■渚の想い出 / Michel Polnareff (Disc'AZ / エピックソニー)
やっぱり季節を考慮すれば、本日は夏の歌のご紹介ということで、掲載したのは1972年に我が国で発売されたミッシェル・ポルナレフのせつないヒット曲「渚の想い出 / Tous Les Bateaux,Tous Les Oiseaux」をA面に入れたシングル盤です。
しかし、この「渚の想い出 / Tous Les Bateaux,Tous Les Oiseaux」は決してリアルタイムでミッシェル・ポルナレフが吹き込んだ歌じゃ~なくて、しかも作詞:ジャン・ルー・ダバディ&作曲:ポール・ドゥ・センヌヴィルというクレジットを確認すれば、本人の自作曲でもないという真相は、つまりは当時の日本におけるミッシェル・ポルナレフの爆発的人気を逆説的に証明するものでしょう。
ご存じのとおり、ミッシェル・ポルナレフは前年の「シェリーに口づけ / Tout, Tout Pour Ma Cherie」のメガヒットから一躍我が国で大ブレイク!
如何にもフランスという、日本人にとってはロマンチックでオシャレなイメージのお国柄を相当に濃~いはキャラで歌って演じた才能は、局地的に顰蹙や笑いのネタにされていた事も否定は出来ないながらも、とにかく発売するレコードは次々にヒットしていたわけで、それが前述「シェリーに口づけ / Tout, Tout Pour Ma Cherie」以下、「愛の願い」「哀しみの終わるとき」「愛のコレクション」と続いたところで、いよいよ「渚の想い出 / Tous Les Bateaux,Tous Les Oiseaux」となったんですが、実は本国フランスでは既に1969年にヒットしていたという、つまりは蔵出しというか、とにかくミッシェル・ポルナレフが歌っている、とにかく「らしい」がシングル曲をっ!?!
というレコード会社側の思惑が見事に的中したというのが、これだったというわけです。
しかも、もう一丁凄いのは、ジャケットスリーブに記載された「来日期待盤」という、トンテモ系寸前の煽りコピー!?!
そうです、ありがちな「来日記念盤」じゃ~ないところにも、当時のミッシェル・ポルナレフの破格とも云える人気ぶりが証明されているんですねぇ~~~!?!
そして願いは叶い、いよいよ1972年晩秋には興奮度絶頂の初来日公演が敢行されたのは今や歴史となり、しかもその前段として、この「渚の想い出」に続き、「愛の休日」がウルトラ級のメガヒットになっていたのですから、このあたりがミッシェル・ポルナレフの全盛期だったような気がします。
で、今回気がついたんですが、ミッシェル・ポルナレフは決して純粋な(?)シンガーソングライターではなく、この「渚の想い出 / Tous Les Bateaux,Tous Les Oiseaux」は既に述べたように他の作者からの提供曲ですし、件の「愛の休日」にしても、同じく作詞はジャン・ルー・ダバディだったんですねぇ~~~。
つまり、ミッシェル・ポルナレフはその派手な部分が既にしてポップスタアの素養であり、だからこそシンガーソングライターという、ある意味では内省的なイメージを覆す存在だったとすれば、例のケツ出し騒動も含めて、同時期にスタアの座を射止め、ついにはド派手なポップスタアに成り上がったエルトン・ジョンにも影響を与えたと勘繰るのは、サイケおやじだけでしょうか。
そ~ゆ~思い込みもあるもんですから、サイケおやじはミッシェル・ポルナレフのあれやこれやを捨てきれないのかもしれません。
なにか決定的なアンソロジーとか、出ていたら聴いてみたいものです。