新・徒然煙草の咄嗟日記

つれづれなるまゝに日くらしPCにむかひて心に移りゆくよしなし事をそこはかとなく紫煙に託せばあやしうこそものぐるほしけれ

肌寒かった関西旅行記(その13・奈良編⑧ほか)

2013-06-16 18:16:16 | タウンウオッチング

「肌寒かった関西旅行記」「奈良編」「肌寒かった関西旅行記(その12・奈良編⑦)」で完結させたはずだったのですが、書き漏らしがありましたので、超小ネタと併せて「その13」とします。

當麻寺に向かう途中のこと、当麻寺駅から當麻寺に通じる道の傍らに「相撲館」という看板を掲げた施設がありました。

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なんでここに「相撲館」? と思いつつ通り過ぎようとした時、すぐ隣りにあるこちらが目に止まりました。

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「史跡 当麻蹶速之塚」とされる五輪塔です。

かなり読みづらくなっている「相撲開祖當麻蹶速の塚」と題された説明板によるとこの五輪塔は、史上初の天覧相撲を取り、そして敗者になった當麻蹶速(たいまのけはや)を弔うものだとか。

相撲のルーツを辿ると、何とかの宿禰すくね)誰かが戦ったことだという話を聞いたことがあるような気がします。
そうかぁ、その「何とかの宿禰」(野見宿禰)と戦って敗れたのが、この地・當麻の住人・當麻蹶速だったということですか…。

日本相撲協会のHPを見ると、

我が国の相撲の起源としては、古事記(712年)や日本書紀(720年)の中にある力くらべの神話や、宿禰(すくね)・蹶速(けはや)の天覧勝負の伝説があげられる。

と書かれています。
さっそく原典にあたってみましょう。
日本書紀の第6巻「活目入彦五十狹茅天皇(いくめいりびこいさちのみこと) 垂仁天皇」にその記述が出てきます。

七年秋七月己巳朔乙亥 左右奏言 當麻邑有勇悍士 曰當麻蹶速 其爲人也 強力以能毀角申鉤 恆語衆中曰 於四方求之 豈有比我力者乎 何遇強力者 而不期死生 頓得爭力焉 天皇聞之 詔群卿曰 朕聞 當麻蹶速者 天下之力士也 若有比此人耶 一臣進言 臣聞 出雲國有勇士 曰野見宿禰 試召是人 欲當于蹶速 即日 遣倭直祖長尾市 喚野見宿禰 於是 野見宿禰自出雲至 則當麻蹶速與野見宿禰令力 二人相對立 各擧足相蹶 則蹶折當麻蹶速之脇骨 亦蹈折其腰而殺之 故奪當麻蹶速之地 悉賜野見宿禰 是以其邑有腰折田之縁也 野見宿禰乃留仕焉

これではさっぱり判りませんな…
相撲館のリーフレットの助けを借りて現代語訳すれば、

大和国當麻村に住んでいた蹶速という男は強力の持ち主で、角を手でへし折り、曲がった鉤を伸ばしてしまうほど。蹶速は日頃から「この世で互角に力比べができるヤツはいない。もしそんなヤツがいたら、是非力比べしたいものだ」と豪語していた。
これを耳にした垂仁天皇は、家臣に「當麻蹶速なる者は天下の力士だと聞く。彼と対等に戦える者はいないか」と下問した。すると、家臣の一人が、「出雲に野見宿禰と申す勇士がおります。彼を召して蹶速と対戦させてはいかがでしょうか」と提案した。天皇は賛成し、ただちに野見宿禰を召し出し、當麻蹶速との対戦が実現した。
二人は互いに足を蹴り合い、野見宿禰が當麻蹶速の肋骨を折った。さらに
野見宿禰は當麻蹶速の腰骨を踏み折って、殺した。
天皇は勝者となった野見宿禰に、當麻蹶速の所領を褒美として与えた。その地は「腰折田」の名で呼ばれるようになった。そして 野見宿禰は當麻の地に留まり、天皇に仕えた。

となりましょうか。

凄惨です 相手を殺すまでやるか?

現代の相撲にもけたぐりという技がありますが、こちらの記事によれば、横綱審議委員会が去年秋に日馬富士を横綱に推挙するにあたって、

その一方で張り手けたぐりなどの「禁止令」が出るなど品格を不安視する意見も出た

とありますから、けたぐり張り手ともども、「下品な技」という扱いになっているようです。
しかも、相手を殺すまでやるなんて、スポーツとしてあり得ません

今回は時間を読めなかったので「相撲館」を素通りしましたが、次に當麻寺に行くときは、相撲館を観覧する時間を織り込んでスケジュールを組みたいと思ったのでありました。

ところで、この記事に登場した垂仁天皇、、、もしかして御陵西ノ京近くにあるあの古墳?

