おはようございます。
今回もコウホソナガクビガメの飼育方法について書いていきます。
いわゆる飼育難種を飼育する上で欠かせないプロセスは事前の推論を重ねて論理を完成させておくことです。
論理=仮説がないと飼育が場当たり的になり、結局は何が良くて、何が悪かったのか?が分からないままに個体が死んでしまうというまさにカメにとっての無駄死にに至ってしまいます。
さて、その推論、2つのアプローチがあります。
帰納法と演繹法です。
私はオブロンガの飼育にあたっては帰納法から始めましたのでここから書きましょう。
数少ないオブロンガの飼育事例ですが、このカメの死について書かれたブログを3つ、それこそ丸暗記するほど何度も読み返しました。
事例1. 夏の盛りにバスキングして、あっけなく死亡。
事例2. 夏から喰いが落ち晩秋にシェルロッドで死亡。
事例3. 事例2と同じ。
まず貴重な飼育記録をブログにて公開して下ったブログ主様に厚く御礼申し上げます。
この3事例から導き出せる推論は、オブロンガは夏の暑さに弱いのではないか?という仮説です。
従って帰納法による推論は、「3個体とも夏の暑さが原因で死んだ。つまりオブロンガは夏の水温管理が死なせないキモ」となります。
一方で演繹法による推論では最近見つけたこちらのケアシートが役立ちます。
意訳しますと、
水質は厳密に維持されなくてはならない。
PH値は7.4から8.0、従って緩衝剤が必要となる。
週1回、1/4の水換えをすること。
※以下の文章は個人的には齟齬があると思いますが筆者の意のまま訳します。
水が硬かったり(軟らかいの誤りでは?)、酸性のときは、換水の都度10ℓあたり小匙1杯の塩を入れるとよい。
水温は18度から21度を維持しなければならない。
演繹法による推論は「ケアシートによるとオブロンガの飼育水温は21度以下だから、夏の水温対策をしないと長期飼育は出来ない」となります。
推論の方法はさておき、私自身がオブロンガを飼育してみて感じているのは、このカメは温度に極めてセンシティブなカメだということ、そして塩分濃度への要求が高いカメだなぁということです。
そしてこれこそが私が毎日全換水方式の飼育ではなく、濾過により極力換水頻度を下げる飼育を選択した理由なのです。
私はオブロンガ飼育にあたり、1.水温、2.飼育水の硬度、3.塩分濃度をいかに維持するか?がこのカメを上手に飼うポイントだと推論してきました。
この推論の根拠はオーストラリア大陸の成り立ち、パースの地質・気候の特殊性に基づきます。
パース近海の水温15度の海水から吹き付ける海風はこのカメの棲む内水面から熱を奪い水温を下げる一方で海水成分のミネラル、塩分をその内水面に与えるはずです。
同時に降水量の少ないパースでは内水面の水底から石灰質と塩分が溶出し、特殊な水質になっています。
上記の仮説からパースの水質を再現することは手間がかかるので作った飼育水を極力長く使用するために濾過による飼育水の使い回しが必要だったからです。
オブロンガの調子をみながら水温・水質の微調整をしていき、最も調子の良い設定は水温18ー22度、PH7.8ー8.5、塩分濃度0.3ppmでした。
これを後に知ったケアシートに照らし合わせると各項目がかなりの近似値となり、私の推論も間違ってはいなかったと思います。(ケアシートが正しいという前提ならば)
水温は9月までは現状の常時22度を維持するつもりです。
PHはとにかく7.8を切らないように管理してきましたが、これからは緩衝剤の添加をやめて少しずつPH値を下げるつもりです。
因みに私はこれを添加しています。
http://aquainterior.marfied.co.jp/products/water/ro-right.html
塩分濃度はおそらくケアシートでは0.2ppm以下だと思いますので様子をみて下げたいのですが、現在の0.3ppmはカメの調子をみながら落ちついた数値なのでしばらくは0.3ppmを継続するつもりです。
現地でも夏は乾季、塩分濃度は高い季節ですからね。
因みに当初は計測器を持たずに目分量とカメのエサ喰いの状態をみて塩分を投入してました…
人工海水はテトラマリンソルト、拘ればオーストラリアの海域を再現した高品質な人工海水もありますがカメですし、消耗品なのでコスト優先です。
http://spectrumbrands.jp/aqua/products/goods/goods04/
ただし計測器は好評のデジタル機器を購入しました。
昔は比重計を使用しましたが以前から欲しかったマーフィード製のデジタル機器です。
http://aquainterior.marfied.co.jp/products/quality/mst.html
最後に水温ですが、私はこれがオブロンガ飼育のキモだと考えています。
おそらく水温22度以上がストレス要因ではないか?と。
はっきり言って、22度以下なら極めて丈夫で大胆なカメです。
過日、クーラーのセンサー異常で水温が16.5度まで下がりましたがいつもと変わらない朝のエサ喰いの良さに水温低下に気がつきませんでした。
その位、低温には強いカメです。その日に初めてバスキングを目撃しましたがおそらく上陸して体温を上げていたと思います。
室温は27度ほどありました。
この水温を再現するためにはエアコンでは限界があると私は思います。
なのでゼンスイクーラーを使用しています。
https://tropica.jp/2018/04/06/post-13959/
始めからクーラー使用が前提でしたから全換水方式を諦めたのです。
クーラーを付ければモーターが必要です。
特に私の使用しているZC200〆は外部フィルターとの相性も良いので必然的に濾過方式を選択したのです。
オブロンガは水温22度以下では極めて丈夫で大胆なカメです。
低温であれば水の汚れにも強く、特に硝酸塩は寧ろ数値が高い方が調子は上がります。
アンモニアは論外ですが、僅かな亜硝酸でも喰いが落ちるので私は夜間はタイマーをセットしてエアレーションしています。
こうすると濾過が効いて亜硝酸はほぼゼロになります。
硝酸塩は寧ろ好きな位ですから我が家のオブロンガケージはこんなに茶ゴケが付着しています。
今回は水温を中心にオブロンガの飼育考察をしましたが次回はエサに切り込んでいきます。