OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

孤独の世界は和製フォークか!?

2009-07-12 12:57:19 | Singer Song Writer

孤独の世界 / P.F.スローン (Dunhill / 日本ビクター)

昭和40年代の日本ではGSブームと共に、もうひとつの大きな音楽的な盛り上がりがありました。それは所謂フォークソングで、生ギターをメインに皆で集いながら歌いましょう~とか、あるいは独りでシミジミと私小説みたいなネクラを演じるとか……。

そんなブームの中では、例えば新宿駅西口広場の集会で反戦や反体制を歌うとか、集まった人からカンパを集め、ガリ版刷りの歌詞カードを配って、それでは皆さん、ご一緒に歌いましょう~、とか……。

こんな集会は当時の日本では各地にあったのです。

もちろん大学生のサークルでは、もっと爽やかに恋愛ごっこを歌ったカレッジフォークなんていう流行も忽ち歌謡フォークに取り込まれ、これも大きなブームになったのは皆様ご存じのとおりです。

しかし若き日のサイケおやじは、どうも集合して歌うという行為が自分の感性に合わないというか、前述した新宿西口広場や反戦運動集会には、ある意味の不気味を感じているほどでしたから、フォークソングには妙なトラウマが今でもあります。

しかし決して歌謡フォークやフォークロックが嫌いなわけではなく、それが手段に使われてるのが、どうにも……、なのです。

さて、本日ご紹介のシングル曲は、そうした日本のフォークソングに多大な影響を与えたであろう、我が国だけの大ヒット洋楽の決定版!

歌っている P.F.スローンは本来がソングライターであり、スタジオセッションのミュージシャンとして、ハリウッドの芸能界では1950年代末から活動していた「裏方さん」ですが、実は知るほどに大きな実績を残しています。

例えば1960年代のサーフィンミュージックのブームでは、スタジオで作られた架空のバンドだったファンタスティック・バギーズであり、同様にジャン&ディーンでは堂々のリードボーカルを一部で務めていたり、等々の活躍は氷山の一角でしょう。

ソングライターとしては、盟友のスティーヴ・バリと組んで多くのヒット曲を量産していますが、特に有名なのがベンチャーズでお馴染みの「秘密諜報員」でしょうし、ロックの歴史の中ではボブ・ディランを過剰に拡大解釈したバリー・マクガイアが歌う「明日なき世界」、あるいはグラス・ルーツのヒット曲の大半が、今でも印象的♪♪~♪

という偉人なんですが、しかし当時の P.F.スローンは西海岸の顔役プロデューサーだったルー・アドラーのお抱えスタッフにしか過ぎませんでしたから、自らの名前で出すレコードも、実はそんな制作過程で作られていたデモテープに手を入れたものだったと言われています。また、親分のルー・アドラーにしても、1968年頃には自らが設立したダンヒルレーベルから手を引いてしまった事もあり、結局は本国のアメリカでは歌手としてのブレイクはありません。

しかし確かに良い曲を作る才能は間違いのないところでしょう。

この「孤独の世界 / From A Distance」は、P.F.スローンが1966年に出した2枚目のアルバム「Twelve More time」に収録されていたものですが、それがどういう経緯か我が国だけでシングル曲として発売され、ラジオから流れる度に売れていくという局地的な大ヒット! もちろんそれが数年続くロングセラーになったのは言うまでもないほど、胸キュンの素敵なメロディが大きな魅力ですから、中学生だったサイケおやじも、まんまとゲットさせられました。

イントロのアルペジオで奏でられるギターの響き、日本人好みのメロディとコード進行のせつなさには、当時のフォークソングの元ネタがいっぱい♪♪~♪ 軽快なロックビートを叩き出すドラムスも調子良く、つまり、どっかで聴いたことのあるような美味しさがあるんですねぇ~♪ それゆえに、ついつい別な曲の日本語歌詞を歌ってしまうのですが、それも許してもらえるでしょう♪

歌手としての実力も、P.F.スローンという個性が確かにありますし、中道路線の声質とか、自作自演の強みを活かした節回しとか、さらりとしていながらコクがあります。

実はここ数日、選挙関連の集会に半ば強制的に出席させられ、立候補者の夢物語を聞かされていると、ついついこの曲のメロディが頭の中に流れてくるのでした。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする