OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

がっかりさせないで、とフィービは歌った

2011-07-06 15:42:28 | Singer Song Writer

Don't Let Me Down c/w 瞳を閉じて眠らないで / Phoebe Snow
                                                                         
 (Columbia / CBSソニー)

バカヤローの松本某が大臣を辞めたのは当然が必然で、その潔さは最低限の矜持だったでしょう。

しかし、その会見の中でサイケおやじが大好きなフィービ・スノウの名前を出されたのには、またまた抑えがたい憤怒の気持を覚えました。

まあ、これは個人の好き嫌いですから、なにもダメな人格云々の話ではないんですが、おまえには言われたくないっ!

そういうことです。

ただし、これを不幸中の幸いとして、フィービ・スノウという素晴らしい歌手に興味を抱いていただければ、あのトンデモ政治屋にも存在価値が少しはあったという事になるのでしょうか……。

で、肝心のフィービ・スノウは1974年夏に突如としてブレイクした黒人女性歌手なんですが、そのスタイルはギターの弾き語りを基本としながらも、決して普通(?)のフォークシンガーではなく、ブルースやジャズスタンダード、さらには中南米エスニックからニューソウルの領域もカバーする、なかなか奥深い音楽性がジワジワと迫ってくる逸材でした。

そして実際、同年に発売されたデビューアルバム(Shelter)ではテディ・ウィルソン(p)、ズート・シムズ(ts)、チャック・イスラエル(b) 等々のジャズの大御所が参加している話題に負けず、本当に芯がブレない魂の歌を披露し、忽ち注目されたというわけですが、確か我国でもジャズのラジオ番組で異例とも言える彼女の特集が放送されたと記憶しています。

こうして、言わば実力派としての地位をいきなりに築いたフィービ・スノウは、如何にもニューヨーク出身らしい都会的な部分と決してこじつけではない原初的な歌の魅力を両立させる活動に邁進し、多くのファンを獲得していったのですが……。

ご存じのとおり、本年4月、享年60歳で天国へと召されました。

実はその時、サイケおやじは追悼文をここに掲載しようと思ったのですが、やはり様々な思いが去来して纏めることが出来ず、それがあまりにも酷すぎる今日の社会情勢によって、少しは書けるようになったのは皮肉としか言えません。

そこで幾つも残された彼女の素晴らしい歌の中から、思わず取り出したのが、ビートルズでお馴染みの「Don't Let Me Down」を素敵にカバーしたシングル盤です。

言うまでもなく、がっかりさせないで、と訴えるフィービ・スノウの魂の歌心は、松本のバカヤローはもちろんの事、迷惑な存在以外の何者でもない総理大臣以下、内閣の面々には絶対に届いて欲しいものです。

ちなみにフィービ・スノウの魅力のひとつには、歌のフェイクの上手さがあって、良く知られた曲メロを独得のフィーリングで変化させていく味わいは、当然ながらジャズやブルースの常套手段を用いつつも、イヤミがありません。

それはこの「Don't Let Me Down」でも存分に楽しめますし、中盤でのレゲエ&カリプソ風味のアレンジに横溢する不思議なムードは、サイケおやじの稚拙な文章力では説明不能の素敵さですよ♪♪~♪ なによりも、こういう歌を力まない説得力で表現出来るという感性が凄いと思いますねぇ~~♪

そしてB面収録の「瞳を閉じて眠らないで / Don't Sleep With Your Eyes Closde」が、これまた軽くて楽しいカリプソ調の隠れ名曲で、当時はアルバム未収録がウリになっていましたですね。もちろんサイケおやじが、このシングル盤をゲットしたのも、それが目当てだったのです。

ということで、フィービ・スノウは所謂シンガーソングライターとして、自作の歌もどっさり持っていますし、ヘッドアレンジの力量やカパーの選曲センスも素晴らしいミュージシャンでした。

今となっては、プライベートでの様々に不条理な問題を抱えながらの活動も、その虚実が各方面で語られほど、ファンは尚更にせつない気分にさせられると思いますが、例えなんであろうとも、フィービ・スノウという歌手の存在と歌ってくれた楽曲音源の魅力は不滅だと思うばかり!

こういう人の歌は、本当に大切に聴きたいもんです。

コメント (6)
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