遊爺雑記帳

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台湾の「現状維持」に必要なこと

2024-03-27 01:33:55 | 台湾海峡危機
 ナディア・シャドロー氏は、最近、台湾を訪問した。その際、台湾の新たなリーダーたちから彼らは現状維持に尽力しているという話を何度も聞いたのだそうです。
 「現状」は、何もしなければ維持されない。現状を維持するためには、米国と台湾は持続的な行動と対抗措置を追求しなければならないと。  
【寄稿】台湾の「現状維持」に必要なこと - WSJ
米国は「全力疾走」すべき
 ナディア・シャドロー 2024年3月26日

 童話「鏡の国のアリス」の中で、赤の女王はアリスにこう言う。「あなた、ここではその場にとどまるには全力で走らなければならないの。そしてどこかへ行きたいなら、その2倍の速さで走らなければならないの」と。女王は台湾を念頭に置いていたのかもしれない。

 
筆者は最近、台湾を訪問したその際、台湾の新たなリーダーたちから彼らは現状維持に尽力しているという話を何度も聞いた。米国在台湾協会の2月の調査によれば、台湾の人たちの8割以上が彼らの考えに賛成しているだが、地政学的な対立にさらされている「現状」は、何もしなければ維持されない。現状を維持するためには、米国と台湾は持続的な行動と対抗措置を追求しなければならない

 
台湾の蔡英文総統は「戦争という選択肢はない」と述べ5月に蔡氏の後を継ぐことになっている頼清徳副総統は「中台間の現状維持」のために中国との対話を再開する必要性を訴えた。台湾の野党、国民党(KMT)も、現在の平衡状態の維持を呼び掛けている。

 
だが、中国政府は現状の秩序を変更しようと躍起になっている習近平国家主席は「祖国の完全な再統一という歴史的任務を果たさなくてはならない」との考えを明らかにしている。習氏は昨年11月にジョー・バイデン米大統領と会談した際にもこの点を改めて示し、新年の演説では中台統一は「必然」であるとの自身の考えを繰り返した

 中国はこうした発言を裏付けるような行動に出ている。
人民解放軍による台湾の防空識別圏への侵入は急増している。2022年の同軍の台湾防空識別圏への侵入回数は1727回で、20年の400回未満から大幅に増加した。今年1月の総統選前、中国は再び出動回数を増やした。1月下旬、米中高官トップレベル会談が行われた直後には、人民解放軍は戦闘機など30機以上と海軍の艦艇6隻を台湾海峡の中間線を越えて飛行、航行させた。中国はまた、中国海警局の船舶を台湾の海岸線近くに配備している。

 
台湾に対するサイバー攻撃は急増しており、一部の専門家からは過去1年間で30倍に増えたとの報告もある。台湾に対する中国の情報操作作戦は、国民の決意を「軟化」させ、「自発的な統一」を促すとともに、米国への疑念を持たせることが狙いだ。

 
現状維持の政策を貫くには、常に再調整を行って抑止力を維持する必要がある。米国と台湾は軍事、経済、外交の垣根を越えて行動しなければならない。行動のスピード――つまり、その欠如――は共通の障害だ。対応が遅れれば、その効果は低減する。政策は防衛的な対応を繰り返すものとなり、敵対勢力が事を起こすのがより容易になる。

 
ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の報道によると、米国は、中国本土に近接する台湾の島、金門島で台湾軍の訓練を行っている米国は装備の引き渡しについても加速すべきだF16戦闘機の売却は2019年に承認されたが、引き渡しは2026年まで行われない公算が大きい。およそ140億ドル(約2兆1200億円)相当の軍装備品の引き渡しが遅れている。兵器売却計画が当初立てられたときから時間がたっていることを考えると、現在必要とされる装備とは違ったものになっている可能性があるバイデン政権が最近、さまざまな権限を通じた軍装備品の提供と、台湾独自の産業基盤のための資金提供を容認する判断を下したことは評価できるが、それを実行に移す動きは停滞したままだ。

 貿易に関しては、米・台湾政府は分野別、製品別に相互の市場アクセスを改善させることが可能であり、台湾側の貿易障壁も減らし得る。米議会で審議中の二重課税回避のための法案も、双方向の投資意欲促進につながる可能性がある。また、
半導体分野での双方の支配的地位の維持を確実にするため、協力する必要がある。工場を米国内に建設し、台湾積体電路製造(TSMC)の研究施設を米国に一部設けることは、中国の台湾に対する影響力の低下をもたらす

