蛇口屋

リフォーム業界のあれこれ

あれはヒューム管だよのび太くん

2007-01-13 20:06:09 | Weblog
水道設備の世界の中で、鉄管って将来的には消えつつある材料の一つです。
多分、今でも現役として使用している所はあるんでしょうけど、これから先、今後建ててゆく住宅は、ほとんど、金属だとしても鉄は使われる事は無く、そのほとんどがボリブデンや架橋ポリに代表される樹脂配管にとって変われれるンでしょうね。

排水管、下水管の話しになりますが、
一昔前の陶管って言う、粘土を焼いて作った土管みたいな物です。今は埋設管はほとんどビニル管にとって変わられました。
紫外線や熱に強いって言う利点もあったんですが、いかんせん埋めてしまう管ですからね、あんまり関係ないですよね、釜で焼いて一本一本作るので、生産性は悪く、管自体の長さは短く、衝撃にも弱く、施工もし辛いとあっては、もはや絶滅する運命だったようです。
この管を普通に施工していた職人から見れば、今の塩化ビニル管なんて、まさにハイテクノロジーな物だったでしょうね。
「うお!軽い! すげー、簡単に切れる」「接着剤で着けるのか! 簡単だ!」と瞬く間に広がったのが手に取るように判ります。
でも塩ビ管が出来た当初は、結構、色々な事も言われてました。
「体に悪いらしい」とか、「長い時間をかけて溶けて行く」とか、「太陽光線で自然発火する」とか言われていましたが、今、思い起こせば、きっと、陶管専門にやって来た、陶管を捨てきれない職人達のネガティブキャンペーンだったんでしょうね。
そのお気持ちは察して有り余る物があります。蛇口屋だって、ビデオデッキの規格、VHSとβの争いの時には、「VHSって体に有害な電波を出しているらしいよ」と言いふらしていましたもの。ちなみに、ちょっと前まで、蛇口屋の家ではβデッキは現役として頑張ってましたよ。

そんな蛇口屋と塩化ビニル管の出会いは、小学校の低学年くらい。
確か規格サイズはVU50でした。
非力な小学生の力でグニャリグニャリと曲がるのが、面白いのと同時に、「大丈夫か?」と同時に不安になった物です。

当時、そんな蛇口屋に、塩化ビニル管の利点と欠点を教えてくれた、現場監督さんは、一番の不安をこのように言ってました。

「一応、メーカーは20年以上は対応年数があるって、保つって言ってるけど、最近出来たばかりのこの材料がいつまで保ってくれるかは、本当の所は判らないんだ」

あれから30年以上の時が流れて、この材料が主流になった今、かつて施工された塩ビ管は地中埋設管として現役でその役目を果たしています。
時がその材料の有良性を証明してくれたんですね。

排水繋がりでもう一つ。皆さんがよくご存じな人気アニメのドラえもん。
あのジャイアンのリサイタルを行う空き地に置いてある土管は恐らくヒューム管だと思われます。
ヒューム管っていうのは、鉄筋とコンクリートで出来た管で、20世紀の初め、オーストラリアのヒュームさんが作った、今や日本各地、大きな下水路に利用されている管材です。
形は円筒型なんで、誰かが、あの2段重ねに乗る度に転がらないかと冷や冷やしています。ちなみに、ヒューム管の対応年数は50年くらい、ドラえもんがこの世に現れてから、だいたい38年くらいだから、まだ大丈夫ですよね。

ちなみに価格にすると、直径が60センチくらいだとして、一本が2万円くらい。
合計6万円がドラえもんの、あの空き地に転がって、みんなの憩いの場になっているってことになりますね。

もちろん、あれが新品だとは限りません、一回、使用された物だとしたら、のび太くんが寝そべっているあの管の底はかつて汚水が流れていたのかもしれません。

衛生的にも、一回、誰か洗浄してくれないかなぁ、なんて、蛇口屋的には思ったりする訳ですよ。
せめてあの場にいれない蛇口屋としては、先に大人になってしまった、水道関係の仕事に従事する者として、いつまでも変わらないあの場所にいる子供達の心配だけはさせて貰っています。





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