OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

荒木由美子のジワジワ滲みる竜童節

2014-04-10 15:31:58 | 歌謡曲

ヴァージン・ロード / 荒木由美子 (キャニオン)

所謂歌謡ロックと言えば、どうにも派手な印象がありますが、ちょい聞きには地味なムードでも、なかなかロック本来の滋味が強い隠れ名曲があると書けば、それはダジャレでも、何でもありません。

例えば本日掲載のシングル盤A面収録の「ヴァージン・ロード」は作詞:阿木燿子&作曲:宇崎竜童という、歌謡ロックの王道ソングライター夫婦が書いた、なかなか芯の強い作品と思います。

もちろん、これが発売されたのは昭和52(1977)年秋でしたから、流行洋楽の見地からすれば、ニューソウルやウエストコーストロックあたりの美味しい要素、そして邦楽では歌謡フォークやニューミュージック等々のセンチメンタルで、如何にも日本人の琴線に触れる、ある種の「コブシ」が入っている事は、とても大切なところでしょう。

それは特に矢野立美が関わったアレンジにおいて、間奏のギターパートに表出されるイーグルス風味、あるいはストリングの使い方がシカゴ系ニューソウルの色濃いムードに強く、加えて曲メロに「竜童節」が、たっぷりと塗されているのですから、たまりません♪♪~♪

しかもミディアムテンポの仕上げ方が荒木由美子という、アイドルど真ん中で売り出されていた歌手には、ちょいと不釣り合いなバランス感覚の面白さに繋がっているんですよねぇ~~♪

特に、あらためて言うまでもありませんが、失礼ながら、幾分拙い彼女の歌唱力からして、丁寧に演じようとする荒木由美子の一生懸命さが、切々とした情感として伝わってくると感じるのは、サイケおやじだけでしょうか。

つまり荒木由美子の魅力のひとつである、健気さとか頑張っているとかの、所謂一般的な意味合いの「根性」とも微妙に異なる生真面目さが、この「ヴァージン・ロード」を味わい深いものにしているんじゃ~ないでしょうか。

皆様ご存じのとおり、大ヒットにはなりませんでしたが、妙にサイケおやじの耳と心に残っている歌であり、昔っから自作した歌謡ロックのベストカセットやCDRには、必ず入れてしまうというほどです。

う~ん、地味な歌謡ロックも素敵ですよ、実際♪♪~♪

ということで、近年は宇崎竜童の再検証もあるみたいで、CD屋の店頭ではソングブック企画の編集盤も見かけたんですが、この「ヴァージン・ロード」が入っていなかったのは残念……。

当然ながら、大ヒットした名曲の多いソングライターですからねぇ~、とてもCD1枚の選集では収まらないのは自明の理ではありますが、もしも企画の第二弾が出るのであれば、ぜひともっ!

そういう思いと願いを持って、これを書いているのでした。

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