OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

好きさ好きさのゾンビーズ

2009-12-23 16:08:23 | Rock

好きさ好きさ好きさ / The Zombies (Decca / キングレコード)

これは私の大好きなゾンビーズでは、最初に買ったレコードです。

もちろん、きっかけは以前にも書きましたが、昭和42(1967)年というGSブームの最中に活躍していた我国のカーナビーツが、この名曲の日本語バージョンをヒットさせていたからに他なりません。

掲載したジャケ写にもあるとおり、「これがカーナービー・サウンドのオリジナル本命盤!けというキャッチコピーが、往時を今に伝える証左でもありますが、後に知ったところによると、このゾンビーズのシングル盤はAB面を逆にして日本発売されていたのです。

しかし前述したカーナービーツが、この「好きさ好きさ好きさ」で大ブレイクを果たしたところで、新規巻き返しを狙っての再発となったわけですが、実はゾンビーズのオリジナル楽曲は本人達のバージョンよりも、世界各国で作られたカパーバージョンの方が人気を集めるという、ちょっと辛い現実が今日まで続いているのです。

これは何故なのか?

ここからは全くの私の個人的な推察ですが、例えば「好きさ好きさ好きさ / I Love You」にしても、カーナービーツのバージョンが例のアイ高野のブレイクのキメだった、「お前の~、しゅべぇ~てぇ~~!」が強烈な印象になっているように、かなりの派手さがあるのに対し、ゾンビーズのバージョンは極言すれば地味~な仕上がりなんですねぇ……。

そうした、ちょっと暗いイメージこそが、実はゾンビーズの持ち味のひとつで、実際、洒落たコード進行とクールでジャズっぽい演奏スタイルは、大人の味とでも申しましょうか、同時期に活動していた多くの人気バンドの中では異質だったと思います。

それゆえに本国ではイマイチ、パッとした人気を得られぬままに解散へと追い込まれたわけですが、しかしアメリカではリアルタイムから根強い好評を保ち、また我国でも最近のソフトロック再評価で息を吹き返したのは、ご存じのとおりです。

そして永遠の名曲「ふたりのシーズン」の遅すぎた大ヒットへと続く流れの中にあって、ゾンビーズ本人達は既に別の道を歩み始めていた顛末は、ロック史の中の悲劇でもあり、また彼等の意気地の現れとして忘れられるものではないでしょう。

ちなみにその頃、既に消えていたオリジナルのゾンビーズが、マネージメントの関係から偽物バンドで再編され、「ふたりのシーズン」をウリにした巡業を長年やっていたのは有名な業界エピソードらしいですが、近年は本物のゾンビーズが復活して人気を集めているのも嬉しいのか否か、個人的には複雑な心境です。

何故ならば、ゾンビーズ消滅の後に中心メンバーだったロッド・アージェントが立ち上げたアージェントというプログレ系ロックジャズバンドが、すっかり忘れられているのですから……。

ということで、そのアージェントについては、いずれ取り上げたいと目論んでおります。

コメント (3)
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