライヤーの裏面から引用しますと、

古代より交易路が張り巡らされ、人々と諸文明が行き交ったアラビア半島。その躍動的な歴史と文化を示すサウジアラビア王国の至宝を日本で初めて公開します。

現在、アラビア半島の1/3は、岩と砂しかないルブアルハリ砂漠が占めていて、Wikipediaによれば、

ベドウィンでさえ、その辺縁を移動するにすぎない。

というハンパない「交通の難所になっているわけですが、そんなアラビア半島には、かつては「交易路が張り巡らされ」、現在はイスラム諸国から「巡礼の道」が通じているんですな。

展覧会の半分くらい観たところで、私は「アラビアのことを全然知らなかった…」痛感しました。

後半も初めて目にする「世界」が繰りひろげられたのですが、そのお話は「つづき」で。

つづき:2018/02/26 「私はアラビアのことを何も知らなかった(中編)」

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