カメさん日記

趣味のカメさん日記です。レア種で情報が少ない種を中心に書いていきます。

常識の陥穽

2018-07-12 06:55:02 | リクガメ

おはようございます。

ソリガメをお迎えして2週間が経ちます。

やはり食わず嫌いはいけませんね。

僅か2週間でもなぜリクガメがこれほど人気があるのか分かりました。

私自身もリクガメに嵌りそうです。

私の感じたリクガメの興味深い点です。

1.水がないぶん人間との距離が近い。

2.昼行性のため人間の生活リズムと同じ。

3.野菜を食べる。つまり人間と同じものを食べる親近感がある。

我が家にお迎えしたソリガメ、初日の様子です。

非常に不安気な様子が写真からも伝わってきます。

甲長12㎝♀確定 南アフリカCB個体です。

リクガメには明るくないのですが、おそらく生後3〜5歳ではないでしょうか?

まぁ、心配な立ち上げ1週間を振り返ります。

初日 シェルター内で寝てました。

2日目 朝、多めのエサを食べてからはシェルター内。

3日目 エサを食べませんでした。ただしケージ内を歩き回りホットスポット付近に足跡多数あり。

        糞を1つ発見。

4日目 エサを半分ほど食べました。水を飲んでいる姿を目視で確認しました。

        尿の痕跡を発見。糞を3つ発見。うち一つはホットスポットにて発見。

       暑いのか、慣れたのかこの日からシェルターに入らなくなりました。

5日目 エサを食べません。水は飲んでいます。

6日目 同上

7日目 小松菜とレタスを少し食べました。

とまぁ、とにかくエサを食べません。

こんなお迎え1週間でしたが…

9日目に公園に行きました。

驚いたことに実に活発に歩き、カタバミを食べていました。

生き生きしています。

家内がこのカメさんに名前をつけたいと言いました。

「名前をつけると情が移るよ。このカメを長く飼える自信がないから今はやめよう。」と答えました。

ソリガメ…

実に魅力的なリクガメですが、同時に実に飼育が難しいリクガメだなぁと思います。

ミズガメには自信がありますし、何よりも現在の情報量と飼育機材の発展を利すれば飼えるものと油断していました。

ソリガメ飼育の難しい点は、

喰いが細い(代謝が低い)

おそらく我慢強い

繊細な(ストレス耐性の低い)カメ

この3つだと感じています。

経験上、調子の上がるストライクゾーンの狭いカメだと分かります。

このカメをリクガメの常識で飼うのは危険だなぁというのが正直なところです。

 日本におけるリクガメ飼育の歴史はまだ20年ちょっとではないでしょうか?

そして比較的長生きした個体の飼育実績を集め帰納法により理論化したものがリクガメ飼育論となったと思います。

大量に入荷し、安価に購入でき、従って飼育者の多いカメが消去法的に多くの飼育事例を残し、これがリクガメ飼育方法に煮詰まったのではないでしょうか?

結果的にチチュウカイリクガメやアカアシガメ、ケヅメリクガメやヒョウモンガメ、インド&ビルマホシガメに集約され、いわゆる乾燥系とか多湿系といった最大公約数的なリクガメ飼育方法に辿り着いたのでしょう。

つまり上記のメジャーなリクガメ飼育方法がリクガメ飼いの常識なのです。

この論理とは全く別の飼育方法が必要なリクガメが南アフリカのリクガメ達です。

 

ヤブガメ、ヒラセリクガメ、ソリガメの類いです。

彼等の生息地の特徴はオーストラリアに勝る強烈な紫外線とベンゲラ海流から吹き付ける冷たい湿った風という特殊性です。

ヤブガメに至っては更にピンポイントな分布です。

平たく言えばルイボスの栽培地です。

ルイボスは世界中で栽培が試みられましたが未だに原産地以外での栽培実績がありません。

つまり世界中で他箇所では再現できない気候下に生育する植物なのです。

ヤブガメは生息地から離れた時点で死ぬという意見も大袈裟ではありません。

一方でソリガメはヤブガメのような特殊な環境は好まず現地では水場や果樹園周辺にいるそうです。

果樹園は定期的に水を撒くので水を飲みにやってくるそうです。

ではソリガメはどんな環境下で生きているのでしょう?

