■展覧会の絵 / 麻田ルミ (東芝)
所謂アイドルって、親しみ易さと敷居の高さの並立するバランスが売れる為の絶対条件かもしれませんが、やはり手が届きそうで届かない領域にあってこそ、アイドルの存在価値は絶大であり、後々まで強い印象を残すんじゃないでしょうか。
例えば昭和40年代後半から根強い人気を保ち続けている麻田ルミは、あのテレビ版「おさな妻」の主役として一躍ブレイクし、歌手としても忘れ得ないひとりだと思います。
しかも今にして思えば、彼女は前述した昭和45(1970)年放送の「おさな妻(東京12ch)」から既に様々な芸能の基礎がしっかりしていて、当時は本当に15歳だったんですが、流石は西野バレエ団出身という履歴もダテでは無い実力派だったのです。
ちなみにそれはジュニア小説という名称ながら、富島健夫の原作は思春期少年少女向けに「性の問題」を大胆に扱ったものでしたから、当時はなかなか人気を集め、まずは関根恵子=高橋恵子を大スタアに押し上げた大映制作の劇場版が爆発的なヒットを記録し、その流れで同時にテレビ版が作られたというわけなんですが、当然ながらお茶の間での鑑賞という視点においては、原作や劇場版に顕著だったエロ描写は皆無に等しい内容でした。
物語は保育園でバイトする身寄りの無い女子高校生が、子持ちの中年男と結婚! そして健気に生きていくという展開で、つまりは学生妻というバリエーションが多彩に解釈されていくあたりは言うまでもないでしょう。
また、当然ながら関根恵子は映画版の主題歌も発売していますから、麻田ルミもテレビ版の主題歌を吹き込んでいますが、実は映画版公開もテレビ版放送開始も既に述べたように同時期の昭和45(1970)年秋であり、厳密に言えばテレビ版の方が若干早かったと記憶しています。
つまり関根恵子も麻田ルミも、リアルタイムでは分け隔ての無い注目度だったのですが、正直に差がついたのは、一重にエロティックな描写の有無でありました。
ただし麻田ルミは決して地味な女優ではなく、そのテレビ版は毎週1時間枠で翌年秋までの1年間の放送であった事実からしても、まちがいなく評価は高く、それゆえに続けて様々なテレビ作品に出演しています。
それと歌手としての麻田ルミもアイドル王道の楽曲を出し続け、本日ご紹介の「展覧会の絵」は昭和49(1974)年に発売されたマイナー調の哀愁歌謡曲で、それは作詞:林春生、作曲:筒美京平、そして編曲:高田弘という制作スタッフが揃っていますから、悪いわけがありません♪♪~♪
とにかく一度聴いたら、まさに今の時期にジャストミートするセンチメンタルな気分に酔ってしまうこと、請け合いですよ♪♪~♪
あぁ~~、この人の残した音源も集大成されるべきでしょうねぇ。
というのは、実は麻田ルミにはオールディズ調の歌謡ポップス「太陽だって夢をみる」という人気曲があって、サイケおやじは長らくシングル盤を探索しているのですが、未だに良い出会いがありませんから……。
ということで、歌手としての麻田ルミも素晴らしい魅力に溢れていますし、女優としての輝きも忘れられません。
そのバランス感覚の良さが自然体に秀逸だと思うんですよ!
皆様にも機会があれば、ぜひとも彼女の虜になっていただきたく、本日も思い入れ優先モードで書かせていただきました。