OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

汎用性世界一のマイ・ガール

2011-12-25 16:28:36 | Soul

My Girl / The Temptations (Gordy / 日本ビクター)

世界で最も有名なR&Bヒットを選ぶ時、必ずや有力候補に挙げられるのが本日ご紹介の名曲でしょう。

実際、1965年にテンプテーションズが演じるところの「My Girl」はアメリカのチャートでトップに輝き、もちろん忽ち世界中で大ヒットして以降、今日まで歌い継がれ、加えて夥しいカパーバージョンが吹き込まれていますから、何時の時代もリスナーの耳を奪ってしまう傑作であると思います。

で、そのキモはなんといってもシンプルでありながら、実にキャッチーなイントロであって、幾分シンコペイトしたギターフレーズの黒っぽくてお洒落な雰囲気は未来永劫、不滅!

それと柔らかくて覚え易いメロディが、イントロに続く同じリフに乗せられて歌われていくところの流れの良さは本当に絶品のアレンジで、これは後に知ったことではありますが、バックの演奏メンバーは白黒混成の腕利き揃いが即興的にレコーディングの現場で練り上げたというのですから、何か全てに神がかったインスピレーションが「My Girl」には染み込んでいるのかもしれません。

もちろん演じているテンプテーションズは、おそらく大きなヒットはこれが最初でしょう。当時のメンバーはポール・ウィリアムス、エディ・ケンドリックス、デヴィッド・ラフィン、メルヴィン・フランクリン、オーディス・ウィリアムスの5人でしたが、1961年のテンプテーションズ名義での正式デビュー以前から、各々は別々のグループで歌っていたことは言うまでも無く、また個性的な振り付けのダンスや絶妙のコーラスワークが曲毎のリードボーカリストをサポートする魅力は、おそらくは同系黒人グループの最高峰として各方面から高い評価を得ています。

ちなみに、このオリジナルシングルバージョンの「My Girl」でリードを歌っているのはデヴィッド・ラフィンですが、以降の頻繁なメンパーチェンジの所為もあり、実際のライプステージではそれが度々代わっていたと言われていますし、既に述べたとおり、夥しいカバーバージョンの中ではローリング・ストーンズやママス&パパス、そして我国のGSも定番的に演じていたとおり、極めて汎用性の高いところが永劫性の秘密だと思われます。

そして告白しておけば、サイケおやじが「My Girl」を知って、忽ち好きになったのは昭和43(1968)年頃、テレビで某GSがやったのに接してからで、このバンドの名前を失念したのが全く不覚なほど、それは素敵な演奏でした。

というか、楽曲の魅力が優先していたのが本当のところでしょう。

直ぐにレコード屋の店頭で確認した時、初めて黒人グループのテンプテーションズがオリジナルだった事に突き当ったのですからっ!

ということで、本日掲載した私有のシングル盤は後年になって中古でゲットしたものですから、リアルタイムのオリジナルではないと思われますが、これも所謂モータウンサウンドを代表する1曲であれば、その白人感覚は不思議も何でもありません。

つまり当時の最先端は黒人が演じる白人ポップスであり、また逆に白人が演じる黒人音楽のブルースロックやブルーアイドソウルという、逆転的発想が必要とされていたわけですから、とりあえず人種差別に拘らなかった日本や世界各国で幅広くロックやR&Bが浸透していったスピードの速さも納得出来ます。

そしてテンプテーションが1980年代末、なんと「ロックの殿堂」に入るという快挙も、全盛時代にサイケデリックロックから極めて強い影響を受けたような、元祖ニューソウルをやってしまったからでしょうか?

それもこれも、全ては「My Girl」から始まったとすれば、ますます感慨深いところです。

コメント
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