 
米国は、双方の理工系大学間の連携を促進することで、台湾の孤立状態を緩和できる。例えば、米国の大学が台湾キャンパスを開設し、学位プログラムを提供したり、台湾の学生が米国で学んだりすることが考えられる。

 
中国共産党が台湾に対して実力行使に出た場合の代償をより大きくして、台湾の現状維持を守ることを米台の共通目標にするべきだ。

***

――筆者のナディア・シャドロー氏は、ハドソン研究所とフーバー研究所の研究員。2017~18年に米大統領副補佐官(国家安全保障担当)を務めた。
 台湾の蔡英文総統は「戦争という選択肢はない」と述べ、5月に蔡氏の後を継ぐことになっている頼清徳副総統は「中台間の現状維持」のために中国との対話を再開する必要性を訴えた。台湾の野党、国民党(KMT)も、現在の平衡状態の維持を呼び掛けている。
 だが、中国政府は現状の秩序を変更しようと躍起になっている。習近平国家主席は「祖国の完全な再統一という歴史的任務を果たさなくてはならない」との考えを明らかにしている。
 習氏は昨年11月にジョー・バイデン米大統領と会談した際にもこの点を改めて示し、新年の演説では中台統一は「必然」であるとの自身の考えを繰り返したと、ナディア・シャドロー氏。

 中国はこうした発言を裏付けるような行動に出ている。人民解放軍による台湾の防空識別圏への侵入は急増していると。
 1月下旬、米中高官トップレベル会談が行われた直後には、人民解放軍は戦闘機など30機以上と海軍の艦艇6隻を台湾海峡の中間線を越えて飛行、航行させた。中国はまた、中国海警局の船舶を台湾の海岸線近くに配備しているのだそうです。

 台湾に対するサイバー攻撃は急増しており、一部の専門家からは過去1年間で30倍に増えたとの報告もある。台湾に対する中国の情報操作作戦は、国民の決意を「軟化」させ、「自発的な統一」を促すとともに、米国への疑念を持たせることが狙いだと、ナディア・シャドロー氏。

 現状維持の政策を貫くには、常に再調整を行って抑止力を維持する必要がある。
 対応が遅れれば、その効果は低減する。政策は防衛的な対応を繰り返すものとなり、敵対勢力が事を起こすのがより容易になるとも。

 ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の報道によると、米国は、中国本土に近接する台湾の島、金門島で台湾軍の訓練を行っている。
 米国は装備の引き渡しについても加速すべきだ。F16戦闘機の売却は2019年に承認されたが、引き渡しは2026年まで行われない公算が大きいのだそうです。
 およそ140億ドル(約2兆1200億円)相当の軍装備品の引き渡しが遅れている。兵器売却計画が当初立てられたときから時間がたっていることを考えると、現在必要とされる装備とは違ったものになっている可能性があると、ナディア・シャドロー氏。

 バイデン政権が最近、さまざまな権限を通じた軍装備品の提供と、台湾独自の産業基盤のための資金提供を容認する判断を下したことは評価できるが、それを実行に移す動きは停滞したままだと、ナディア・シャドロー氏。

 半導体分野でTSMCの最先端工場を米国に建設することが進められていることは諸兄がご承知のとおりです。

 日米で明暗分かれるTSMCの工場建設 カギは労組、補助金、国内企業:日経ビジネス電子版
 # 米国の工場が最先端の製品で、日本の工場は、汎用品とのことですが、米国が進展しないようなら日本でも最先端製品の工場を建設すればよいと考えますが、対中防衛力の差が別れる原因なのでしょうか。

 米国は、双方の理工系大学間の連携を促進することで、台湾の孤立状態を緩和できる。例えば、米国の大学が台湾キャンパスを開設し、学位プログラムを提供したり、台湾の学生が米国で学んだりすることが考えられるのだそうです。

 中国共産党が台湾に対して実力行使に出た場合の代償をより大きくして、台湾の現状維持を守ることを米台の共通目標にするべきだと、ナディア・シャドロー氏。



 # 冒頭の画像は、頼清徳新総裁   医師で知日派、独立色は封印 台湾・新総統の頼清徳氏 - 産経ニュース   この花は、ツルニチニチソウ ↓よろしかったら、お願いします。

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