3年半前の記事「年末関西旅行記(その9)西ノ京の巻<下>」をひもとくと、やはり、あの古墳垂仁天皇陵でした

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次は奈良に出かけた日の夕食に絡んだ話、小ネタです。

この日の夕食は、鶴橋に出かけて焼き肉を食べたんですが、JR鶴橋駅にこんなポスターが掲げられていました。

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「駅の空気が変わりました。」

え゛

夜のJR鶴橋駅には、以前と変わらずに焼き肉の匂い充満しているんですけど…

って、駅が全面禁煙になったというポスターですか…

う~む…

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肌寒かった関西旅行記(その12・奈良編⑦)

2013-06-16 14:45:11 | 旅行記

関西旅行記のペースを上げるべく「肌寒かった関西旅行記(その11・奈良編⑥)」のつづきを書きます。
これで「奈良編」完結させるぞ

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奈良訪問当日の記事「関西旅行2日目のダイジェスト」に書きましたように、當麻寺でもっとも印象的だったのは、これでもか とばかりに咲き競う花々でした。
いやはや、ホントにキレイでした

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どうしてこんなに多くの牡丹が育てられているのかと思ったら、HPにこうありました。

 牡丹(ぼたん)の大輪の花は"百花の王""富貴の花"と賞されます。百獣の王の獅子坐に座る大日如来さまへの供花として、唐の都では多くの寺院に植えられました。弘法大師さまもその姿を目の当たりにされ、現世の浄土を感じられたそうです。
 當麻寺でもそれに倣い、みほとけの世界の表現として、各僧坊の裏庭に牡丹(ぼたん)を植えています。中之坊では約1200株の牡丹が季節になると色とりどりの花を咲かせます。(4月下旬-5月はじめ頃)

だとか。
牡丹だけでなく、様々な花が咲き誇っていて、まさしく「みほとけの世界」かも…

シャクナゲも満開

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サクラソウっぽいけど、葉っぱがかなり違うのとか、

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まだ咲き初めのとか、

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「関西旅行2日目のダイジェスト」に載せたスミレとか、
ハナハナでも獏の木鼻とか…

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冗談はさておき、私が初めて見る花もありました。こちらハンカチの木で、

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こちら花筏(ハナイカダ)

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葉っぱの上に花が咲くという妙な木です。

私、「花筏」と聞くと、すぐに落語を連想してしまいます

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奥院本堂(桃山時代の創建以来初めての解体修理中)の前に、点々とが並んでいました。

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その意図は何? と覗き込むと

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サカナ(メダカ?)泳いでいます

130616_2_10 そして、それぞれの鉢には、どうやらが植えられているようです。

奥院のHP「花暦」には、

(はちす・はす)
スイレン科の多年草。インド原産。
仏教と関わりの深い花です。
7月、庭園内の池、本堂前の境内に咲きます。

と書かれていますから、間違いないでしょう。
境内に置かれた鉢からポンポンと蓮の花が顔をのぞかせている様子を想像すると、これは見ものだという気がします。
の季節の當麻寺は、さぞかし「浄土」しているんだろうな…
いつかはの季節に當麻寺にやって来たいものだと思ったのでありました。

   

昼下がりの低いテンションとは対称的に大きな満足感を胸に、當麻寺をあとにして当麻寺駅に向かう途中、いかにも由緒ありげな、目を惹く建物がありました。

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「重要文化財 當麻寺 薬師堂」という看板が立っています。
もう當麻寺の境内から出たと思ったのですが…

文化庁国指定文化財等データベースによると、

名称:當麻寺薬師堂
ふりがな:たいまでらやくしどう
員数:1棟
種別:近世以前/寺院
時代:室町中期
年代:文安4
西暦:1447

構造及び形式等:桁行三間、梁間三間、一重、寄棟造、本瓦葺
指定番号:01810
国宝・重文区分:重要文化財
重文指定年月日:1971.06.22(昭和46.06.22)
所在都道府県:奈良県
所在地:奈良県葛城市當麻
所有者名:當麻寺
解説文:奈良時代の東西両塔が残ることで著名な当麻寺の飛地境内にある方三間堂で、文安四年(一四四七)につくられている。 内部は丸柱をたて方一間の内陣をつくるが、この正面意匠は当代の特徴をよく示している。 当麻寺伽藍の一連のものとして保存すべき建物である。

とのこと(該当ページにリンクをはれない…)。

あれ?奈良時代の東西両塔が残ることで著名な当麻寺」って、、、、
東塔は奈良時代西塔は平安時代の建立だったんじゃなかったかな…

国指定文化財等データベース「當麻寺西塔」を調べると、

名称:當麻寺西塔
ふりがな:たいまでらさいとう
員数:1基
種別:近世以前/寺院
時代:平安前期
年代:平安前期
西暦:794-929

とあります。
この齟齬はいったい…

それはともかく、今回も、総じて大満足奈良訪問でありました。

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つづき:2013/06/16 肌寒かった関西旅行記(その13・奈良編⑧ほか)

