OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

1976年のデイヴ・メイソン

2012-09-30 15:28:22 | Rock

Certified Live / Dave Mason (Columbia)

決してロックの歴史云々で語られるミュージャンではありませんが、しかしデイヴ・メイソンは1970年代ロックの典型を演じていたことに間違いはなく、その時代、大いに親しまれた存在だったと思います。

そして本日ご紹介の2枚組ライプLPは、その証とも言うべき、1976年に発売れた名演集♪♪~♪

 A-1 Feelin' Alright
 A-2 Pearly Queen
 A-3 Show Me Some Affection
 A-4 All Along The Watchtower / 見張り塔からずっと
 B-1 Take It To The Limet
 B-2 Give Me A Reason Why
 B-3 Sad And Deep As You
 B-4 Every Woman
 B-5 World In Changes
 C-1 Goin' Down Slow
 C-2 Look At You, Look At Me
 D-1 Only You Know And I Know
 D-2 Bring It On Home To Me / 悲しき叫び
 D-3 Gimme Some Lovin'

上記演目は、まさにデイヴ・メイソンの歩んできた道を凝縮した人気曲ばかりなんですが、しかし率直に言えば、その思いはデイヴ・メイソンのファンだけのものでしょう。

このアルバムで初めてデイヴ・メイソンに接したとしたら、本人が在籍していたトラフィックの「Feelin' Alright」や「Pearly Queen」は納得出来るにしても、ボブ・ディランと言うよりも、ジミヘンの「見張り塔からずっと / All Along The Watchtower」やイーグルスの「Take It To The Limet」、サム・クックやアニマルズでお馴染みの「悲しき叫び / Bring It On Home To Me」、挙句の果てにスペンサー・デイビス・グループの「Gimme Some Lovin'」までもやらかす、その節操の無さには、何か他力本願さえ感じてしまうかもしれません。

しかし少なくともサイケおやじは、そういうデイヴ・メイソンの臆面の無さが憎めず、むしろそこが魅力と思っているほどです。

と言うよりも、実はライプの現場では、そういうカパーバージョンをやる事が盛り上がりのひとつのポイントだったのが、1970年代ロックの良さであり、ストーンズやブルース・スプリングスティーン等々、今日でも同じ事をやり続けている人気者が大勢いる事を忘れてならないでしょう。

ただし、そこに演者特有の「色」を付けられるか、否か!?

これが相当に難しく、成し得た者だけが本当にウケるという現実は厳しいものです。

つまり下手すりゃ~、ハコバンになっちまいますからねぇ~~。

さて、そこでこのアルバムはデイヴ・メイソン(vo,g) 以下、ジム・クリーガー(g,vo)、マイク・フィニガン(key,vo)、ジェラルド・ジョンソン(b,vo)、リック・ジェイガー(ds,per) という、当時はスタジオレコーディングも一緒にやっていた不動のレギュラーメンバーを率いてのステージだけに纏まりも良く、加えてライプステージ本来の進行もバッチリですよ♪♪~♪

それはA面がファンキー&ハードロック、B面がアンプラグド、C面がブルースロック、そしてD面が大団円のヒットパレード! というアナログ盤LPならではの構成として楽しめ、しかも異論はあるかもしれませんが、演奏のミスもそれほど手直しされていない正直さには好感が持てます。

なにしろ初っ端の「Feelin' Alright」からして、トラフィックのオリジナルスタジオバージョンとは決定的に異なる、ビシバシのファンキーグルーヴが大炸裂! もっさりしたジェラルド・ジョンソンのペースワークと幾分鈍重なリック・ジェイガーのドラミングが逆説的に素晴らしい効果を生み出し、マイク・フィニガンの如何にもエフェクター全開のキーボードもニクイですねぇ~~♪

また続く「Pearly Queen」もトラフィック時代の演目なんですが、そちらではあまり出番のなかったデイヴ・メイソンが、ここでは大ハッスル! 力みのボーカルに十八番の手癖を弾いてしまうギターが、ファンには泣きの涙でしょう。

ちなみにレコードの中でのギターの存在なんですが、もうひとりのギタリストであるジム・クリーガーのプレイは大部分が右チャンネル寄りにミックスされ、デイヴ・メイソンの本人のギターは真ん中に定位というのが基本ですので、じっくりとお楽しみ下さいませ。

そこで気になる「見張り塔からずっと / All Along The Watchtower」は、実はデイヴ・メイソン本人もアコースティックギターで参加したとされるジミヘンのスタジオバージョンを基本に、デイヴ・メイソンも更なるカバーバージョンを自身が1974年に出したアルバム「デイヴ・メイソン」に入れていますので、それをステージ演目にしている事についても不思議はありません。しかも特別にジミヘンを意識していない、自らのギターワークが冴えまくり♪ もちろん例の「三連節」も出しますから、そのナチュラルな姿勢が「らしい」んですねぇ~♪

それがデイヴ・メイソンです!