私がソリガメを見て最初に思ったのはゴーファーに似てるなぁでした。

そう、ソリガメは土に潜るのです。

ソリガメが活発に行動するのは春です。

ケープ州は夏季が乾季、冬季が雨季です。

つまり現地の夏は殺人的に強烈な紫外線の上に雨が降らない環境なのです。

ですからソリガメは地中に潜り、暑さと乾燥から身を守るわけです。

従って夏は夏眠するか朝夕の涼しい時間に猛ダッシュでエサ場でエサを食べ、再び猛ダッシュで地中に潜る生活をしているのです。

乾燥と紫外線を避けてひたすらシェルターでじっとしてエネルギー消費を抑えるのです。

そして冬は寒さを避けてやはり地中で半冬眠をします。

暖かい日に時折エサを食べるそうです。

では例によって彼等の棲む南アフリカケープ州の冬をみてみます。

 

 現地は今、まさに真冬です。

7月は毎日7〜18度の気温です。

同じアフリカのヒョウモンやケヅメなら死んでしまう気温です。

どうやらリクガメの常識は赤道付近のカメ達の好適温度帯のようです。

世界地図を広げてリクガメの種ごとの分布図をみればソリガメがいかに赤道から離れた場所に棲んでいるか一目瞭然です。

特に南アフリカははっきりした季節があり、日較差の大きな土地です。

こうした温度と湿度が激しく変化する土地に生きるソリガメはケヅメやアカアシとは違う飼育アプローチが必要です。

我が家のソリガメは残念ながらエサをあまり食べてくれません。

SNSで毎日爆食している他のリクガメの動画を見て羨ましいなぁと思います。

しかし時々垣間見える歩く姿や摂餌状態を見る限り、やはり私の判断は「調子は悪くないな」となるのです。

糞尿もしっかりと出ているので内臓も動いているようです。

なぜエサを食べないのか?

リクガメの常識によれば活性を温浴で引き出して食べさせるのかもしれません。

確かに我が家のソリガメもよく水皿に全身を浸かります。

しかし私はこのまま少食でも経過観察でいくと決めました。

根拠はやはり体内時計。

ブラジルヘビクビで痛感しましたが季節変化のある土地から来たカメはかなり正確な体内時計を持っています。

日本の季節に体内時計を合わせるには3年はかかります。

我が家のソリガメも当然来るべき冬に備えて栄養を蓄積しているはずです。

EU CBなら別ですがこの仔は南アフリカCBなので冬モードのはずです。

私の読みが正解であればおそらく10月からは調子が上がってくるはずです。

10月に調子を上げるためのケア方法が今は一番大切だと考えています。

従って飼育方針は、カメが嫌がることはしない。

野生下のソリガメは週1回程度、暖かい日に少量しか食べずに主に水だけを飲んで冬を越すそうです。

我が家のソリガメも今まさにこの状態にあると仮定し、無理な給餌はストレスを惹起するだけと判断しました。

カメ友さんからは20度に下げたらとのアイデアを頂きました。

大賛成ですが、この猛暑で20度はお財布的にキツイなぁと…

一部屋丸ごと冷やさないといけないので。

今は部屋を夜は27度にしています。

設置した温湿度計は最高最低を記録できるのですが毎日最高30.2度、最低25.5度を記録しています。

とりあえず9月まで常識にとらわれない飼育にトライしていきます。

もしも8ヶ月を無事に過ごせたら、家内の希望に添い命名したいと思います。

ソリガメ飼育者様の積極的なコメントをお待ちしております。