OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

1971年のシェール復活

2016-10-24 17:46:32 | Pops
悲しきジプシー / Cher (Kapp / 日本ビクター)
 
現在の我が国では洋楽マニアぐらいにしか人気がないソニーとシェールですが、本国アメリカでは絶大な人気があって、それはソニーとシェールをメインレギュラーに、1971年夏から放送がスタートしたテレビのコメディバラエティが爆発的にウケまくったからと云われています。
 
実際、サイケおやじもある幸運から初めてアメリカに行けた1974年に件の番組に接したんですが、その中の台詞の意味は完全に理解出来なくとも、ド派手で悪趣味、そしてトホホでエロっぽい衣装でトンデモ系のアクションや下卑た仕草、さらには多分に風刺を含んだギャグやオチを放っていたと思われるソニーとシェールの存在感は強い印象でしたし、如何にも現実的な夫婦の相克を表現していたとしたら、額に汗も滲みますが、それも当然と思うばかりです。
 
しかし、この夫婦デュオは決して順風満帆であったわけじゃ~なく、最初は大ヒットも出せてはいたものの、1960年代半過ぎ頃からは落ち目の三度笠……。昔の名前でどうにか出ていられたような感じだったのかもしれませんし、ソニー・ボノもシェールも、夫婦になる以前からハリウッドの芸能界ではそれなりに仕事が出来ていたコネがあったことから、ドサ回りのナイトショウ等々ではキワドイ芸を披露していても、それをテレビ向けに改作転用出来るという業界の方針には直ぐに馴染めたのかもしれません。
 
で、そんなこんなの時期にソロシンガーとしても幾つかのレコードを出していたシェールが1971年の秋、ついにカッ飛ばした大ヒットが、掲載のシングル盤A面曲「悲しきジプシー / Gypsys, Tramps and Thieves」で、これは日本でも秋から冬にかけてラジオでもバンバン流されていた、なかなか西部劇調(?)の哀愁メロディーが印象的なエキゾチックポップス&ロック♪♪~♪
 
どうやら歌詞本来の中味は、放浪の旅芸人一座に生まれた女系の宿命らしく思えますが、シェール本人もインディアンの血を引く、ちょっぴりアクの強い美女だけに、レコードよりはテレビやライブステージでこの「悲しきジプシー / Gypsys, Tramps and Thieves」を歌う姿は、素晴らしく「絵」になったんじゃ~ないでしょうかねぇ~~♪
 
おそらくは前述したテレビショウでも頻繁に歌っていたという推察は易いですから、大ヒットになった事も説得力があります。
 
また、我が国でもこの曲がウケたのは、どうにも不思議な魅力の哀愁が感じられるメロディとサウンド作りの妙でしょう。
 
シェールの力強いボーカル、シンプルな8ビートにマイナースケールを多用した曲展開、薄口ながらコクのあるストリングスの存在感も巧みなアレンジで、実はこのシングルに収録されているのはモノラルミックスなんですが、全体として些かチープな雰囲気と濃密な空気感が個人的には好きなところなんですよ♪♪~♪
 
そしてこれが当時の歌謡曲に転用されていった事は言うまでもなく、しかも絶対にモロパクリじゃ~なくて、様々な要素が隠し味的に使われている事は、昭和歌謡曲に親しみ、またシェールの「悲しきジプシー / Gypsys, Tramps and Thieves」を聴かれた皆様であれば、あぁ~、あれねぇ~~♪
 
等々、思い当たるフシが浮かんでしまうはずと僭越ながら推察する次第です。
 
ということで、これ一発で完全にトップスタアに返り咲いたシェールは、以降もシングルヒットを放ち、また女優や芸人タレント(?)として絶大な人気を集めていくのですが、その中でロックファンが忘れていないのがグレッグ・オールマンとの熱愛~結婚の騒動(?)じゃ~ないでしょうか。
 
なにしろ彼女に夢中になったグレッグ・オールマンが自らが率いていたオールマンズでの活動に身が入らくなってのあれやこれやは、オールマンズ解散の要因のひとつだと指摘される事が度々ですから……。
 
う~ん、シェールの美しき怖さは天下一品!?
 
篭絡されていも、悔いは無いと言い切れるのが男の本懐だとしたら、以て瞑すべし……。
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