さて、そこでまたまた気になるのが、前述したイーグルスのカパー「Take It To The Limet」であって、全く堂々としたアンプラグドでの歌いっぷりが、これまた自然体の極みつきでしょうか!? サイケおやじは好きですよ、こういうのが♪♪~♪

ちなみに、このデイヴ・メイソンの影響でしょうか、当時の日本のバンドでも、イーグルスよりはデイヴ・メイソンのバージョンを真似たカパーをライプでやるのが流行りましたですねっ! う~ん、懐かしい♪♪~♪

しかし、デイヴ・メイソンのオリジナル曲の魅力も忘れてはなりません。

それは英国風味としか言いようのない湿っぽいメロディ展開とアメリカ南部に浸り込んだスワンプ~カントリーブルースの素朴な力強さの自然な融合とでも申しましょうか、全くデイヴ・メイソンだけの世界であって、それがB面で繰り広げられる「Give Me A Reason Why」「Sad And Deep As You」「Every Woman」「World In Changes」と続くアンプラグド大会では心底、堪能出来ますよ♪♪~♪ これは何れも本人自作で、既発アルバムに収録されてきた人気曲ですから、ここもファンに嬉しいパートでしょう。

ちなみに「World In Changes」は途中からエレクトリックなバンドバージョンに変質しますが、それでもメロディラインの味わいは普遍ですし、その意味ではA面に入っていた「Show Me Some Affection」にも、グッと惹きつけられますねぇ~♪

こうしていよいよ2枚目のレコードに針を落せば、まずはC面ド頭!! 

ハウリン・ウルフが有名にしたシカゴブルースの古典「Goin' Down Slow」のプルースロック大会がスタートするんですから、これもまた黄金の1970年代ロックがど真ん中! しかもここではリードボーカルがマイク・フィニガン、トーキンモジュレーターを使ったギターソロがジム・クリーガーという、まさにバンドとしてのリアルな存在がライプでも立派に実証されていますし、右チャンネルに定位するデイヴ・メイソンのサイドギターも地味~に良い感じ♪♪~♪

そして続く「Look At You, Look At Me」が、これまたデイヴ・メイソンが出した傑作アルバム「アローン・トゥゲザー」の中でも特別に印象的だった人気曲のライプバージョンなんですから、バンドメンバーも油断はしていないはずでしょうが、それでも散見されるミスの多さが逆に素敵ですよ。

あぁ、こういうところも、如何にも「らしい」デイヴ・メイソンなんですっ!

そこでクライマックスが収められた最終D面の充実度は言わずもがな、これまたデイヴ・メイソンと言わず、今やスワンプロック必須の名曲になっている「Only You Know And I Know」が飛び出せば、その場はすっかり泥沼フレィヴァ~♪ 得意技の三連フレーズ乱れ撃ちのギター、モタれ気味のヘヴィなビートに心地良く乗せられているボーカルこそが、デイヴ・メイソンの真骨頂だと思います。

またメンバー紹介の後に始まる「悲しき叫び / Bring It On Home To Me」のリラックスした雰囲気の良さも絶品ですし、いやはやなんともの強烈な16ビートに変身させた「Gimme Some Lovin'」は、丸っきり自分達が楽しんでいるムードなんですから、いゃ~、憎めないですよ。

ということで、こんな時代なればこそ、1970年代ロックにどっぷりと浸かり込むのも悪くありません。

ちなみに後年、アルバムジャケ写から柳ジョージを連想し、確かに中身の音楽性もちょいと似ているあたりは様々な憶測を呼びましたが、それはそれとして、とにかく少しでもデイヴ・メイソンに興味を抱いていただければ、本日のプログを綴ったサイケおやじも本望です。

そしてデイヴ・メイソンが同時期までに出してきた代表作LPの「アローン・トァゲザー」「忘れえぬ人」「デイヴ・メイソン」「スプリット・ココナッツ」あたりにも食指を伸ばしていただきたいと願うばかり……。

ただし、それを強く言えないのは自嘲するところで、つまりデイヴ・メイソンは決して押しの強いミュージシャンではなく、あくまでもマイペースな活動で時代を生きていた事への共鳴が好き嫌いの分かれ目と思うだけです。

最後になりましたが、ここでカパーされた「Take It To The Limet」は、デイヴ・メイソンのリーダー盤中、おそらく唯一の公式記録と思われますので、要注意ですよ。

いけねぇ~、イーグルスが聴きたくなってきた……。

コメント (6)
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