新・徒然煙草の咄嗟日記

つれづれなるまゝに日くらしPCにむかひて心に移りゆくよしなし事をそこはかとなく紫煙に託せばあやしうこそものぐるほしけれ

福岡・アートの旅 2日目のこと(その2)

2016-09-24 09:26:10 | 旅行記/美術館・博物館・アート

「福岡・アートの旅 2日目のこと(その1)」のつづきです。

九州国立博物館(九博)に入ると、いつも最初に目に飛び込むのは、展示室に向かう大エスカレーターの手前に展示されている博多祇園山笠壮麗飾り山なんですが、、、

あれ、無い
その代わり、大勢の人が、木材と格闘しています。

何をしているのかと思いきや、近くの説明板によれば、

九州国立博物館に“飾り山”が飾られます
博多の総鎮守櫛田神社の祭礼として、毎年福岡市内において繰り広げられる「博多祇園山笠(国指定重要無形民俗文化財)の飾り山笠が、エントランスに飾られます。
博多っ子の心意気である絢爛な飾り山をぜひお楽しみください。

だそうで、私が出かけた8月7日は、

棒締め(山台に舁き棒を取り付ける行事)
 8月7日(日) 9時30分頃~

が予定されていまして、まさにその「棒締め」真っ最中だったわけです。

丸太と角材とをロープで、ギリギリ音をたてながら締め上げていました
ボルトで締めたら簡単そうなんですがロープで固定するんだ…

ところで、「舁き棒」とは何でしょ?
」という文字を見ること自体、私には初めてで、何と読むのかも判らない

調べると、「舁き棒かきぼう」だそうで、山笠ナビ説明によれば、

舁き手が山笠を担ぐときに直接肩に担う六本の棒の事。
舁き山は六本の舁き棒を中心とし、クギを一本も使わず麻縄で締めて頑丈に組み立てられる。

とのこと。
判った気はするのですが、そもそも「舁く」って何?

調べると、「(二人以上で)物を肩にのせて運ぶ。かつぐ。」という意味だそうで、たしかに、駕籠を担ぐ人を「駕籠かき」といいます
「駕籠かき」「駕籠舁きと書くことを、きょう、初めて知りました というか、疑問にもおもっていなかった…

   

さて、今回の旅行のメイン「東山魁夷 自然と人、そして町」展。

エントランスを見るだけでは閑散としている感じなのですが、展示室内はかなり盛況
そりゃそうだよねぇ~。近代日本画の巨匠東山魁夷回顧展なんだもの。

観客の皆さんは、静けさの中にが響くような(まさに「The Sound of Silence」魁夷作品の数々にうっとりしているようでした。

私、東山魁夷の作品は、あちこちの美術館・展覧会何点も何度も拝見していますが、やはりイイ

そんな中で、今回の鑑賞でとりわけ「響いた」のが、

京都を描いた「年暮れる」です。1968年の作品で、「ぼってりとしたぼたん雪が降る大晦日、京都ホテルの屋上から東側を見下ろし、鴨川沿いに立ち並ぶ、しんと静まりかえった家並みを描いている(図録より)」。
雪夜青い明るさ、手前の家にほのかに見える灯り、様々な大きさや形の屋根屋根にうっすらと載った、降り続くぼたん雪の静けさ、、、、ホント、イイ

この作品は、「京都は今、描いといていただかないとなくなります。京都のあるうちに描いておいて下さい」という川端康成懇願を受けて出かけた京都旅行で描いたものだとか。
そして、図録によれば、

現在、この辺りはビルや駐車場ができ、本作品のような静かな家並みは見ることができない(以下略)

だそうです。

   

そして、私が最も楽しみにしていたのが、唐招提寺御影堂障壁画でした。

私にとって10年ぶりの再会となる唐招提寺御影堂障壁画は、10年前の「唐招提寺展 国宝 鑑真和上像と盧舎那仏」@東京国立博物館のときと同様、御影堂(みえいどう)の実際の間取りに合わせて展示されていました。(襖の両面に障壁画が描かれているため、会場の広さが十分ならば、実際の間取りに合わせて展示するのが合理的でもある)

前記のとおり、「東山魁夷 自然と人、そして町」@九博はかなり賑わっていたとはいえ、東博で拝見したときの雑踏のような環境とは天国と地獄の違いで、行ったり来たりしながら、じっくりと堪能できました。

今回気づいたことがありました。

それは、唐招提寺御影堂障壁画サイズ(縦)にいくつかパターンがあるということ。

完全に真っ平らだと思い込んでいた唐招提寺御影堂の床、実は部屋によって高さが違うし、それに合わせるべく鴨居の高さも違うんですな。(こちらの記事に書いたように、興福寺一乗院門跡の宸殿 殿上 公所 玄関等の建物」唐招提寺御影堂として移築した際の基礎工事不備から、別の意味で床が真っ平らでなくなったらしい)

下の展示の様子をみると、左側の「上段の間」に繋がる壁面の長押の高さが違いますでしょ?

それはさておき、私は掲示されていた間取り図と展示とを見比べながら(したがって展示室をの中を行ったり来たりしながら)、実際に唐招提寺御影堂の中で拝見しているのだと夢想しながら、ホント、じっくり、じっくりと東山画伯のこもった作品を鑑賞いたしました。

残念だったのは、観客の動線を考慮したのか、上段の間床の間の壁画が、襖絵(どちらも彩色画「山雲」)から離されて、水墨画「黄山暁雲」の描かれた桜の間の展示に隣接して展示されていたことと、図録御影堂間取り図が載っていないこと

かなり悔しいので、こちらのサイトを参考に、Excel御影堂間取り図を描いてみました。

この図図録で、好きなだけ唐招提寺御影堂障壁画再体験できます

ということで、「東山魁夷 自然と人、そして町」@九博の見聞録はおしまいです。

この展覧会、をつけるなら、★★★☆かな?
東山画伯の作品群って、一堂に会したものを拝見するより、思いがけず2~3点の作品に出会う方が、トキメキは大きいのではないかと思ったもので、ちょいと厳しい★になりました。

つづき:2016/10/02 福岡・アートの旅 2日目のこと(その2)

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