OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

ボサノバ夢の共演は極上ポップス

2010-07-19 16:45:30 | Pops

Astrud Gilberto & Walter Wanderley (Verve)

ほとんど梅雨も明けたというのに、ここ数日は暑苦しいアップを続けてしまい、反省しきりのサイケおやじです。

まあ、そういう「ズレ」が天の邪鬼なんていう言葉では表せない本性なんですよね……。

そこで本日は極めて夏の定番を取り出してみました。

それはボサノバの女王と我国では認定されるアストラッド・ジルベルトがクールなラウンジオルガンの第一人者というワルター・ワンダレイの共演盤♪♪~♪

もう、これだけでその場に涼しい風を感じてしまうんじゃないでしょうか。

 A-1 A Certain Smile
 A-2 A Certain Sadness
 A-3 Nega
 A-4 So Nice
(Summer Samba)
 A-5 Voce Ja Foi Bahia
 A-6 Portuguese Washerwoman
 B-1 Goodby Sadness
(Tristeza)
 B-2 Call Me
 B-3 Here's That Rainy Day
 B-4 Tu Mi Delirio
 B-5 It's A Lovely Day Today

主役のアストラッド・ジルペルト(vo) をバックアップするのが、既に述べたようにワルター・ワンダレイ(org,p) 以下、ホセ・マリノ(b)、クラウディオ・スローン(ds)、ボビー・ローゼンガーデン(per,ds) と裏ジャケットに記載され、さらに匿名参加のギターはおそらく、ジョアン・ジルベルトだと言われています。

ちなみに録音は1966年秋頃というのが定説ですが、当時のアストラッド・ジルベルトは大スタアであり、一方のワルター・ワンダレイは渡米して制作した「Summer Samba」が大ウケしていた時期であれば、まさに夢の共演♪♪~♪

当然ながらプロデュースはクリード・テイラーという、商売とマニアックな情熱を両立させる辣腕仕掛け人の担当ですから、収録の曲タイトルに馴染みが無い皆様でも、そのメロディは必ずや一度は耳にしたことのある素敵なものばかりですよ。

まさにお洒落、そこかはとないアンニュイなムード、そして胸キュンの歌の演奏がたっぷりと楽しめますし、「お約束」の清涼感もハズレがありません。

中でもゆったりしたパラード解釈のバースから歌い出し、一転して軽快なボサノバビートで爽やかにしてセクシーなボーカルというアストラッド・ジルベルトの良さが存分に発揮される「A Certain Smile」は、アルバムの幕開けに相応しい最高の名唱だと思います。

余分なアドリブなんか入らない、僅か1分半に満たない演奏時間もニクイほど♪♪~♪

そして気になる「Summer Samba」は、あえて歌詞を付けられた所為でしょうか、「So Nice」というタイトルになっていますから、有らぬ期待もしてしまうんですが、結論から言えばワルター・ワンダレイのアドリブパートも含めて、イマイチの仕上がりだと思うのはサイケおやじだけでしょうか?

まあ、それだけワルター・ワンダレイのインストバージョンが素晴らし過ぎる出来だったということなんでしょうが、それよりもポルトガル語で歌われるアップテンポの「Nega」や「Voce Ja Foi Bahia」のほうが、ワルター・ワンダレイのクールで熱いアドリブやウキウキするようなアストラッド・ジルベルトのボーカルの良さが出ているでしょう。

ですから原曲がシャンソン(?)の「Portuguese Washerwoman」を全篇ダバダバのスキャット&ハミングで歌ってくれるのは全くの大正解で、バックの面々のノリも一際、たまりませんよ♪♪~♪

こうしてレコードをひっくり返し、B面に針を落とせば、いきなりお馴染みの「Tristeza」が軽快に披露され、もうこれはボサロックの桃源郷でしょうねぇ~♪ イントロのララッラァ~ラのスキャットだけで、アストラッド・ジルベルトの世界にどっぷりと惹きこまれますねぇ~♪ もちろんワルター・ワンダレイ以下の演奏パートも完璧で、その歌心出来過ぎのアドリブは絶品の極致! シャープなリズム&ビートの作り方も唯一無二と断言して後悔しません。

さらに和みの「Call Me」や「Here's That Rainy Day」は、本当に癒し系といって過言ではないのですが、実はビリッとしたワルター・ワンダレイのアドリブやバッキングが意外に曲者かもしれません。ちなみにこのアルバムセッションではオルガンとピアノの両刀使いというワルター・ワンダレイですから、当然のように多重録音も駆使されているんですが、それほど気になることもないと思います。むしろ「Here's That Rainy Day」のようにジャズ色が強いアレンジでは、その手法を用いることによって、ガチガチになることが避けられているんじゃないでしょうか。

それは続く「Tu Mi Delirio」も同様で、まあ、それゆえにラウンジ感覚が滲み過ぎるような気もするんですが、まあ、いいか……♪

と納得させられるのも、オーラスの「It's A Lovely Day Today」が、もはやボサノバというよりもボサロック系ポップスに限りなく接近しているからで、こうした境界線をあえて意識させてしまうクリード・テイラーのプロデュースは本当に上手いと思います。なにしろアストラッド・ジルペルトは以降、急速にソフトロック路線に傾斜したアルバムを出したり、我国では歌謡ボサノバを歌ったりもしたんですが、それがイヤミになっていないんですよねぇ。

むしろボサノバという実にお洒落な大衆音楽が、他のジャンルにも自然に溶け込んで、さらにそれらを包括した魅力として新たな生命を得る結果だけが、強く残るのです。

このあたりは何時もながらに大袈裟なサイケおやじの独断と偏見ですから、鬱陶しい!

心からお詫び申し上げます。

そして虚心坦懐にこのアルバムを楽しんでいただけることを祈念するばかりです。

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