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肌寒かった関西旅行記(その11・奈良編⑥)

2013-06-16 10:54:42 | 旅行記

「肌寒かった関西旅行記(その10・奈良編⑤)」につづいて當麻寺訪問記です。

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當麻寺では奈良国立博物館での特別展「當麻寺 -極楽浄土へのあこがれ-」の開催に合わせて、こちらでちらりと書いたスタンプラリーだけでなく、「梵鐘の特別公開」も行われていました。
130616_1_01_3 白鳳時代に鋳造されたという日本最古の梵鐘を間近に拝見できるというこの「特別公開」

伽藍三堂の拝観券もしくは當麻寺展の半券が必要です

 

だそうで、當麻寺展東京国立博物館パスポートで観た私の場合、「當麻寺展の半券」がありません
パスポートに捺された當麻寺展のスタンプをお見せすることで「當麻寺展の半券」の代わりになるかもしれませんでしたが、伽藍を拝観した後でいいか… と考え、とりあえず鐘楼をチラ見して先に進みました。

130616_1_03 ところが、「中の坊」を除く伽藍と花をたっぷりと堪能して、「さて、大阪に戻る前に梵鐘を拝見するか…」とすると、、、「梵鐘の特別公開」
終了
していました…

改めて鐘楼の仮設の階段横に置かれた看板を見ると、

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拝観時間は「10時~16時」

この時、時計16:25を示していました
痛恨
ちゃんと確認しておけばよかった…

   

當麻寺は、「伽藍三堂(本堂・金堂・講堂)」「中の坊」「奥院」「西南院」「護念院」の5ヶ所それぞれで300~500円の拝観料をお支払いする必要がありまして、スタンプラリーのリーフレットをお見せするとそれぞれ100円引きの特典がありました。

130616_1_04それはさておき、當麻寺には、「白鳳時代の梵鐘」のほかにも「日本最古がいくつかあります。
金堂のご本尊・弥勒仏「日本最古の塑像」だし、同じく金堂四天王像「日本最古の乾漆像」だし、金堂に南側にある石灯籠「日本最古の石灯籠」だそうな

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これらの「日本最古の…」、当然のようにぜんぶ「国宝に指定されているのかと思いきや、さにあらず、梵鐘弥勒仏国宝ですが、四天王像石灯籠重要文化財どまりです。

この違いはどこから来るのでしょうか?

特に四天王像は、乾漆像としては「日本最古「四天王像」としても法隆寺金堂のものに次ぐ古さであることに加えて、その面貌の良さが際立っていると思うのですけど…

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上の画像は、「スタンプラリー」満願成就記念品のクリアフォルダー(A5サイズ)です。
また、こちらは「伽藍三堂(本堂・金堂・講堂)」の拝観券にあしらわれている増長天

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西国(さいごく)の雰囲気を醸し出す、ちょっと他では拝見できないお顔立ちです。

Wikipediaによれば、

各像とも補修や後補部分が多く、多聞天像は全体が鎌倉時代後期頃の木造に代わっている。他の像も後補部分が多く、増長天像は下半身のすべてと両襟、両袖などが木造の後補であり、広目天像は頭部、両襟、両手の前腕部などに当初のものを残すほか、体部の大部分が木造の後補である。比較的当初の乾漆層を残すとされる持国天像も下半身や両袖などには大幅に修理の手が入っている。

だそうで、この辺りが「重要文化財に留め置かれた理由なのかもしれません。

   

ところで、當麻寺は「近世以前建立の東西両塔が残る日本唯一の寺としても知られる」(Wikipedia)そうな。

東塔(奈良時代末期?)と西塔(平安時代初期?)、どちらも三重塔で、同じような高さで、法輪が8つ(普通は九輪)なのですが、よく見ると、水煙が違っています。

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左が東塔、右が西塔相輪です。

東塔の相輪は、近未来的な感じがします。上海名物の東方明珠は、相輪をイメージしてデザインされたのではないかと思っていますが、東方明珠よりも當麻寺東塔の相輪の方が、ずっと洗練されたデザインだと思いますがいかがでしょうか?(と言うか、東方明珠はかなりバランスの悪いデザイン≒不細工で、これと比べるのは非常に失礼だと思う…

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それはともかく、緑濃い西南院庭園からの西塔の眺めは、最高に気持ちよく、心癒されるものがありました。

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こんなところで、思う存分にまったりと時間を過ごせたら、さぞかし心の洗濯ができるでしょうなぁ…。

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當麻寺訪問記はまだつづきます。

つづき:2013/06/16 肌寒かった関西旅行記(その12・奈良編⑦)

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