■きっと言える c/w 飛行機雲 / 荒井由美 (東芝)
ユーミンに春の叙勲受章が発表されました。
その功績は我国芸能史の中でも特筆されるべきもので、リアルタイムの昭和47(1972)年のレコードデビュー時から今日に繋がる老若男女の大勢のファンが、一緒に共感出来る数少ない歌の世界を提供し続けてきたことが認められたのでしょう。
しかも常に時代の最先端を取り入れながら、決してイヤミにならない存在感は、ある意味では商業戦略の上手さであり、また「人徳」を強く感じさせるのですから、それは憎らしいほどです。
中でも凄いなぁ~、とサイケおやじが思うのは、ユーミンのファッションセンスの素晴らしさで、これまで発売されてきたレコードのジャケットを眺めているだけで、浮かんでは消える時の流れのあれこれがっ!
本日掲載のシングル盤も、まさにそのひとつとして、これは昭和48(1973)年のムードがきっちり撮られたジャケ写が嬉しいでしょう。
実は既に皆様ご推察のとおり、これは最近の拙ブログで続けている「帽子ファッション」の一環で選んだものでして、ユーミンには失礼かと思いますが、これも当時のアンノン系ファッションの典型でありました。
ただしユーミンが流石なのは、時代の中のどんなファッションを身につけても、それをきっちり着こなせる術を持っていた事で、言い換えれば、それだけのセンスの良さがユーミンにはあったんだと思います。
いや、「思います」なぁ~んて言葉は不必要!
だって洋装ばかりか、和装もエスニック系フッションも隔てなく着こなすユーミンは、それを自らの歌の世界にサウンドとして表現してきたのですからねぇ~♪
もちろんヘアメイクも同様であり、率直に言わせていただければ、決して一般的な美女イメージではないユーミンが常に堂々と先端ファッションで存在しているかぎり、それは世界中に勇気を与えたと言っても許されるんじゃ~ないでしょうか。
平たく言えば、ハイセンスでありながら、所謂タカピーではないところは商業戦略として評価される向きもありますが、全盛期だった1980年代の意図的としか思えない「ブスメイク」等々は、案外本音だったのかもしれません。
そこが女性から共感を覚えられるところだとしたら、すっかり還暦間近のユーミンが今も少女~大人の女性の気持を忌憚なく自作自演出来るのは、驚異!
もう、その一言で決まりでしょう。
ということで、ユーミンは決して権威主義者ではないと思いますし、若い頃はそれなりにテレビ出演には難色を示し、コンサートライプで生の自分に接して欲しいと願っていたそうですが、それじゃ~、ライプに行けない人はど~するの? というマスコミからの質問に対し、平然として「それは仕方ないんじゃ~ないの」と答えたという、伝説的な逸話を業界の人から聞かされたりもしました。
また、サイケおやじは震災前の神戸に幾つもあったド派手なスタイルの靴しか売っていない店で、ユーミンが漁り買いしている現場に遭遇した事もありましたが、なにかそこでも確固たる信念を強く感じさせられ、とても「サイン、お願いします」とは言えませんでした。
今となっては、その時に……等々、ちょいと考えてしまう事もありますが、そんなこんなを思ってみれば、きっとユーミンは一期一会で何事もやってきた人なんでしょうねぇ~。
最後になりましたが、このシングル盤収録の両面曲は、共に最初のアルバム「ひこうき雲」からのカットではありますが、音のメリハリにLPとは異なる強さを感じます。
あえてミックス違いとは申しませんが、このあたりがアナログ盤の面白さである事は確かですよ。
そして今なら言えますよ、ユーミン、おめでとう♪♪~♪